カテゴリ:実( 35 )
ナンキンハゼ(南京黄櫨)
 ナンキンハゼ(南京黄櫨)は、トウダイグサ科シラキ属の落葉高木です。中国原産です。中国(南京)から渡来した、ハゼ(櫨)に似た実を付けるという事から名前が付いたと思われます。選定に強い事から街路樹等として、ごく普通に植えられている身近な木です。

 初夏に穂状の花をつけます。一つ一つを眺めると、花とは思えない単純な形をしています。雄花と雌花が付く、雌雄異花同株です。雄花と雌花のどちらかが先に咲く雌雄異熟であり、雄性先熟株と雌性先熟株に別れる性質を持っています。また、花粉を虫に運んでもらう虫媒花です。

 葉は寸づまりの卵形で、先端は尖っています。アカメガシワのように新芽は赤くなります。秋に紅葉が美しく、白の実を付けるので、コントラストがあって目立ちます。実は三方に膨らんだ丸い蒴果で、初めは緑色をしていますが、やがて茶色になり、仮種皮が3裂して反りかえり、白い種子3個を現します。やがて仮種皮が取れて白い種子だけになります。この種子は鳥達が食べに来て散布をしてくれます。種子を覆う白い部分は蝋(ろう)質で、蝋1)の原料にもなります。雄性先熟と雌性先熟の株では実の付き方が違ってきます。

 面白い性質を持っていますが、細かい事はさておいても、夏は爽やかな葉のささやき、秋は美しい紅葉と白い種子で、多くの人の目を楽しませてくれます。

 1)【和ロウソク】ハゼの実を細かく潰し、容器で加熱してロウを取り出します。これを冷まして固めたものを木ロウと呼びます。芯(灯心)は棒に和紙を巻き、その上にイグサ、真綿を巻きます。木ロウを温めて溶かし、濾し器でゴミを取り除いてから芯に染みこませます。固まってからロウをかけていき、12回繰り返した後に手で形を整え(下掛け)ます。さらに仕上げ用の木ロウを溶かして上掛けして形を整えます。先を切り取って芯を出し、棒を抜き取り、長さを揃えてできあがります。これを和ロウソクと言い、煤が少なく風に強い特長を持っています。なお、西洋ロウソクは石油系のパラフィンを原料とします。

Japanese common name : Nankin-haze
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Triadica sebifera (L.) Small


ナンキンハゼ(南京黄櫨)
別名:トウハゼ(唐黄櫨)
トウダイグサ科ナンキンハゼ属
学名:Triadica sebifera (L.) Small
synonym : Sapium sebiferum (L.) Roxb.
花期:6月~7月 落葉高木 樹高:~16m 花穂長:10cm 果実径:1cm
英名: Vegetable tallow

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【学名解説】
Triadica : 三数の花に因む/ナンキンハゼ属
sebifera : sebiferum(脂肪のある)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Small : John Kunkel Small (1869-1938)
---
Sapium : 粘る/シラキ属
sebiferum : sebifer/sebifera(脂肪のある)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Roxb. : William Roxburgh (1751-1815)/インド植物学創始者

撮影地:静岡県静岡市
葵区 西ヶ谷総合運動場(植栽) 2005.11.10
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

15 November 2005, March 26, 2009
Last modified: 02 September 2016
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by pianix | 2005-11-15 00:00 | | Trackback | Comments(4)
ツルウメモドキ(蔓梅擬)
 ツルウメモドキ(蔓梅擬)は、ニシキギ科ツルウメモドキ属の落葉低木です。山野に生育する落葉性の蔓植物です。しっかりとした茎を持っているので蔓植物に見えないかもしれません。よく見ると、枝の先端部分が蔓となって他の木に絡みついている事が分かります。生け花の花材として使われる事があります。

 雌雄異株で、雌花は花弁4枚の薄緑色をした6mm程の小さな花をつけます。雄花は8mm程で、5本の雄しべがあります。11月になると黄色の果実ができ、その仮種皮が3裂して光沢のある赤い実を現します。

 ウメモドキ(梅擬)に似た蔓植物ということから名前が付いています。ウメモドキは、その葉が梅に似ている、モチノキ科モチノキ属の植物です。赤い実を付けますが、ツルウメモドキのように仮種皮はありません。

 この時期になると、あらゆる所のツルウメモドキは枝を切り落とされ持ち去られているようです。生け花、リース材料、庭木、盆栽などに使われています。挿し木(密閉挿し)による増殖が可能です。

Japanese common name : Turu-ume-modoki
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Celastrus orbiculatus Thunb. var. orbiculatus


ツルウメモドキ(蔓梅擬)
ニシキギ科ツルウメモドキ属
学名:Celastrus orbiculatus Thunb. var. orbiculatus
花期:5月~6月 落葉低木 樹高:蔓性 花径:6~8mm 果期:10~12月 実:7~8mm

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【学名解説】
Celastrus : Celastros(西洋木蔦)からの転語。celasは晩秋の意/ツルウメモドキ属
orbiculatus : 円形の
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)/スウェーデンの植物学者
var. : varietas(変種)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.75km 右岸河川敷 2005.11.01
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: June 22, 2008
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by pianix | 2005-11-09 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ヒノキ(檜)
 ヒノキ(檜)は、ヒノキ科ヒノキ属の常緑針葉高木です。日本特産です。中国では扁柏を指し、日本のヒノキとは異なります。語源は「火の木」で、木を擦り合わせて火を起こした事からと言われていますが、信憑性に欠けるようです。材質が良く、高級建築材として使われています。ヒノキ科は世界に15属140種があり、日本には4属9種があります。福島県南東部から四国・九州に分布し、木曽ヒノキ林は日本三大美林のひとつに数えられます。中には50mに達するものもある高木です。

 雌雄同株で、4月頃に目立たない花を咲かせます。この花粉は花粉症の原因となります。杉花粉症の70%以上の人は、ヒノキ花粉に対しても発症するようです。樹木抽出成分のヒノキチオールは、タイワンヒノキに由来し、現在は青森ヒバから採取されます。10月に球果を付けます。模様がサッカーボールに似ている感じがします。

タイワンヒノキ(台湾檜):Chamaecyparis obtusa var. formosana
ヒノキアスナロ(青森ヒバ):Thujopsis dolabrata Siebold et Zucc. var. Hondai Makino

Japanese common name : Hinoki
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Chamaecyparis obtusa (Siebold et Zucc.) Endl.


ヒノキ(檜)
別名:真木(まき)
ヒノキ科ヒノキ属
学名:Chamaecyparis obtusa (Siebold et Zucc.) Endl.
花期:4月 常緑針葉高木 樹高:20~30m 雄花:2~3mm/雌花:3~5mm 果期:10月 球果:8~12mm

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【学名解説】
Chamaecyparis : chamai(小さい)+ cyparissos(糸杉)
obtusa : 鈍形の、鈍頭の
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)
Endl. : Stephan Friedrich Ladislaus Endlicher (1804-1849)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から14.75km 右岸(足久保) 2005.11.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 7 Novemberl 2005
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Last modified: June 22, 2008
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by pianix | 2005-11-07 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ケチョウセンアサガオ(毛朝鮮朝顔)-1
 河川敷の一角に花壇を設けて、ご老人達が四季の花を植栽し楽しまれています。その中にケチョウセンアサガオ(毛朝鮮朝顔)がありました。近くにいた人に話を聞きましたが、誰も、この花が猛毒である事を知りませんでした。育てやすい種類である事から園芸に広く栽培されています。また、繁殖力が強く野生化もしています。取り扱った後は手洗いをする等、厳重な注意が必要です。チョウセンアサガオ属は、生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。

 一般にチョウセンアサガオと呼ばれている主なものには、次の種類があります。

 チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)Datura metel L.
 ヨウシュチョウセンアサガオ(洋種朝鮮朝顔)Datura stramonium L.
 ケチョウセンアサガオ(毛朝鮮朝顔)Datura wrightii Regel
 キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)Brugmansia suaveolens (Humb. et Bonpl. ex Willd.) Sweet

 ケチョウセンアサガオ(毛朝鮮朝顔)は、ナス科チョウセンアサガオ属の多年草です。実は球形で、トゲ状の突起があります。キダチチョウセンアサガオ系の実に突起はありません。中には黒に近い焦げ茶色の種が入っています。似た種にヨウシュチョウセンアサガオがありますが、こちらは細長い卵形で、種は黒色です。この種子は食べると中毒症状を起こします。過去、中学生が麻薬的な幻覚症状を持つと勘違いして食し、集団の中毒事故を起こした事例があります。

 全草が有毒です。毒成分としてアルカロイド類(ヒヨスチアミン、アトロピン、スコポラミンなど)が含まれ、特に種子にアトロピンの含有量が多く、口渇、散瞳、心悸亢進、尿閉、消化管運動の減少が起こるとされています。経口致死量は4~5gとされています。誤食は、根を牛蒡、蕾をオクラ、種子をゴマと間違える事によります。

参考:ケチョウセンアサガオ(毛朝鮮朝顔)-2 キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)

Japanese common name : Ke-chousen-asagao
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Datura wrightii Regel

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左:果実(2005.10.14) 右:種子


ケチョウセンアサガオ(毛朝鮮朝顔)
別名:アメリカチョウセンアサガオ(亜米利加朝鮮朝顔)
ナス科チョウセンアサガオ属
学名:Datura wrightii Regel
花期:5月~10月 多年草(非耐寒性) 草丈:80~100cm 花径:4~8cm 花冠長:7~10cm
英名:Downy thorn apple

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【学名解説】
Datura : dhatura(インドの古い地名)/チョウセンアサガオ属
wrightii : 英国の植物学者C.H.ライトCharles Henry Wright (1864-1941)氏の
Regel : Eduard August von Regel (1815-1892)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km 左岸河川敷(植栽) 2005.10.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

1 November 2005, 22 June 2008
Last modified: 31 July 2017
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by pianix | 2005-11-01 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ツノナス(角茄子)-2
 ツノナス(角茄子)は、ナス科ナス属の1年草です。どうでしょう、この角度から見るとキツネの顔に見えますか? 少し無理をしてもらってツノナス(角茄子)の実に、こちらを向いてもらいました。豚には見えませんよね。

 ナス科(Solanaceae Juss. (1789))は、世界に90属約200種が分布します。日本には、6属14種が分布します。ナス属(Solanum L. (1753))は、世界の温帯から熱帯に約1400種があり、日本には12種があります。

 このツノナスは、河川敷に設けられたグランドの一角にありました。地域のご老人達が楽しみのために植えたものかと思います。果実はアルカロイドを含み、中毒を起こすと言われていて食べられません。ですから、できれば「食べるな危険」の表示を掲げてもらえたら良いかと思います。河川敷へは子供達も遊びに来ます。何かの拍子に口に入れる事が無いように注意が必要かもしれません。勿論、食べなければ大丈夫で、触ったぐらいでは何ともありません。生け花用に売られています。観賞用ですから食べる事はないと思いますが、お子さんをお持ちの家庭では要注意かもしれません。

 ある方から唐辛子で一番辛いと言われるハバネロ種を頂きました。種をさわったのを忘れて、眠気がさした瞼を擦ったら、猛烈な痛みがして目を開ける事ができなくなってしまった事があります。それと同じようなものは幾つかあります。植物を触ったら手洗いを忘れないようにする事が必要です。このグランドの花壇で、命に関わる猛毒を持つ他の植物を見つけて驚きました。誰もが触れる事ができてしまう場所では、相当の注意を払って植栽すべきものと思います。

 それにしても、ツノナスの果実は可愛いです。おもちゃみたいです。

参考:ツノナス(角茄子)-1

Japanese common name : Tuno-nasu
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Solanum mammosum L.


ツノナス(角茄子)
別名:キツネナス(狐茄子)/流通名:フォックスフェース(fox face=和製英語)/英名:nipple-fruit
ナス科ナス属
学名:Solanum mammosum L.
花期:9月~11月 1年草/日本(非耐寒性低木) 樹高:100~140cm 花径:3cm 実長:5~8cm

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【学名解説】
Solanum : solamen(安静)/ナス属
mammosus : 乳頭状突起をもつ
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km 左岸河川敷(植栽) 2005.10.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: June 25, 2008
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by pianix | 2005-10-18 00:00 | | Trackback | Comments(10)