セイタカアワダチソウ(背高泡立草)は、キク科アキノキリンソウ属の多年草です。北アメリカ原産の帰化植物で、世界では北半球の各国に帰化していますす。日本には、1900(明治33)年頃、観賞用や蜜源植物として導入されました。1940(昭和15)年以降に各地に広がり、1965(昭和40)年以降に大繁殖し、現在では日本全国に分布するに至っています。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。名の由来は、背が高くなり花が泡立つように咲く様子から。英名は、Tall Golden rod(背高金の鞭)や Yellow-weed、又はYellow-top。アワダチソウ(泡立草)は、ベンケイソウ科のキリンソウ(麒麟草)の事です。
キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味、保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。アキノキリンソウ属(Solidago L. (1753))は温帯を中心に約100種あり、分布の多くは北アメリカで約80種があります。属名の「Solidago」はラテン語のsolidus(完全)+ ago(状態)で、「完全な状態・合着する・固くする」の意味があり、ヨーロッパで傷薬として用いられた事に由来すると言われています。 地下茎により繁殖します。根や地下茎は、アレロパシー1)(allelopathy)作用があり、ポリアセチレン化合物のシス-デヒドロマトリカリエステル2)(cis-DME)を分泌します。これによって他の植物の種子発芽を阻害制御し、長期間に渡り独占的に定着します。しかし、制御物質が土中に蓄積される事で、分泌者のセイタカアワダチソウ自身も種子発芽が抑制される結果となります。やがて自家中毒に陥り、大繁殖していた群落は衰退していきます。 茎は直立して50~250cmになり、上部で分枝して花茎を多数出します。短毛があり、断面は円形。葉は互生し、茎に密生させます。披針形で先が尖り、長さ6~13cm。葉裏の脈上には微毛があります。花期は8月から11月頃。茎の先に長さ10~50cmの円錐花序を出し頭花を多数付けます。頭花は黄色で径5~6mm。雌性の舌状花が周囲に並び、1頭花あたり4~6個の両性の筒状花が中心にあります。舌状部は長さ3~4mm。総苞は長さ3~3.5mm、総苞片は線形で3列。枯れると灰白色の綿毛(冠毛)となり、泡を吹いたように見えます。 虫媒花です。養蜂の重要な蜜源になります。以前は花粉症の原因と言われていました。虫媒花の花粉は風媒花と比べて重く、風で遠くまで飛ばないので、花粉症への影響は少ないと思われます。果実は痩果です。1株あたり21,000~50,000個の種子を付けます。ロゼットで越冬します。従って、繁殖制御を目的とした場合、ロゼット周辺の草刈りを行う事は、かえって生育を助長させる逆効果を生みます。染色体数は、2n=54。 1)アレロパシー(allelopathy):多感作用。広義には、微生物を含む植物相互間の生化学的な関わり合い。植物が生産する化学物質が放出される事により他植物に直接・間接的に阻害や促進の影響を与える作用。Hans Molisch (1856-1937)による1937年提唱の用語。 ※日本での研究機関:社団法人 植物情報物質研究センター 2)シス-デヒドロマトリカリエステル(cis-dehydromatricaria ester|cis-DME):CH3≡CC≡CC≡CCH=CHCOOCH3 Japanese common name : Seitaka-awadati-sou セイタカアワダチソウ(背高泡立草) 別名:セイタカアキノキリンソウ(背高秋の麒麟草) キク科アキノキリンソウ属 学名:Solidago altissima L. 花期:8月~11月 多年草 草丈:50~250cm 花径:5~6mm 【学名解説】 Solidago : solidus(完全)+ ago(状態)/アキノキリンソウ属 altissima : altissimus(非常に高い・最高の) L. : Carl von Linne (1707-1778) 撮影地:静岡県静岡市 安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.10.12 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] Last modified: 1 November 2006
by pianix
| 2006-11-01 00:00
| 花
|
Comments(0)
|
by pianix カテゴリ
タグ
白色系(136)
紫色系(80) 黄色系(75) 赤色系(67) キク科(64) チョウ目(鱗翅目)(50) シソ科(33) マメ科(23) バラ科(22) 赤い実(22) カメムシ目(半翅目)(18) 緑色系(16) 茶色系(14) アオイ科(14) ナス科(13) タテハチョウ科(13) ユリ科(11) ヒガンバナ科(11) ヒルガオ科(11) 多色系(10) 記事ランキング
Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 2月末日現在) 合計676,607人 (前年同月比 -5,483人) 男:329,454人 女:347,153人 世帯数324,388戸 (前年同月比 +1.770戸) 最新のコメント
以前の記事
2023年 11月
2023年 06月 2022年 12月 2022年 08月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 05月 2020年 07月 2020年 04月 2020年 01月 more...
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||