センダン(栴檀)
 花の香りで、センダンがある事に気が付いたことがありました。その後、河川敷にも何本かのセンダンがある事を確かめました。そして今の季節、この果実にも気が付かないで通り過ぎていました。すでに葉は全て落ち、果実だけが残されています。小さな花を追い求めていると、高木に目が行かないようです。ある図鑑に、「においはない」と記されていました。「栴檀は双葉より芳し」で詠われている栴檀とは、ビャクダン科のビャクダン(白檀)のことであり、それと間違えないように「樹木」に臭いはないと記したのでしょう。センダンの花には香りがあります。

 センダン(栴檀)は、センダン科センダン属の落葉高木です。アジアに分布します。日本では、本州(伊豆半島以西)・四国・九州・沖縄に分布します。名の由来は、不明です。栴檀(zhāntán)はビャクダン(檀香)の異名で、その名が誤用され転訛したと言われています。中国名は、楝(liàn)。

 センダン科(Meliaceae Juss. (1789))は、熱帯や亜熱帯に約46属700種が分布します。センダン属(Melia L. (1753))は、東アジア(インド、中国、アジア南東部)やオーストラリアに約10種があり、日本には本種のみが自生します。

 葉は互生します。奇数羽状複葉。小葉は卵形で、鈍い鋸歯があります。花期は、5月~6月。葉腋から複集散花序を出します。花は径15~20mmで、淡紫色。萼片5枚、花弁5枚、合着して筒状になった紫色の雄しべが10本あります。果実は淡黄色をした長楕円形の核果で、長さ15~20mm。5~6室に分かれた各室に1個の種子があります。落葉した後も残ります。

 生薬で、クレンシ(苦楝子)として整腸、鎮痛薬に用います。しかし、民間療法で気をつけなければならない事は、その量です。中毒事故の事例があります。果実には有毒成分の、メリアトキシン(meliatoxin)A1, A2, B1が含有1,2)されていて、子供の場合で6~8個の摂取が致死量になります。48時間で死に至ります。犬の場合は5~6個、豚や羊では体重(kg)あたり5gです。

 山上憶良の「妹が見し棟(あふち)の花は散りぬべしわが泣く涙いまだ干(ひ)なくに」(万葉集・巻五・七九八)は、センダンの古名であるアフチが詠み込まれています。初夏に咲いたセンダンの花を見た妻は逝ってしまい花も散ってしまった。「私が流した涙はまだ乾いてもいないのに」との嘆きの歌です。ただし、山上憶良(やまのうえのおくら)の妻ではないようです。山上憶良は斉明天皇6年(660年)頃の生まれと言われていますから、今から1300年ほど前の事です。

1) Hare, W.R. 1998. Chinaberry (Melia azedarach) poisoning in animals. In Toxic plants and other natural toxicants. p514-516.
2) Hare, W.R. et al. 1997. Chinaberry poisoning in two dogs. J. Am. Vet. Med. Assoc. 210:1638-1640.
* Meliatoxin A1(C35H46O12), A2(C34H44O12), B1(C35H46O12)

Japanese common name : Sendan
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Melia azedarach L. var. subtripinnata Miq.
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花|2005.05.19

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果実|2016.12.31
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木肌


センダン(栴檀)
古名:アウチ(樗)
センダン科センダン属
学名:Melia azedarach L. var. subtripinnata Miq.
花期:5月~6月 落葉高木 樹高:7~10m 花径:15~20mm 果期:12月

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【学名解説】
Melia : トネリコ(Fraxinus)のギリシャ名/センダン属
azedarach : 高貴な木(ペルシャ語から)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
subtripinnata : subtripinnatus(やや三回羽状の)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.5km 右岸土手 2005.05.19, 2006.01.17
安倍川/河口から5.85km 左岸河川敷 2016.12.31
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

08 September 2010
Last modified: 06 January 2017
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by pianix | 2006-01-17 00:00 | | Trackback(1) | Comments(2)
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Tracked from 駿河木の家日記 at 2006-01-18 09:52
タイトル : 栴檀(せんだん)の実
自宅の近くに、黄色の実をいっぱい付けた木があります。調べて見ますと栴檀(せんだん)の実でした。  「栴檀は双葉より香し」の栴檀(せんだん)は、白檀(ビャクダン科)の別名で、この栴檀とは違うようです。 栴檀は、中国名ではなく大津の園城寺(おんじょうじ)で5月に行われる法会の俗称、千団子からきた 当て字と書いてありました。本当に千個の団子のようです。 生薬では苦楝子(くれんし)と呼んで消化器疾患の鎮痛剤として使われてるそうです。それにしても面白い 樹木ですね。葉は落葉して全く無いのに実が茂ったと...... more
Commented by surugaki at 2006-01-18 09:52
最近、栴檀の実が目に付きますね。花も見たいですね。私も栴檀をTBさせていただきました。
Commented by pianix at 2006-01-20 14:38
surugakiさん
さすが専門家ですね
私は、自分より背が高い所は見ていないので木本は苦手です。
昨日も、小さな小さな苔類としばらく遊んでいました。
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