トロロアオイ(土呂呂葵、黄蜀葵)
 トロロアオイ(土呂呂葵、黄蜀葵)は、アオイ科トロロアオイ属の1年草です。中国原産で、栽培や園芸用途として用いられています。江戸時代までには渡来していたと言われています。名の由来は、根や果実が粘液質であるトロロに似たアオイである事から。別名のハナオクラは、花がオクラ(Okra) 1) に似る事から。黄蜀葵は中国名で、オウショクキ。英名は、Aibika。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、250属(AGP)が分布します。クロンキスト体系(Cronquist system)では、約75属でした。トロロアオイ属(Abelmoschus Medik. (1787))は、アジアやオーストラリアに約15種が分布します。旧分類では、フヨウ属(Hibiscus L. (1753))でした。

 根茎は紡錘形に肥大し、長さ約20cm。草丈は30~200cmで、茎に剛毛があり直立します。葉は、互生します。長い柄があり、掌状に5~9深裂します。花期は、8~9月頃。茎頂に淡黄色の5弁花を横向きにつけます。花径は15~20cm。花冠中央部は紅紫色。柱頭先端は紅紫色で5裂します。茎の下部から上へと順に開花します。一日花で、朝開き、夜には落下します。果実は、蒴果です。楕円形で5稜に尖り、剛毛があり、茶色に熟します。種子は、長さ4.5~5mm、幅3~3.5mm。染色体数は、2n=68(桑田晃 1960)。

 花弁をサラダにして食べる事もありますが、果実は食用に用いられません。根から抽出される粘液を和紙を漉く糊料のネリ(糊)として用います。成分は、ガラクツロン酸2)です。コウゾ(楮)の表皮から内側白色部分だけを取り出し粉砕した繊維と混ぜ合わせて和紙を漉きます。漉いた和紙を板で天日干しするか熱した鉄板で乾かします。その為、接した部分は平滑になるので和紙には裏表があります。手間暇かけた高級和紙のできあがりです。

 現在は化学薬品のポリアクリルアミド(polyacrylamide)を用いる場合が多くなりました。栽培最盛期は、昭和40年の1,600haでしたが、現在は5ha程に激減しています。乾燥根を生薬の黄蜀葵根(オウショクキコン)として、咳止めや胃腸薬に用います。

 他に、沖縄諸島に分布する、リュウキュウトロロアオイ(琉球土呂呂葵)Abelmoschus moschatus Medik.、変種として尖閣諸島固有種で、絶滅危惧ⅠA類(CR)の、センカクトロロアオイ(尖閣土呂呂葵)Abelmoschus moschatus Medik. var. betulifolius (Mast.) Hochr. があります。

1) Abelmoschus esculentus (L.) Moench
2) ガラクツロン酸(galacturonic acid, C6H10O7)

Japanese common name : Tororo-aoi
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Abelmoschus manihot (L.) Medik
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花径は15~20cm。花冠中央部は紅紫色。柱頭先端は紅紫色で5裂する。

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左:萼片5、下から咲く一日花。 右:長い柄があり、掌状に5~9深裂する


トロロアオイ(黄蜀葵)
別名:ハナオクラ
アオイ科トロロアオイ属
学名:Abelmoschus manihot (L.) Medik
花期:8~9月 1年草 草丈:30~200cm 花径:15~20cm 果期:10月

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【学名解説】
Abelmoschus : abul-mosk(香りの父)/トロロアオイ属
manihot : イモノキ(芋の木)、キャッサバ、タピオカ/ブラジル名maniocに由来
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Medik. : Friedrich Kasimir Medicus (1736-1808)
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moschatus : 麝香の香りのする
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var. : varietas(変種)
betulifolius : カバノキ属(Betula)のような葉(folium)の
Mast. : Maxwell Tylden Masters (1833-1907)
Hochr. : Benedict Pierre Georges Hochreutiner (1873-1959)
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esculentus : 食用の
Moench : Conrad Moench (1744-1805)

撮影地:静岡県藤枝市
石谷山(びく石) Alt.526m/笹川八十八石コース 2010.08.10, 2012.09.02
[Location : Fujieda City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 15 December 2015
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by pianix | 2015-12-15 08:00 | | Trackback | Comments(0)
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