カテゴリ:実( 35 )
イシミカワ
 イシミカワは、タデ科イヌタデ属の1年草です。アジアに広く分布し、国内では全国に分布します。名の由来は不明です。従って漢字表記も、石見川・石実皮・石膠・杠板帰(中国名)、と多種に及びます。

 タデ科(Polygonaceae Juss. 1789)は北半球に約40属800種があります。タデ科の特徴は、葉柄の基部の托葉が茎を包む形の托葉鞘(たくようしょう)となる事です。イヌタデ属(Persicaria (C. Linnaeus) P.Miller, 1754)は北半球に約100種あり、日本には約30種があります。旧属名はPolygonumで、polys(多い)+ gonu(節)の意味を持ち、節が関節のように膨れる事に因みます。

 茎は無毛の蔓状で下向きの鋭い刺(逆刺)が密生し、他の植物に絡みつきながら分枝して、長さ100~200cm以上になります。葉は互生します。淡緑色の三角形で、長さ2~4cm。基部は矢じり形です。葉の基部に楯状の葉柄が付きます。葉柄や葉裏の主脈上にも棘があります。上部に付く托葉鞘は円形の葉状となります。

 枝先に1~2cmの総状花序を出し、長さ3~4mmで淡緑白色の目立たない花を10~20個ほど付けます。花弁はなく、深く5裂した広楕円形の花被(萼)に包まれていて、ほとんど開きません。雄しべと雌しべは同じ長さです。花序の基部には、茎を貫通した円形で葉状の苞があります。

 果実は痩果です。外花被片は多肉化して痩果を包み、球形となります。初め緑白色で、熟す毎に、紅紫色・青藍色(コバルトブルー)へと変化します。苞の上に果実が乗った独特の形になり、一見硬そうな果実は果汁が含まれて軟らかいです。痩果は光沢がある黒色で、約3mm程。染色体数は、2n=24。

Japanese common name : Isimikawa
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Persicaria perfoliata (L.) H. Gross

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左:果実 右:葉と茎の棘

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左:三角形の葉(裏) 右:円形葉状の托葉鞘(裏)

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左:黒色の痩果が一部露出している 右:花後の状態


イシミカワ
タデ科イヌタデ属
学名:Persicaria perfoliata (L.) H.Gross
花期:7月~10月 1年草 草丈:100~200cm(蔓性) 花被片長:3~4mm

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【学名解説】
Persicaria : persica(モモ)に似ている/イヌタデ属
perfoliata : perfoliatus(貫生葉の・抱茎の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
H.Gross : Hugo Gross (1888-1968)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2006.11.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 30 November 2006
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by pianix | 2006-11-30 00:00 | | Trackback | Comments(0)
スズメウリ(雀瓜)
 スズメウリ(雀瓜)は、ウリ科スズメウリ属の1年草です。日本の本州・四国・九州と韓国の済州島(Cheju Isl.)に分布する在来種です。名の由来は、ウリ科カラスウリ属のカラスウリ(烏瓜)に対して小さい事から。カラスやスズメは個体の大きさを示す事に使われます。雀の卵に似ているからという異説もあります。

 ウリ科(Cucurbitaceae Juss. (1789))は、15連、熱帯から亜熱帯にかけて約95属942種1)以上が分布します。日本には、5属10種が自生分布し、栽培種及び帰化種は10属11種があります。トウガン、スイカ、キュウリ、カボチャ、メロン、ヘチマ、ニガウリ等があります。科名は「カボチャ」の意味。スズメウリ属(Melothria L. (1753))のMeloはリンゴの語源が転じてメロンやウリの意味。最近、Zehneria (Endlicher, 1833)が使われ始めた。


 山野の、やや湿った所に自生します。茎は細く、蔓性で長く伸び、巻き鬚で他のものに絡みつきます。葉は互生します。柄があり、長さ3~6cm、幅4~8cmの卵円形から三角状卵心形で、基部は心臓形。浅く3裂する場合があります。葉質は薄く、縁は鋸歯状に浅く裂け、鋭頭。雌雄同株です。

 花期は8月から9月。雌花・雄花共に、葉腋から径5~7mmの淡黄色で深く5裂した花を単生します。枝先の雄花は総状花序に付く事があります。雄花の雄しべは3本で花托筒に合着します。雌花は蕾の時から楕円形の子房が目立ちます。子房下位。萼片は短い線形で5枚。

 果実は液果です。2~5cmの非常に細い柄があり、下垂します。球形か卵形で長さ1~2cm。初め緑色で、熟すと灰白色になります。種子は扁平で胚乳を欠き、長さ5~6mmで左右2列に並び、16個あります。蔓の先端が地中に潜り肥大した塊根を作って越冬することもあります。染色体数は、2n=22。

Japanese common name : Suzume-uri
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Zehneria japonica (Thunb.) H.Y.Liu

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果実は液果。若い実は緑で、熟すと灰白色になる


スズメウリ(雀瓜)
ウリ科スズメウリ属
学名:Zehneria japonica (Thunb.) H.Y.Liu
synonym : Melothria japonica (Thunb.) Maxim. ex Cogn.
花期:8月~9月 1年草 草丈:100~500cm(蔓性) 花径:5~10mm 実径:1~2cm

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【学名解説】
Zehneria : 植物画家 Joseph Zehner 氏の/スズメウリ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
H.Y.Liu : 劉和義 Ho-Yih Liu (1956- )
---
Melothria : 白いブドウを指した古名/スズメウリ属
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
ex : ~より (代わりに発表)
Cogn. : Celestin Alfred Cogniaux (1841-1916)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.10.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

8 November 2006
Last modified: 1 June 2015
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by pianix | 2006-11-08 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ヒメヤブラン(姫藪蘭)
 ヒメヤブラン(姫藪蘭)は、キジカクシ科(旧分類ユリ科)ヤブラン属の多年草です。日本や中国が原産で、国内では北海道から沖縄にかけての全土に分布する在来種です。名の由来は、小さな藪に生える蘭から。ヤブラン(薮蘭)より小型なのはコヤブラン(小藪蘭)で、それよりも小型である事から。英名は、Monkey grass。

 キジカクシ科(Asparagaceae Juss. (1789))は、約150属2500種が分布します。旧分類ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ヤブラン属(Liriope Loureiro, 1790)は、東アジアに6種、日本に3種が分布します。3種の内訳は、葉幅が10mm程のヤブラン(薮蘭)、葉幅が4~7mmで小型版と言えるコヤブラン(小藪蘭)、より小型で葉幅が1.5~3mmのヒメヤブラン(姫藪蘭)です。

 根茎は短く、匐枝を横に伸ばして増殖します。葉は根生し、線形で長さ10~20cm、幅は1.5~3mm、鋸歯はありません。花茎は葉よりも短い10~15cmで、茎先に花を付けます。

 花期は7月から9月。花は総状に付き、径5~6mmの淡紫色で、花被片は楕円形で6個あります。平開して斜め上向きに咲きます。果実は蒴果ですが、成熟する前に薄い果皮が脱落します。従って、裸出した種子そのものです。これはヤブラン属とジャノヒゲ属に共通する特徴です。径4~5mmの球形で、熟すと紫黒色になります。染色体数は、2n=36。

 花色が白い品種は、シロバナヒメヤブラン(白花姫藪蘭)Liriope minor (Maxim.) Makino f. albiflora (Murai) Okuyama です。

Japanese common name : Hime-yaburan
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Liriope minor (Maxim.) Makino

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▲ 左:種子(4~5mm)の内部 右:花径は5~6mm
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▲ 葉は細く線形でで、幅1.5~3mm


ヒメヤブラン(姫藪蘭)
キジカクシ科ヤブラン属
学名:Liriope minor (Maxim.) Makino
花期:7月~9月 多年草 草丈:10~15cm 花径:5~6mm 実径:4~5mm

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【学名解説】
Liriope : ギリシャ神話の女神の名/ヤブラン属
minor : minus(より小さい)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz(1827-1891)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
---
f. : forma(品種)
albiflora : albiflorus(白花の)
Murai : 村井三郎 Saburo Murai (fl. 1962-)
Okuyama : 奥山春季 Shunki Okuyama (1909-1998)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.10.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

11 October 2006
Last modified: 4 October 2015
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by pianix | 2006-10-11 00:00 | | Trackback | Comments(2)
オニグルミ(鬼胡桃)
 オニグルミ(鬼胡桃)は、クルミ科クルミ属の落葉高木です。日本原産で、中国、樺太にもあり、国内では北海道・本州・四国・九州に分布します。名の由来は、果実内果皮の溝模様を鬼の顔に見立てたもの。クルミは、中国の呉から渡来した実である事からクレミ(呉実)、実が黒くなるのでクロミ(黒実)、実が殻に包まれているのでクルム(包)であり、それぞれの転訛であるとの説があります。

 クルミ科(Juglandaceae DC. ex Perleb (1818))は、世界に8属50種があり、東アジア・アフリカ東部の北半球に多く分布します。クルミ属(Juglans L. (1753))は、北半球に15種ほどが分布します。

 樹高が10~25mに達する事がある落葉高木です。樹皮は暗灰色で、老木には縦の裂け目があります。太い枝が横方向斜めに伸びます。葉は互生します。奇数羽状複葉で、小葉は5から9対あります。小葉は、長さ8~18cm、幅3~8cm、葉表は濃緑色で葉裏には毛が密生し、葉柄・葉脈には星状毛と腺毛があります。鋸歯があり葉先は鋭尖頭です。

 花期は、5月から6月。若葉と共に花が咲きます。雌雄同株の単性花です。雄花序が先に出て、雌花序は遅れます。雄花序は前年の枝の葉腋から緑色の花を下垂する尾状花序になります。10~20cmの穂で、小花の花被片は4枚。雌花序は若い枝先に腺毛がある花軸を穂状に直立させます。7~8mmの雄花が10前後付き、紅色の柱頭は2裂します。風媒花です。

 果実は石果(核果)です。卵形で径3cm程。房状につき完熟すると落下し黒色化します。黄緑色で薄い外果皮には短毛が密布し、中果皮は肉質です。内果皮は深い皺と縫合線があり堅く、内部に脂肪質の種子があります。種子は食用になり、油が採れます。樹皮は染色に利用されます。辺材は白っぽく、心材は紅褐色になり、気乾比重は0.53。家具・彫刻・建築・器具などに利用されます。

Japanese common name : Oni-gurumi
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Juglans mandshurica Maxim. var. sachalinensis (Komatsu) Kitam.

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オニグルミ(鬼胡桃)
クルミ科クルミ属
学名:Juglans mandshurica Maxim. var. sachalinensis (Komatsu) Kitam.
花期:5月~6月 落葉高木(雌雄同株) 樹高:10~25m 果期:9~10月

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【学名解説】
Juglans : Jovis glans(ジュピターの堅果)/クルミ属
mandshurica : mandshuricus(満州産の)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
var. : varietas(変種)
sachalinensis : カラフト(サハリン)の
Komatsu :
Kitam. : 北村四郎 Shiro Kitamura (1906-2002)
---
Miyabe : 宮部金吾 Kingo Miyabe (1860-1951)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Kudo : 工藤祐舜 Yushun Kudo (1887-1932)
Kitam. : 北村四郎 Shirō Kitamura (1906-2002)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から10.50km 右岸河川敷 2006.06.05
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 16 June 2006
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by pianix | 2006-06-16 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤブラン(薮蘭)/実
 ヤブラン(薮蘭)は、キジカクシ科ヤブラン属の多年草です。日本および東アジア原産で、本州以西の温暖な地域に分布します。蘭という名前が付いていますが、ラン科ではなくキジカクシ科に属します。藪に生え、シュンラン(春蘭)に似た葉を持つとの意味です。

  キジカクシ科(Asparagaceae Juss. (1789))は、約150属2500種が分布します。旧分類ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ヤブラン属(Liriope Loureiro (1790))は、東アジアに6種、日本に3種が分布します。

 日本の3種類は、葉幅が10mm程のヤブラン(薮蘭)、葉幅が4~7mmで小型版と言えるコヤブラン(小藪蘭)Liriope spicata Lour.、より小型で葉幅が2~3mmのヒメヤブラン(姫藪蘭)Liriope minor (Maxim.) Makinoです。園芸品種に、葉に斑が入ったフイリヤブラン(斑入り藪蘭)Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey f. variegata (L.H.Bailey) H.Haraもあります。

 葉は根生し、長さ30~50cm、濃緑色で光沢があります。葉の幅は約10mmで、先端は鈍頭です。伸ばした花茎に穂状花序を付けます。花は径6~7mm程で、淡紫色をした花被片が6枚あります。果実は6~7mmの球形をしている蒴果で、薄い果皮に覆われていて、初めは緑色で熟すと黒紫色になり、果皮が脱落して種子がむき出しの状態になります。

 ジャノヒゲ属のジャノヒゲ(蛇の髭)や園芸品種のタマリュウ(玉竜)等は、花は下向き、種子は濃青色ですが、ヤブラン属では、花は上向き、種子は黒色系となる事で判別できます。性質は耐寒性、耐暑性、耐陰性が強く繁殖力もあります。グランドカバーとしての用途に適しています。増殖は株分けや実生で行う事ができます。

参考:ヤブラン(薮蘭)の花

Japanese common name : Yabu-ran
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Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey


ヤブラン(薮蘭)
別名:ヤマスゲ(山菅)
キジカクシ科ヤブラン属
学名:Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey
synonym : Liriope platyphylla F.T.Wang et T.Tang
花期:8~10月 多年草 草丈:30~50cm 花径:4mm 果期:11月~1月

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【学名解説】
Liriope : ギリシャ神話の女神の名Leiriopeに因む/ヤブラン属
muscari : muscarius(蝿のような)
Decne. : Joseph Decaisne (1807-1882)
L.H.Bailey : Liberty Hyde Bailey (1858-1954)
---
platyphylla : platyphyllus(広い葉の)
F.T.Wang : Fa Tsuan Wang (1899-1985)
et : 及び(命名者が2名の時など・&に同じ)
T.Tan : Tsin Tang (1897-1984)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川源流 2006.02.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 February 2006, 5 June 2015
Last modified: 6 September 2016
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by pianix | 2006-02-20 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ザクロ(柘榴)
 ザクロ(柘榴)は、ミソハギ科ザクロ属の落葉小高木です。ただし亜熱帯地方では常緑樹です。ペルシャ(イラン)原産で、平安時代以前に中国から薬用として日本へ入りましたが、主に庭木としての利用が多く、果実栽培としての主な産地は日本にはありません。ザクロ属(Punica L. (1753))は2種が知られるだけです。その内の一つであるプニカ・プロトプニカ Punica protopunica Balf.f. は、国際自然保護連合によれば絶滅危惧種となっています。ザクロの品種は原産地においては200種ほどあるようです。日本での園芸種としては、矮小種のヒメザクロ(姫石榴)、八重咲きのハナザクロ(花石榴)等があります。

 「石榴」は中国名を充てています。中国では、古くは安石瘤としていました。瘤を同じ発音の榴に置き換えて、安石榴や石榴を使用していますが、安石は安石国の事で、イランを指します。夏の濃い緑の中で赤い花が目立つことから、中国の詩人安石が「万緑叢中紅一点」と詠み、日本でも紅一点の言葉が使われるようになりました。聖書にもたびたび現れます。旧約聖書で初めに出てくるのは、「上着の裾の回りには、青、紫、および緋色の毛糸で作ったざくろの飾りを付け、その間に金の鈴を付ける。」出エジプト記28章33節です。「エシュコルの谷に着くと、彼らは一房のぶどうの付いた枝を切り取り、棒に下げ、二人で担いだ。また、ざくろやいちじくも取った。」民数記13章23節。

 葉は対生し、長楕円形です。花は朱赤色の花弁が6枚です。果実は球形の液果で、固い外皮に包まれています。熟すと割れて種子を表します。種子を取り囲むゼリー状の部分に、クエン酸・カリウム・ビタミン・ミネラルなどが含まれます。1964年にエストロゲンが含まれていることが分かり、更年期障害の予防効果を期待されましたが、これは種子に含まれる(17mg/1kg)もので、種子を含まないジュースなどでは効果がありません。国民生活センターは、2000年4月に効能・効果を期待させる表示が多く見られることから、薬事法上問題であり、過度の期待を抱かないように注意を喚起しています。幹・枝・皮を乾燥させたものを漢方のセキリュウヒ(石榴皮)と言い、生薬(日本薬局方)として用いられます。昔は寄生虫駆除剤として使われましたが、現在では使用されません。繁殖には、挿し木が一般的に行われます。

☆  ☆  ☆

 ある女子中学生が、「試験は全く駄目だった」と、暗い顔で報告してきました。公立高校受験結果発表の前日でした。「もし駄目だったら、どのように報告したら良いのか」と、不安を隠せない状態でした。そして発表の日、昨日とは打って変わっての明るい声で、「合格しました」と電話をしてきました。ソメイヨシノはまだ咲かないけれど、一足早く一人の女の子に桜が咲きました。高倍率の難関をみごと突破したのです。桜は良いとして、どういう訳か女性という事で、ザクロが頭に思い浮かびました。それで季節外れですがザクロになりました。

Japanese common name : Zakuro
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Punica granatum L.
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ザクロ(柘榴)
ミソハギ科ザクロ属
学名:Punica granatum L.
花期:5月~6月 落葉小高木 樹高:3~5m 花径:5~6cm 果期:8~9月

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【学名解説】
Punica : punicus(カルタゴの)/ザクロ属
granatum : granatus(粒状の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から17.50km 左岸河川敷(植栽) 2005.10.20, 2008.06.05
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

15 February 2006
Last modified: 22 July 2015 (Family Name Update)
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by pianix | 2006-02-15 00:00 | | Trackback | Comments(0)
タマリュウ(玉竜)
 タマリュウ(玉竜)は、キジカクシ科(旧分類ユリ科)ジャノヒゲ属の多年草です。日本や中国を原産とし、国内では北海道西部から九州までに分布するジャノヒゲ(蛇の髭)の園芸用矮性品種です。タマリュウはギョクリュウとも呼ばれます。耐寒性があり、日陰でも生育する事から、主にグランドカバーとして使われます。ジャノヒゲに比べて小型である以外は性質が同じで、取扱も準じます。従って、ジャノヒゲ(蛇の髭)を参照下さい。

 キジカクシ科(Asparagaceae Juss. (1789))は、約150属2500種が分布します。旧分類ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ジャノヒゲ属(Ophiopogon Ker-Gawler (1807))は、世界に約65種があり、日本には4種1)が分布します。

 繁殖は種子でもできますが、株分けが一般的です。夏と冬を避け、3月から4月頃、9月から10月頃に株を小分けにして植え替えます。種子を保存する時は乾燥に注意して3月か4月頃までに蒔きます。植え替え時に準じて置肥(固形)をします。成長が遅い事を考慮して、間隔をあまり開けずに植え込みます。

1)日本に分布するジャノヒゲ属の4種
ノシラン(熨斗蘭)Ophiopogon jaburan (Siebold) Lodd.
ヨナグニノシラン(与那国熨斗蘭)Ophiopogon reversus C.C.Huang 
ジャノヒゲ(蛇の髭)Ophiopogon japonicus (Thunb.) Ker Gawl.
オオバジャノヒゲ(大葉蛇の髭)Ophiopogon planiscapus Nakai
※ヨナグニノシラン(与那国熨斗蘭)は、絶滅危惧IA類(CR)。オオバジャノヒゲ(大葉蛇の髭)は、日本固有種。

参考:ジャノヒゲ(蛇の髭)ヤブラン(薮蘭)ヒメヤブラン(姫藪蘭)

Japanese common name : Tamaryuu
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Ophiopogon japonicus (Thunb.) Ker-Gawl. f. nanus hort. 'Nanus'


タマリュウ(玉竜)
別名:チャボジャノヒゲ(矮鶏蛇の髭)/チャボリュウノヒゲ(矮鶏龍の髭)
キジカクシ科ジャノヒゲ属
学名:Ophiopogon japonicus (Thunb.) Ker-Gawl. f. nanus hort. 'Nanus'
花期:7月~8月 多年草 草丈:5~8cm 果期:12月~1月

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【学名解説】
Ophiopogon : ophio(蛇)+pogon(髭)/ジャノヒゲ属
japonicus : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Ker-Gawl. : John Bellenden Ker Gawler (1764-1842)
f. : forma(品種)
nanus : 小さい・低い
hort. : hortorum(庭園の)

撮影地:静岡県静岡市
静岡市駿河区谷田(植栽) 2006.02.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

12 February 2006
Last modified: 03 April 2014
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by pianix | 2006-02-12 00:00 | | Trackback | Comments(2)
マテバシイ(全手葉椎/馬刀葉椎)
 子供達は皆ドングリが好き。恐ろしいほどに細かい事を知っている子や、ドングリを付けるものは、どれでもドングリの木という名前だと思いこんでいる子など、様々です。自然豊かな所に住む子供達は自然の楽しさを知っています。ところがやがて大人になると、記憶がおぼろげになり、自然への興味を失ってしまう人が増えてきます。どうしてなのでしょうか。しかし年寄りになると、子供の頃の郷愁に浸るようになります。ドングリって、何だっけ。

 マテバシイ(全手葉椎/馬刀葉椎)は、ブナ科マテバシイ属の常緑高木です。日本固有種で、関東以西から九州の温暖な沿岸地に分布します。名の由来は、はっきりせず、葉がマテ貝に似ている等、幾つかの説があります。

 ブナ科(Fagaceae Dumortier, 1829)は、世界の温帯から亜熱帯に10属以上、600種程があります。マテバシイ属(Lithocarpus Blume, 1825)は、世界に100種以上あり、日本にはマテバシイとシリブカガシ(尻深樫) Lithocarpus glabra (Thunb. ex Murray) Nakai の2種のみが分布します。

 果実は長楕円形の堅果で、つぶつぶがある瓦状の殻斗に包まれています。枝に密集して穂状に付きます。ドングリとしては日本最大です。ツブラジイやスダジイの果実と同様に食べられますが、味は少し落ちるようです。葉は互生します。葉柄があり、全縁です。長さ5~18cm程の革質の倒卵状楕円形で、先は尖ります。表面は濃緑色で光沢があり、裏面は黄緑色です。

 5~6月頃に、雄花、雌花共に長さ9cm程の黄褐色の尾状花序を付けます。雌雄同株。成長が早く再生にも強い性質です。公害に強い事から街路樹として、枝別れが多く密生するので防風防火用に用いられます。庭園・公園にも植樹されます。

参考:アラカシ(粗樫)

Japanese common name : Mateba-sii
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Lithocarpus edulis (Makino) Nakai


マテバシイ(全手葉椎/馬刀葉椎)
別名:サツマジイ(薩摩椎)/マテバガシ/マテガシ/マタジイ/アオジイ
ブナ科マテバシイ属
学名:Lithocarpus edulis (Makino) Nakai
花期:5月~6月 常緑高木 樹高:10~15m 花径:5~8cm 果期:10月

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【学名解説】
Lithocarpus : lithos(石)+carpos(果実)/マテバシイ属
edulis : 食用の・食べられる
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)

撮影地:静岡県静岡市
静岡市葵区西ヶ谷(植栽) 2006.02.10
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 11 February 2006
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by pianix | 2006-02-11 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ワタ(綿)
 加工品が多いと、原材料を勘違いする場合があります。例えば、西瓜や落花生の果実が木からぶら下がっていると思いこんでいる子供がいます。アジの開きが泳いでるとなると、その想像力には感服するものの、寂しい思いもします。布団の中身のワタも、植物由来であることを知らない子供が多いし、知っていても、どのような形で付いているのか見たことが無いという人も多いようです。

☆  ☆  ☆

 ワタ(綿)は、アオイ科ワタ属の1年草です。東南アジアが原産です。古くから栽培されてきた繊維作物で、インドのモヘンジョ・ダロ遺跡(紀元前2500~1500年頃)からも発見されているそうです。名の由来は、不明です。綿は中国名で、カイコ由来から変遷して木綿綿を差すようになりました。英名は、tree cotton、あるいはCotton Plant。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は世界に121属1550種が分布、ワタ属(Gossypium L. (1753))は約40種があります。

 日本へは799年(延暦18年)に三河に漂着したインド人よって種がもたらされました(類聚国史による)。その後消滅してしまい、何度かの導入も失敗しています。気候風土が合わなかったと推測されます。

 文禄年間(1592~1595)に中国から入った種子により栽培が成功します。関東以西に広まり、明治20年までには2万4千トンの収穫がありました。その後は安価な輸入品に押され衰退し、商業栽培はほとんど無くなりました。2002年の綿実(食用油・乳牛の餌・油粕は有機肥料)輸入量は約15万トンであり、オーストリアからが96%を占めるに至っています。

 大別すると、アジアワタ(亜細亜綿)とリクチワタ(陸地綿=アプランドワタ)があります。アジアワタには、アジアワタ(Gossypium herbaceum L.)とインドワタ(Gossypium arboreum L.)があります。日本で栽培されてきたのはアジアワタの系統と考えられています。

 花後5週間ほどでできる果実は、卵形の蒴果(さくか)で、英語でコットンボール(Cotton Ball)と呼ばれます。初めは緑色で熟すと薄茶色になり、3~5片に割れて開きます。中から綿毛に包まれた20個以上の種子(綿実)が顔を出します。これを花に例えて綿花と言います。綿の花そのものではありません。綿毛は布団の綿や糸、織物として利用され、綿実の殻はキノコ栽培の培地としての利用があります。綿実には脂肪油約20%が含まれ食用油が精製されます。種子には催乳作用(女性の乳汁の分泌を増大させる作用)があります。ゴシポール(gossypol)という成分は有毒(食べると出血性胃腸障害を起こす・男性避妊薬)で、綿実油の精製ではこれを除去します。

 花は、淡黄色の花弁が5枚で、中心部が濃紅色をしています。オクラに似ています。一日花です。葉は3~5裂します。ワタの最適温度は20~28度の範囲で、生育期には多量の雨が必要となります。塩濃度の高い土壌でも生育する代わりに酸性を嫌う性質があります。種子で繁殖します。現在は綿毛が長いリクチワタ (陸地綿)(Gossypium hirsutum L.)の栽培が主流で、園芸用としても出回っています。

Japanese common name : Wata
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Gossypium herbaceum L.


ワタ(綿)
シロバナワタ(白花綿)
アオイ科ワタ属
学名:Gossypium herbaceum L.
花期:7月~9月 1年草(熱帯地方では多年草) 草丈:90~120cm 花径:5~6cm

【学名解説】
Gossypium : gossypion|gossum(腫れもの)/ワタ属
herbaceum : herbaceus(草本の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県立大学 薬用植物園 2005.12.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 7 February 2006
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by pianix | 2006-02-07 00:00 | | Trackback | Comments(2)
トウネズミモチ(唐鼠黐)
 トウネズミモチ(唐鼠黐)は、モクセイ科イボタノキ属の常緑小高木です。中国が原産地です。明治初年に日本に移入され、1960年代から植栽が盛んに行われるようになりました。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。名の由来は、在来種のネズミモチ(鼠黐)からで、果実がネズミの糞のように見え、モチノキ科モチノキ属のモチノキ(黐の木)に似ている事から。そのネズミモチの類似種であり、中国渡来の意味で唐を冠したものです。

 モクセイ科(Oleaceae Hoffmannsegg & Link, 1813-1820)は、北半球と南半球の温帯から熱帯にかけて27属約600種が知られていて、日本には、イボタノキ属、トネリコ属、ハシドイ属、モクセイ属、ヒトツバタゴ属、レンギョウ属の6属があります。イボタノキ属(Ligustrum C. Linnaeus, 1753)はヨーロッパ、北アフリカ、アジア、オーストラリアに約50種があり、日本には約10種が自生します。

 葉は、5~12cm程の大きさで、対生します。先端が尖った全縁(葉の縁が滑らか)の卵形で、艶があり柔らかです。ネズミモチと類似しますが大きめで、葉脈(主脈・側脈)が透けて見える事で識別することが出来ます。6月から7月頃に、円錐花序に白い5mm程の小さな花をつけます。花弁は4枚、雄しべは2本あります。虫媒の両性花で、染色体数2n=46です。花期はネズミモチより一月ほど遅れます。実は楕円形で、熟すと黒紫色となり、非常に多くを房状につけます。ネズミモチよりも大型です。液果(果皮が肉質で液汁の多い果実)であり、1)鳥(ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ、キジバト、ムクドリ、コムクドリ)によって運ばれ散布されます。

 成熟した果実を乾燥したものを、漢方薬の女貞子(ジョテイシ)として利用します。薬理作用は、強壮・強心・利尿・鎮咳・免疫増強・抗菌です。オレアノール酸、ベツリン、ルペオール、マンニトール、オレイン酸、リノレン醸、パルミチン酸等を含む苦味のある生薬です。中心性網膜炎、老人性白内障の眼科薬としても使用されます。葉を乾燥させた女貞葉は、消炎・鎮痛薬として使われます。

 公園樹や路側帯樹、生け垣などに利用されます。性質が強く繁殖も容易であることから、野生化して勢力を拡大しています。在来種ネズミモチの遺伝的攪乱も危惧1)されています。安倍川河川敷にも野生化したものが見られます。平成17年(2005年)に外来生物法で要注意外来生物に指定されました。現在は、生態系被害防止外来種とされています。

 1) 吉永智恵美・亀山章(2001)都市におけるトウネズミモチ(Ligustrum lucidum Ait.)の分布拡大の実態。日本緑化工学会誌27(1):44-49。

Japanese common name : Tou-nezumimoti
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Ligustrum lucidum Aiton


トウネズミモチ(唐鼠黐)
モクセイ科イボタノキ属
学名:Ligustrum lucidum Aiton
花期:6月~7月 常緑小高木 樹高:10~15m 花序長:10cm 果期:10~12月 実径:8~9mm

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【学名解説】
Ligustrum : ligare(縛る)/イボタノキ属
lucidum : lucidus(強い光沢のある・輝く)
Aiton : William Aiton (1731-1793)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から7.0km 左岸河川敷 2006.01.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 02 February 2006
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by pianix | 2006-02-02 00:00 | | Trackback | Comments(0)