キランソウ(紫藍草/金瘡小草)
 キランソウ(紫藍草/金瘡小草/金襴草)は、シソ科キランソウ属の多年草です。普通に見られる野草ですが、個体数が多いわけではありません。キランソウの名の由来は定かではありません。「紫藍草」の「キ」は紫の古語、「ラン」は藍色で、花色に由来したものとする説、また「金襴草」は、織物の切れ端に例えたものとの説があります。「金蒼小草」は中国名です。

 別名のジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)はインパクトがあります。春の彼岸の頃に花が咲くので、先祖の霊を閉じこめるものとの説は違和感を覚えます。そうではなく、薬効がある為に瀕死の重病人が地獄へ落ちる事を妨げる蓋に例えたものとの説が有力です。単に、茎葉が覆うように生えるから地面の蓋に例えたとする説もあります。要するに蓋は出さないか入れないかに注目している訳で、入れない説に道理があります。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。キランソウ属は、世界の温帯から熱帯にかけて約50種が分布し、日本には12種1変種1品種が自生します。キランソウは、中国、朝鮮半島、また日本では本州から九州に分布します。

 シソ科の植物は茎が四角形である事が特徴ですが、本種は珍しく丸い茎を持っています。地を放射状に這う匍匐茎で、立ち上がりません。長さは15cm程になりますが、高さは3~5cm程です。綿毛を密生し、茎色は紫色を帯びます。根生葉は広倒披針形で先端は鈍頭、4~6cmの長さがあります。茎上の葉は対生し、葉柄があります。葉の縁は波打っていて、裏側は紫色です。花は濃紫色の唇形で、下唇は3裂、上唇は2裂します。雄しべは4本で、内2本が長く突き出ます。果実は卵球状で2mm以下の大きさです。

 生薬として乾燥葉が「キランソウ」として販売されていて、鎮咳、去淡、解熱、健胃、下痢止めに使われます。

 類似種として、関東地方から東海地方に分布し準絶滅危惧種(NT)の、タチキランソウ(立金蒼小草)Ajuga makinoi Nakai、沖縄から台湾北部に分布する、ヒメキランソウ(姫金蒼小草)Ajuga pygmaea A. Gray、キランソウとジュウニヒトエの自然雑種で関東から四国までに分布する、ジュウニキランソウ(十二金蒼小草) Ajuga x mixta Makino、等があります。ジュウニヒトエ(十二単)やセイヨウジュウニヒトエ(西洋十二単)も、この仲間です。

Japanese common name : Kiransou
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Ajuga decumbens Thunb.


キランソウ(紫藍草/金瘡小草)
別名:ジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)
シソ科キランソウ属
学名:Ajuga decumbens Thunb.
花期:3月~5月 多年草 草丈:3~5cm(地を這う) 花冠:1cm

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【学名解説】
Ajuga : a(無)+jugos(軛くびき・束縛)|abiga(畸形・奇形)/キランソウ属
decumbens : 横臥した
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷 2006.03.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 30 March 2006
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by pianix | 2006-03-30 00:00 | | Trackback | Comments(0)
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