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クマゼミ(熊蝉)
 クマゼミ(熊蝉)は、セミ科クマゼミ属の昆虫です。日本、中国、台湾に分布します。日本では、関東地方以西に分布します。エゾゼミ(蝦夷蝉)と並ぶ日本最大のセミです。名の由来は、体が大きく黒色である事から熊に例えたもの。

 クマゼミは、クマゼミ属(Cryptotympana Stål, 1861)です。クマゼミ属はセミ科(Cicadidae Batsch, 1789)の仲間で、セミ科は半翅目(Hemiptera Linnaeus, 1758)という大きなグループの仲間です。半翅目はカメムシ目の事です。つまり、カメムシの仲間という事になります。

 セミ科の特徴は幾つかあります。頭部は幅が広い三角形で、左右に複眼があり、複眼の間に単眼が3つあります。触覚は短く毛状です。頭の下から後方にまで伸びる針状の口があり、成虫は樹液を吸汁しまます。幼虫は地中の植物の根から汁を吸います。前翅は後翅よりも大きく、雄は大きな声で鳴き、雌を呼び集めます。セミは、世界で約1600種、日本には35種がいるとされています。

 生息域の北上が言われていて、その原因は地球の温暖化、あるいは樹木移植時の土壌に紛れ込んでいるためとの説がありますが、詳しくは分かっていません。最近はクマゼミによる光ケーブル損傷事故が相次いでいるようです。晴天の午前中に盛大に鳴きます。これは体内温度の影響によるものと言われています。シャア・シャアと大合唱をします。他のセミと比べて、頭部の幅が広くずんぐりした大型のセミです。翅は透明で、前翅の縁は緑色です。

 雌の腹部には卵巣があります。産卵管を樹に差し込み、数個ずつ産卵しながら移動します。枝や樹皮に産み付けられた卵は翌年に孵化し、幼虫は木から下りて土中に潜り、5齢まで過ごします。幼虫でいる期間は詳しく解明されていません。おおよそ5~6年と言われています。幼虫から蛹を経ないで直接成虫になる不完全変態をします。幼虫は日没前に地上に出て羽化の準備をします。

 成虫が好む木はセンダン(栴檀)ですが、鳴く時は木を選びません。雄の腹部には、薄い膜でできた発信膜があります。発信膜の内側にV字型の筋肉があり振動させます。雄の腹の中は空洞で、発信膜の震動を共鳴させて音を増幅させます。発音器官である腹弁は橙色です。成虫は2週間から4週間生きると考えられています。

参考:ツクツクボウシ(寒蜩) アブラゼミ(油蝉) セミの仲間

Japanese common name : Kuma-zemi
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Cryptotympana facialis (Walker, 1858)
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クマゼミ(熊蝉)
カメムシ目(半翅目)セミ科クマゼミ属
学名:Cryptotympana facialis (Walker, 1858)

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体長:(翅端まで)60~68mm [♂60~64mm/♀63~68mm]
出現期:7月~9月
分布:本州(関東以南)、四国、九州、沖縄

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.0km 左岸河川敷 2006.08.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 16 August 2006
クマゼミ(熊蝉)_e0038990_1703595.gif

by pianix | 2006-08-16 00:00 | | Comments(0)
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