コウゾリナ(髪剃菜)
 コウゾリナ(髪剃菜)は、キク科コウゾリナ属の2年草です。日本、千島列島に分布します。日本では、北海道から九州に分布する在来種です。名の由来は、茎や葉にある剛毛をカミソリに例え、転訛であるコウゾリ(髪剃)を充て、若葉を食用としたので「菜」を付けたものです。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味、保留名のCompositaeは、「合成された」との意味から。コウゾリナ属(Picris L.)は、ヨーロッパ、アジア、アメリカ東海岸に分布します。Picrisは、これを食べると「苦い」事に由来します。

 キク科の植物は、総苞に包まれた小花(しょうか|floret)がたくさん集まった頭花(頭状花序1))を形成します。この頭花の要素である小花の組み合わせによって、キク亜科とタンポポ亜科に分けられます。キク亜科には、小花が筒状花2)と舌状花3)の組み合わせと筒状花のみの頭花があり、タンポポ亜科は、小花が全て舌状花のみの頭花となります。コウゾリナは、舌状花のみで構成される頭花を持つので、タンポポ亜科に属します。

 低地から山地の草地に自生します。茎は、高さ30~100cmになります。茎・葉・萼に、褐色や赤褐色の剛毛が密生し、触るとざらつきます。季節によって剛毛の質は変わります。根生葉は長さ7~30cm、幅5~50mmの倒披針形で細鋸歯があり、花期には枯れます。茎葉は、下位置と中位置で形状が異なります。下葉は翼のある柄があり、倒披針形で長さ6~15cm、鋸歯があります。中葉は互生し、披針形で茎を抱き、長さ4~12cm。

 花期は5月から10月頃。分枝した枝先に散房花序を出し、黄色の頭花を付けます。頭花は径2~2.5cmで、小花に筒状花2)は無く、舌状花3)だけからなる舌状花冠(ligulate corolla)です。舌状花は、長さ12~15mm、幅1.5~1.7mmで、基部の筒部分の長さは4.8~5.1mm。1頭花あたり30~34個あり、花片先端は数個の細かい切れ込みがあります。総苞は黒ずんだ緑色の釣鐘形か壺形で、長さ10~11mm。総苞片は線状披針形で、外片は短く、内片は剛毛があります。両生花で、自家受粉を防ぐ為の雄性先熟(雄しべ先熟)花です。染色体数は、2n=10。果実は痩果で赤褐色。白色で羽毛状の冠毛(綿毛)が付き、長さ3.5~6mm。冠毛は小花の萼に相当します。風によって散布されます。ロゼットで越冬します。染色体数は、2n=10。

★  ★  ★

 どこにでも極普通に見られる花は見向きこそしませんが、その時期に無いと違和感を覚えるものです。昨年の安倍川流域には、コウゾリナが少なく心配しました。今年は、それを払拭するかのように土手にたくさん生え、黄色く染めています。そして長い期間、咲き続けます。コウゾリナは、私が野草観察を始めた初期に覚えた名前です。しかしながら、コウゾリナもアキノノゲシも、タンポポにしか見えない人が多いのも確かです。私自身、極普通の花ほど実際はあまりよく知らないという事も実感します。観察中、花の名前を問われる筆頭に、このコウゾリナが含まれます。

1)頭状花序(とうじょうかじょ|head inflorescence、capitulum):柄の無い多数の小花が集まって総苞に包まれて頭状になり、一つの花のように見える花序(inflorescence)。
2)筒状花(とうじょうか|tubular):花弁が合着して管状または筒状になり、花冠が5裂しているもの。
3)舌状花(ぜつじょうか|ligulate):基部が筒状で、上部が片側に伸びて舌状になったもの。5枚の花弁から構成される。

Japanese common name : Kouzori-na
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Picris hieracioides L. subsp. japonica (Thunb.) Krylov

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左:萼 右:茎や葉には剛毛があり中葉は茎を抱

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左:小花は舌状花のみ 右:冠毛が付いた痩果


コウゾリナ(髪剃菜)
別名:剃刀菜(カミソリナ)
キク科コウゾリナ属
学名:Picris hieracioides L. subsp. japonica (Thunb.) Krylov
花期:5月~10月 2年草 草丈:30~100cm 花径:20~25mm

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【学名解説】
Picris : picros(苦い)/コウゾリナ属
hieracioides : Hieracium(ミヤマコウゾリナ属)+oides(似た)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Krylov : Porphyry Nikitic Krylov (1850-1931)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸土手 2006.10.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 25 October 2006
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by pianix | 2006-10-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
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