ノビル(野蒜)
 ノビル(野蒜)は、ヒガンバナ科ネギ属の多年草です。中国や朝鮮半島が原産地で、古い時代に日本へ渡来した史前帰化植物です。日本全国に分布します。名の由来は、野に咲くヒル(蒜)で、ヒルはニンニク(大蒜)、あるいは臭いがある食用植物の総称です。ノヒルからノビルへと転訛したと考えられています。

 APG植物分類体系1)では、ヒガンバナ科(Amaryllidaceae J.St.-Hil. (1805))で、世界の熱帯から温帯にかけて約20属800種が分布します。クロンキスト、エングラー体系では、ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))で、温帯と亜熱帯に約240属4000種が分布します。ネギ属(Allium L. (1753))は、北半球を中心に約500種が分布します。

 地中に1~3cmになる広卵形で白色の鱗茎があり、下部から髭根を出します。子球を付けることがあり、栄養繁殖します。根生葉は薄緑色で、長さ20~30cm、幅2~3mmの線形です。断面が三日月状で、中空の管状になっています。ニラ臭があります。鱗茎から断面が円柱形の茎を50~80cmに伸ばし、頂端に散形花序を形成します。蕾は先が尖った形の総苞に包まれています。

 花期は5月から6月。15~20mmの花柄を出し、淡紅紫色の花をつけます。花径は8~10mm。花被片6の6弁花で、花被片中央には縦に走る紫色の筋があります。両花性で、長い雄しべ6本があります。花序には小球状のムカゴ(珠芽)2)が多数付きます。花のみ、花とムカゴ、ムカゴのみの3形態があります。果実は蒴果です。紫黒色で、長さ3.5~4mm、幅1.2~1.5mm、厚さ0.8~1mmの長楕円形です。若い全草は食用になります。染色体数は、8を基本数とした4~6倍体(2n=32、2n=40、2n=48)。

1)APG分類体系:
 初版は1998年、改訂版(APG II 2003)は2003年に公表。DNA解析による分子系統学のゲノム解析から実証的に分類体系を構築しようとする被子植物の新分類体系。AGP(Angiosperm Phylogeny Group)
2)珠芽(しゅが):bulbil, bulblet, aerial tuber
 零余子(むかご)は、腋芽(えきが)が養分を蓄えて球状となったもの。葉が多肉化したものを珠芽、茎が肥大して球状になったものを肉芽という。親株からはなれて発芽する。

Japanese common name : Nobiru
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Allium macrostemon Bunge
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花冠は淡紅紫色で花被片6、雄しべ6本。


ノビル(野蒜)
別名:ネビル/ヌビル/タマビル/ヒルナ/ヒル
ヒガンバナ科ネギ属
学名:Allium macrostemon Bunge
synonym : Allium grayi Regel.
花期:5月~6月 多年草 草丈:50~80cm 花径:8~10mm

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【学名解説】
Allium : alere・halium(臭い)/ネギ属
macrostemon : 長い雄蘂(ゆうずい)の
Bunge : Alexander Andrejewitsch von Bunge (1803-1890)
--- 
grayi : Asa Gray (1810-1888)の
Regel. : Eduard August von Regel (1815-1892)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から13.00km 右岸土手 2005.06.07, 2006.06.05
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

13 June 2006, 19 March 2014
Last modified: 08 April 2016
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by pianix | 2006-06-13 00:00 | | Trackback | Comments(2)
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Commented by mico at 2006-06-14 15:35 x
ノビルの花が好きで見かけたのを持ち帰ろうとしましたが、
根が深くて駄目でした、そんな事をしては駄目ですね(笑う
Commented by pianix at 2006-06-14 18:20
micoさん

micoさんのブログへ立ち寄ったのですが、
たくさんの花に圧倒されて、何も書けずに退散してきました。(笑)

こちらではノビル摘みの方はたくさん見受けます。
若い内は簡単に引き抜けます。
私はたくさん採ってきて料理してもらっています。
それでも残って花を咲かせる程ですから、
お持ち帰りご自由と言ったところではないでしょうか。
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