ヘクソカズラ(屁糞蔓)
 ヘクソカズラ(屁糞蔓)は、アカネ科ヘクソカズラ属の多年草です。東南アジア、東アジアが原産で、国内では全国に分布する在来種です。名の由来は、全草に悪臭がある事から。ただし、潰さない限り臭いは分かりません。この臭いの元はメルカプタン(Mercaptans)です。万葉集で詠まれている名称はクソカズラ。別名のヤイトバナ(灸花)は、花冠中央部の紅紫色をヤイト(灸)の跡に見立て、サオトメバナ(早乙女花)は、早乙女の笠に見立てた名です。

アカネ科(Rubiaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜熱帯に約500属6000種以上があり、日本には約30属60種があります。ヘクソカズラ属(Paederia L. (1767))は、アジアとアメリカの亜熱帯から温帯地方に約20種があります。

 茎は蔓性で、基部は木質化します。他の植物に左巻き(反時計回り)で絡まって伸びます。葉は対生します。楕円形か狭卵形で、長さ4~10cm、幅1~7cm。葉柄の根元に托葉が合着した三角形の鱗片(葉間托葉)があります。

 花期は、7月から9月頃。葉腋から集散花序を出します。花は、先が浅く5裂して平開した細長い鐘形の合弁花で、長さは1cm前後。花冠は灰白色で、中央部(喉)と内部は紅紫色です。内部には2本の長い紐状の花柱と短い雄しべ4~5本があり、毛が多くあります。萼の内側に花外蜜腺があります。

 果実は核果です。径5~6mmの球形で、熟すと光沢がある黄褐色になり、2個の核に種子が1個づつ入っています。生の果実を潰したものは、民間薬として古来から虫刺されや霜焼けの薬として使われてきました。

Japanese common name : He-kuso-kazura
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Paederia foetida L.

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花冠内部。底にある毛は子房を守る為と言われています。Y字形に見えるのは花柱。


ヘクソカズラ(屁糞蔓)
別名:ヤイトバナ(灸花)/サオトメバナ(早乙女花)
アカネ科ヘクソカズラ属
学名:Paederia foetida L.
synonym : Paederia scandens (Lour.) Merr.
花期:7月~9月 多年草 草丈:蔓性 花径:4~5mm 果期:10月

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【学名解説】
Paederia : paidor(悪臭)/ヘクソカズラ属
foetida : foetidus(臭い、悪臭を放つ)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
synonym : (シノニム) 同意語、異名
scandens : よじ登る性質の
Lour. : Joao de Loureiro (1717-1791)
Merr. : Elmer Drew Merrill (1876-1956)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.07.28, 2006.08.10
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

15 August 2006
Last modified: 7 August 2015 (Scientific name update)
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by pianix | 2006-08-15 00:00 | | Trackback(2) | Comments(4)
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Commented by surugaki at 2006-08-16 13:30
先日、ヘクソカズラが話題になっていましたが、ここまで学術的な解説がありませんでした。
しかも解剖までされて、勉強になります。ヘクソカズラをTBさせていただきました。
Commented by nojin at 2006-08-16 17:51 x
こんにちは、はじめまして。
 草花と自然の素敵な画像がいっぱいですね。
  私も、先日、ヘクソカズラの花の画像を撮りました。 
  まだ、咲き初めなんでしょうか、一つの蔓に、2、3の花でした。
 また、よらせていただきます。
Commented by pianix at 2006-08-17 14:39
surugakiさん、こんにちは。

surugakiさんが書き込んで下さった頃、私は汗を流しながら河原でバッタと遊んでいました。安倍川河口から21km程の所では、カワラバッタがたくさんいたので感激しました。

このブログには、学術的な事は書かないようにしています。それをやり始めたら大変な事になるからです。その余裕もありませんし頭もありません。それで、表面的な事しか書いていません。興味を持って下さる方のとっかかりになればと思います。例えば、花外蜜腺て何だろうと疑問を持ち、調べるきっかけになれば、それで充分です。
実は、家族の為に書き始めたブログでもあります。質問されるので、先回りして書き残しておこうと思いついたのです。家族は専門的な事には興味がありませんから、必要最低限に留めているという訳です。

ヘクソカズラについては、非常に詳しく観察して調べられている方達がいます。また、コメントを下さったblack-frogさんは、クローバーについて細かな研究をされています。一つの事を追求しておられる方は尊敬します。surugakiさんも、やっていますね、今回は紅葉ですか。
Commented by pianix at 2006-08-17 14:40
nojinさん

初めまして。ブログを拝見させていただきました。
ヘクソカズラを食卓の小さな花瓶に挿しておいても、家族からはクレームが来ませんでした。いつ非難されるかと、内心ひやひやでした。現在はカラスウリの蕾を挿してあります。今後ともよろしくお願いします。
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