カール・フォン・リンネ(Carl von Linné)
 山道を登って行くと人影が見えました。緩やかな散歩コースとは言え、ほとんど人に会う事のない道です。近づくと、うずくまって植物の採取箱である胴乱(どうらん)に何かを収めているところででした。実に丁寧繊細に扱っています。挨拶をして「専門家の方ですか」と尋ねてみました。初老の紳士は、困惑した様子で「違います」と言いながら、採取した植物を撫でるかのようにして胴乱に仕舞い終えました。どう見ても専門家の手つきですし、ブリキの胴乱を持っている事自体が驚きです。因みに私はポリ袋と茶封筒を胴乱代わりに使っています。標本を作る方は植物を挟み込む野冊(やさつ)を携行します。胴乱も野冊も本格的な道具です。

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 更に話を聞くと、この胴乱は2台目との事。採取して植物精密画を描くのだそうです。1台目は学生時代に購入したと言います。どこの大学かと聞いたら返答があったので、専攻も聞いてみました。「分類学です」との返答に、私は「やっぱり専門家だったんだ」と予想が当たった事を心の中で喜びました。そこで、「今年はリンネさんの生誕300年ですね」と話題を振ると、相手の方も警戒心を解いてくれた様子でした。「ほら、そこ」と言われた指の先を見ると、全く気が付かなかった珍しい植物がありました。
       ▲胴乱
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 リンネは、博物学者・植物学者であるカール・フォン・リンネ(Carl von Linné 1707-1778)のことです。彼は1707年5月23日生まれですから、今年2007年は、生誕300年となります。スウェーデンで生まれ、ルター派の敬虔なキリスト教徒でした。ルンド大学で医学を学び、1741年にウプサラ大学医学部教授(薬学)となり、1742年に植物学に転向して植物園長となりました。1735年『自然の体系』(Systema Naturae)、1737年『植物の属』(Genera Plantarum)、1753年『植物の種』(Species Plantarum)を著しました。1778年1月10日に亡くなりました。
 

e0038990_20542017.jpg 『植物の種』では、それまでにない新しい分類方法を考案して用いました。ラテン語の属名と種小名で構成される二名法(binomial nomenclature)です。例えば、ツバキ(椿)は学名で、Camellia japonica L.です。最初の語が属名で、二つめが種小名を表します。この2語の組み合わせによって植物の全てを分類します。最後は命名者を表しています。L.はLinnéの略です。通常は一文字で表す事がありませんが、敬意を表して慣習として許されています。これらの功績から1757年に貴族の称号を与えられました。近代分類学の父と称されています。二名法は現在の国際植物命名規約に受け継がれています。
  Carl von Linné (1707-1778)

カール・フォン・リンネの主な著書
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▲「自然の体系」       ▲「植物の属」        ▲「植物の種」

Last modified: 23 May 2007
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by pianix | 2007-05-23 00:00 | 雑記 | Trackback | Comments(2)
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Commented by namiheiii at 2007-05-31 21:55
若い頃は分類学を馬鹿にしていました。ものの本質は形ではないと思っていました。今は浅はかだったと後悔しています。
Commented by pianix at 2007-06-04 15:06
namiheiiiさん

分類学とは何なのか、私は理解していません。難しくて頭が追いつきません。最近の私は、人と話をしているとき、その人の精神世界を探っているように思えます。
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