キンラン(金蘭)は、ラン科キンラン属の多年草です。日本、中国、朝鮮半島に分布し、国内では東北地方以西に分布する在来種です。環境省レッドデータブックでは、絶滅の危険が増大している種である、絶滅危惧II類(VU)に指定(1997年)されています。名の由来は、花色の黄色を金に見立てた蘭である事から。
ラン科(Orchidaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜寒帯に約700属、15000種以上が分布します。キンラン属(Cephalanthera L.C.Richard, (1818))は、東アジアやヨーロッパに約15種が分布します。 山地の林下に自生します。根は細く、菌根(ectomycorrhiza)を形成し、樹木の根に共生する外菌根菌(ベニタケ科やイボタケ科の外菌根との説もあります)から栄養を摂取します。菌に寄生する依存度が高い共生関係にある為、栽培困難種の一つとされています。それで、根こそぎの盗掘を防ぐ目的で花茎を折ってしまう人が多いようです。草丈は30~50cmで、直立し、茎に稜があります。葉は5~8枚が互生します。長楕円形で長さ8~10cm、幅3cm程で平行脈があり、先端は尖り、基部は茎を抱きます。 花期は4月から6月で、茎頂に総状花序を付け、3~12個の花を付けます。花冠は黄色で上向きに咲き、半開きになります。萼片(外花被片)は3個。花弁(内花被片)は3個で、側花弁(side lobe)2個と唇弁(lip)で構成されます。唇弁の基部は筒状で小さな距があり、先端は3裂し、黄褐色の筋が隆起します。 雄しべと雌しべは合着して蘂柱(ずいちゅう : column)になります。蘂柱の頭にある大きな葯は、キンラン属Cephalantheraの由来「cephalos(頭)+anthera(葯)」となっています。花粉塊を形成します。子房下位。果実は朔果です。種子は、種皮と胚のみで構成され、極微小で多数あり、風によって散布されます。染色体数は、2n=34(2n=6L+28s=34 Mizuno T.), 68 。 類似種に、品種のシロバナキンラン(白花金襴)Cephalanthera falcata (Thunb.) Blume f. albescens S.Kobay. 、茨城県に分布する、ツクバキンラン(筑波金襴)Cephalanthera falcata (Thunb.) Blume f. conformis Hiros.Hayak. et J.Yokoy. 、花が白色のギンラン(銀蘭)Cephalanthera erecta (Thunb.) Blume 、花が白色で葉が笹に似ているササバギンラン(笹葉銀蘭)Cephalanthera longibracteata Blume があります。 ※写真のキンランは、雑木林の山道にぽつんと咲いていました。あたりを明るくするような雰囲気がありました。後日様子を見にいった所、花茎から折られて持ち去られていました。観察ができなくなったのは勿論、人の手によって減少に拍車をかけている事を残念に思いました。 Japanese common name : kin-ran キンラン(金蘭) ラン科キンラン属 学名:Cephalanthera falcata (Thunb.) Blume 花期:4月~6月 多年草 草丈:30~70cm 花径:1cm 【学名解説】 Cephalanthera : cephalos(頭)+anthera(葯)/キンラン属 falcata : falcatus(鎌状の) Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828) Blume : Carl Ludwig von Blume (1796-1862) 撮影地:静岡県静岡市 安倍城跡(Alt.435m) 2008.05.17 位置情報非公開 2023.05.03 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] August 13, 2008 Last modified: 22 May 2023
by pianix
| 2008-08-13 00:00
| 花
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by pianix カテゴリ
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Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 2月末日現在) 合計676,607人 (前年同月比 -5,483人) 男:329,454人 女:347,153人 世帯数324,388戸 (前年同月比 +1.770戸) 最新のコメント
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