ゴキヅル(合器蔓)
 ゴキヅル(合器蔓)は、ウリ科ゴキヅル属の蔓性1年草です。日本、朝鮮、中国、東アジアに分布します。日本では、本州、四国、九州に分布する在来種です。地域によっては、絶滅危惧I類、絶滅危惧II類、準絶滅危惧種に指定されています。名の由来は、果実が蓋付きの椀である合器(ごうき)のようである事から。中国名は、盒子草(hé zi cǎo)。

 ウリ科(Cucurbitaceae Juss. (1789))は、15連、約95属942種1)以上が分布します。日本には、5属10種が自生分布し、栽培種及び帰化種は10属11種があります。ゴキヅル属(Actinostemma Griff. (1841)) は、日本、朝鮮、中国、インドシナに3種があります。

 日当たりの良い水辺や湿った草地で自生します。蔓性で、葉腋から糸状の巻きひげを出し、他の物に絡みついて覆い被さるように繁殖します。茎は細く、稜があります。上部の茎は径約1mm、巻きひげは、径約0.1mm。巻きひげは托葉の変形と考えられています。茎の稜や萼片、花柄、葉脈、葉縁、葉柄に白色の短毛が密生します。葉は互生します。濃緑色で、長さ5〜10cm、幅2.5〜7cmの三角状披針形、広心形、狭長心形と形状に変異の幅があり、鋭頭。

 花期は、7月から11月頃。総状花序を出し、葉腋から糸状の花柄の先に白色の花をつけます。萼と花冠は同じ形で5全裂します。裂片は披針形で先端は細く尖り、尾状に伸びて放射状に広がります。萼片と花被片の中央に縦筋があります。顎片と花被片が交互に重なり並ぶので10枚の花びらに見えます。花径は約7mm。

 雌雄異花同株。雄花は、5個の雄しべがあります。雌花は、5個の退化雄しべと1個の雌しべがあり、子房は緑色。雌花と雄花の見分けは容易で、花冠裏側の基部に子房があるかどうかで判別できます。雄花は花柄が顎につながりますが、雌花は花柄が子房につながり、その上に顎があります。果期には、雄花、雌花とも顎と花冠を落とします。

 果実は、蓋果2)です。長さ約20mm、幅約12mmのドングリに似た長楕円形の果実で、下垂します。上部(付け根部分)が緑色で疣状突起があり、下部は淡緑色。熟すと果実中央付近が横に割れて上部は残り、下部の蓋にあたる果皮と2個の種子を落とします。まれに3個の種子があります。種子は、黒褐色のしわがある扁平卵形で長さ11~13mm、幅8~9mm。落下後は水に浮きます。種子繁殖します。染色体数は、2n=66。

 ゴキヅルの種子及び地上部には、サポニン成分中にトリテルペノイド配糖体(Triterpenoid glycosides, Dammarane型、Baccharane型、Oleanane型)が含まれ3)、種子には、オレアノール酸(Oleanolic Acid)とギプソゲニン配糖体(Gypsogenin glycosides)が含まれます4)。中国では利尿剤等として用いられてきました。

1)Phylogenetic relationships in the order Cucurbitales and a new classification of the gourd family (Cucurbitaceae). Hanno Schaefer & Susanne S. Renner (TAXON Volume 60, Number 1, February 2011: pp122-138)
2)蓋果(がいか、pyxidium):蒴果の一種で、熟すと果皮が横に裂開する果実。上部が蓋のように取れて種子を放出し、下部が椀状に残る。オオバコやスベリヒユなどがある。
3)ウリ科植物ゴキヅルActinostemma lobatum MAXIM.の成分研究 地上部に含まれるトリテルペノイド配糖体の構造. 藤岡 稔大(福岡大薬)、他. release date:2017.08.18
4)Studies on the Constituents of Actinostemma lobatum MAXIM. VI. Structures of Lobatosides I, J and K, Oleanolic Acid and Gypsogenin Glycosides Isolated from the Seed : Chemical and Pharmaceutical Bulletin Vol. 40 (1992) No. 5 P 1105-1109 : Toshihiro FUJIOKA,etc. 2008

Japanese common name : Goki-duru
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Actinostemma tenerum Griff.

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蔓は巻きひげで立ち上がる。花冠は顎5花被片5で放射状に開く。

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<雄花>                <雌花>

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<雌花> 花冠の中央が緑色の子房。花冠裏側の子房は疣状突起がある

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葉は互生し、角状披針形、あるいは広心形や狭長心形で、形状には変異がある

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葉裏の葉脈は浮き出る

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茎の稜や萼片、花柄、葉脈、葉縁、葉柄に白色の短毛が密生

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果実は蓋果。熟すと果実中央付近が横に割れる。種子が2個入っている。
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種子表面にはしわがある。長さ約13mm。落下して水に浮く。


ゴキヅル(合器蔓)
別名:モミジバゴキヅル(紅葉葉合器蔓)、ツタバゴキヅル(蔦葉合器蔓)
ウリ科ゴキヅル属
学名:Actinostemma tenerum Griff.
synonym : Actinostemma lobatum (Maxim.) Maxim. ex Franch. et Sav. var. racemosum (Maxim.) Makino
花期:7月~11月 1年草 草丈:蔓性(約2m) 花径:約7mm 果実長:約20mm

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【学名解説】
Actinostemma : akti(放射線)+stamma(冠)/ゴキヅル属
tenerum : 細い
Griff. : William Griffith (1810-1845)
---
synonym : 同物異名
lobatum : lobatus(浅裂した)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Sav. : Paul Amedee Ludovic Savatier (1830-1891)
var. : varietas(変種)
racemosum : racemosus(総状花序をつけた)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
麻機遊水地第3工区 2017.09.23, 09.24, 09.25, 09.29, 10.04
麻機遊水地第4工区 2017.09.29, 10.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 9 October 2017
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# by pianix | 2017-10-09 18:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)
コガタコガネグモ(小型黄金蜘蛛)
 コガタコガネグモ(小型黄金蜘蛛)は、コガネグモ科コガネグモ属のクモです。本州から沖縄、南西諸島にかけて分布します。名の由来は、小型のコガネグモである事から。コガネグモは、体型が小判に似ている事からとの説があります。

 コガネグモ科(Araneidae Lamarck, 1801)は、世界に160属約2600種分布し、日本では約121種(推定未知数4)が分布します。コガネグモ属(Argiope (Audouin, 1827))は、世界に約80種、日本に7種が分布します。

 真性蜘蛛目は昆虫の仲間ではありません。日本にいる蜘蛛は、名前が判明しているものだけで約1,300種あると言われています。蜘蛛の体は、頭胸部と腹部に別れ、頭と胸の節がありません。足は4対8本(昆虫は3対6本)あり、触角はなく触肢があります。複眼は無く、単眼が8個あります。

 山地や雑木林に生息します。7月から10月に出現します。雌の体長は8~12mmで、コガネグモの体長20~25mmに比べて半分以下の大きさです。コガネグモは、腹部背面に3本の褐色帯がありますが、本種は2本の帯で白点が横に並びます。脚には点班と縞模様があります。

 クモは造網性と徘徊性があり、本種は造網性です。垂直円網を作り、X字状の白帯をつけます。コガネグモと異なり、危険を感じると巣から飛び降りたり、降りた後に脚を丸めて死んだふりをする習性があります。9月頃に産卵します。卵嚢(らんのう)は褐色です。

 よく似た仲間に、ムシバミコガネグモ(蝕み黄金蜘蛛)Argiope aetheroides Yin et al. 1989 や、夏までに出現する事が多いチュウガタコガネグモ(中型黄金蜘蛛)Argiope boesenbergi Levi 1983 がいます。同定は腹面斑紋による事が多いようです。

参考:コガネグモ(黄金蜘蛛) ナガコガネグモ(長黄金蜘蛛) ジョロウグモ(女郎蜘蛛)

Japanese common name : Kogata-kogane-gumo
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Argiope minuta Karsch, 1879


コガタコガネグモ(小型黄金蜘蛛)
真正蜘蛛目コガネグモ科コガネグモ属
学名:Argiope minuta Karsch, 1879

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体長:♂:4.5mm/♀:6~12mm
分布:本州、四国、九州、沖縄
出現期:7月~10月
餌:小型昆虫

【学名解説】
Argiope : ギリシャ神話の妖精に由来(優美な、魅惑的な)/コガネグモ属
minuta : minutus(極小さい)
Karsch : Ferdinand Karsch (1853-1936)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系)2006.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 05 July 2017
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# by pianix | 2017-09-18 00:00 | | Trackback | Comments(0)