アリドオシ〈蟻通し〉
 アリドオシ〈蟻通し〉は、アカネ科アリドオシ属の常緑低木です。東南アジアに分布し、国内では関東地方以西に分布する在来種です。名の由来は、一般的には鋭い棘が蟻を刺し通す程の例えから。棘が多い事から蟻でなければ通り抜けられない等の説もあります。別名の一両は、センリョウ(千両)等と対比した名称で、「千両万両有り通し」との縁起を担いだ洒落から。中国名は、虎刺(hǔcì)。山梨県で絶滅危惧IA類(CR)、埼玉県、茨城県、福井県では絶滅危惧II類(VU)に指定されています。(参考:レッドデーターブック・カテゴリー図

 アカネ科(Rubiaceae Juss. (1789))は、約630属14,000種が分布します。アリドオシ属(Damnacanthus C.F. Gaertner, 1805)は、東アジアに6種が分布します。

 山地の広葉樹林内に自生します。枝は分岐しながら広がり、樹高は30~60cmになります。葉は対生します。大型葉、小型葉が交互につき、長さ10~25mm、幅6~12mmの卵形で全縁。革質で光沢があります。大型葉の葉腋1)から葉に対生して長さ1~2cmの2本の鋭い棘を左右に出します。棘の長さは葉表側の方が長い事が多い。棘は、草食動物に対する防御のために細枝が変化したものと考えられています。山道脇に生えている事も多く、棘で引っかけられる場合があり痛い思いをさせられます。尻餅は勿論、前に転倒して手を突いたら悲惨な事になりかねません。

  花期は5月。葉腋に2個ずつ花をつけます。花冠は白色。長さ10mm程の筒状漏斗形で先端が4裂します。雄しべ4、雌しべは糸状で先端が4裂します。両性花。子房下位で4室、各室に胚珠2)1。果期は9月頃。果実は核果(液果)です。径4~6mmの宿存萼3)がある球形で、熟すと赤くなります。染色体数は、倍数性4)が知られていて、2n=225)、2n=4x=446)

 よく似た変種に、オオアリドオシ(大蟻通し)Damnacanthus indicus Gaertn.f. var. major (Siebold et Zucc.) Makino や、ホソバオオアリドオシ(細葉大蟻通し)Damnacanthus indicus Gaertn.f. var. lancifolius Makino、矮性種としてヒメアリドオシ(姫蟻通し)Damnacanthus indicus C.F.Gaertn. var. microphyllus (Makino) Makino ex Nakai があります。

1)葉腋(ようえき、leaf axil):葉の付け根部分
2)胚珠(はいしゅ、ovule):種子になる部分
3)宿存萼(persistent calyx):花が終わっても母体から離れず残る萼。
4)倍数性(ばいすうせい、polyploidy):生物体細胞の染色体数2nが、基本数xの整数倍になる現象。
5)三重県、和歌山県、四国、九州、沖縄 (Naiki and Nagamasu, 2004)
6)関東、東海、近畿、中国、四国、九州、沖縄 (Naiki and Nagamasu, 2004)

参考文献:
・Bulletin of the Osaka Museum of Natural History, No.62 p. 75-80; March 31, 2008.
・Naiki, A., and Nagamasu, H. 2004. Correlation between distyly and ploidy level in Damnacanthus (Rubiaceae). American Journal of Botany 91: 664-671.

Japanese common name : Aridoosi
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Damnacanthus indicus C.F.Gaertn. var. indicus

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左:花の蕾先端は閉じている 右:花は2個ずつ下向きに咲く
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雄しべ4と雌しべ1があり、花冠の長さは10mm程で、筒内には毛がある

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左:葉に対生して鋭い棘が上下に一対出る 右:光沢のある葉は大小が交互につく

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左:盛大に広がったアリドオシ 右:冬に残留萼片がついた果実は赤く熟す


アリドオシ〈蟻通し〉
アカネ科アリドオシ属
学名:Damnacanthus indicus C.F.Gaertn. var. indicus
花期:5月 常緑低木 樹高:30~60cm 花冠長:約1cm

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【学名解説】
Damnacanthus : damnao(優る)+acantha(刺)/アリドオシ属
indicus : インド(India)の
C.F.Gaertn. : Karl Friedrich von Gaertner (1772-1850)
var. : varietas(変種)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.717m) 2008.02.07
嫁越峠(Alt.ca.270m) 2012.03.15
安倍城跡(Alt.435m) 2014.05.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 07 February 2015
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by pianix | 2015-02-07 00:00 | | Trackback | Comments(0)
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