ノコギリソウ(鋸草)は、キク科ノコギリソウ属の1年草です。日本、朝鮮半島、中国、ロシア極東、ネパール、北アメリカに分布します。日本では、北海道と本州に分布する在来種です。名の由来は、葉が櫛歯状に切れ込む形状を鋸に例えたもの。中国名は、高山蓍草(gāo shān shī cǎo)。英名は、Chinese yarrow。
キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化種は100種以上あります。ノコギリソウ属(Achillea L. (1753))は、北半球の温帯から寒帯にかけて約85種類が分布します。日本には、亜種と変種が数種類分布します。 山地の草原に自生します。草丈は30~80cm。茎は上部で分枝し、軟毛があります。葉は、互生します。無柄の長楕円形から披針形線状で、長さ約8cm、幅約1cm。羽状に中裂から深裂します。中心に薄緑色の葉脈(主脈)が通ります。セイヨウノコギリソウよりも葉質は堅め。 花期は、7月から9月。葉腋から分枝した茎頂に密な散房花序をつけます。頭花の径は約1cm。花色は、白から薄桃色。総苞は鐘球形で毛が散生し、総苞片は2列。中心部に筒状花(両性)、周囲に舌状花(雌性)があります。1頭花の舌状花の花被片は5~7枚で、先端が浅く3裂し、長さ3.5~4.5mm。果実は、痩果です。長さ約2~3mmの扁平形。染色体数は、2n=36。 似た種に、亜種で北海道に分布し草丈が低いシュムシュノコギリソウ(占守鋸草)Achillea alpina L. subsp. camtschatica (Heimerl) Kitam.、キタノコギリソウ(北鋸草)Achillea alpina L. subsp. japonica (Heimerl) Kitam.、アカバナエゾノコギリソウ(赤花蝦夷鋸草)Achillea alpina L. subsp. pulchra (Koidz.) Kitam.、九州に分布するアソノコギリソウ(阿蘇鋸草)Achillea alpina L. subsp. subcartilaginea (Heimerl) Kitam.[準絶滅危惧(NT)]、中部地方以北の山地草原に分布し頭花数が少なく舌状花が3mm以下のヤマノコギリソウ(山鋸草)Achillea alpina L. subsp. alpina var. discoidea (Regel) Kitam.があります。園芸種として、2~3回羽状複葉に細裂する、セイヨウノコギリソウ(西洋鋸草)Achillea millefolium L. があります。 Japanese common name : Nokogiri-sou ノコギリソウ(鋸草) 別名:ハゴロモソウ(羽衣草) キク科ノコギリソウ属 学名:Achillea alpina L. subsp. alpina var. longiligulata H.Hara 花期:7月~9月 多年草 草丈:50~100cm 花径:(頭花)約1cm 【学名解説】 Achillea : ギリシャ神話のAchillesの名に因む/ノコギリソウ属 alpina : alpinus(高山生の) L. : Carl von Linné (1707-1778) subsp. : subsp. : subspecies(亜種) var. : varietas(変種) longiligulata : longus(長い)+ligulatus(舌状の) H.Hara : 原 寛 Hiroshi Hara (1911-1986) 撮影地:静岡県静岡市 静岡県立大学薬用植物園 2006.10.19, 2007.10.04 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 26 November 2017 Last modified: 15 December 2019
by pianix
| 2017-11-23 00:00
| 静岡県立大学薬用植物園
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Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 1月末日現在) 合計677,147人 (前年同月比 -5,763人) 男:329,734人 女:347,413人 世帯数324,434戸 (前年同月比 +1.576戸) 最新のコメント
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