カテゴリ:水辺の植物( 13 )
ゴキヅル(合器蔓)
 ゴキヅル(合器蔓)は、ウリ科ゴキヅル属の蔓性1年草です。日本、朝鮮、中国、東アジアに分布します。日本では、本州、四国、九州に分布する在来種です。地域によっては、絶滅危惧I類、絶滅危惧II類、準絶滅危惧種に指定されています。名の由来は、果実が蓋付きの椀である合器(ごうき)のようである事から。中国名は、盒子草(hé zi cǎo)。

 ウリ科(Cucurbitaceae Juss. (1789))は、15連、約95属942種1)以上が分布します。日本には、5属10種が自生分布し、栽培種及び帰化種は10属11種があります。ゴキヅル属(Actinostemma Griff. (1841)) は、日本、朝鮮、中国、インドシナに3種があります。

 日当たりの良い水辺や湿った草地で自生します。蔓性で、葉腋から糸状の巻きひげを出し、他の物に絡みついて覆い被さるように繁殖します。茎は細く、稜があります。上部の茎は径約1mm、巻きひげは、径約0.1mm。巻きひげは托葉の変形と考えられています。茎の稜や萼片、花柄、葉脈、葉縁、葉柄に白色の短毛が密生します。葉は互生します。濃緑色で、長さ5〜10cm、幅2.5〜7cmの三角状披針形、広心形、狭長心形と形状に変異の幅があり、鋭頭。

 花期は、7月から11月頃。総状花序を出し、葉腋から糸状の花柄の先に白色の花をつけます。萼と花冠は同じ形で5全裂します。裂片は披針形で先端は細く尖り、尾状に伸びて放射状に広がります。萼片と花被片の中央に縦筋があります。顎片と花被片が交互に重なり並ぶので10枚の花びらに見えます。花径は約7mm。

 雌雄異花同株。雄花は、5個の雄しべがあります。雌花は、5個の退化雄しべと1個の雌しべがあり、子房は緑色。雌花と雄花の見分けは容易で、花冠裏側の基部に子房があるかどうかで判別できます。雄花は花柄が顎につながりますが、雌花は花柄が子房につながり、その上に顎があります。果期には、雄花、雌花とも顎と花冠を落とします。

 果実は、蓋果2)です。長さ約20mm、幅約12mmのドングリに似た長楕円形の果実で、下垂します。上部(付け根部分)が緑色で疣状突起があり、下部は淡緑色。熟すと果実中央付近が横に割れて上部は残り、下部の蓋にあたる果皮と2個の種子を落とします。まれに3個の種子があります。種子は、黒褐色のしわがある扁平卵形で長さ11~13mm、幅8~9mm。落下後は水に浮きます。種子繁殖します。染色体数は、2n=66。

 ゴキヅルの種子及び地上部には、サポニン成分中にトリテルペノイド配糖体(Triterpenoid glycosides, Dammarane型、Baccharane型、Oleanane型)が含まれ3)、種子には、オレアノール酸(Oleanolic Acid)とギプソゲニン配糖体(Gypsogenin glycosides)が含まれます4)。中国では利尿剤等として用いられてきました。

1)Phylogenetic relationships in the order Cucurbitales and a new classification of the gourd family (Cucurbitaceae). Hanno Schaefer & Susanne S. Renner (TAXON Volume 60, Number 1, February 2011: pp122-138)
2)蓋果(がいか、pyxidium):蒴果の一種で、熟すと果皮が横に裂開する果実。上部が蓋のように取れて種子を放出し、下部が椀状に残る。オオバコやスベリヒユなどがある。
3)ウリ科植物ゴキヅルActinostemma lobatum MAXIM.の成分研究 地上部に含まれるトリテルペノイド配糖体の構造. 藤岡 稔大(福岡大薬)、他. release date:2017.08.18
4)Studies on the Constituents of Actinostemma lobatum MAXIM. VI. Structures of Lobatosides I, J and K, Oleanolic Acid and Gypsogenin Glycosides Isolated from the Seed : Chemical and Pharmaceutical Bulletin Vol. 40 (1992) No. 5 P 1105-1109 : Toshihiro FUJIOKA,etc. 2008

Japanese common name : Goki-duru
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Actinostemma tenerum Griff.

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蔓は巻きひげで立ち上がる。花冠は顎5花被片5で放射状に開く。

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<雄花>                <雌花>

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<雌花> 花冠の中央が緑色の子房。花冠裏側の子房は疣状突起がある

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葉は互生し、角状披針形、あるいは広心形や狭長心形で、形状には変異がある

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葉裏の葉脈は浮き出る

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茎の稜や萼片、花柄、葉脈、葉縁、葉柄に白色の短毛が密生

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果実は蓋果。熟すと果実中央付近が横に割れる。種子が2個入っている。
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種子表面にはしわがある。長さ約13mm。落下して水に浮く。


ゴキヅル(合器蔓)
別名:モミジバゴキヅル(紅葉葉合器蔓)、ツタバゴキヅル(蔦葉合器蔓)
ウリ科ゴキヅル属
学名:Actinostemma tenerum Griff.
synonym : Actinostemma lobatum (Maxim.) Maxim. ex Franch. et Sav. var. racemosum (Maxim.) Makino
花期:7月~11月 1年草 草丈:蔓性(約2m) 花径:約7mm 果実長:約20mm

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【学名解説】
Actinostemma : akti(放射線)+stamma(冠)/ゴキヅル属
tenerum : 細い
Griff. : William Griffith (1810-1845)
---
synonym : 同物異名
lobatum : lobatus(浅裂した)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Sav. : Paul Amedee Ludovic Savatier (1830-1891)
var. : varietas(変種)
racemosum : racemosus(総状花序をつけた)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
麻機遊水地第3工区 2017.09.23, 09.24, 09.25, 09.29, 10.04
麻機遊水地第4工区 2017.09.29, 10.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 9 October 2017
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by pianix | 2017-10-09 18:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)
オオガハス(大賀蓮)
 オオガハス(大賀蓮)は、ハス科ハス属の多年草です。千葉県検見川の約2000年前(弥生時代後期)の遺跡で発見された種子から開花1)した古代蓮です。大賀一郎博士2)によって発芽に成功したもので、彼の名前が冠せられています。二千年ハスとも言われます。長年にわたって遺伝的攪乱が無かった古代のハスという事に意味がありますが、在来のハスの一つで、学名が異なるわけではありません。アジア(イラン、インド、中国)やオーストラリアに分布します。日本では全国に分布します。名の由来は、古名のハチス(蜂巣)からと言われています。英名は、Indian lotus。

 ハス科(Nelumbonaceae A.Rich. (1827))は、1科1属です。ハス属(Nelumbo Adanson, 1763)は、アジア種のハス(蓮)Nelumbo nucifera Gaertn.とアメリカ種であるキバナハス(黄花蓮)Nelumbo lutea Willd.の2種が分布し、カスピ海種Nelumbo caspicumを含めて3種があるとされています。

 抽水植物です。水辺に生育する植物は水生植物(Aquatic Plant)と言われ、淡水域に生育する植物の総称です。水生維管束植物は世界に約1000種、日本に約100種あると言われています。抽水植物は、根が水底の土中にあり、一定期間、葉や茎の一部が水面に出る植物を言います。根が水に浸かった地に張り、茎や葉の一部が水上に出る植物の事です。当然ながら根は水没しているわけで、根に酸素を供給する必要があるため、茎には通気組織があります。水質の浄化機能、生物の繁殖・生育に役立つとされています。他に、葉を水面に浮かせる浮葉植物、水底に根を張らずに浮く浮漂植物、全てが水中にある沈水性植物があり、湿地や湿原に生育するものも含まれます。

 沼地で生育します。地下茎は太く長い多節の根茎で、レンコン(蓮根)として食用にします。根茎や茎には空気を通すための中空洞があります。葉柄を水面より上に出し、径25~90cm程の撥水性のある楯形葉 3)を単生させます。葉柄は葉の中央につき、葉脈を放射状に伸ばします。

 花期は、7月から8月頃。花茎を50~100cmに伸ばし、茎頂に直径10~20cm程の花を1個つけます。萼片は2~5個。花弁は10~30個で舟形。花色は薄桃色。花弁中央部に花托があり、黄色の雄しべを周囲に多数付けます。両性花です。朝開夕閉の傾光性があり、数日繰り返します。ハスの花をレンゲ(蓮華)とも言います。

 花弁を落とした後に蜂の巣状の果托4)が残ります。果実は堅果です。始め緑色で茶色に熟します。種子は楕円形状。澱粉を多く含みます。種子や地下茎で繁殖します。乾燥果実を生薬のレンニク(蓮肉)として、鎮静、滋養強壮に用いられます。

1) 1952(昭和27)年7月18日に開花、1954(昭和29)年に千葉県の天然記念物「検見川の大賀蓮」とされました。その後、国内外に移植されています。古代ハスは、行田蓮(1400-3000年前)、中尊寺ハス(800年前)等があります。
2) 大賀一郎 Ichiro Ohga (1883-1965) 理学博士
3) 楯形葉(じゅんけいよう):葉身の中央に葉柄がつく葉(peltate leaf)。
4) 果托(かたく):花弁の土台になるのが花托(receptacle)で、種子の土台になるのが果托(fruit receptacle)。時期によって異なる名称になるが、花柄の先が肥大した植物の器官で同じ部分。

Japanese common name : Ohga-hasu
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Nelumbo nucifera Gaertn.

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円形の楯形葉。葉柄は葉の中央につく。

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蜂の巣状の果托
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種子


オオガハス(大賀蓮)
別名:コダイハス(古代蓮)
ハス科ハス属
学名:Nelumbo nucifera Gaertn.
花期:7月~8月 多年草(水性) 草丈:50~100cm 花径:15~20cm

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【学名解説】
Nelumbo : ハスを意味するタミル語/ハス属
nucifera : nuciferum(堅果を持った)
Gaertn. : Joseph Gaertner (1732-1791)

撮影地:静岡県焼津市
サッポロビール静岡工場ビオトープ園 2015.08.12
[Location : Yaizu City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 November 2015
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by pianix | 2015-11-23 08:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)
ミズバショウ(水芭蕉)
 ミズバショウ(水芭蕉)は、サトイモ科ミズバショウ属の多年草です。アジア北東(カムチャッカ半島、サハリン)や日本に分布します。日本では、本州(兵庫県、中部以北)から北海道に分布します。名の由来は、葉がバショウ(芭蕉)に似て、水辺や湿地に咲く事から。

 サトイモ科(Araceae Juss. (1789))は、115属2000種以上が熱帯を中心に分布します。ミズバショウ属(Lysichiton Schott, 1857)は、世界に2種あり、北米と東アジアに1種ずつ分布します。

 湿地や湿原に自生します。径4~5cmで1mを越す太く長い根茎があり、ひげ根が多数あります。不溶性蓚酸塩1)を含み、全草が有毒です。根生葉を輪生させ、草丈は60~80cmになります。葉は、長さ40~80cm、幅15~30cmの長楕円形で、全縁。花後にも成長します。葉腋から、長さ10~30cmの花茎を出します。

 花期は4月から5月頃で、産地によって異なります。多肉花軸の周囲に柄のない花を均等に密生させる肉穂花序 (spadix)を立ち上げます。穂状花序(spike)を特殊化した形態で、無限花序の一つです。肉穂花序は、円柱状で長さ12cmぐらい。まわりを囲む花弁状の仏炎苞2)があり、長さ10~15cmの白色の卵形で、基部は筒状、上部は舟形です。

 両性花で、雌雄異熟。柱頭が先に熟す、雌性先熟です。花は、径3~4mmの六角状で、4個の淡緑色をした花被片と4個の雄しべ、1個の雌しべがあります。花粉は黄色。果実は液果で、緑色に熟します。子房は2室で、各室に種子2個をつけます。種子は褐色で、水面に浮き、長さ約4mm。染色体数は、2n=28。

 本種の他に、北米に分布し仏炎苞が黄色の、アメリカミズバショウ(アメリカ水芭蕉)Lysichiton americanum Hulten et St.John があります。

1)蓚酸塩(しゅうさんえん・oxalate):接触により皮膚炎症、誤食により、口腔炎症、嘔吐、重度の下痢、強直性痙攣(低カルシウム症)等を起す。
2)仏炎苞(spathe):肉穂花序(花軸に密集してつく小花)を囲むように発達した苞葉。形状が仏像の光背の炎形に似るため。

 ※高山の池に咲く水芭蕉は、地元JA静岡市水見色女性部が移植したもので、自生ではありません。1995(平成7)年に群馬県片品村から24株を譲り受けたものです。高山や高山の池については、静岡市役所 経済局 農林水産部 中山間地振興課 〒421-1212 静岡市葵区千代538-11 静岡市林業センター 電話054-294-8807 Fax054-278-3908 へお問い合せ下さい。
 ※高山(牛ヶ峰)のハイキングコースについては、静岡市観光交流文化局 スポーツ振興課 電話:054-221-1038へお問い合せ下さい。

参考:オランダカイウ(阿蘭陀海芋)

Japanese common name : Mizu-basyou
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Lysichiton camtschatcense (L.) Schott

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両性花で、雌雄異熟。
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2015.04.17

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左:花期 2015.04.17 <花は、径3~4mmの六角状> 右:花後 2008.05.07
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花期のミズバショウ
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1月のミズバショウ 2015.01.20

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左:水面が凍っている2月 2008.02.22 右:水が緩んだ3月 2008.03.06
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高山の池 2008.03.06

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左:4月 2008.04.04 右:5月 2008.05.07
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4月の高山の池 (窪地にできた小さな池です)


ミズバショウ(水芭蕉)
サトイモ科ミズバショウ属
学名:Lysichiton camtschatcense (L.) Schott
花期:4月~5月(~7月) 多年草 草丈:60~80cm 花径:3~4mm

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【学名解説】
Lysichiton : lysis(分離)+chiton(衣服)/ミズバショウ属
camtschatcense : カムチャッカの(camtschatcensis, camtschaticus)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Schott : Heinrich Wilhelm Schott (1794-1865)
---
ca. : circa(約、およそ)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt. 716.7m)/高山の池(Alt. ca. 580m)/移植
2008.02.22, 2008.03.06, 2008.04.04, 2008.05.07
2015.01.20, 2015.04.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

29 April 2015
Last modified: 29 June 2015
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by pianix | 2015-06-29 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)
カワヂシャ(川萵苣)
 カワヂシャ(川萵苣)は、オオバコ科クワガタソウ属の2年草です。日本、中国、東南アジア、インドに分布します。日本では、本州(中部地方以西)、四国、九州、沖縄に分布する在来種です。環境省カテゴリでは、準絶滅危惧(NT)種。名の由来は、乳草が転訛してチシャ(レタス)となり、川に多い事からカワヂシャ。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss.(1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. (1753))は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 川などの水辺に自生します。茎は淡緑色で丸く柔らかく、直立します。分岐しながら草丈は10~50cmになります。葉は十字対生します。長さ4~8cm、幅0.8~2.5cmで無毛、長楕円状披針形から被針形(先が尖る)です。基部は茎を抱き、鋸歯があり、縁が波打ちます。若い葉は食用になりますが、準絶滅危惧(NT)種という事もあり採取が難しいかもしれません。

 花期は5月から6月頃です。茎の先端や葉腋から、長さ5~15cmの総状花序を出します。花は白色の合弁花で、花冠は深く4裂します。裂片は広卵形で平開し、下側の一弁が少し小さい左右相称。花径3~4mmで、淡紅紫色の条(すじ)が入ります。条色はオオカワヂシャのようには濃くはなく、また花弁全体にではなく上側に偏ってつきます。花冠基部は黄緑色を帯びます。

 雄しべ2個、雌しべ1個の両性花です。葯室は2、葯色は薄黄色で花粉は白色。子房2室。萼は4列し、果実と共に残る宿存性。果実は蒴果です。長さ10~15mmの中央がへこんだ球形で、1mm程の残存花柱があります。種子は褐色の扁平楕円形で、長さ約0.5mm。染色体数は、2n=54。

 類似のオオカワヂシャ1)(大川萵苣)は外来種であり、「外来生物法」で特定外来生物に指定されています。飼育、栽培、保管及び運搬、輸入が原則禁止、野外へ放つ、植える及びまくこと、譲渡し、引渡しなどをすることが禁止され、違反者には懲役あるいは罰金が科せられます。

 在来種カワヂシャ(2n=54)と外来種オオカワヂシャ(2n=36)との交雑種にホナガカワヂシャ2)(2n=5x=45)があります。これは5倍体の為ほとんど結実しません(田中 1994)。しかし「発芽能力のある種子を生産することが、野外観察及び人為交配実験から確認されており、在来種の遺伝的攪乱が生じている」とされています。

1)オオカワヂシャ(大川萵苣) Veronica anagallis-aquatica L.
2)ホナガカワヂシャ(穂長川萵苣) Veronica × myriantha Tos.Tanaka

Japanese common name : Kawa-disya
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Veronica undulata Wall.

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オオカワヂシャが勢力を拡大する中、わずか数株が点在していた。

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花は深く4列した合弁花で径3~4mm。白地に薄い紫色の筋が入る。

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葉は荒い鋸歯がある。時期はじめなので、まだ小さい。


カワヂシャ(川萵苣)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica undulata Wall.
花期:5月~6月 2年草 草丈:10~50cm 花径:3~4mm

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【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
undulata : undulatus(波状の・うねった)
Wall. : Nathaniel (also Nathan Wolf) Wallich (1786-1854)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.75km右岸河川敷 2007.04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

2 July 2012
Last modified: 24 September 2015
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by pianix | 2012-06-23 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)
ウナギツカミ(鰻攫)
 ウナギツカミ(鰻攫)は、タデ科イヌタデ属の1年草です。日本・朝鮮・中国・シベリアに分布します。国内では北海道から九州に分布します。名の由来は、茎に棘があり、ウナギ(鰻)でも掴む事ができるとの例えから。

 タデ科(Polygonaceae Juss. (1789))は北半球に約40属800種があります。タデ科の特徴は、葉柄の基部の托葉が茎を包む形の托葉鞘となる事です。イヌタデ属(Persicaria (L.) P.Miller, 1754)は北半球に約100種あり、日本には約30種があります。

 水湿地に生育します。茎は4稜(断面が四角形)があります。地を這い、分枝しながら茎や葉柄にある下向きの棘によって他の植物に引っ掛けながら成長し、高さ60~100cmになります。葉の付け根にある托葉鞘1)は、長さ0.7~1cmの筒形。葉は、互生します。長さ5cm~10cmの卵状披針形から長被針形で、先端は鋭頭、基部が耳状に張り出し茎を取り巻くような形の、やじり(矢尻|鏃)形です。せんけい(箭形)とも言います。

 花期は7月から11月頃。茎の先端や葉腋から枝分かれして、その先端に小花が数十個集まった頭状花序を出します。花柄は無毛。小花は花弁はなく、白色で先端が淡紅色の深く5裂した萼の花被があり、花径は3~4mm。果実は痩果です。染色体数は、2n=36。

 類似種に、
シロバナウナギツカミ(白花鰻攫)Persicaria sagittata (L.) H.Gross f. viridialba (Honda) H.Hara
ヤノネグサ(矢の根草)Persicaria muricata (Meisn.) Nemoto
があります。

1)托葉鞘(たくようしょう、ochrea):托葉が癒合して鞘状となり茎を取り巻くもの。
托葉(たくよう、stipule):葉の基部ある葉に似た器官で、芽生えの葉身を保護する。
葉鞘(ようしょう、leaf sheath):葉の基部で茎を取り巻いている部分。

Japanese common name : unagi-tukami
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Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe

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左:葉は矢じり形 右:下向きの棘


ウナギツカミ(鰻攫)
別名:アキノウナギツカミ(秋の鰻攫)
タデ科イヌタデ属
学名:Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe
synonym : Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki
花期:7月~11月 1年草 草丈:60~100cm 花被長:3mm

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【学名解説】
Persicaria : persica(モモ)に似ている/タデ科
sagittata : sagittatus(ヤジリ形の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
H.Gross : Hugo Gross (1888-1968)
var. : varietas(変種)
sibirica : sibiricus(シベリアの)
Meisn. : Carl Daniel Friedrich Meisner (1800-1874)
Miyabe : 宮部金吾 Kingo Miyabe (1860-1951)
---
*synonym : Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki
sieboldii : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)に因む
Ohki : 大木麟一 Kiichi Ohki (1882-?)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.00km 左岸河川敷 2006.11.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 November 2006
Last modified: 05 March 2015 (Scientific name update)
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by pianix | 2006-11-25 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)
ミクリ(実栗)
 ミクリ(実栗)は、ミクリ科ミクリ属の多年草です。アジアに広く分布します。国内では、北海道から九州に分布する在来種です。名の由来は、実が栗に似ている事から。英名は、Bur reed。ミクリ科(Sparganiaceae Hanin, 1811)は、ミクリ属(Sparganium L. (1753))の1属のみがあり、温帯から寒帯に20種、日本には8種があります。

 抽水植物です。水辺に生育する植物は水生植物(Aquatic Plant)と言われ、淡水域に生育する植物の総称です。水生維管束植物は世界に約1000種、日本に約100種あると言われています。抽水植物は、根が水底の土中にあり、一定期間、葉や茎の一部が水面に出る植物を言います。水質の浄化機能、生物の繁殖・生育に役立つとされています。他に、葉を水面に浮かせる浮葉植物、水底に根を張らずに浮く浮漂植物、全てが水中にある沈水性植物があり、湿地や湿原に生育するものも含まれます。

 水底の土中に匍匐する地下茎があり、分枝して地上茎を直立させます。茎は40~150cmになり、枝分かれします。葉は根生し2列に互生します。沈水葉と気中葉があります。線形で幅8~20mm、鋸歯は無く、先端は円頭です。葉裏中央に稜があり、基部は葉鞘となり茎を抱きます。海綿質で断面は三綾形です。

 花期は6月から7月頃。球状花序で無柄、雌花序が下、雄花序が上につく、雌雄同株です。雌花の子房は花托の上に着座する子房上位花(hypogynous flower)で、径15~20mmの球果になります。果実は堅果です。菱状卵形の集合果で、外果皮は海綿質、肉果皮は堅く、裂開しません。染色体数は、2n=30。

 花序が枝分かれしないヤマトミクリ(大和実栗)Sparganium fallax Graebn.は絶滅危惧II類(VU)です。他に、オオミクリ(大実栗)Sparganium erectum L. var. macrocarpum (Makino) H.Haraや、絶滅危惧II類(VU)のヒメミクリ(姫実栗)Sparganium stenophyllum Maxim.等があります。

Japanese common name : Mikuri
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Sparganium erectum L.
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白い棘状の部分が雌花


ミクリ(実栗)
ミクリ科ミクリ属
学名:Sparganium erectum L.
花期:6月~7月 多年草(抽水植物) 草丈:40~150cm 花径:2cm 実径:15~20mm

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【学名解説】
Sparganium : sparganon(帯)の縮小形|sparganionに由来/ミクリ属
erectum : erectus(直立した)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川 2006.05.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 June 2006
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by pianix | 2006-06-23 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)
オランダガラシ(和蘭芥子)
 オランダガラシ(和蘭芥子)は、アブラナ科オランダガラシ属の多年草です。ヨーロッパ原産で、南北アメリカ・アジア・オセアニアにも分布します。日本へは1870(明治3)年から71年に移入されたと言われています。外国人用の野菜、あるいは薬用として栽培されていたものが逸出した帰化植物で、全国で野生化しています。名の由来は、外国産の芥子から。オランダは原産地を意味するものではなく、舶来を意味します。香味野菜として、フランス名のクレソン(Cresson)で一般的に知られています。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。英名は、ウォータークレス(Watercress)。

 アブラナ科(Cruciferae Juss. (1789))は、西アジアから地中海沿岸地方に多く、約390属3200種が知られています。日本には100種以上があります。科名は十字架を意味し、4弁の十字状の花を付ける事に由来します。以前は十字花科とされていました。オランダガラシ属(Nasturtium R.Br.)は、北半球の温帯に6種が分布します。属名のNasturtiumは、鼻をひねるの意味で、辛み成分の刺激から来ています。日本に在来の自生種はありません。

 日当たりの良い水辺に生育します。生活用水路を経て流された茎が各地で野生化したと言われています。根茎があり、容易に発根して白色の髭根を横へ広げます。茎は無毛、緑色をしていて断面は円形、中空です。初め這い、節々から発根させながら30~50cmに立ち上がります。栽培種は120cmに達します。葉は互生し奇数羽状複葉です。葉柄があり、縁が波打つ広楕円形で鋭頭の小葉を3~11対つけます。

 花期は4月から7月頃で、茎の先に総状花序をつけます。萼片は4枚あります。花は白色の4弁花で十字状に並び、直径は5~6mmの離弁花です。雄しべ6本、雌しべ1本の両性花です。染色体数は、2n=32,(48,64)。虫媒花です。

 果実は長角果です。円柱形で、長さは1cm~2cm。熟すと2裂して種子を出します。繁殖は根茎と種子によります。辛み成分の元はシニグリン(sinigrin)で、辛味発生酵素ミロシナーゼ(myrosinase)によってアリルイソチオシアネート(allyl isothiocyanate)に分離され、これが辛みを引き起こします。

Japanese common name : Odanda-garasi
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Nasturtium officinale R.Br.
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中空の茎


オランダガラシ(和蘭芥子)
別名:クレソン(Cresson)/ウォータークレス(Watercress)/ミズガラシ(水芥子)
アブラナ科オランダガラシ属
学名:Nasturtium officinale R.Br.
花期:4月~7月 多年草 草丈:30~50cm 花径:5~6mm

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【学名解説】
Nasturtium : nasus(鼻)+tortus(捻る)/オランダガラシ属
officinale : officinalis(薬用の・薬効のある)
R.Br. : Robert Brown (1773-1858)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川水系/内牧川 2006.05.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 12 June 2006
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by pianix | 2006-06-12 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)
オランダカイウ(阿蘭陀海芋)
 護岸整備された小川に、オランダカイウが咲いていました。全てがコンクリートで固められているのではなく、幾つかの穴が開けられたデザインになっています。その穴から花を出し水辺に映し出しています。多分植栽されたものだと思いますが、護岸の機能だけを優先させた殺風景なものより遙かに優れた方法だと思います。また、周囲の長閑な雰囲気にも解け合っていました。アヒルが住み着いていて、撮影している私を怖がって大きな声を出して逃げ回るので、それは少し困りました。

 オランダカイウ(阿蘭陀海芋)は、サトイモ科オランダカイウ属の多年草です。聞いてもピンと来ない方もあるかもしれません。カラー(Calla)のほうが通りが良いかもしれません。本種の旧属名で、Callaはcalos(美)が語源と言われています。南アフリカが原産の帰化植物で、江戸時代末期に渡来したと言われています。名の由来は、オランダと付くのはオランダ商船が持ち込んだ為とか、単に海外からのという程の意味合いで、原産地を表すものではありません。海芋は外国産(海外)の芋の意味です。外国産ミズバショウ(水芭蕉)と考えたのかもしれません。英名は、Calla Lily。

 サトイモ科は105属2500種以上が熱帯を中心に分布し、オランダカイウ属は南アメリカに8種が分布します。日本では本州以西に分布し野生もしています。仏炎苞(ぶつえんほう)に囲まれる肉穂花序(にくすいかじょ)を持つのが特徴です。園芸品種として品種改良が続けられています。

 カイウは、湿地性種と畑地性種の2系統があり、湿地性の仏炎包は白色、畑地性は黄色や桃色をしています。オランダカイウは湿地性です。長い葉柄(ようへい)に大きな鏃形で肉厚の葉を付けます。肥大した地下茎を持ち、花茎(かけい)の先に白色の仏焔苞を付けます。仏焔苞とはラッパ状の総苞の事で、仏焔は仏像の後背にある炎を指します。今風に言うとクレープ状でしょうか。これが花弁のように見えます。中心の花を守る役割があるとされています。中心に肉穂花序を付けます。肉穂花序とは、軸の周囲に花が密集して付く形態を言います。上部が雄花、下部が雌花と分かれています。葉や茎に蓚酸カルシウム1)(CaC2O4)が含まれ、食べると嘔吐、炎症、皮膚炎を引き起こします。

1)「毒物及び劇物取締法」により劇物に指定されている。

Japanese common name : Oranda-kaiu
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Zantedeschia aethiopica (L.) Spreng.


オランダカイウ(阿蘭陀海芋)
別名:カラー(Calla)
サトイモ科オランダカイウ属
学名:Zantedeschia aethiopica (L.) Spreng.
花期:4月~7月 多年草(球根) 草丈:30~100cm 苞長:7~20cm

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【学名解説】
Zantedeschia : Giovanni Zantedeschi (1773-1846)に因む
aethiopica : aethiopicus(東アフリカ・エチオピアの)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Spreng. : Christian Konrad Sprengel (1750-1816)

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷(植栽) 2006.03.20
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 10 April 2006
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by pianix | 2006-04-10 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(2)
オオカワヂシャ(大川萵苣)
 オオカワヂシャ(大川萵苣)は、オオバコ科クワガタソウ属の多年草です。ヨーロッパからアジア北部が原産と言われています。1867(慶応3)年に神奈川県相模で定着が確認され、関東以西に分布域を広げ、現在ではかなりの地域に侵入拡大しています。チシャ(萵苣)はレタスの別名で、球状のレタスはタマヂシャ(玉萵苣)と呼ばれます。オオカワヂシャの名は、川辺に生える大きな萵苣、との意味です。名前は似ていますが、チシャはキク科アキノノゲシ属で、オオカワヂシャはオオバコ科クワガタソウ属であり、科属が異なります。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss. (1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. (1753))は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 日当たりの良い水辺や湿地に自生します。横に広げた根茎で栄養繁殖します。草丈は、20~100cm。葉や茎の色は濃い緑色で無毛。葉は対生します。無柄。基部が心臓形で茎を抱きます。長楕円形から披針形で、艶があり、僅かな鋸歯があります。花期は、4月から10月頃。葉腋から穂状花序を出します。花柄を湾曲しながら斜上させ、紫色の筋模様を持った淡紫色の花を多数付けます。花は4深裂して径約5mm。オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)と、そっくりな花です。果実は蒴果です。球形で約2mmの残存花柱があります。種子は、約0.5mmの楕円形。染色体数は、2n=36。

 葉と茎の色が黄緑色である在来種のカワヂシャ(川萵苣)は、今や準絶滅危惧種です。帰化種であるオオカワヂシャが競合し、脅かし、駆逐しているのです。やっかいな事に、オオカワヂシャとカワヂシャの交雑種にホナガカワヂシャ(穂長川萵苣)があり、在来種の生態系を乱す遺伝的攪乱という問題を引き起こしています。

 オオカワヂシャ(大川萵苣)は外来種であり、「外来生物法」で特定外来生物に指定されています。飼育、栽培、保管及び運搬、輸入が原則禁止、野外へ放つ、植える及びまくこと、譲渡し、引渡しなどをすることが禁止され、違反者には懲役あるいは罰金が科せられます

参考:オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)フラサバソウ(フラサバ草)

Japanese common name : Oo-kawa-disya
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Veronica anagallis-aquatica L.

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オオカワヂシャ(大川萵苣)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica anagallis-aquatica L.
花期:4月~10月 多年草 草丈:20~100cm 花径:6~7mm

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【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
anagallis-aquatica : anagallis-aquaticus(水中の、ルリハコベ属Anagallisに似た)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川 2005.11.29
安倍川/河口から6.75km 右岸河川敷 2007.04.06
安倍川/河口から10.25km 左岸河川敷 2007.04.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

4 December 2005, 15 December 2014, 24 September 2015
Last modified: 19 November 2016
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by pianix | 2005-12-04 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(2)
ミゾソバ(溝蕎麦)
 今年は、ママコノシリヌグイをよく観察していません。蕾が開いているものが少ないようです。イシミカワも実が色づいているものがありません。どちらもタデ科イヌタデ属で、葉が三角形をしていて、棘が鋭い特徴を持っています。アキノウナギツカミの葉は細長い形をしています。

 その点、このミゾソバ(溝蕎麦)は、葉の形が鉾形で、棘はあるものの、触っても痛くありません。「触るな危険」植物は、棘か毒を持っていますが、ミゾソバは大丈夫です。この種の花は、どれもよく似ています。タデ科の特徴として、花弁はありません。5つの萼片でできています。

 タデ科(Polygonaceae Juss. (1789))は北半球に約40属800種があります。タデ科の特徴は、葉柄の基部の托葉が茎を包む形の托葉鞘(たくようしょう)となる事です。イヌタデ属(Persicaria (L.) P.Miller, 1754)は北半球に約100種あり、日本には約30種があります。旧属名はPolygonumで、polys(多い)+ gonu(節)の意味を持ち、節が関節のように膨れる事に因みます。

 ミゾソバは、漢字表記そのままの、溝に生える蕎麦に似た植物という意味合いです。蕎麦と名が付くのは、救荒植物として蕎麦のように食べられた事によります。ウシノヒタイも、葉が牛の顔に似ているから。如何にも牛らしい模様が出てくる個体もあります。

 地下に閉鎖花を付けます。湿地、あるいは水辺に咲く事から、増水と戦わなければならない事もあります。過酷な生育条件下での生き残り作戦なのでしょう。

Japanese common name : Mizo-soba
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Persicaria Thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross


ミゾソバ(溝蕎麦)
別名:ウシノヒタイ(牛の額)
タデ科イヌタデ属
学名:Persicaria Thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross
花期:8月~10月 1年草 草丈:30~100cm 花径:4~7mm

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【学名解説】
Persicaria : persica(モモ)に似る/イヌタデ属
thunbergii : 植物学者ツンベルク氏の/Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)
H.Gross : Hugo Gross (1888-1968)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9km 右岸河川敷 2005.10.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 14 October 2005
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by pianix | 2005-10-14 00:00 | 水辺の植物 | Trackback(1) | Comments(2)