コハコベ(小繁縷)
 コハコベ(小繁縷)は、ナデシコ科ハコベ属の1年草です。ミドリハコベ(緑繁縷)より小型で、ごく普通に見られるハコベの仲間です。世界の温帯を中心とした広範囲に分布し、日本では全国に分布します。明治以降に帰化したと言われている帰化植物です。名の由来は、不明で諸説があります。「繁縷=はんろう」の意味は、ミドリハコベの項を参照して下さい。

 ナデシコ科(Caryophyllaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯まで約75属2000種が分布し、ハコベ属(Stellaria L. (1753))は約100種があります。

 茎色は赤紫色です。地を這い途中で立ち上がります。葉は全縁(鋸歯がない)の濃緑色で対生します。長さ10~20mmの範囲です。花柱は3本で、雄しべは3本を基本として1~7本の範囲にあります。花弁は5枚ですが、深く切れ込み10枚のように見えます。花弁と萼片の長さは同じ位か、花弁がやや短めです。種子の半球状突起は目立たず尖りません。ミドリハコベの種子は円錐状の高い突起が見られます。秋に発芽し春に開花しますが、その期間はミドリハコベよりも短期間であるようです。染色体数は、2n=40,42,44。

 春の七草のひとつです。万葉集に山上憶良が歌った秋の七草は、鑑賞に供する植物です。春の七草は食用植物を記していますが、よく知られているほとんどは万葉集や古事記には記載されていません。ハコベが初めて史書に登場するのは平安時代で、日本最古の本草書と言われる『本草和名』に波久倍良(はくべら)と記載されています。食用あるいは薬用としての用途に利用されて来ました。ハコベの青汁と塩を混ぜてつくった「ハコベ塩」を歯磨き粉として用いた記載があります。現在では鳥の餌としての利用が多いようです。

 但し、飢餓に直面した人間は毒のある野草に手を出し衰弱死することもあるので、食料の少なくなる冬はなおさら、どんなものでも食料としてきたと充分に憶測できます。万葉集に「明日よりは春菜摘まむと標めし野に昨日も今日も雪は降りつつ」、原文「従明日者 春菜将採跡 標之野尓 昨日毛今日母 雪波布利管」(巻八・一四二七)との山部赤人の歌があります。行事として、雪の降る寒い日に手をかじかませながら摘んでいる姿が思い起こされます。春菜とか若菜は、食用にされる蔬菜の総称ですが、さてハコベは入っていたのでしょうか。

参考:ウシハコベ(牛繁縷) ミドリハコベ(緑繁縷)

apanese common name : Ko-hakobe
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Stellaria media (L.) Vill.
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茎色は赤紫色で、片側に列毛がある


コハコベ(小繁縷)
別名:ハコベラ
ナデシコ科ハコベ属
学名:Stellaria media (L.) Vill.
花期:3月~9月 1年草 草丈:10~20cm 花径:5~7mm

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【学名解説】
Stellaria : stella(星)/ハコベ属
media : medius(中間の・中間種の)|複数形media|中性名詞medium
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Vill. : Dominique Villars (1745-1814)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.75km 右岸河川敷 2006.02.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 22 February 2006
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by pianix | 2006-02-22 00:00 | | Trackback | Comments(0)
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