ハシリドコロ(走野老)
 ハシリドコロ(走野老)は、ナス科ハシリドコロ属の多年草です。日本と韓国、中国が原産で、国内では、本州・四国・九州に分布する在来種です。標高500~1600m程度の沢沿いの落葉樹林内や斜面に自生します。「野老」は、トコロと読み、ヤマノイモ科のオニドコロ(鬼野老)を指します。根茎の髭根を老人の髭に見立てた当て字です。名の由来は、オニドコロの根に似ていて、有毒であり誤食すると錯乱状態に陥り苦しみから走り回る事から。

 ナス科(Solanaceae Adans., 1763)は、世界中に90属約2300種が分布します。日本には6属14種があります。ハシリドコロ属(Scopolia N.J. Jacquin, 1764)は、世界に変種を含めて約11種があります。

 ヤマトリカブトと並ぶ猛毒植物として知られています。地下茎は太く、湾曲します。薄紫色をしたロート根です。日本薬局方のロートエキス(Scopolia Extract)や硫酸アトロピンの原料(鎮痛薬や目薬)になります。茎は無毛で、草丈30~60cmになります。基部に鱗片葉があります。葉は互生します。長い柄があり、長さ10~20cm、幅3~7cmの楕円状卵形で、先端は尖ります。鋸歯はありませんが、下部の葉は荒い鋸歯が見られることがあります。

 葉腋から花柄を出し、花を下垂させます。浅く5裂した筒状の鐘形で、長さは2~3cm。花冠の外側は暗紅紫色で、内側は黄緑色です。雄しべは5本。果実は蒴果の一種の蓋果(がいか|pyxis)です。球形をしていて、成熟すると果皮が横に裂開して多数の種子を飛ばします。

 中毒事例報告のある有毒植物で、嘔吐・下痢・血便・瞳孔散大・視力障害・痙攣・興奮・狂躁・幻覚等の症状が現れます。大量摂取により重篤となり、昏睡して死に至る場合もあります。主成分はヒオスチアミン(hyoscyamine)、アトロピン(atropine)です。アトロピン経口推定致死量は、小児で10-20mg。マウス(経口)LD50:548mg/kg。

Japanese common name : Hasiri-Dokoro
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Scopolia japonica Maxim.
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楕円状卵形の葉が互生する


ハシリドコロ(走野老)
ナス科ハシリドコロ属
学名:Scopolia japonica Maxim.
花期:4月~5月 多年草 草丈:30~60cm 花冠長:2~3cm

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【学名解説】
Scopolia : Giovanni Antonio Scopoli (1723-1788)の名に因む/ハシリドコロ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 18 May 2006
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by pianix | 2006-05-18 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
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