タカサゴユリ(高砂百合)は、ユリ科ユリ属の多年草です。原産地は、台湾です。1923(大正12)~1924に園芸用途で移入されました。日本では、東北の一部、本州関東以南、四国、九州、沖縄に帰化分布します。名の由来は、台湾の百合である事から。台湾の呼称古名として日本ではタカサゴが使われていました1)。別名のホソバテッポウユリ(細葉鉄砲百合)は、テッポウユリに似るが葉が細い事から。中国名は、臺灣百合(tái wān bǎi hé)。
ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ユリ属(Lilium L. (1753))は北半球の亜熱帯から亜寒帯に約100種類が分布します。15種類が日本に自生し、内7種類(ヤマユリ、サクユリ、ササユリ、オトメユリ、イワトユリ、ウケユリ、タモトユリ)は日本特産種です。ユリ属は、1925年に4亜属に分類されました。テッポウユリ亜属、ヤマユリ亜属、カノコユリ亜属です。その他に、これらを掛け合わせた種間雑種があります。これらの花は筒状で横向きに咲きます。 日当たりの良い空地等に自生します。鱗茎があり、茎を50~150cmに立ち上げます。葉は、互生します。線形で幅約1cm、長さ約15cmで多数つけます。 花期は、7月から10月。下部が合生した漏斗形の花を茎の上部に1~数個、散房状につけます。先端は反曲します。花冠内側は白色で、外側に紫褐色の筋模様があります。花弁は外花被片3、内花被片3の計6枚で、長さ約15cm、直径約13cm。内花被片の方が幅が広い。雄しべは6本。葯を丁字形に付け、黄橙色。雌しべは雄しべより長く、柱頭は淡緑色で3裂します。
果実は蒴果です。3室あり、熟すと3裂開します。側部の裂開部分は中心に縦糸の繊維があり、左右に繋がる細い横糸によって網目状となり、側部から種子がこぼれ落ちない構造になっています。果実の側面裂開部から風が入り、頂部から薄い円盤状の翼を持った種子を舞い上がらせ、多数散布させます。染色体数は、2n=24。 良く似た栽培種に、シンテッポウユリ(新鉄砲百合)Lilium x formolongo hort. があります。タカサゴユリとテッポウユリ(鉄砲百合)Lilium longiflorum Thunb. の交配種です。花被の外側に紫褐色の筋があるるのはタカサゴユリで、白色の場合はシンテッポウユリの可能性が高いと思われます。 河川敷のとある草藪の中で、百合が咲いていました。テッポウユリ(鉄砲百合)かと思いましたが、葉が細いのでタカサゴユリ(高砂百合)ですね。どこにでもある普通のユリとはいえ、うっそうとした藪の中で、ひときわ清楚な雰囲気を醸し出していたので見とれました。 脚注: 1)横田きよ子 日本における「台湾」の呼称の変遷について:主に近世を対象として 海湾都市研究,4:163-183 2009-03 Japanese common name : Takasago-yuri タカサゴユリ(高砂百合) 別名:ホソバテッポウユリ(細葉鉄砲百合)/タイワンユリ(台湾百合) ユリ科ユリ属 学名:Lilium formosanum A.Wallace 花期:7~10月 多年草 草丈:50~150cm 花径:10~15cm 花冠長:20~25cm 【学名解説】 Lilium : li(白)+lium(花)/ユリ属 formosanum : formosanus(台湾の) A.Wallace : Alexander Wallace (1829-1899) --- テッポウユリ(鉄砲百合) longiflorum : longi(長い形)+florus(花) Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828) --- シンテッポウユリ(新鉄砲百合) x : 二種間交配種 formolongo : formosanum+longiflorus hort. : hortulanorum = gardeners (命名規約に基づかない名前/裸名) 撮影地:静岡県静岡市 安倍川/河口から8.75km 左岸河川敷 2005.08.15, 2005.08.18 賤機山 2017.09.01, 2017.11.17, 2017.11.23, 2017.12.01 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 20 August 2005, 24 November 2017 Last modified: 04 December 2017
by pianix
| 2005-08-20 00:00
| 花
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by pianix カテゴリ
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Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 1月末日現在) 合計677,147人 (前年同月比 -5,763人) 男:329,734人 女:347,413人 世帯数324,434戸 (前年同月比 +1.576戸) 最新のコメント
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