ヤグルマギク(矢車菊)
 ヤグルマギク(矢車菊)は、キク科ヤグルマギク属の1年草(越年草)です。ヨーロッパ東南部から西アジアが原産です。日本には明治初期から中期に渡来したと言われていますが、詳細は不明です。名の由来は、花の切れ込み形状を矢車に見立てたもの。このヤグルマギクは、古代エジプト第18王朝のファラオであるツタンカーメン(Tut-ankh-amen, BC.1342-1324ca.)の墳墓前室に置かれていた事でも知られています。矢車を冠した名には、ユキノシタ科のヤグルマソウ(矢車草)があり、こちらは葉を例えています。英名は、Cornflower。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。ヤグルマギク属(Cyanus)、旧ケンタウレア属(Centaurea L. (1753))は、地中海と中東に約450~600種が分布します。

 茎は下部で分枝し、綿毛が密生します。葉は互生し、柄は無く、長さ5~10cm。茎葉の下部は倒卵形の浅裂した羽状で、上部は長い線形です。花期は4月~6月。茎頂に3~5cmの頭花を単生します。筒状花で構成されています。周辺の長い筒状花は雌性で中心部の短い筒状花は両性です。総苞は1~2cmの壷形で、総苞片には鋸歯があります。基本種の花色は種小名cyanusに採用されている藍色(濃青紫色)です。他に、園芸種として透明感がある白・赤・桃等があります。果実は痩果です。白い冠毛があります。本種は、蜜源植物・染料物質・青インク原料・薬用植物(利尿・胆汁排出剤)として用いられてきました。染色体数は、2n=24。

 ヤグルマギクの花色である青色については、90年の長期に渡って研究がされてきました。1913年にドイツの化学者がヤグルマギクの青色素がアントシアニン(anthocyanin)である事を明らかにし、それによって1915年にはpH説が提唱されました。また、補助色素が関与するという1932年のコピグメント(copigment)説、1970年代以降には分子会合説が唱えられました。これに対して1919年、日本の植物生理学者の柴田桂太博士が金属錯体説を提唱しました。この証明は2005年、東京学芸大の武田幸作名誉教授、九州大学理学部の塩野正明博士、KEK放射光科学研究施設の松垣直宏博士らによって成功しました。ヤグルマギクの色素1)は、単独では赤いシアニジン(cyanidin)型アントシアニンに、鉄・マグネシウム・カルシウムの3種類の金属イオンと、フラボン(flavon)と呼ばれる有機物が結合した複雑な構造である事が解明されました。

1)"Structure of the blue cornflower pigment. Packaging red-rose anthocyanin as part of a 'superpigment' in another flower turns it brilliant blue."Vol. 436 P. 791 August 11, 2005

Japanese common name : Yaguruma-giku
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Cyanus segetum Hill

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左:壷形の総苞  右:綿毛が密生する茎と葉

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白花。赤や桃色などがある。


ヤグルマギク(矢車菊)
キク科ヤグルマギク属
学名:Cyanus segetum Hill
synonym : Centaurea cyanus L.
花期:4月~6月 1年草(越年草) 草丈:30~70cm 花径:3~5cm

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【学名解説】
cyanus : 藍色の/ヤグルマギク属
segetum : 畑の
Hill : John Hill (1716-1775)
---
Centaurea : 古植物名centaurie|ギリシャ神話の怪物Centaur/ヤグルマギク属
cyanus : 藍色の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
葵区賎機(植栽) 2006.05.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

7 June 2006, 11 August 2012
Last modified: 29 August 2016
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by pianix | 2006-06-07 00:00 | | Trackback | Comments(0)
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