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カラスウリ(烏瓜)
 カラスウリ(烏瓜)は、ウリ科カラスウリ属の多年草です。中国、台湾、日本に分布します。日本では、東北以南から九州にかけて分布します。

 ウリ科(Cucurbitaceae Juss. (1789))は、約95属942種が分布します。日本には、5属10種が分布します。カラスウリ属(Trichosanthes L. (1753))は、アジア、インド、オーストラリアに約100種が分布します。

 果実は液果です。実は知っているのに、花を見た事がないと言う人は結構多いようです。白いレースのような幻想的な花で、夜明け前には萎んでしまいます。花は、夏場の夕方から咲き始めるので、見る機会が限られるのだと思います。対して、果実は赤く熟れ、目立ちます。果実の成り初めは緑色で縞模様があり、小型の瓜そっくりです。スズメウリ(雀瓜)に比べて、実が大きいのでカラスウリと名が付いています。カラスやスズメは大きさを表しています。強烈に苦くて食べられないそうですが、中を割って見ても食べる部分が無く、納豆状に種子が入っているだけです。それでも鳥は突く事があるそうです。

 種子はカマキリの頭のような形をしています。大きさは、約10x8mm。厚さは、約5mm。通常サイズの果実では、20~33個の種子がありました。形状の連想として、打ち出の小槌、米俵に乗った大福様と見方は色々で、財布の中に入れておく縁起物として使われたようです。別名のタマズサ(玉章)は、種子の形が結び文(手紙)に似るところから来ています。

 茎が膨れて捻れているのを見ることがありますが、カラスウリクキフクレフシ(烏瓜茎膨附子)で、ハエ目(双翅目)タマバエ科のウリウロコタマバエ(瓜鱗玉蠅)Lasioptera sp. の虫瘤です。

☆  ☆  ☆

 カラスウリの蕾は、とてもこのような花を咲かせるようには見えません。日没から咲き始めます。蕾が割れてきた状態から短い時間に開きます。持ち合わせていた携帯用小型蛍光灯を使って撮影しました。闇に浮かび神秘的な風情を醸し出します。白髪の妖怪に見えなくもありません。

 家族に見せてあげようと、採取して帰りました。食卓の小さな花瓶に挿しておきました。次の夜、いつの間にか、もう一花が咲いていました。でも、咲く時を見ていませんでした。そこで新たに採取して持ち帰り、じっくりと眺める事にしました。優雅な時間の流れを味わう事ができました。

Japanese common name : Karasu-uri
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Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim. ex Franch. et Sav.

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左:蕾 右:花

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瓜に似た縞模様があり、熟す毎に色が変わり完熟すると縞模様はなくなる
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赤く熟した果実
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果実の内部

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カマキリの頭のような形をした種子


カラスウリ(烏瓜)
別名:タマズサ(玉章)
ウリ科カラスウリ属
学名:Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim. ex Franch. et Sav.
花期:8月~9月 多年草 草丈:蔓性 花序径:2~10cm

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【学名解説】
Trichosanthes : trichos(毛)+anthos(花)/カラスウリ属
cucumeroides : Cucumis(キュウリ属)に似た
Ser. : Nicolas Charles Seringe (1776-1858)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
ex : ~による
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Sav. : Paul Amedee Ludovic Savatier(1830-1891)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km右岸 2005.07.28
安倍川/河口から8.25km 左岸河川敷 2005.11.15
大道山(Alt. 448m) 2015.10.21
賤機山(Shizuhata-yama) 2021.01.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

27 November 2005, 21 June 2008, 22 October 2015, 31 January 2021, 24 November 2022
Last modified: 21 February 2024
カラスウリ(烏瓜)_e0038990_1703595.gif

by pianix | 2005-11-27 00:00 | | Comments(6)
Commented by brizu at 2005-11-28 10:38
こんにちは
カラスウリの花は不思議ですね。違う宇宙がそこにあるかのような
独特の雰囲気を出してますよね。
カラスウリは確か薬になるのですよね。
なんに効くのかは忘れてしまいましたが・・。
この季節、あの長丸い形を見ると、なんか取りたくなっちゃいます。
また見させてくださいね。
Commented by pianix at 2005-11-28 13:45
brizuさん
このような記事を集めたブログに、コメントが付くのは予想もしていない事でした。励みになり嬉しいです。毎日、宿題の提出のような気分で書いています。その時の気分で、しかも短時間に書かなければならないので、かなりいい加減になります。
薬効は、便秘の改善でしょうか。納豆状態の果肉は、ひび・しもやけに使われる事もあったそうですが、現在ではどうでしょう。便利な薬が薬局に所狭しと並んでいますから、使われる事はほとんど無いのだと思います。
民間療法では、その量が問題となる事があって、誤って使用すると大変なことになることもあると思います。
カラスウリの実は何個も採ってきましたが、舐めた事も食べた事もありません。本当に苦いのかも知りません。(試してみろよ、と言われそうですが)。それでも、採ってきてしまうのですね。飾り物のようで可愛いからなのでしょうか。
Commented by thinking_reeds at 2005-11-30 00:27
カラスウリの実の中身って、なんだかパッションフルーツみたいですよね。
あれは時計草の仲間だったような。
それを考えると、その実は食べられそうな感じが・・・(何でも食べてみたくなるワタシ)
Commented by yamome516 at 2005-11-30 11:43
さすがです!
ここまでしなくてはいけませんよね!
反省します。
まだ、まだ、見る事が甘いようです。
Commented by pianix at 2005-11-30 14:13
thinking_reeds、かえるさん、こんにちは。
パッションフルーツも食べた事ありません。
どうか実験台になってカラスウリの実を食べて下さい。(ウソ)
家内は、実を見つけるたびに「これ、食べられる?」と聞きます。
食い意地が張っているなと思っていたのですが、ただ単に毒があるかどうかを尋ねていたようです。
Commented by pianix at 2005-11-30 14:14
yamome516さん、こんにちは。
食べて味を報告しろと言われているようで(^^;
明日は静岡県大へ行き、薬草を見学する予定でいます。
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