ノコンギク(野紺菊)は、キク科シオン属の多年草です。日本固有種とされ、本州、四国、九州に分布します。北海道にはエゾノコンギク(蝦夷野紺菊)1)があります。名の由来は、野に咲く紺色の菊から。
キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味。保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。シオン属(Aster L. (1753))は世界に約400種あり、その内、北米に250種、日本には約20種が自生します。 山野に自生します。地下茎は横に伸び叢生します。草丈は50~100cm。茎は短毛があります。葉は、互生します。根生葉と茎葉がつき短毛があります。茎葉は、卵状長楕円形で鋸歯があり、長さ6~12cm、幅3~5cm。枝分かれした茎頂に散房状に頭花をつけます。花色は、白から薄紫色。頭花は、舌状花と筒状花からなり、径約2cm。舌状花は周囲1列に並び、筒状花は黄色。総苞片は3列に重なり並びます。雄しべは5個。果実は、痩果です。倒卵状長楕円形で、長さ約2~3mm。白色の冠毛があり、冠毛長は4~6mm。風散布型です。染色体数は、2n=36。 ヨメナ(嫁菜)2)と大変よく似ています。以前、見分けが付かなかったので、花を分解して確かめていました。しかし、分解するまでもありません。花びらをめくって、種(そう果)に付く細い毛(冠毛)が確認できれば、ほぼノコンギクです。ヨメナは、この部分と茎に毛がほとんどありません。ヤマシロギク(山白菊)3)や、シロヨメナ(白嫁菜)4)もあります。花色が濃紫色のものは園芸種(ノコンギクの選別品種)のコンギク(紺菊)5)です。 野草の場合は、どこに咲いているかで風情が変わってくるものかもしれません。茫々とした藪のような所で顔を出しているか、平らかな地の細く柔らかい草の中で咲いているかの違いで、印象が変わります。しかし、咲く場所を選べなかった野草は、文句を言わずに健気に花を咲かせ、世代を受け継がせている感じがします。 エゾノコンギク(蝦夷野紺菊) 1)Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. yezoensis (Kitam. et H.Hara) Soejima et Mot.Ito ヨメナ(嫁菜) 2)Aster yomena (Kitam.) Honda ヤマシロギク(山白菊) 3)Aster semiamplexicaulis (Makino) Makino ex Koidz. シロヨメナ(白嫁菜) 4)Aster ageratoides Turcz. var. ageratoides コンギク(紺菊) 5)Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. ovatus (Franch. et Sav.) Soejima et Mot.Ito 'Hortensis' 参考文献 : AKIKO SOEJIMAi and MOTOMI IT0. Aster mierocephalus (Miq.) Franch. & Sav., the Correct Name for A. ovatus (Franch. & Sav.) Mot. Ito & Soejima, Acta Phytotax. Geobot. 49(2): 151-152 (1998) Japanese common name : No-kon-giku ノコンギク(野紺菊) キク科シオン属 学名:Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. ovatus (Franch. et Sav.) Soejima et Mot.Ito synonym : Aster ageratoides Turcz. subsp. ovatus (Franch. et Savat.) Kitam. 花期:8月~11月 多年草 草丈:50~100cm 花径:20~25mm 【学名解説】 Aster : aster(星)/シオン属 microcephalus : micros(小)+cephalos(頭) Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871) Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900) et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ) Sav. : Paul Amedee Ludovic Savatier (1830-1891) var. : varietas(変種) ovatus : 卵円形の Soejima : 副島 顕子 Akiko Soejima (1961- ) : Kumamoto University Mot. Ito : 伊藤 元己 Motomi Ito (1956- ) : Tokyo University --- エゾノコンギク(蝦夷野紺菊) yezoensis : 北海道の、蝦夷から来た(= yesoensis, jesoensis) --- ヨメナ(嫁菜) yomena : ヨメナ(日本名) Kitam. : 北村四郎 Shiro Kitamura (1906-2002) Honda : 本田政次 Masaji Honda (1887-1984) --- ヤマシロギク(山白菊) semiamplexicaulis : 半ば茎を抱いた Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957) ex : ~による Koidz. : 小泉源一 Gen-ichi Koidzumi (1883-1953) --- シロヨメナ(白嫁菜) ageratoides : カッコウアザミ(Ageratum)に似た Turcz. : Nicolai Stepanovitch Turczaninow (1796-1863) --- コンギク(紺菊) Hortensis : 庭園栽培の、庭園の 撮影地:静岡県静岡市 安倍川/河口から11.50km 右岸河川敷 2005.10.12 賤機山 2017.11.27 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 28 October 2005, 22 June 2008, 08 December 2014, 14 December 2014 Last modified: 05 December 2017
by pianix
| 2005-10-28 00:00
| 花
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by pianix カテゴリ
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Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 2月末日現在) 合計676,607人 (前年同月比 -5,483人) 男:329,454人 女:347,153人 世帯数324,388戸 (前年同月比 +1.770戸) 最新のコメント
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