タチツボスミレ(立坪菫)
 タチツボスミレ(立坪菫)は、スミレ科スミレ属の多年草です。日本・クリル諸島・韓国・台湾および中国に分布します。日本では北海道から沖縄までの全国に分布する在来種です。垂直分布も広く、海抜2000mあたりまで生育します。名の由来は、身近な坪(道端や庭)に生えるツボスミレ(坪菫)に似ていて、花後に茎が立ち上がり丈が高くなる事によります。

 スミレ科(Violaceae Batsch, 1802)は、21属約800種があり、スミレ亜科には19属があります。スミレ属(Viola L. (1753))は約400種があり、日本には60種ほどがあります。

 スミレ(菫)と同様に、ごく普通に見られる種類です。交雑種も多く変異があります。スミレの仲間は、地上茎を持たない(葉と花が直接地面から立ち上がる)ものと、地上に伸びた茎から葉と花を出すものに分かれます。本種は後者の地上茎を持つ種類です。地下茎を持ち、数本の茎を出します。花時の茎は5~10cm程ですが、花後に茎を30cm程までに伸ばします。種子を遠くまで飛ばすのに有利な状況を作り出しているようです。葉は互生します。心形で先端が尖り、鋸歯があります。長さは15~25mm、幅は15~20mmです。葉柄は3~8cm。花や葉柄の基部には深く裂けた歯状の托葉があります。

 花期は3月から5月頃。花は離弁花で、淡紫色の5弁花をつけます。上弁2個、紫色の筋がある側弁2個(無毛)と唇弁1個に分かれます。花弁の長さは12~15mmです。花を咲かせない閉鎖花もあり、自家受粉で種子を付けます。花の背後に長さ6~8mmの細長い円筒状で紫色を帯びた距があり、ここに蜜を蓄えています。雄しべは5本。染色体数は、2n=20。

 果実は朔果で、破裂して種子を散布します。種子にはエライオソーム(elaiosome)という、白色でゼラチン状の蟻誘因物質が付着しています。それを餌として蟻が運び種子だけを捨てる双利共生の関係にあり、散布範囲を広げています。これはスミレ特有ではなく、200種類ほどのアリ散布植物があります。

 類似種に、オオタチツボスミレ(大立坪菫)Viola kusanoana Makino、エゾノタチツボスミレ(蝦夷の立坪菫)Viola acuminata Ledeb. があります。距の色、距の長さ、側弁基部の毛によって見分けます。タチツボスミレの距は紫色で長く、側弁基部に毛はありません。オオタチツボスミレの距は白色で長く、側弁基部に毛はありません。エゾノタチツボスミレの距は白色で短く、、側弁基部に毛が多くあります。

Japanese common name : Tatitubo-sumire
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Viola grypoceras A.Gray


タチツボスミレ(立坪菫)
スミレ科スミレ属
学名:Viola grypoceras A.Gray
花期:3月~5月 多年草 草丈:10~30cm 花径:12~15mm 果期:5~6月

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【学名解説】
Viola : 紫色の/スミレ属
grypoceras : 曲がった角
A.Gray : Asa Gray (1810-1888)
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acuminata : acuminatus(鋭尖の)
Ledeb. : Carl Friedrich von Ledebour (1785-1851)
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kusanoana : Shunsuke Kusano 草野俊助 (1874-1962)氏の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から47.5km 右岸 2006.05.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 19 May 2006
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by pianix | 2006-05-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)
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