ササユリ(笹百合)は、ユリ科ユリ属の多年草です。中部地方から九州にかけて分布する日本固有種です。現在では幾つかの県で希少種、準絶滅危惧(NT)となっています。名の由来は、葉の形状が笹の葉に似ているユリである事から。
ユリ科(Liliaceae Juss. 1789)は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ユリ属(Lilium L. (1753))は北半球の亜熱帯から亜寒帯に約100種類が分布します。15種類が日本に自生し、内7種類1)は日本固有種です。ユリ属(Lilium C. Linnaeus, 1753)は、1925年に4亜属に分類されました。テッポウユリ亜属、ヤマユリ亜属、カノコユリ亜属です。その他に、これらを掛け合わせた種間雑種があります。 明るく開けた草地や山地の林縁に自生します。球根(鱗茎)は無皮鱗茎で、白色の卵形。茎が短縮した低盤部に、葉が変形した鱗片が多数着生して多肉化したものです。1球に1茎を生じます。球根の基部から発生する下根(低出根・牽引根)と、茎の地下部から発生する上根(茎出根)があります。葉は短い柄があり、互生します。長さ7~15cmの披針形や楕円形で、笹の葉に似ています。茎は円柱形で、直立して草丈は50~100cmになります。 花期は6月から7月。花茎の先に漏斗状鐘形の花を一つから複数個、横向きにつけます。倒皮針形の外花被片3個と内花被片3個によって構成される同花被花です。花冠は淡桃色で、個体によって濃度が異なり、白色もあり、芳香があります。花冠の長さは10~15cm。雄しべは6本で葯は赤褐色。子房は上位で3室。染色体数は、2n=24,36。果実は蒴果。熟すと裂開して、扁平な翼状構造の種翼を持つ種子を風によって飛散させます。 実生から開花球へは5~7年を要し、栽培困難種の一つとなっています。自生地の減少もあり、自生地環境の整備保護が課題とされています。品種に、シロササユリ(白笹百合)Lilium japonicum Houtt. f. album (E.H.Wilson) Sugim.、ベニバナササユリ(紅花笹百合)Lilium japonicum Houtt. f. purpureum Terashita があります。 脚注: 1)日本固有種: ヤマユリ(山百合)Lilium auratum Lindl. サクユリ(作百合)Lilium auratum Lindl. var. platyphyllum Baker ササユリ(笹百合)Lilium japonicum Houtt. ヒメサユリ(姫小百合)Lilium rubellum Baker -別名:オトメユリ(乙女百合) スカシユリ(透かし百合)Lilium maculatum Thunb. -別名:イワトユリ(岩戸百合) ウケユリ(請百合)Lilium ukeyuri Veitch ex R.Hogg タモトユリ(袂百合)Lilium nobilissimum (Makino) Makino Japanese common name : Sasa-yuri ササユリ(笹百合) ユリ科ユリ属 学名:Lilium japonicum Thunb. 花期:6月~7月 多年草 草丈:50~100cm 花径:13~14cm 花冠長:10~15cm 【学名解説】 Lilium : li(白)+lium(花)/ユリ属 japonicum : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)] Houtt. : Maarten Houttuyn (1720-1798) --- f. : forma(品種) album : albus(白色の) E.H.Wilson : Ernest Henry Wilson (1876-1930) Sugim. : 杉本順一 Jun'ichi Sugimoto (1901-1988) --- purpureum : purpureus(紫色の) Terashita : 寺下隆喜代 Takakiyo Terashita (fl.1968- ) fl. : floruit(在世期、活動期)/生没年が不明な人物の場合に使用 撮影地:静岡県静岡市 安倍城跡(Alt.435m) 2008.06.10 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 17 December 2008, 16 June 2012 Last modified: 11 April 2016
by pianix
| 2008-12-17 00:00
| 花
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Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 2月末日現在) 合計676,607人 (前年同月比 -5,483人) 男:329,454人 女:347,153人 世帯数324,388戸 (前年同月比 +1.770戸) 最新のコメント
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