キバナアキギリ(黄花秋桐)は、シソ科アキギリ属の多年草です。本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、花色が黄色で、秋に咲き、葉がキリ(桐)に似る事から。別名のコトジソウ(琴柱草)は、葉の形状を琴柱(和琴や箏の楽器で弦を支え音高を調節するもの)に例えたもの。
シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。アキギリ属(Salvia C. Linnaeus, 1753)は熱帯から温帯にかけて分布し500~900種以上があると言われ、日本には10種程が自生します。 山地の林縁に自生します。茎は、シソ科植物によく見られる四角形で、分枝せずに立ち上がり、草丈20~40cmになります。葉は対生します。長さ5~10cm、幅4~7cmの三角状鉾形で基部が張り出します。両面に毛があります。 花期は8月から10月。茎頂に薄黄色の唇形花を穂状につけます。唇形花とは筒状の合弁花で、先端が唇のように上下に分かれるものを言います。花冠は長さ2.5~3.5cm。上唇は筒部から真っ直ぐに立ち上がり、下唇は先が3裂して丸みを帯び、下垂します。花冠は大きく「く」の字形に開きます。 虫媒花です。上唇に雄しべが隠れていて、基部に退化した暗紫色の雄しべが繋がっています。退化雄しべに虫が乗ると上にある雄しべが出てきて花粉をスタンプします。葯は2個。雌しべは暗紫色で、上唇から長く突きだし、柱頭は2裂します。萼は2裂して長さ約8mm。マルハナバチ等が媒介します。果実は4分果で、長さ約2.5mm。 変種として、長野県の木曽地方から岐阜県付近に分布する、キソキバナアキギリ(木曽黄花秋桐)Salvia nipponica Miq. var. kisoensis K.Imai 、紫色がまだらになった花冠の、シボリミヤマアキギリ(絞り深山秋桐)Salvia glabrescens (Franch. et Sav.) Makino var. purpureomaculata (Makino) K.Inoue があります。交雑種として、キバナアキギリとシナノアキギリの交雑である、サクキバナアキギリ(佐久黄花秋桐)Salvia x sakuensis Naruh. et Hihara があります。 よく似た学名で日本産のサルビアとされるものに、アキノタムラソウ(秋の田村草)Salvia japonica Thunb.があります。 Japanese common name : kibana-akigiri キバナアキギリ(黄花秋桐) 別名:コトジソウ(琴柱草) シソ科アキギリ属 学名:Salvia nipponica Miq. 花期:8~10月 多年草 草丈:20~40cm 花冠長:25~35mm 【学名解説】 Salvia : sage(セージ)の古名|salvare(治療)、salveo(健康)/アキギリ属 nipponica : nipponicus(日本本州の) Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871) 撮影地:静岡県静岡市 竜爪山(Alt.1051m) 2008.09.25 高山(牛ヶ峰 Alt. 716.7m) 2015.09.21 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 3 October 2010, 22 September 2015 Last modified: 2 July 2016
by pianix
| 2010-10-03 00:00
| 花
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Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 1月末日現在) 合計677,147人 (前年同月比 -5,763人) 男:329,734人 女:347,413人 世帯数324,434戸 (前年同月比 +1.576戸) 最新のコメント
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