トノサマバッタ(殿様飛蝗)
 トノサマバッタ(殿様飛蝗)は、バッタ科トノサマバッタ属の昆虫です。世界の熱帯や温帯に広く分布し、国内では北海道・本州・四国・九州・沖縄に分布します。名の由来は、不明です。殿様や大名のように風格があるからかもしれません。中国名は、大蝗。英名は、Migratory Locust, Asiatic locust, Oriental migratory locust。直翅目(バッタ目:Orthoptera)は、熱帯から寒帯に1万5000種以上があり、日本には447種25亜種が生息します。

 「おいおい、変な奴が追いかけてきたぞ。速く逃げるんだ」。と言っているかどうかは定かではありませんが、トノサマバッタは必死で逃げます。飛翔能力が高く、時には50mも飛びます。しかし、雄が乗っているので雌は飛ぶ事ができません。

 緑色型や褐色型の他に、灰色・黒色・赤色が現れます。色の違いは生息環境によって違うようですが、生息密度に応じて体色を制御するホルモンがあり、集団化すると黒色化します。これらを相変異と言い、低密度バッタを孤独相、高密度バッタを群生相と呼んでいます。1921年にイギリスの研究者B.ウバロフが棲息条件の違いによって起こる多型現象との理論を提唱しました。多型現象を引き起こす原因は、ホルモンのH-コラゾニン(corazonin)とA-コラゾニンが関与している事が確認されています。(独立行政法人・農業生物資源研究所の研究による)

 群生相によって集団化して移動するバッタは作物に害を与えます。旧約聖書にたびたび出てくる「いなご」は、サバクトビバッタSchistocerca gregaria (Forskal, 1775)と考えられます。『もし、あなたがわたしの民を去らせることを拒み続けるならば、明日、わたしはあなたの領土にいなごを送り込む。いなごは地表を覆い尽くし、地面を見ることもできなくなる。そして、雹の害を免れた残りのものを食い荒らし、野に生えているすべての木を食い尽くす。』(新共同訳聖書・出エジプト記 10:4-5)。このような群生相の能力を持つバッタは、日本ではトノサマバッタがあります。しかし、明治時代の北海道や、1986(昭和61)年の鹿児島県馬毛島での発生ぐらいしか知られていません。

 写真は、上が雄で下が雌です。雄はジリジリと鳴きます。変態様式は、完全変態・不完全変態・不変態(無変態)などがあります。トノサマバッタはサナギにならない不完全変態で、幼虫が脱皮をくり返して成長します。

幼虫→

Japanese common name : Tonosama-batta
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Locusta migratoria Linnaeus, 1758


トノサマバッタ(殿様飛蝗)
別名:ダイミョウバッタ(大名飛蝗)
バッタ目(直翅目)バッタ亜目バッタ科トノサマバッタ属
学名:Locusta migratoria Linnaeus, 1758

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体長:35~65mm(♂35~40mm ♀45~65mm)
出現期:7月~11月(年1~2回)
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄
食草:イネ科の植物

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km 右岸河川敷 2005.07.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 15 September 2005
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by pianix | 2005-09-15 00:00 | | Trackback | Comments(4)
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Commented by mico at 2005-09-16 21:29 x
トノサマバッタは成虫のまま冬越しするんでしょうか
Commented by pianix at 2005-09-16 22:19
ツチイナゴ(土稲子/土蝗)以外のバッタは、成虫で冬を越す事はありません。

10:00pm程で仕事が終わりました。ヨモギで花粉症の症状が出るかたがいまして、演奏中もくしゃみ連発でした。キク科の花粉に反応するようです。体力消耗で大変なようです。トリカブト療法を勧めたら、確かに静かにはなるだろうけどと睨まれました。
静岡は気温が下がり、半袖でバイクを走らせると寒気がしてきます。
体調にご注意を。
Commented by kounit at 2007-12-30 15:46 x
故郷の動植物のHPを制作中です。トノサマバッタについて調べていると貴ブログに出会いました。トノサマバッタを追った60年を思い出しました。また、ときどき読ませて頂きます。
Commented by pianix at 2008-01-01 19:24
kounit さん、初めまして。コメントをありがとうぞざいます。
私よりも遙か先輩のようです。今後とも、よろしくお願いいたします。
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