カテゴリ:菌類( 3 )
ホコリタケ(埃茸)
 ホコリタケ(埃茸)は、ハラタケ目ハラタケ科ホコリタケ属のキノコです。世界各地に分布します。日本では、全国に分布する在来種です。名の由来は、胞子が埃のように放出される事から。英名は、Common Puff Ball。中国名は、网纹马勃。生薬名は、バボツ(馬勃)。

 ハラタケ科(Agaricaceae Chevall. (1826)) は、85属1340種が分布すると言われています。ホコリタケ属(Lycoperdon Pers. (1794) : Pers.)は、日本では十数種の記載があるものの研究が待たれる分野です。

 夏から秋に、林下や草地に発生します。子実体は擬宝珠形で、頭部の下にスポンジ状で胞子が含まれない無性基部があり、径2~6cm、高さ3~6cm。幼菌は白色ですが、灰褐色へと変色します。外皮は頭頂部に三角錐状の刺状突起があり、側面以下は粒状物が付きます。これらは次第に色が濃くなり、剥離して網目紋を表します。

 頭部内部は、初め肉質の白色で、やがて綿状黒褐色の胞子塊になります。成熟すると、頭頂部に小孔が開き、雨や風、動物等の刺激振動で胞子を噴出させて散布します。胞子は、径約4μm。胞子紋は、胞子紋は黄褐色。風、動物等の刺激振動で胞子を噴出させて散布します。胞子は、径約4μm。胞子紋は、胞子紋は黄褐色。

 類似種として、朽ち木に発生するタヌキノチャブクロ(狸の茶袋)Lycoperdon pyriforme Schaeff. があります。

☆  ☆  ☆

 ホコリタケは、私の好きなキノコの一つです。結構頻繁に目にします。誰もがやるように、ツンツンと突いて胞子を噴出させるのが楽しく、思わず童心に返ってしまいます。そんな事していじめたら可哀想ではないかと思われるかもしれませんが、このキノコの立場で考えると、願ったり叶ったりではと思います。踏みつけられて潰れたとしても、胞子をばらまくのが子実体の役目ですから、ありがとうねと言われるかもしれません(喋ったら怖い)。もっとも、大量に胞子を出すので、突いて直ぐに逃げたりもします。

Japanese common name : Hokori-take
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Lycoperdon perlatum Pers.

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幼菌は白色
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三角錐状の刺状突起がある。無いものは、タヌキノチャブクロの可能性がある

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熟すと刺状突起は剥離して無くなり、網目紋となる
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頭頂部に穴が開き、刺激を受ける事で胞子が放出される
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胞子を出し切って潰れた老菌


ホコリタケ(埃茸)
別名:狐の茶袋
ハラタケ科ホコリタケ属
学名:Lycoperdon perlatum Pers.
子実体発生期:夏~秋 腐生菌 頭部径:2~6cm 高さ:3~6cm

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【学名解説】
Lycoperdon : lykos (オオカミ)+perdon(放屁)/ホコリタケ属
perlatum : perlatus(非常に広い)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)

撮影地:静岡県静岡市
駿河区大谷・静岡大学構内 2007.11.18
安倍城跡 2008.04.15, 2008.05.20, 2008.11.26, 2012.03.28, 2012.10.26
高山(牛ヶ峰)2016.10.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 22 December 2016
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by pianix | 2016-12-22 00:00 | 菌類 | Trackback | Comments(0)
ツチグリ(土栗)
 ツチグリ(土栗)は、ニセショウロ目ツチグリ科ツチグリ属のキノコです。日本全国に分布する在来種です。菌類で、菌糸によって形成されます。名の由来は、幼菌の外形が土から出た栗のようだから、あるいは柿のようだからと言われています。学名の種小名は、現在未定で、ツチグリ属の一種との扱いになっています。英名は、hygroscopic earthstar。中国名は、硬皮地星(ying pi de xing)。同名の植物に、バラ科キジムシロ属のツチグリ(土栗)Potentilla discolor Bunge があります。

 林内の斜面に発生します。地中の菌糸から菌子束を作り、地中に幼菌を形成します。黒褐色で扁平球形の硬い外皮に包まれています。外皮の底には根のような短い菌子束が付きます。幼菌の内皮内部は白色です。この時点では食用に用いられる事があります。内皮中にある坦子器によって胞子を生成します。成熟すると胞子は担子器から分離し袋内に充満します。やがて地中から地表に出てきます。

 雨が降り湿度が高まると、成菌は外皮が6~10深裂してヒトデ状に平開、反り返ります。外皮は外・中・内層の3層構造で、中層が吸湿膨張して開く仕組みです。この時、薄膜状の白色内層表面は亀裂模様を生じます。この亀裂模様は時間経過と共に剥がれ落ちていきます。基本体(グレバ)である内皮は褐色で、薄膜の袋状です。全体は、皮を剥いた蜜柑、あるいは蛸の足と頭部のような形状です。

 水分を吸収して外皮を開いたツチグリは、雨粒などの振動刺激によって子実体の袋状頭頂部にある小孔から褐色の胞子塊を煙状に散布します。胞子は径約8μm。

 乾燥すると外皮が内側に丸まり、子実体の袋状頭部を覆い隠します。晴天時は、風などで転がって移動します。胞子紋は茶色です。時期が経つと外皮は亀裂を残したまま胞子の散布活動を終えますが、頭部が無くなっても、湿度によって広がったり丸まったりを繰り返します。一部の地域では幼菌を食用とします。

 似たキノコに、ツチグリよりも小型で、外皮裂片が13~15の、コツチグリ(小土栗)Astraeus koreanus (V.J.Staněk) Kreisel や、ヒメツチグリ科の、エリマキツチグリ(Geastrum triplex Jungh)、別属の外皮を欠いたホコリタケ(埃茸)Lycoperdon perlatum Pers. があります。

※多くの資料に、外皮が閉じる時に袋を押して胞子を放出するとあります。胞子が大量にあり外皮が開いているツチグリを採取して室内で観察しましたが、胞子の放出は見られませんでした。確かに爪状の尖った外皮裂片先端が袋を押しますが、頭頂孔まで塞いでしまいました。この状態では、外皮が袋を保護して放出を防いでいるとしか考えられません。また、晴天時には約1日をかけてゆっくりと外皮は閉じました。この結果から、雨天時に外皮が開き、頭部が露出されている状態で、ホコリタケと同様に外部の刺激を利用して胞子の放出を行うと結論づけました。また、外皮を開く効用として、転がらないように支える事と、頭部を上向きに保持する等が考えられます。

Japanese common name : Tuti-guri
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Astraeus sp.
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外皮が6~10深裂してヒトデ状に平開する
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子実体の袋状頭部に穴があり、雨の刺激等によって胞子塊を煙状に散布する
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晴天時に丸まったツチグリ

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左:乾燥すると外皮が反り返り、地表から立ち上がるようになる。
右:左上は丸まり始め、右上は閉じた個体、左下は裏側、右下は幼菌


ツチグリ(土栗)
別名:ツチガキ(土柿)
ニセショウロ目ツチグリ科ツチグリ属
学名:Astraeus sp.
Astraeus hygrometricus [non (Pers.) Morgan] sensu auct. jap.
子実体発生期:夏~秋 菌根菌 頭径:2~3cm 高さ:約2~3cm

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【学名解説】
Astraeus : 星形の、ギリシャ神話の星神/ツチグリ属
sp. : species(種)
---
hygrometricus : 湿気のために運動する/hygros(湿)+metricus(計量の)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)
Morgan : Andrew Price Morgan (1836-1907)
non : ではない[否定]
sensu : sensus(意見)
auct. : auctorum(著者等の)
jap. : Japon(日本)

撮影地:静岡県静岡市
葵区西ヶ谷 2012.11.10
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

14 December 2016
Last modified: 25 December 2016
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by pianix | 2016-12-15 00:00 | 菌類 | Trackback | Comments(0)
タマゴタケ(卵茸)
 タマゴタケ(卵茸)は、テングタケ科テングタケ属のキノコです。アジアやロシア、北アメリカ東部に分布します。日本では全国に分布します。名の由来は、卵のような幼菌があるキノコ(茸)であることから。キノコは、木陰や朽ち木から発生する場合が多いので「木の子」と呼ばれるようになったと言われています。キノコは子実体を差しますが、俗称であって明確な定義や基準があるわけではありません。

 ハラタケ科(Agaricaceae Chevall. (1826)) は、85属1340種が分布すると言われています。テングタケ属(Amanita Pers. (1797))は、テングタケ亜属とマツカサモドキ亜属があり、タマゴタケはテングタケ亜属タマゴタケ節に含まれます。

 キノコの生活史は、主に2つに区分されます。栄養成長世代と生殖成長世代です。栄養成長世代とは、胞子1)から菌糸2)集合体を形成し、私たちが目にするキノコである「子実体」が現れるまでを言います。胞子の発芽(一次菌糸)があり、接合や交配を行い、菌糸に瘤状のクランプ(かすがい連結)を作り(二次菌糸)、菌糸が集まって菌糸集合体を形成します。そこから子実体を発生させます。

 生殖成長世代とは、子実体のヒダ3)にある担子器4)で胞子を形成する「成熟子実体」までを言います。担子菌は核融合を行い、減数分裂を2度経て胞子を形成します。この先は、生殖成長世代へ移行します。キノコについては解明されていないことが非常に多くあります。

 山野の広葉樹、針葉樹の林下に自生します。9月から10月頃、子実体が現れます。幼菌は白色外被膜に覆われた卵形で、長さ約3cm。先端部を破って艶のある赤色の成菌が出てきます。初めは赤い楕円形で、やがて中央部が盛り上がった傘5)を開きます。傘は中心生6)で周縁部に条線(平行な筋)があり、径5~18cm。

 柄7)は淡黄色で長さ7~17cm、幅6~15mm。黄色と橙色のだんだら8)模様があり、中空。傘の下には赤橙色で膜質のツバが垂れ下がります。柄の基部に、内側が淡黄色の外被膜が残り、壺(脚苞)となります。傘内側は淡黄色で離性9)のヒダが密生します。胞子紋10)は白色。胞子は無色の楕円形か円形。老菌になると傘の赤色が退色して茶色になります。

 タマゴタケは食用菌です。鮮やかな赤色であるため毒キノコの様相ですが、食べられます。キノコ類の採取に関しては、生半可な知識により誤食事故が多発していますから細心の注意を必要とします。傘が赤色で白色のイボが付着するベニテングタケ11)(紅天狗茸)は毒キノコです。タマゴタケモドキ12)(卵茸擬)は似ていますが、黄色でヒダが白色、縁に条線が無い形状の猛毒キノコです。

1)胞子:シダやコケ植物、藻類、菌類・原生生物の変形菌などが形成する生殖細胞。
2)菌糸:菌類の体を構成する糸状の構造。生殖菌糸・骨格菌糸・結合菌糸・汁管菌糸などの機能別菌糸がある。
3)ひだ:傘裏側に形成される刃状の器官。
4)担子器:担子菌類の菌糸の末端にある担子胞子をつくる細胞。
5)傘:キノコ上部に付く帽子のような部位。傘を持たないキノコは頭部と呼ばれる。
6)中心生(ちゅうしんせい):傘の中心に柄が付着すること。他に、偏心生・有柄側生・無柄がある。
7)柄:傘を支えている円筒状の部位。
8)だんだら(段だら):幾つもの段があること。
9)離生(りせい):柄の上端とひだの末端とが離れていること。他に、直生・上生・垂生・湾生・隔生がある。
10)胞子紋:キノコの胞子を紙などに落下させて転写した模様。
11)ベニテングタケ(紅天狗茸)Amanita muscaria (L. : Fr.) Pers.
12)タマゴタケモドキ(卵茸擬)Amanita subjunquillea Imai

Japanese common name : Tamago-take
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Amanita caesareoides Lj.N.Vassilieva

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幼菌は白色の外被膜に包まれた卵形。外被膜先端を破って成菌が伸びてくる。

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傘縁周囲の条線がはっきりとしてくる。幼菌は内側が黄色の壺として残る。


タマゴタケ(卵茸)
ハラタケ目テングタケ科テングタケ属
学名:Amanita caesareoides Lj.N.Vassilieva
synonym : Amanita hemibapha (Berk. et Broome) Sacc.
子実体発生期:9月~10月 菌根菌 傘径:6~18cm 柄長:7~17cm

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【学名解説】
Amanita : トルコ南部Amanus山脈の/テングタケ属
caesareoides : caesare(皇帝)+oides(のような)
Lj.N.Vassiljeva : Ljubov Nikolaevna Vassiljeva (1901-1985)
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hemibapha : 半分染めた
Berk. : Miles Joseph Berkeley (1803-1889)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Broome : Christopher Edmund Broome (1812-1886)
Sacc. : Pier Andrea Saccardo (1845-1920)

撮影地:静岡県静岡市
梶原山(Alt. 279m) 2016.09.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 01 December 2016
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by pianix | 2016-12-01 00:00 | 菌類 | Trackback | Comments(0)