カテゴリ:花( 359 )
テイカカズラ(定家葛)
 テイカカズラ(定家葛)は、キョウチクトウ科テイカカズラ属の蔓性常緑低木です。日本や朝鮮半島、中国、インド、タイに分布します。日本では、本州から九州に分布する在来種です。九州の一部や沖縄には、オキナワテイカカズラ(沖縄定家葛)1)が分布します。名の由来は、藤原定家(1162-1241)の謡曲「定家」に因みます。英名は、Japanese star jasmine。

 キョウチクトウ科(Apocynaceae Juss. (1789))は、熱帯・温帯に分布し、215属2100種に及ぶ大きな植物群です。テイカカズラ属(Trachelospermum Lemaire (1851))は、東南アジアや北アメリカに約16種が分布します。

 低山の林床に自生します。地を這い、気根を出して岩や樹木に這い上ります。茎は太いところで4~5cm程になります。花が付く枝は径2~3mm。葉は対生します。広楕円形や長楕円形で長さ3~7cm、幅2~3cm、全縁で光沢のある革質。地上付近の葉は小さく暗緑色で葉脈沿いに斑紋があり、上部の葉は大きく明緑色で斑紋はありません。

 花期は5月から6月頃、一時期間を置いて9月頃まで続きます。枝先や葉腋から集散花序を出します。白色の筒状花で、花冠先端が5裂して平開します。裂片は徐々に捻れて反り返り、時計回りに旋回してスクリューのような形状になります。花径は2~3cm、筒部は長さ7~8mm。時間経過と共に白色から淡黄色に変色します。芳香があります。両性花。中央部は黄色。蜜壺の穴は5個あり中央に雌しべ、周囲の雄しべ5個は合着します。虫媒花で、口吻が長い蝶や蛾が媒介します。

 果実は袋果です。2本対になった径4~5mmの、先端が尖った細い円柱形で、湾曲したハの字状に下垂し、長さ15~30cm。熟すと縦に裂開して種子を出します。種子は長さ12~14mmの線形。先端に白色の種髪が付き、長さ約25mm。風媒花です。染色体数は、2n=20。

 全草が有毒です。成分は、アルクチイン(Arctiin, C27H34O11)、トラケロシド(Tracheloside, C27H34O12)等。茎に含まれる乳液で、かぶれる事があります。

 テイカカズラミサキフクレフシ(定家葛実先膨五倍子)ができることがあります。テイカカズラミタマバエ(定家葛実玉蠅)幼虫の寄生による虫瘤です。幼虫が出す刺激物でテイカカズラの実を変形させると言われています。20~30匹の幼虫が住んでいます。テイカカズラミタマバエ(Asteralobia sp.)は、ハエ目(双翅目)タマバエ科(Cecidomyiidae)のハエの一種で、幼虫は黄色で長さは2~3mm。成虫は蚊のような体型で、以前はタマカ(玉蚊)科とされてきました。双翅目の記載種は2014年で7658種。タマバエ科の既知数は、193種です。虫瘤は、虫営や英名のゴール(gall)と呼ばれます。

1)Trachelospermum gracilipes Hook.f. var. liukiuense (Hatus.) Kitam.

Japanese common name : Teika-kazura
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Trachelospermum asiaticum (Siebold et Zucc.) Nakai

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左:咲き始め 右:花冠裂片が丸まりプロペラ状になる
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筒部は長さ7~8mmで、訪れる虫は口吻が長いものに限定される

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白かった花冠は黄色に変色する
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樹木の上に覆い被さるテイカカズラ。2010.06.16 帆掛山

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湾曲し、ハの字型に下垂する果実。初め緑色で、陽が当たる側から赤褐色になる

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左:種子は線形で種髪が付く 右:テイカカズラミサキフクレフシ


テイカカズラ(定家葛)
別名:チョウセンテイカカズラ(朝鮮定家葛)、ケナシテイカカズラ(毛無定家葛)、ナガバテイカカズラ(長葉定家葛)
キョウチクトウ科テイカカズラ属
学名:Trachelospermum asiaticum (Siebold et Zucc.) Nakai
花期:5月~9月 常緑低木(蔓性) 花径:2~3cm 果期:10~11月

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【学名解説】
Trachelospermum : trachelos(頚)+sperma(種子)/テイカカズラ属
asiaticum : asiaticus(アジアの)
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Zucc. : Gerhard Zuccarini (1790-1848)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)

撮影地:静岡県静岡市
山原山(Yanbara-yama, Alt. 448m) 2010.05.28
帆掛山(Alt. 304m) 2010.06.16, 2015.05.08
梶原山(Alt. 279m) 2016.10.31
安倍城跡(Alt. 435m) 2014.07.11 / 09.15, 2015.09.02, 2016.05.31
賤機山(Shizuhata-yama, Alt. 171m) 2016.05.23 / 06.01 / 08.24
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 September 2016
Last modified: 01 November 2016
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by pianix | 2016-10-05 00:00 | | Trackback | Comments(0)
マメアサガオ(豆朝顔)
 マメアサガオ(豆朝顔)は、ヒルガオ科サツマイモ属の1年草です。北アメリカ原産。日本では1955年に東京で帰化が確認され、現在は関東以西に分布域を広げています。輸入雑穀に種子が混入していた事による非意図的移入と考えられます。農地では害草とされます。名の由来は、花が朝顔に似て、小型である事を豆に比喩したもの。和名の命名者は。淺井康宏(Yasuhiro Asai 1933-)氏。別名のヒラミホシアサガオ(平実星朝顔)は、果実がやや扁平で花冠が星形である事から。英名は、Small-flowered white morning-glory。

 ヒルガオ科(Convolvulaceae Juss. (1789))は熱帯から亜熱帯に約58属1650種が分布し、日本には4属があります。サツマイモ属(Ipomoea L. (1753)) は、熱帯から亜熱帯に約500種が分布します。

 土手や河川敷、荒れ地等で自生します。根は淡黄色。茎は4稜で赤味を帯び、蔓性で、分岐しながら地を這い、巻き付いて長く伸びます。蔓の巻き方は、上から見て反時計回り、右巻き(dextrorse)*。葉は、互生します。心臓形や長卵形の全縁、あるいは2裂、3裂葉があり、長さ5~10cm、幅4~8cmで先は尖る。葉腋からイボ状突起がある花柄を出します。

 花期は8月から10月頃。花冠は白色から淡紅色。径1.5cmから2cmの漏斗型筒状花で、先端は5裂して尖ります。雄しべは5個で、葯色は紫色、花粉は白色。

 果実は蒴果です。やや扁平の球形で、毛があり、径約1cm。熟すと2つに割れ、黒色で、長さ約6mmの種子を、4(3~6)個出します。染色体数は、2n=30。

*学術用語集植物学編増訂版(1990)の定義による。

Japanese common name : Mame-asagao
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Ipomoea lacunosa L.

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花径は約15mm。茎は4稜があり、赤味を帯びる。花柄は緑色でイボ状突起がある

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左:葉表 《葉は互生。長卵形や心臓形の全縁、あるいは3裂》 右:葉裏
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心臓形と2裂葉が混在する個体

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扁平な果実
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種子

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マメアサガオ(豆朝顔)
別名:ヒラミホシアサガオ(平実星朝顔)
ヒルガオ科サツマイモ属
学名:Ipomoea lacunosa L.
花期:8月~10月 1年草 蔓性(2~5m) 花径:15~20mm

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【学名解説】
Ipomoea : ips(芋虫)+homoios(似た)/サツマイモ属
lacunosa : lacunosus(孔、又は凹みを持った)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.0km 左岸河川敷 2012.10.07, 2012.10.08, 2016.09.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

17 September 2016
Last modified: 6 October 2016
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by pianix | 2016-09-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)
モミジイチゴ(紅葉苺)
 モミジイチゴ(紅葉苺)は、バラ科キイチゴ属の落葉低木です。本州の中部地方以北から北海道に分布する日本固有種です。日本の東西で地域変異があり、西日本に母種のナガバモミジイチゴ(長葉紅葉苺)1)、東日本に変種としてのモミジイチゴが分布します。名の由来は、葉がモミジ2)に似ているキイチゴ(木苺)3)である事から。別名のキイチゴ(黄苺)は、黄色の実を付ける事によります。

 バラ科(Rosaceae Juss, 1789)は、南極を除く、ほぼ全ての大陸に約107属3100種が分布します。キイチゴ属(Rubus L. (1753))は、北半球の寒帯から温帯地方に多く、南半球の熱帯山岳地区、北極圏と太平洋の島々にも分布し、400~500種あります。日本には8亜属70種が自生します。

 山野の明るい場所に自生します。地下分枝型の地下茎を伸ばし群生します。茎には3mm程の棘があり、分枝して斜上し、高さ100~200cmになります。葉柄は3~8cm。葉は互生します。長さ7~15cm、幅1.5~2.5cmの卵形で重鋸歯があります。普通、掌状に3~5中裂します。裂片は鋭突。葉裏は葉脈が目立ち棘があります。葉の雰囲気はニガイチゴよりも鋭く見えます。

 花期は4月頃。葉脈から花柄を出し、白色の5弁花を下向きに付けます。萼片は5個で鋭突。花弁は狭楕円型で、花径は2.5~3cm。雄しべ、雌しべは多数。果実は、核果の集合果です。球形で1~1.5cm。黄色に熟し、生食できます。ジュース、モミジイチゴ酒などに加工して用いられる事もあります。種子は1~2mm。黄色く熟するキイチゴ属には、ナガバモミジイチゴやカジイチゴ(梶苺)があります。

1)Rubus palmatus Thunb. var. palmatus
2)ムクロジ科カエデ属、約128種の総称。
3)バラ科キイチゴ属の総称。

Japanese common name : Momizi-itigo
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Rubus palmatus var. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Koidz. f. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Matsum.

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花は白色の5弁花。萼は5裂して鋭突。

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葉は、掌状に3~5中裂する。葉裏は葉脈が目立ち棘がある。
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枝は斜上して花は下向きに付ける。
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黄色の果実は、核果の集合果


モミジイチゴ(紅葉苺)
別名:キイチゴ(黄苺)
バラ科キイチゴ属
学名:Rubus palmatus var. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Koidz. f. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Matsum.
花期:4月 落葉低木 樹高:1~2m 花径:2.5~3cm 果期:6~7月

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【学名解説】
Rubus : ruber(赤)/キイチゴ属
palmatus : 掌状の
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
var. : varietas(変種)
coptophyllus : 分裂葉の
A.Gray : Asa Gray (1810-1888)
Kuntze : Carl Ernst Otto Kuntze (1843-1907)
ex : ~による
Koidz. : 小泉源一 Gen-ichi Koidzumi (1883-1953)
f. : forma(品種)
Matsum. : 松村任三 Ninzo Matsumura (1856-1928)

撮影地:静岡県静岡市
牛ヶ峰(八十岡ルート) 2008.03.27
牛ヶ峰(水見色ルート) 2008.04.04
牛ヶ峰(谷沢ルート) 2008.04.21
林道慈悲尾線 2011.04.07
花沢山(Alt.449.2m) 2015.05.18
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

31 July 2016
Last modified: 20 November 2016
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by pianix | 2016-07-31 00:00 | | Trackback | Comments(1)
オトコエシ(男郎花)
 オトコエシ(男郎花)は、オミナエシ科オミナエシ属の多年草です。中国や台湾、朝鮮半島、日本に分布します。日本では、北海道、本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、はっきりしません。オミナエシ(女郎花)に対して葉や茎が大きく強健に見える事から男をあてたとの説が一般的です。エシは、メシ(飯)の転訛と言われていて、オミナエシの黄色花を粟、オトコエシの白花を米に例えたと言われています。漢名は白花敗醬ですが、中国では別種です。

 APG1)体系では、スイカズラ科(Caprifoliaceae Juss. (1789))で、約16属500種が分布します。クロンキスト体系2)とエングラー体系3)では、オミナエシ科(Valerianaceae Batsch (1802))で、約8属があり、日本には3属10種が分布します。オミナエシ属(Patrinia Juss. (1789))は、東アジアと中央アジアに15種が分布し、日本には6種があります。

 山野に自生します。根出葉はロゼット状で羽状深裂します。根元から匐枝を出して繁殖します。夏期に花茎を直立させ、草丈は60cmから100cmになります。茎下部には柔毛があります。葉は対生します。茎下部の葉は3~5に羽状深裂し、長さ3~15cm、裂片は卵状長楕円形で鋸歯があります。茎上部では分裂せず被針形。

 花期は、8月から10月頃。茎上部で枝分れして散房状花序を付けます。花は白色、基部が筒状の合弁花で、先端が5裂し、径4~5mm。雄しべ4本、雌しべ1本があります。果実は痩果です。径約5mmの円形をした翼(小苞)があります。3室中の1室に種子ができます。種子は約2.5mmの倒卵形で、やや扁平。風で舞散る風媒花です。染色体数は、2n=4x=44。

1)APGは、被子植物系統グループ (Angiosperm Phylogeny Group)で、ゲノム解析による分類体系を構築する研究者団体。分子系統説による分類で、現在の主流。国立科学博物館維管束植物標本室は、2012年に新エングラー体系からAPGIII分類体系に配列替えが行われた。
2)クロンキスト体系(Cronquist system)は、Arthur John Cronquist (1919-1992)提唱による分類体系で、ストロビロイド説による分類。
3)エングラー体系(Engler's system)は、Heinrich Gustav Adolf Engler (1844-1930)提唱による分類体系。新エングラー体系(New Engler's system)は、エングラー体系を元に、Hans Melchior(1894-1984)らが提唱した分類体系で、構造複雑化説による分類。

Japanese common name : Otoko-esi
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Patrinia villosa (Thunb.) Juss.

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オトコエシ(男郎花)
別名:チメクサ[知女久佐]/トチナ[土知菜]
スイカズラ科オミナエシ属
学名:Patrinia villosa (Thunb.) Juss.
花期:8月~10月 多年草 草丈:80~100cm 花径:4~5mm

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【学名解説】
Patrinia : Eugene Louis Melchior Patrin (1742-1815)に因む/オミナエシ属
villosa : villosus(長い柔毛をもつ)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰)Alt. 717m 2014.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 April 2015
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by pianix | 2016-01-19 20:00 | | Trackback | Comments(0)
トロロアオイ(土呂呂葵、黄蜀葵)
 トロロアオイ(土呂呂葵、黄蜀葵)は、アオイ科トロロアオイ属の1年草です。中国原産で、栽培や園芸用途として用いられています。江戸時代までには渡来していたと言われています。名の由来は、根や果実が粘液質であるトロロに似たアオイである事から。別名のハナオクラは、花がオクラ(Okra) 1) に似る事から。黄蜀葵は中国名で、オウショクキ。英名は、Aibika。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、250属(AGP)が分布します。クロンキスト体系(Cronquist system)では、約75属でした。トロロアオイ属(Abelmoschus Medik. (1787))は、アジアやオーストラリアに約15種が分布します。旧分類では、フヨウ属(Hibiscus L. (1753))でした。

 根茎は紡錘形に肥大し、長さ約20cm。草丈は30~200cmで、茎に剛毛があり直立します。葉は、互生します。長い柄があり、掌状に5~9深裂します。花期は、8~9月頃。茎頂に淡黄色の5弁花を横向きにつけます。花径は15~20cm。花冠中央部は紅紫色。柱頭先端は紅紫色で5裂します。茎の下部から上へと順に開花します。一日花で、朝開き、夜には落下します。果実は、蒴果です。楕円形で5稜に尖り、剛毛があり、茶色に熟します。種子は、長さ4.5~5mm、幅3~3.5mm。染色体数は、2n=68(桑田晃 1960)。

 花弁をサラダにして食べる事もありますが、果実は食用に用いられません。根から抽出される粘液を和紙を漉く糊料のネリ(糊)として用います。成分は、ガラクツロン酸2)です。コウゾ(楮)の表皮から内側白色部分だけを取り出し粉砕した繊維と混ぜ合わせて和紙を漉きます。漉いた和紙を板で天日干しするか熱した鉄板で乾かします。その為、接した部分は平滑になるので和紙には裏表があります。手間暇かけた高級和紙のできあがりです。

 現在は化学薬品のポリアクリルアミド(polyacrylamide)を用いる場合が多くなりました。栽培最盛期は、昭和40年の1,600haでしたが、現在は5ha程に激減しています。乾燥根を生薬の黄蜀葵根(オウショクキコン)として、咳止めや胃腸薬に用います。

 他に、沖縄諸島に分布する、リュウキュウトロロアオイ(琉球土呂呂葵)Abelmoschus moschatus Medik.、変種として尖閣諸島固有種で、絶滅危惧ⅠA類(CR)の、センカクトロロアオイ(尖閣土呂呂葵)Abelmoschus moschatus Medik. var. betulifolius (Mast.) Hochr. があります。

1) Abelmoschus esculentus (L.) Moench
2) ガラクツロン酸(galacturonic acid, C6H10O7)

Japanese common name : Tororo-aoi
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Abelmoschus manihot (L.) Medik
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花径は15~20cm。花冠中央部は紅紫色。柱頭先端は紅紫色で5裂する。

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左:萼片5、下から咲く一日花。 右:長い柄があり、掌状に5~9深裂する


トロロアオイ(黄蜀葵)
別名:ハナオクラ
アオイ科トロロアオイ属
学名:Abelmoschus manihot (L.) Medik
花期:8~9月 1年草 草丈:30~200cm 花径:15~20cm 果期:10月

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【学名解説】
Abelmoschus : abul-mosk(香りの父)/トロロアオイ属
manihot : イモノキ(芋の木)、キャッサバ、タピオカ/ブラジル名maniocに由来
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Medik. : Friedrich Kasimir Medicus (1736-1808)
---
moschatus : 麝香の香りのする
---
var. : varietas(変種)
betulifolius : カバノキ属(Betula)のような葉(folium)の
Mast. : Maxwell Tylden Masters (1833-1907)
Hochr. : Benedict Pierre Georges Hochreutiner (1873-1959)
---
esculentus : 食用の
Moench : Conrad Moench (1744-1805)

撮影地:静岡県藤枝市
石谷山(びく石) Alt.526m/笹川八十八石コース 2010.08.10, 2012.09.02
[Location : Fujieda City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 15 December 2015
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by pianix | 2015-12-15 08:00 | | Trackback | Comments(0)
ベニゴウカン(紅合歓)
 ベニゴウカン(紅合歓)は、マメ科ベニゴウカン属の常緑低木です。メキシコ原産で、日本では栽培種として扱われています。渡来時期は明治初年と言われていますが詳細は不明です。名の由来はネムノキ(合歓木)に似て、赤色の花を付ける事から。別名のヒゴウカン、ヒネムとも緋合歓で、読みが異なるだけです。

 マメ科(Fabaceae Lindl. (1836))は、約650属12000種が分布します。日本には41属100種が分布します。ベニゴウカン属(Calliandra Bentham, 1840)は。中南米に約150~200種があるとされています。

 樹高は1~2mになります。葉は2回羽状複葉です。2~5対を互生し長さ約2.5cm。小葉は披針形で2列対生し、長さ約5mm。葉柄や葉裏に微細な柔軟毛があります。この為、葉表は緑で裏は薄緑色になります。葉は夜に閉じます。

 花期は4から11月頃。葉腋から長い花柄を出し、小さな花冠から緋色で径約2cmの頭状花をつけます。長さ2~2.5cmの雄しべが房状に20本程出て扇形になり目立ちます。花柄は下向きになります。夜に開き午後に萎れる一日花です。

 果実は豆果です。寒さに弱く日当たりを好みます。温暖な地では路地植えができます。繁殖は挿し木や実生で行います。染色体数は、2n=16。

 他に、花が大きいオオベニゴウカン(大紅合歓)Calliandra haematocephala Hassk. があります。

Japanese common name : Beni-goukan
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Calliandra eriophylla Benth.

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雄しべが扇形に広がる。頭状花と蕾。

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葉は羽状複葉。左手人差し指での大きさ比較。葉柄や葉裏に微細な柔軟毛がある。


ベニゴウカン(紅合歓)
別名:ヒゴウカン(緋合歓)/ヒネム(緋合歓)
マメ科ベニゴウカン属
学名:Calliandra eriophylla Benth.
花期:4月~11月 常緑低木 樹高:1~2m 花径:約2cm 

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【学名解説】
Calliandra : callos(美しい)+andros(雄しべ)/ベニゴウカン属
eriophylla : eriophyllus(軟毛葉の)
Benth. : George Bentham (1800-1884)

撮影地:静岡県静岡市
駿河区中田本町/(有)静岡ゴルフガーデン (植栽) 2015.10.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 November 2015
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by pianix | 2015-12-01 08:00 | | Trackback | Comments(0)
コダチダリア(木立ダリア)
 コダチダリア(木立ダリア)は、キク科ダリア属の多年草です。メキシコ原産の高地性植物で、日本では園芸種として扱われます。名の由来は、茎が木質化するダリアであるから。英名は、tree-dahlia、bell-tree、candelabra1)-dahlia等。別名のタラノハダリア(桵葉ダリア)は、葉がタラノキ2)(楤木)に似る事から。流通名のコウテイダリア(皇帝ダリア)は、学名種小名のimperialis(帝王の)からで、全体に大型で威厳がある事から。メキシコ名は、Acocotli。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味。保留名のCompositae Giseke (1792)は、「合成された」との意味から。ダリア属(Dahlia Cavanilles, 1791)は、約27種が分布します。

 紡錘形の塊根を持ち、茎は中空で節があり、径2.1~5.6cm。木質化して3~5mの高さになります。風に弱く、支柱を必要とします。葉は、対生します。長さ38~80cmの枝に2~3回羽状複葉を付けます。小葉は披針形で鋸歯があり、先端は鋭突形、長さ5~14cm、幅2~3cm。

 花期は、11月から12月頃。光周性3)による短日植物4)であり、日長が短くならないと花芽の形成が促されません。葉腋から長い花序軸を出し、分枝した先端に頭状花序5)を付けます。総苞は内と外の2列あり、総苞内片は先端が膜質で8枚、総苞外片は5枚あります。周囲につく舌状花は8枚で、薄紫色。花被片の先端は尖り、下部は筒状で、長さ6~11cm、幅3~5cm。花冠径は、12~20cm。

 中央に黄色の管状花(筒状花)を多数つけます。管状花全体の径は約2.5cm、長さ約1.5cm。横向か、やや下向きに咲かせます。舌状花を欠き管状花のみの蕾を付ける事があります。管状花部分のみを開き、そのまま花は終わります。子房下位。果実は痩果です。染色体数は、2n=32。

 繁殖は種子によりますが、もっぱら簡易な挿し木が主流で、竹の節のような2節程を残して切った茎を水平に植えます。暖地では露地栽培が可能で、根を凍らせないようにして越冬させます。非耐寒性のため、霜が降りる頃、急速に枯れます。

★  ★  ★

 静岡市では最近、急速に栽培が盛んになった感じがします。駐車場周囲や農地など、あちらこちらに花を見かける事が多くなりました。栽培が容易な事と温暖な地という気候に恵まれた事が一因と思われます。花が少なくなった時期に豪快に咲き乱れるコダチダリアは貴重な園芸種として用いられているようです。ただし、ほとんどの方がコウテイダリアの名を用いています。一般にはこちらの名が浸透しているようです。

 ※記載数値は静岡市葵区西ヶ谷での観察時における実測値で、生育状態によっては範囲を超える事があります。2014年、市営水泳場受付業務の方に本種栽培の経緯について詳細を伺い、丁寧な説明を受けました。お礼申しあげます。

1) Candelabra:枝付き燭台
2) Aralia elata (Miq.) Seem.
3) 光周性:夜時間の長さが開花に関係する現象。長日性と短日性があり、葉が日光に反応する事によって起こる。(photoperiodism Garner,Allard,1920)
4) 短日植物(たんじつしょくぶつ):日照時間が短くなると花が咲く植物(short-day plant)。
5) 頭状花序(とうじょうかじょ):無限花序の一つ。花軸が広がり複数の無柄の小花が密集して一つのように見える花序(capitulum)。中央に管状花(筒状花)、周囲に舌状花をつける事が多い。

Japanese common name : Kodati-daria
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Dahlia imperialis Roezl ex Ortgies

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一株に多数の大輪をつける。

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舌状花は8枚で薄紫色、中央に黄色の管状花からなる頭花。右は内外2列の総苞。

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蕾から舌状花が出てくる。

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開き初めは花弁の色が濃い。長い柄の先に多数の蕾がつき、次々と開花する。

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舌状花を欠く花。総苞外片は平開するが総苞内片はここまでしか開かない。

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管状花のみの個体の花径は約2.5cm。舌状花は脱落しやすい。

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左:花被片、左が表、右が裏面。長さ約6~11cm。 右:畑地に咲くコダチダリア。

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葉は対生し、2~3回羽状複葉、小葉は披針形。


コダチダリア(木立ダリア)
別名:タラノハダリア(楤葉ダリア)/コウテイダリア(皇帝ダリア)
キク科ダリア属
学名:Dahlia imperialis Roezl ex Ortgies
花期:11月~12月 多年草 草丈:3~5m 花径:12~20cm

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【学名解説】
Dahlia : Andreas Dahl(1751~1789)に因む/ダリア属
imperialis : 帝王の
Roezl : Benedikt Roezl (1823-1885)
ex : ~による
Ortgies : Karl Eduard Ortgies (1829-1916)

撮影地:静岡県静岡市
葵区/静岡市営 西ヶ谷総合運動場 2015.11.12, 11.19, 11.21, 11.22
葵区西ヶ谷/農地 2015.11.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 November 2015
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by pianix | 2015-11-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)
 ヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)は、アオイ科ヤノネボンテンカ属の常緑低木です。南アメリカ原産で、渡来時期は不明。日本では園芸種として扱われています。逸出したものが野生化して帰化しています。名の由来は、やじり(鏃、矢尻)型の葉を持つボンテンカである事から。矢の根は矢尻の事で、ボンテンカ1)(梵天花)はインドの花との意味。別名のタカサゴフヨウ(高砂芙蓉)は、台湾の芙蓉との意味。高砂は台湾の異名。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、旧分類では約75属1500種が分布します。APG植物分類体系では約240属3700種。ヤノネボンテンカ属(Pavonia Cavanilles, 1786)は、中央及び南アメリカに約100種が分布します。

 茎は直立し、分枝しながら50~150cmになります。茎や葉に星状毛があります。葉は互生します。基部が張り出し鉾形で、長さ3~10cm。波形の鈍鋸歯があります。花期は8月から9月頃。茎頂に花を単生します。蕾は初め赤く、開花前頃に赤い筋模様に変化します。4~7cmの花柄があり、花弁は5枚で花径は4~6cm。白色で基部が半円状に農赤色となります。花弁裏には赤色の筋模様が入ります。

 雄しべは12個で筒状につき赤色。雌しべは赤色で先端が10分岐します。萼は小苞と2列になり5裂します。朝開夕閉の一日花です。閉鎖花をつけます。果実は5分果で径約8mm。染色体数は、2n=56。

 園芸店ではミニ芙蓉の名で販売されている事があります。同じアオイ科のムクゲをそのまま小さくしたような花を付ける事からの命名と思われます。

1) ボンテンカ(梵天花)Urena lobata L. subsp. sinuata (L.) Borss.Waalk.

Japanese common name : Yanone-bontenka
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Pavonia hastata Cav.

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花弁は5個で花柱が目立つ。夕方には萎れてくる一日花。

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蕾は赤く、膨らんでくると赤の筋模様になってくる。蝶はウラナミシジミ。

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花弁裏側の赤筋模様。表側は白色で基部が半円状に農赤色となる。

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野生するヤノネボンテンカ。葉は、互生し鉾型。

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庭先に裂いていたヤノネボンテンカ 2016.08.15


ヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)
別名:タカサゴフヨウ(高砂芙蓉)
アオイ科ヤノネボンテンカ属
学名:Pavonia hastata Cav.
花期:8月~9月 常緑低木 樹高:50~150cm 花径:4~6cm

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【学名解説】
Pavonia : Jose Antonio Pavon Jimenez (1754-1844)氏の/ヤノネボンテンカ属
hastata : hastatus(鉾形の)
Cav. : Antonio Jose Cavanilles (1745-1804)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.25km 左岸河川敷 2015.10.07
葵区池ヶ谷(植栽) 2016.08.15
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 November 2015
Last modified: 27 November 2016
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by pianix | 2015-11-24 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ショウジョウバカマ(猩々袴)
 ショウジョウバカマ(猩々袴)は、シュロソウ科ショウジョウバカマ属の多年草です。日本や朝鮮半島、サハリンに分布します。日本では、北海道から九州までに分布する在来種です。名の由来は、花を猩々の赤ら顔、葉を袴に例えたものと言われています。猩々は、中国の伝説上の動物です。

 APG1)植物分類体系では、シュロソウ科(Melanthiaceae Batsch ex Borkh. (1797))で、北半球温帯に約16属170種が分布します。旧分類(新エングラー体系、クロンキスト体系)では、ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))で、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ショウジョウバカマ属(Helonias L. (1753))は、日本や台湾、朝鮮半島、サハリンに6種分布し、日本には3種が分布します。

 野や山地の湿地や林下に自生します。根生葉はロゼット状の葉で、放射状に広がり、やや革質のヘラ型で全縁、無毛、長さ5~20cm。草丈は10~30cmで、鱗片葉が花茎に数個付きます。花期は4~5月。茎頂に花柄を出し、総状花序に3~10の花を付けます。花披片は倒披針形。淡紅色から濃紅紫色で、濃淡の個体差があります。花被基部が膨らみます。雌性先熟で、開花前は雌性期、開花後に雄性期となります。雄しべ6個で、葯は黒紫色。子房上位。

 花後に茎が伸び、花被が退色して緑色になります。花は上を向くようになり果実が熟してきます。果実は蒴果です。長さ約8mmで、3~5にくびれます。熟すと裂開し、5mm程の両端に糸状の付属体が付いた線形の種子を多数出します。風による種子散布を行います。種子及び葉先に生じる不定芽(栄養繁殖体)により繁殖します。染色体数は、2n=34。

 他に、花弁が白い、ツクシショウジョウバカマ(筑紫猩々袴)Helonias breviscapa (Maxim.) N.Tanaka、別名シロバナショウジョウバカマ(白花猩々袴)。鹿児島、沖縄、台湾に分布し小型白色系で絶滅危惧II類(VU)の、コショウジョウバカマ(小猩々袴)Helonias kawanoi (Koidz.) N.Tanaka。白花種で絶滅危惧IB類のオオシロショウジョウバカマ(大白猩々袴)Helonias leucantha (Koidz.) N.Tanaka。台湾に分布する、ヒメショウジョウバカマ(姫猩々袴)Helonias umbellata (Baker) N.Tanakaがあります。

1)APG : Angiosperm Phylogeny Group (被子植物系統グループ)は、ゲノム解析に基づく分類体系を構築する団体。

参考文献:YAKUGAKU ZASSHI Vol. 73 (1953) No. 1 P 84-85 邦産植物ステリン成分の研究 (第2報) ショウジョウバカマの成分 (1) 武田 健一, 岡西 為人, 島岡 有昌

Japanese common name : Syoujou-bakama
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Helonias orientalis (Thunb.) N.Tanaka
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茎頂に花柄を出し数個の花を付ける。花披片は倒披針形。

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左:開花前 右:開花途中。葯は黒紫色。

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左:根生葉は放射状に広がる。 右:花茎につく鱗片葉。成長と共に間隔が広がる。

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花色は淡紅色から濃紅紫色がある。

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左:花後は緑色になる。 右:果実は蒴果。裂開して糸状の種子を出す。
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葉先に出た不定芽


ショウジョウバカマ(猩々袴)
シュロソウ科ショウジョウバカマ属
学名:Helonias orientalis (Thunb.) N.Tanaka
synonym : Heloniopsis orientalis (Thunb.) Tanaka
花期:4月~5月 多年草 草丈:10~30cm 花冠長:1~1.5cm 花径:約1.5cm

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【学名解説】
Helonias : 詳細不明/ショウジョウバカマ属
orientalis : 東方の
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
N.Tanaka : 田中教之 Noriyuki Tanaka (?) 帝京大学教授
---
Heloniopsis : Helonias(属名)+opsis(似る)/ショウジョウバカマ属
breviscapa : brevi(短い)+scaposus(花茎)
Maxim. : Carl Maximowicz (1827-1891)
Tanaka : 田中長三郎 Tyôzaburô Tanaka (1885-1976)
---
synonym(シノニム):同意語、異名。

撮影地:静岡県静岡市
ダイラボウ(Alt. 561.1m) 2015.03.26
誓願寺山麓 2015.03.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

7 February 2015, 30 April 2015, 27 April 2016
Last modified: 11 June 2016
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by pianix | 2015-04-28 00:00 | | Trackback | Comments(0)
アリドオシ〈蟻通し〉
 アリドオシ〈蟻通し〉は、アカネ科アリドオシ属の常緑低木です。東南アジアに分布し、国内では関東地方以西に分布する在来種です。名の由来は、一般的には鋭い棘が蟻を刺し通す程の例えから。棘が多い事から蟻でなければ通り抜けられない等の説もあります。別名の一両は、センリョウ(千両)等と対比した名称で、「千両万両有り通し」との縁起を担いだ洒落から。中国名は、虎刺(hǔcì)。山梨県で絶滅危惧IA類(CR)、埼玉県、茨城県、福井県では絶滅危惧II類(VU)に指定されています。(参考:レッドデーターブック・カテゴリー図

 アカネ科(Rubiaceae Juss. (1789))は、約630属14,000種が分布します。アリドオシ属(Damnacanthus C.F. Gaertner, 1805)は、東アジアに6種が分布します。

 山地の広葉樹林内に自生します。枝は分岐しながら広がり、樹高は30~60cmになります。葉は対生します。大型葉、小型葉が交互につき、長さ10~25mm、幅6~12mmの卵形で全縁。革質で光沢があります。大型葉の葉腋1)から葉に対生して長さ1~2cmの2本の鋭い棘を左右に出します。棘の長さは葉表側の方が長い事が多い。棘は、草食動物に対する防御のために細枝が変化したものと考えられています。山道脇に生えている事も多く、棘で引っかけられる場合があり痛い思いをさせられます。尻餅は勿論、前に転倒して手を突いたら悲惨な事になりかねません。

  花期は5月。葉腋に2個ずつ花をつけます。花冠は白色。長さ10mm程の筒状漏斗形で先端が4裂します。雄しべ4、雌しべは糸状で先端が4裂します。両性花。子房下位で4室、各室に胚珠2)1。果期は9月頃。果実は核果(液果)です。径4~6mmの宿存萼3)がある球形で、熟すと赤くなります。染色体数は、倍数性4)が知られていて、2n=225)、2n=4x=446)

 よく似た変種に、オオアリドオシ(大蟻通し)Damnacanthus indicus Gaertn.f. var. major (Siebold et Zucc.) Makino や、ホソバオオアリドオシ(細葉大蟻通し)Damnacanthus indicus Gaertn.f. var. lancifolius Makino、矮性種としてヒメアリドオシ(姫蟻通し)Damnacanthus indicus C.F.Gaertn. var. microphyllus (Makino) Makino ex Nakai があります。

1)葉腋(ようえき、leaf axil):葉の付け根部分
2)胚珠(はいしゅ、ovule):種子になる部分
3)宿存萼(persistent calyx):花が終わっても母体から離れず残る萼。
4)倍数性(ばいすうせい、polyploidy):生物体細胞の染色体数2nが、基本数xの整数倍になる現象。
5)三重県、和歌山県、四国、九州、沖縄 (Naiki and Nagamasu, 2004)
6)関東、東海、近畿、中国、四国、九州、沖縄 (Naiki and Nagamasu, 2004)

参考文献:
・Bulletin of the Osaka Museum of Natural History, No.62 p. 75-80; March 31, 2008.
・Naiki, A., and Nagamasu, H. 2004. Correlation between distyly and ploidy level in Damnacanthus (Rubiaceae). American Journal of Botany 91: 664-671.

Japanese common name : Aridoosi
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Damnacanthus indicus C.F.Gaertn. var. indicus

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左:花の蕾先端は閉じている 右:花は2個ずつ下向きに咲く
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雄しべ4と雌しべ1があり、花冠の長さは10mm程で、筒内には毛がある

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左:葉に対生して鋭い棘が上下に一対出る 右:光沢のある葉は大小が交互につく

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左:盛大に広がったアリドオシ 右:冬に残留萼片がついた果実は赤く熟す


アリドオシ〈蟻通し〉
アカネ科アリドオシ属
学名:Damnacanthus indicus C.F.Gaertn. var. indicus
花期:5月 常緑低木 樹高:30~60cm 花冠長:約1cm

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【学名解説】
Damnacanthus : damnao(優る)+acantha(刺)/アリドオシ属
indicus : インド(India)の
C.F.Gaertn. : Karl Friedrich von Gaertner (1772-1850)
var. : varietas(変種)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.717m) 2008.02.07
嫁越峠(Alt.ca.270m) 2012.03.15
安倍城跡(Alt.435m) 2014.05.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 07 February 2015
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by pianix | 2015-02-07 00:00 | | Trackback | Comments(0)