キクイモ(菊芋)
 キクイモ(菊芋)は、キク科ヒマワリ属の多年草です。北アメリカが原産で、南アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアに分布します。江戸時代の終わり頃である1859(安政6)年に導入され、第2次大戦中には、加工用・肥料用として栽培されました。現在では逸出したものが全国で野生化している帰化植物です。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物1))に指定されています。名の由来は、菊の花に似ていて、薯のような肥大した塊茎を作る事によります。英名は、Jerusalem artichoke。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))2)は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。ヒマワリ属(Helianthus L. (1753)は、北アメリカに多くが分布し、約110種があります。日本には自生種は無く、野生化したものが数種類あります。

 根茎は花後に肥大します。気温17度以下で塊茎の形成が始まります。多糖成分のイヌリン(inurin)を多量に含む事から、糖尿病予防や肥満予防の効果を期待して、食品として商品化もされています。茎は、初め地を這うように伏せる事があり、その後、直立します。高さ1~3mに達し、剛毛があってざらつき、内部には白色の髄があります。

 葉にも毛が多く、ざらつきます。葉序は下部で対生し上部で互生します。卵形か卵状楕円形で粗い鋸歯があり鋭頭、葉柄には狭い翼があります。葉の大きさは実測値で、長さ3~25cm、葉柄を含めると3.5~34cm、幅2~15cm。茎幅は最大で3cmでした。

 花期は9月から10月頃で、分枝した枝先に黄色の花を付けます。小花の集合体である頭状花で、花径60~95mm。周囲に10~20の舌状花が1列に並び、中央に筒状花が多数付きます。筒状花の先端は5裂し、花柱先端は2裂して巻きます。総苞は半球形で、総苞片は3列に並び先端は反り返ります。虫媒花です。果実は痩果で、7mm程。主に地下茎によって繁殖します。染色体数は、2n=102。

 類似種に、イヌキクイモ(犬菊芋)Helianthus strumosus L.があり、7月頃から咲き始める事と、舌状花の数が10枚以下で、総苞片は2列、根茎が小さいか無い場合がある事が違いとなります。キクイモの変種とする説もあります。

1)「河川敷固有の在来種等と競合・駆逐のおそれがある」との理由で、外来生物法による要注意外来生物に指定されています。要注意外来生物とは、「被害に係る一定の知見はあり、引き続き特定外来生物等への指定の適否について検討する外来生物」と定義されています。
2)キク科は、Compositae Giseke, 1792 とする場合もあります。

Japanese common name : Kiku-imo
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Helianthus tuberosus L.

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▲ 左:頭花の断面 右:まだ肥大していない根茎

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▲ 左:下部の葉は対生 右:上部の葉は互生


キクイモ(菊芋)
キク科ヒマワリ属
学名:Helianthus tuberosus L.
花期:9月~10月 多年生 草丈:1~3m 花径:60~95mm

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【学名解説】
Helianthus : helios(太陽)+anthos(花)/ヒマワリ属
tuberosus : 塊茎のある・塊茎状の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.09.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

02 October 2006
Last modified: 18 March 2014
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by pianix | 2006-10-02 00:00 | | Trackback | Comments(5)
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Commented by pianix at 2006-10-04 18:30
brizuさん

キクイモの件を、こちらに書き記します。
今日話を伺った年配の女性によると、
「漬け物にするとコリコリして美味しい。静岡県川根町に住んでいたが、特産として栽培している。戦時中は、ハコベもご飯に混ぜて焚いて食べた」
との事でした。
イヌリンに注目して健康食品として加工したものがあります。
Commented by brizu at 2006-10-05 10:34
そうですかぁ
やっぱり食べれるんですね。
覚えておきます。
いざというときに役立ちそうです。
ありがとうございました。
Commented by 山百合山 at 2006-10-07 10:19 x
始めまして、草花と自然でお世話になっている者です。
マルバルコウが幕末に渡来したということで幕末物語と重ねて考えていましたが、キクイモもそうなんですね。
1859年はグラバー来日の年。彼が持ち込んだ、というストーリーもあるのではないかと思いました。
Commented by pianix at 2006-10-08 14:23
brizuさん

いざという時が無い事を願います(^^;
生のままだと、まずいそうです。
北海道では、たくさん咲いているようです。
花を採取してきました。時間が経って萎れていましたが、水差ししていたら元に戻りました。まさに小型のヒマワリです。蕾がほどけてくる様子も同様でした。
でも、葉だけ採取してきたツユクサが部屋の中で咲いたのを見て、少し寂しい思いをしました。何故かなあ。
Commented by pianix at 2006-10-08 14:31
山百合山さん

「ヤマユリ山より」を拝見させて頂きました。
歴史にお強そうですから、その方面の考察を期待します。
今後ともよろしくお願いいたします。
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