ツリガネニンジン(釣鐘人参)
 ツリガネニンジン(釣鐘人参)は、キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草です。日本、朝鮮半島、中国、カラフトが原産で、日本では沖縄を除く北海道から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、花冠が釣り鐘型で、根がチョウセンニンジン(朝鮮人参)に似る事から。英名は、Ladybells。

  キキョウ科(Campanulaceae Juss. (1789))は、Campanula(釣鐘)に由来し、温帯から熱帯に約60属2000種があります。ツリガネニンジン属(Adenophora F.E.L. Fischer, 1823 )は、ユーラシア大陸に50種ほどあり、日本には約10種が自生します。

 山野に自生し、低地から1700mあたりまで垂直分布します。根は薄黄色で、60~80cmに伸びます。若芽はトトキと称して食用になり、山菜として親しまれています。朝鮮語でツリガネニンジンをトドック(希幾)と言い、トトキとは、それが転訛したものと言われています。乾燥根は、漢方生薬名シャジン(沙参)として、鎮咳・去痰薬として用いられます(日本薬局方外生薬規格)。

 茎は円柱(断面円形)で細毛が密生し、ほとんど分枝せずに直立して、高さ40~100cmになります。全体に腺細胞があり、切ると乳液を出します。これはツリガネニンジン属の学名であるAdenophora(腺がある)に表されている特徴です。

 根生葉1)は長い柄があり円心形です。花期に枯れますが、刈り取り後に再生する事があります。茎生葉2)は柄が極短く、3~6枚が輪生します。互生・対生する場合もあります。長楕円形・卵形・線状披針形等と変異が多く、長さ4~8cm、幅5~40mm。鋸歯があり先端は鋭頭です。

 茎頂に円錐花序を出し、数段に花を数個ずつ、やや下垂させて輪生します。花冠は釣鐘型の合弁花で、先端が5裂し淡緑色を帯びます。花色は、淡紫色や白色があります。花冠長は12~20mmで、花径は10mm程。雄しべ5本、雌しべ1本があり、雄しべは花冠から突き出ます。

 両生花で他家受粉をします。自家花粉を避ける雄性先熟です。初め雌しべは綿棒のような棍棒状で(雄花期)、雄しべが枯れると先端を浅く3裂させて受粉可能(雌花期)となります。枯れた雄しべは花冠に貼り付きます。萼は5裂します。萼裂片は長さ3~5mmの線形で細く、突起状鋸歯が1~4個あり、反り返ります。染色体数は、2n=34。

 1)根生葉(こんせいよう)radical leaf:地上茎の基部から出る葉。
 2)茎生葉(けいせいよう)cauline leaf:茎葉。地上茎につく葉。

Japanese common name : Turigane-ninjin
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Adenophora triphylla (Thunb.) A. DC. var. japonica (Regel) H.Hara

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▲ 左:花冠先端は5裂する 右:花冠が短い型

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▲ 左:花柱先端が棍棒状の雄花期 右:花柱先端が3裂した雌花期
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萼片は5裂して平開し、花冠裂片先端は軽く反り返り一部が薄緑色。

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▲ 左:輪生する茎生葉 右:茎生葉5枚


ツリガネニンジン(釣鐘人参)
キキョウ科ツリガネニンジン属
学名:Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara
synonym : Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. subsp. aperticampanulata Kitam.
花期:8月~10月 多年草 草丈:40~100cm 花冠長:13~20mm 花径:1cm

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【学名解説】
Adenophora : adenos(腺)+phoreo(有する)/ツリガネニンジン属
triphylla : triphyllus(三葉の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
A.DC. : Alphonse Louis Pierre Pyramus de Candolle (1806-1893)
var. : varietas(変種)
japonica : 日本の[japonicus(男性)|japonica(女性)|japonicum(中性)]
Regel : Eduard August von Regel (1815-1892)
H.Hara : 原 寛 Hiroshi Hara (1911-1986)
---
synonym : (シノニム) 同物異名
subsp. : subspecies(亜種)
aperticampanulata : apertus(開裂の)+campanulatus(鐘形)
Kitam. : 北村四郎 Siro Kitamura (1906-2002)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.08.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

6 October 2006
Last modified: 7 June 2014
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by pianix | 2006-10-06 00:00 | | Trackback | Comments(2)
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Commented by brizu at 2006-10-12 17:20
風情がいい野草ですよね。
斜め下向きになのに
スマートに主張してる。
なんか面白いです。
Commented by pianix at 2006-10-14 20:04
burizuさん

このツリガネニンジンは、安倍川土手斜面に溢れるように咲いています。
あまりにも当たり前の花なのですが、道行く人は結構、名を知らないようです。でも、季節感をしっかりと与えてくれる大切な野の花ですね。
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