ワスレナグサ(忘れな草/勿忘草)
 ワスレナグサ(忘れな草/勿忘草)は、和名がシンワスレナグサ(真忘れな草)で、ムラサキ科ワスレナグサ属の多年草です。ヨーロッパ原産で、日本には、明治時代に渡来したと言われています。観賞用に導入され栽培されていたものが逸出し、1950年代に北海道と長野県で野生化が確認されました。北海道・本州・四国に分布します。「勿忘」を現代日本語にすると、「忘れるな」となります。名の由来は、英語のforget-me-notを直訳したもの。恋人ベルタに、この花を贈ろうとしてドナウ川に落ちて死んだドイツの騎士ルドルフの物語から、最後に残した言葉「僕を忘れないで(Vergiss-mein-nicht)」に因みます。英名は、True Forget-me-not、あるいはWater Forget-me-notと呼ばれ、他のワスレナグサ属と区別しています。

 ムラサキ科(Boraginaceae Juss. (1789))は地中海沿岸などの温帯に約154属2500種類が分布します。日本には14属28種があり、11種の草本が自生します。ワスレナグサ属(Myosotis L. (1753)は、北半球の温帯から亜寒帯(ユーラシア大陸・アフリカ・オセアニア)にかけて約50種が分布します。日本にはエゾムラサキの1種が自生分布します。

 水湿地に生育し群生します。地下茎があり、根は横に這います。伏毛のある茎は束生し、20~45cm程の草丈になります。葉は互生し全縁、柄がある倒披針形で、産毛があります。上部では柄がなく長楕円形になります。花期は5月から7月頃。渦巻き状になる蠍(さそり)形状の花序(巻散花序)となり、径6~9mmで淡青色の合弁花冠を付けます。萼は5裂し、先端は尖ります。花冠は5裂し、平開します。中央にある鱗片状の副花冠(corona)は黄色で、花冠の切れ目に向かって放射状に白色の稜が走ります。雄しべは5本で、子房は4裂します。両性花です。果実は小堅果状の4分果で、種子は艶のある黒色をしています。風や雨、動物などにより伝播されます。染色体数は、2n=66。

 耐寒性多年草で、冷涼地では夏を越すことが可能です。園芸では1年草として扱います。低温を経験する事で花芽ができます。一般的には春の花ですが、北海道では初夏の花になります。小型で豪華さはありませんが群生すると美しさが引き立つ花です。

 近縁種に、在来種のエゾムラサキ(蝦夷紫)Myosotis sylvatica Hoffm.、ヨーロッパ原産のノハラワスレナグサ(野原忘れな草)Myosotis alpestris F.W.Schmidtがあります。萼に鉤状の毛があります。園芸店ではワスレナグサとして売られていることがあります。

Japanese common name : Sin-wasurena-gusa
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Myosotis scorpioides L.
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中央にある鱗片状の副花冠は黄色。花冠の切れ目に向かって放射状に白色の稜が走る


シンワスレナグサ(真忘れな草)
別名:ワスレナグサ(勿忘草/忘れな草)
ムラサキ科ワスレナグサ属
学名:Myosotis scorpioides L.
花期:5月~7月 多年草 草丈:20~45cm 花径:6~9mm

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【学名解説】
Myosotis : myos(二十日鼠)+otis(耳)|葉の状態を例えた/ワスレナグサ属
scorpioides : サソリの尾のような・卷いた形の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系)/右岸 2006.04.24
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 2 May 2006
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by pianix | 2006-05-02 00:00 | | Trackback | Comments(6)
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Commented by aguri at 2006-05-03 01:08 x
こんばんは はじめまして
勿忘草の言葉に引き寄せられて、こちらにたどり着きました。
可愛いお花ですよね。
青い花びらの真ん中の黄色い星が、とても優しくて、じっとみていると涙が浮かんできます。

今、私の小さな花園にたくさん、星をちりばめて満開に花開いています。
「私を忘れないで」
花言葉が、涙ぽろりです。

お花大好きなんです。
これからゆっくり魅せていただきます。

ありがとうございました。
Commented by mico at 2006-05-03 16:16 x
忘れな草大好きです。野生化してるんですね。
園芸品種ではピンクや白い花もあるようです。
Commented by pianix at 2006-05-03 16:31
aguriさん

はじめまして。
「星降る夜に…」「花のように風のように」等を拝見しました。
胸を締め付けられるような詩情の世界ですね。

変な話ですが、皆さんのように私は花好きではありません。
「花より団子」の世界の住人です。
ただ、野の花がどのように育つのか、そこに興味があります。
与えられた場所で、野の花が懸命に生きているのが愛おしい感じがします。
そして、人に美しいと言われないが故に野草と呼ばれていますが、
そこに自分を見る気がします。
どう見ても不細工で不人気な花ほど、私は興味を持ちます。
Commented by pianix at 2006-05-03 16:35
micoさま

悪代官様と書いた時がありました(笑)。
ワスレナグサに因んで、皆さんの事は忘れません。
で、私は誰?
ばあさんや、飯は食ったけかなあ。
Commented by surugaki at 2006-05-08 18:32
ワスレナグサは、初めて拝見しました。恥ずかしながら、園芸店に出ている「都わすれ」と
勘違いしていました。それに、マツバウンランも調べようと思っていた矢先で、
とても良いタイミングでした。いつも、ためになるお話しをありがとうございます。
Commented by pianix at 2006-05-09 13:17
surugakiさん
キュウリグサが好きな人は、ワスレナグサも同様に好きなようです。
キュウリグサは目を凝らさないと細部が見えませんが、
ワスレナグサは小さいとは言えはっきりと分かりますね。
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