ヒオドシチョウ(緋縅蝶)
 ヒオドシチョウ(緋縅蝶)は、タテハチョウ科タテハチョウ属の蝶の一種です。東ヨーロッパから東アジアにかけて分布し、日本では亜種が北海道から九州に分布します。都道府県によっては準絶滅危惧種・絶滅危惧Ⅰ類1)とされています。名の由来は、武具の鎧(よろい)にある緋縅(ヒオドシ)2)の模様に因んだもの。英名は、scarce tortoiseshell。

 垂直分布は、低山から亜高山帯までの山地性です。表翅は赤橙色で黒の斑紋があり、前翅の前縁には白色の斑紋があります。外縁は黒色の帯模様が取り巻き、青金属色の斑紋が入ります。裏翅は茶褐色で波模様があり、翅を閉じた時は枯れ葉のようで地味な感じです。前翅長は32~42mmで、翅を広げて70mm程です。胴体は毛が多く、脚は6本ですが前2本が退化して短くなっています。

 成虫で冬を越します。3月下旬頃から活動を始め、4月頃にエノキの新芽に産卵し、100近くの卵塊となります。卵は縦に白色の放射状筋があります。完全変態をします。孵化した幼虫は集団で葉を食べます。終齢幼虫は60mm程で、黒色で黄色の筋が通り、黒と赤橙色の棘状突起があります。6月頃に蛹になり下垂させます。6月末から7月頃に成虫となります。樹液や、獣糞、腐果に集まります。羽化後1ヶ月程で休眠に入ります。

 仲間に、エルタテハ(L立翅) Nymphalis vaualbum samurai (Fruhstorfer, 1907)、キベリタテハ(黄縁立羽) Nymphalis antiopa asopos (Fruhstorfer, 1909)がいます。タテハチョウ科コヒオドシ属には、ヒオドシの名が入る、コヒオドシ(小緋縅) Aglais urticae connexa (Butler, [1882])が、高山や北海道にいます。

★  ★  ★

 里山の山頂で3月にいつも出会うチョウです。痛んだ翅を見て、「越冬ご苦労さんでした、生き延びて良かったね」と思うのです。注目される事が少ないヒオドシチョウですが、夏前に種を託す為に生き延びた勇姿にも見えます。誰もいない山頂では貴重な生物であり、いとおしさを感じます。私と同じ時代を生きている生物なのだなと感じ入りながら、次の山頂へ向かうのでした(嘘…カメラが重くて疲れるから捨てていこうかとか、ザックを引きずって下山しようかとか、いい加減な事しか考えていない)。

1)日本のレッドデータ検索システム(NPO法人 野生生物調査協会、NPO法人 Envision環境保全事務所)による。
2)緋縅(ひおどし):緋色の絹で織り込んだ縅(おどし)。縅は甲冑(かっちゅう)の小札板を上下に結び合わせる事。甲冑は、甲(よろい)と冑(かぶと)。

Japanese common name : Hiodosi-chou
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Nymphalis xanthomelas japonica (Stichel, 1902)
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2009.03.07 (大山)


ヒオドシチョウ(緋縅蝶)
チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科タテハチョウ属
学名:Nymphalis xanthomelas japonica (Stichel, 1902)

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体長:(前翅長)32~42mm/(開張)約70mm
分布:北海道~九州
発生期:6月~7月(年1回)
食草:エノキ、シダレヤナギ

タテハチョウ科(Nymphalidae Rafinesque, 1815)
タテハチョウ亜科(Nymphalinae Swainson, 1827)
タテハチョウ属(Nymphalis Kluk, 1802)
コヒオドシ属(Aglais Daiman, 1816)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt.435.2m) 2008.03.18
大山(Alt.986m) 2009.03.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 07 June 2012
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by pianix | 2012-06-02 00:00 | | Trackback | Comments(4)
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Commented by くろ at 2012-06-08 07:03 x
おひさしぶりです。
森町の城跡めぐりをしているときに、蝶が飛んでいたのですが、まるで私に気がつかず、そのまま捕まえられそうでした。
私は虫嫌いですので触りませんが、青ちゃんが捕まえるそぶりをしても気がつかない様子でした。

私は小学生の時、マラソンが大嫌いで、「いつ転んでやろうか」「いつ気持ち悪いと言って休もうか」とそればかり考えながら走り、結局はそんな勇気は無く最後まで走りきっていました。我ながら情けないと思っていたものです。
Commented by pianix at 2012-06-09 18:06
くろ さん、こんにちは。
実は、毎日くろさんのBlogを拝見させて頂いています。
コメントを書き込むと「ダサイ!」って怒られそうなので、ROMしています。
だから、おひさしぶりには感じられないのです。

蝶を見せると怖がって逃げる女性がいました。冗談かと思っていたのですが、本当に嫌いのようでした。「ふわふわ」飛ぶのが気持ち悪いとか……。で、何人かに聞きましたら、嫌いなのは圧倒的に女性でした。
そのような人は多分、「ちょうちょう」の歌なんか歌わないのでは。歌ったとしても、「チョウチョ、チョウチョ、菜の葉に落ちてしまえ」でしょうね。

マラソン大嫌いな件ですが、内向的な事ができないというのは、実は良いことかもしれませんよ。みんな情けないと思って生きているのかもしれませんしね。
Commented by コナママ at 2012-10-21 04:48 x
突然のコメントですみません。
昨日、偶然に撮った蝶の名前を知りたくて、
検索で【羽がオレンジ色に黒点 ギザギザ 蝶の名前】と入力していく内に、
こちらのブログに辿り着きました。
名前も、ヒオドシチョウ(緋縅蝶)と判り、嬉しくなりました。
また準絶滅危惧種・絶滅危惧Ⅰ類に属していたので、
二度ビックリしました。
一生懸命蜜を吸っていたので、長生きして欲しいと強く思いました。
Commented by pianix at 2012-10-22 17:34
コナママさん、こんにちは。
突然のコメント、大歓迎です。
それにしても、よくここにたどり着けましたね。

名前が分かった時の嬉しさは良く分かります。
私も同じですから。
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