コゴメヤナギ(小米柳)
 安倍川河川敷で、カワヤナギのような花が落ちていました。近くを見回しても、そのような木はありません。おかしいと思ったその時、真上にその花はありました。コゴメヤナギ(小米柳)でした。小さな野草ばかりを探していると、上に注意が届かなくなります。カワヤナギは樹高2m程で目に入る高さですが、コゴメヤナギは大木です。そこで何本が河川敷の川沿いにあるのか数えはじめました。あまりにもたくさんあるので途中でやめました。時間がなかったのです。少なくとも1km範囲内にヤナギ類は十数本がありました。柔らかな黄緑色で春が来た事を知らせてくれます。

 安倍川(Abekawa)は、静岡県静岡市葵区と山梨県の境にある大谷嶺・八紘嶺・安倍峠を源流とする一級河川(昭和41年3月指定)です。大谷嶺は、標高1999.7mで、斜面が大きく崩れている事から大谷崩と呼ばれています。広さは180万m2で日本三大崩の内のひとつです。下流の静岡市駿河区を通り駿河湾に流れ注ぎます。流域は全て静岡市になります。主な支流には、中河内川・足久保川・藁科川・丸子川があります。幹川流路延長は51kmで、流域面積は567km2です。

 ヤナギ科(Salicaceae Mirbel, 1815)は、世界の北半球に4属350種以上があると言われています。日本の在来種は28種4亜種3変種14品種1)があります。コゴメヤナギは日本固有種で、本州の中部地方以南と四国に分布します。河川流域や湿地帯に多く見られます。2)ヤナギ林は、流速を減少させ掃流物質を堆積させる効果があるとされています。

 若い樹肌は緑がかっていますが、老木になると灰褐色になり縦の裂け目が多く現れます。若い枝は多量の樹液を出し、樹液に虫が群がる事が多くあります。アメリカシロヒトリの幼虫(毛虫)が問題となる場合があります。葉は互生し単葉で1対の托葉があります。2~5cm程の皮針形で、単鋸歯があります。雌雄異株であり、花は尾状花序で花被はありません。雄花序の葯は淡黄色です。

 ネコヤナギの葯は赤で分かりやすいのですが、他のヤナギ属は、よく似ているものが多いので同定は簡単ではありません。なお、ユキヤナギ(雪柳)の別名をコゴメヤナギとする場合がありますが、本種がある事から誤りは明らかです。別名コゴメバナ(小米花)の類推と思われます。

 1)日本産ヤナギ属植物集覧 大橋広好:(植物研究雑誌75: 1 - 41)
 2)砂洲上の植生と河状の相互関係に関する現地調査 1995(林、岡部、鎌田、板東)

Japanese common name : Kogome-yanagi
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Salix dolichostyla Seemen subsp. serissifolia (Kimura) H.Ohashi et H.Nakai
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全体の様子


コゴメヤナギ(小米柳)
別名:コメヤナギ(米柳)
ヤナギ科ヤナギ属
学名:Salix dolichostyla Seemen subsp. serissifolia (Kimura) H.Ohashi et H.Nakai
synonym : Salix serissaefolia Kimura
花期:4月~5月 落葉高木 樹高:~25m

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【学名解説】
Salix : sal(近い)+lis(水)/ヤナギ属
dolichostyla : dolicho(長い)+stachyus(穂)
Seemen : Karl Otto von Seemen (1838-1910)
subsp. : subspecies(亜種)
serissaefolia : Serissa(ハクチョウゲ属)+efolia(のような葉の)
Kimura : 木村有香 Kimura Arika (1900-1996) 東北大附属植物園初代園長
H.Ohashi : 大橋広好 Hiroyoshi Ohashi (1936- )
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
H.Nakai : 中井秀樹 Hideki Nakai (1956- )

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.25km 左岸河川敷 2006.03.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

8 March 2006
Last modified: 14 September 2016
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by pianix | 2006-03-08 00:00 | | Trackback | Comments(0)
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