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フウセントウワタ(風船唐綿)
 フウセントウワタ(風船唐綿)は、キョウチクトウ科フウセントウワタ属の常緑低木です。南アフリカ共和国を原産とし、日本では関東地方以西で屋外越冬が可能となります。1936年に園芸品種として移入されたと言われています。名の由来は、風船のように膨らむ果実、外来を表す「唐」、種子が綿毛を持つ事に因みます。中国名は、鈍釘頭果(dùn dīng tóu guŏ)。

 キョウチクトウ科(Apocynaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜熱帯に分布し、約215属2100種に及ぶ大きな植物群です。旧分類のガガイモ科(Asclepiadaceae R.Brown, 1810)は、熱帯から亜熱帯に約250属2700種が分布し、日本には6属、数十種類があります。フウセントウワタ属(Gomphocarpus R.Brown (1810))は、熱帯および南アフリカに21種があります。花冠には副花冠があり、雄しべと雌しべが合着した「蕊(ずい)柱」がある事が特徴です。

 やや寒さに弱いところがあり、樹木ですが国内の園芸では1年草として扱われる事もあります。葉は、10cm程の細長い長披針形で、対生します。葉や茎を傷つけると乳液(毒)が出ます。夏に葉脇から散形花序を出し、長さ1cm程の小さな花を下向きにつけます。花冠は白色の5弁で反り返り、袋状の副花冠は淡紅色で蜜を出します。虫媒花です。染色体数は、2n=22。

 果実は緑色の袋果で、卵形をしています。柔らかで少し湾曲した棘状の剛毛を表面に付けます。5~6cm程の大きさになります。種子は黒褐色で、白い絹糸状の長い冠毛を持ち、果実が熟すと割れて風で散布されます。温暖な地方では野生化もします。用途は切り花で、綿毛はクッションなどにも利用されます。

Japanese common name : Fuusen-touwata
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Gomphocarpus physocarpus E.Mey.

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左:花冠は白色の5弁で反り返り、副花冠は淡紅色 右:果実は卵形の袋果

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果実には棘状の剛毛がある。種子は黒褐色で、白い絹糸状の長い冠毛がある。


フウセントウワタ(風船唐綿)
別名:フウセンダマノキ(風船玉の木)
キョウチクトウ科フウセントウワタ属
学名:Gomphocarpus physocarpus E.Mey.
synonym : Gomphocarpus fruticosus auct. non (L.) W.T.Aiton
花期:8月~9月 常緑低木 樹高:100~200cm 花径:10~15mm 果期:9~10月

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【学名解説】
Gomphocarpus : Gompho(釘状の)+ carpos(果実)/フウセントウワタ属
physocarpus : physo(膨らんだ)+carpos(果実)
E.Mey. : Ernst Heinrich Friedrich Meyer (1791-1858)
---
fruticosus : 低木状の
auct. non : auctorum(著者らの)+non(否定)/著者の命名では無い
L. : Carl von Linne (1707-1778)
W.T.Aiton : William Townsend Aiton (1766-1849)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園「標本園」 2005.12.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

30 January 2006, 29 June 2014
Last modified: 7 November 2018
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by pianix | 2006-01-30 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Comments(2)
Commented by yamome516 at 2006-02-06 14:33
割れたところをはじめて見ました。
ありがとうございます!
中はどんなになっているのか?とても、興味がありました。
Commented by pianix at 2006-02-06 21:20
yamome516さん
この実自体が奇妙なのに、割れるともっと奇妙ですね。
私がこのフウセントウワタを眺めていると、ご年配のご夫婦が来ました。
さすが女性は「生け花で使うのかしら」と知っていました。
この薬草園で働く人に質問をしてみました。ツムラで薬草を扱っていた人です。品種であるのか変種であるのか聞いたら、喜んで答えてくれました。辞書に載っていませんと。凄いオタクでした。ド素人の私を相手に疲れたかもしれません。私は嬉しかったですよ、話が通じる人がいる!と。
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