カテゴリ:花( 360 )
ニッコウネコノメ(日光猫目)
 ニッコウネコノメ(日光猫目)は、ユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草です。本州の太平洋側山地から四国にかけて分布する日本固有種です。イワボタン(岩牡丹)を母種とする変種です。イワボタンの葯は黄色です。名の由来は、日光国立公園の塩原で見つけられたネコノメソウである事から。イワボタンは、岩の多い場所に自生し牡丹の葉の付き方に似ている事から。ネコノメソウは、果実が熟して割れた形状を猫の瞳孔に例えたもの、あるいは漢名の猫児目晴草から。

 ユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))は、温帯から寒帯にかけて約17属500種があります。以前は約80属1200種が属する大きな科でしたが、近年に幾つかの科が分離され減少しました。ネコノメソウ属(Chrysosplenium L. (1753))は、世界に約55種、日本に14種が分布します。

 葉が対生するネコノメソウ節(Sect. Chrysosplenium)と、互生するヤマネコノメソウ節(Sect. Nephrophylloides)の2節に分類されます。ニッコウネコノメは、葉が対生するネコノメソウ節に分類されます。

 山地沢沿いの湿地に自生します。茎は暗紅色で無毛。葉は対生します。根生葉と茎葉共に柄があります。茎葉は灰白色の斑紋があり、長さ1~5cm。基部はくさび形で卵円形から卵状楕円形、鋸歯があり無毛。葉脈が目立ちます。花期は4月。萼裂片は4個で斜開、あるいは平開し、黄緑色。雄しべは4~8個で、葯は暗紅紫色。花後に送出枝が伸びます。果実は蒴果です。種子は茶褐色、径1mm程の球形で多数あります。染色体数は、2n=22。

 よく似た種に、葯が暗紅色で花糸や花盤が紅紫色をした、ヨゴレネコノメ(汚れ猫の目)があります。岐阜県以西の日本海側にはボタンネコノメソウ(牡丹猫の目草)があります。ネコノメソウの仲間は、地域による個体差があり、それによって種類が多く、分類が難しくなります。

Japanese common name : Nikkou-nekonome
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Chrysosplenium macrostemon Maxim. var. shiobarense (Franch.) H.Hara

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歓昌院坂 2008.04.02
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葯色は暗紅色

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牛妻不動の滝 2007.03.08

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左:全体の様子(歓昌院坂 2008.04.02) 右:芽生え後(安倍城跡 2013.03.06)

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左:茎 (歓昌院坂 2008.04.02) 右:果実 (牛妻不動の滝 2007.03.08)


ニッコウネコノメ(日光猫目草)
別名:ニッコウネコノメソウ(日光猫目草)
ユキノシタ科ネコノメソウ属
学名:Chrysosplenium macrostemon Maxim. var. shiobarense (Franch.) H.Hara
花期:4月 多年草 草丈:5~15cm 花径:2~3mm

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【学名解説】
Chrysosplenium : chrysos(金の)+spleen(脾臓)/ネコノメソウ属
macrostemon : 長い雄蘂(ゆうずい)の
Maxim. : Carl Maximowicz (1827-1891)
var. : varietas(変種)
shiobarense : 那須塩原の
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)
H.Hara : 原寛 Hiroshi Hara (1911-1986)

撮影地:静岡県静岡市
歓昌院坂 2008.04.02
牛妻不動の滝 2007.03.08
安倍城跡 2013.03.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 24 December 2014
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by pianix | 2014-12-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハナネコノメ(花猫の目)
 ハナネコノメ(花猫の目)は、ユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草です。福島県から京都付近までに分布します。シロバナネコノメソウ(白花猫の目草)を母種とします。名の由来は、花弁状の萼片がネコノメソウの仲間では花らしく見える事から。ネコノメソウは、果実が熟して割れた形状を猫の瞳孔に例えたもの、あるいは漢名の猫児目晴草から。

 ユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))は、温帯から寒帯にかけて約17属500種があります。以前は約80属1200種が属する大きな科でしたが、近年に幾つかの科が分離され減少しました。ネコノメソウ属(Chrysosplenium L. (1753))は、世界に約55種、日本に14種が分布します。葉が対生するネコノメソウ節と、互生するヤマネコノメソウ節の2種に分類されます。

 山地の沢や谷沿い湿地に自生します。茎は暗紅褐色を帯び、白色軟毛が散生します。草丈は5~10cm。葉は対生します。根生葉は花期に枯れます。茎葉は扇形で、半円状の鋸歯が3~7個あり、長さ10mm以内。葉にも白色軟毛がまばらにあります。花後に走出枝(runner)を伸します。

 花期は3月から4月頃で、茎頂に4~5個の花を付けます。花弁状に見えるのは4裂した萼裂片です。萼裂片は長さ3~5mmの長卵形で斜開し、白色、花径は約5mm。両性花。雄しべは8個で萼より突出します。葯色は暗紅色。花粉は黄色。近畿地方以西、四国や九州に分布する母種のシロバナネコノメソウ(白花猫の目草)の花粉は白色。花柱の先端はくちばし状。子房上位。果実は蒴果です。種子は微小で乳頭状突起があります。

 シロバナネコノメソウ(白花猫の目草)Chrysosplenium album Maxim. var. albumを母種とする変種は次の3種があります。
・ハナネコノメ(花猫の目)
 Chrysosplenium album Maxim. var. stamineum (Franch.) H.Hara
・キイハナネコノメ(紀伊花猫の目)
 Chrysosplenium album Maxim. var. nachiense H.Hara
キバナハナネコノメ(黄花花猫の目)
 Chrysosplenium album Maxim. var. flavum H.Hara

Japanese common name : Hana-nekonome
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Chrysosplenium album Maxim. var. stamineum (Franch.) H.Hara

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茎頂に4~5個の花をつける。葯色は暗紅色で、花粉は黄色。
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沢の湿地にある岩陰に群生するハナネコノメ


ハナネコノメ(花猫の目)
ユキノシタ科ネコノメソウ属
学名:Chrysosplenium album Maxim. var. stamineum (Franch.) H.Hara
花期:3月~4月 多年草 草丈:5~10cm 花径:約5mm

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【学名解説】
Chrysosplenium : chrysos(金の)+spleen(脾臓)/ネコノメソウ属
album : albus(白色の)
Maxim. : Carl Maximowicz (1827-1891)
var. : varietas(変種)
stamineum : stamineus(雄の、雄蘂の)
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)
H.Hara : 原寛 Hiroshi Hara (1911-1986)

撮影地:静岡県静岡市
竜爪山(Alt. 1051m) 2009.03.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 01 September 2014
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by pianix | 2014-09-01 00:00 | | Trackback | Comments(0)
キバナハナネコノメ(黄花花猫の目)
 キバナハナネコノメ(黄花花猫の目)は、ユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草です。シロバナネコノメソウ(白花猫の目草)を母種とする変種で、東海地方(静岡県、愛知県、岐阜県)、長野県に分布する日本固有種です。静岡県と岐阜県では準絶滅危惧(NT)、愛知県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)、長野県では絶滅危惧IA類(CR)。名の由来は、花弁状の萼片が黄色いネコノメソウであることから。ネコノメソウは、果実が熟して割れた形状を猫の瞳孔に例えたもの、あるいは漢名の猫児目晴草から。

 ユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))は、温帯から寒帯にかけて約17属500種があります。以前は約80属1200種が属する大きな科でしたが、近年に幾つかの科が分離され減少しました。ネコノメソウ属(Chrysosplenium L. (1753))は、世界に約55種、日本に14種が分布します。葉が対生するネコノメソウ節と、互生するヤマネコノメソウ節の2節に分類されます。キバナハナネコノメは、葉が対生するネコノメソウ節です。

 山地の谷や渓流沿いに自生します。草丈は5~10cm。茎は紅紫色を帯び、白色の軟毛があります。。花後に走出枝(runner)を伸します。葉は対生します。根出葉は1~2対を対生させ、花期に枯れます。茎葉は短い柄があり、長さ2~8mm、幅3~9mmの扇形単葉で、丸い鋸歯が3~5個あります。

 花期は4月から5月頃。黄色の4裂した広卵形の萼片が花弁状になり半開します。花径は、4~8mm。雄しべは8個。葯は黄色や橙赤色で、萼片から突出します。花柱の先端はくちばし状。子房上位。果実は蒴果です。

 シロバナネコノメソウ(白花猫の目草)Chrysosplenium album Maxim. var. albumを母種とする変種は次の3種があります。
ハナネコノメ(花猫の目)Chrysosplenium album Maxim. var. stamineum (Franch.) H.Hara
・キイハナネコノメ(紀伊花猫の目)Chrysosplenium album Maxim. var. nachiense H.Hara
・キバナハナネコノメ(黄花花猫の目)Chrysosplenium album Maxim. var. flavum H.Hara

※参考:レッドデーターブック・カテゴリー(分野図)

Japanese common name : Kibana-hana-mekonome
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Chrysosplenium album Maxim. var. flavum H.Hara


キバナハナネコノメ(黄花花猫の目)
ユキノシタ科ネコノメソウ属
学名:Chrysosplenium album Maxim. var. flavum H.Hara
花期:4月~5月 多年草 草丈:5~10cm 花径:4~8mm

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【学名解説】
Chrysosplenium : chrysos(金の)+spleen(脾臓)/ネコノメソウ属
album : albus(白色の)
Maxim. : Carl Maximowicz (1827-1891)
var. : varietas(変種)
flavum : flavus(黄色、山吹色、黄金色の)
H.Hara : 原寛 Hiroshi Hara (1911-1986)

撮影地:静岡県静岡市
貴重種位置情報非公開 2009.03.05
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 18 August 2014
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by pianix | 2014-08-18 00:00 | | Trackback | Comments(0)
オニシバリ(鬼縛り)
 オニシバリ(鬼縛り)は、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑小低木です。日本、中国、朝鮮半島に分布します。日本では、本州(福島県以南)、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、引きちぎりにくい枝で、鬼を縛れる程の強さとの例えから。別名のナツボウズ(夏坊主)は、夏に落葉させる事から。

 ジンチョウゲ(沈丁花)科(Thymelaeaceae Juss. (1789))は、世界の温帯から熱帯に44属、約500種が分布し、日本には4属、16種が自生します。ジンチョウゲ属(Daphne L. (1753))は、世界に約90種、日本には7種程が自生します。

 丘陵や山地の林内に自生します。茎は灰茶色で樹皮は強靱でしなやか。繊維に富む事から和紙の補助材として利用されます。樹高は50cm~80cm。葉は互生します。倒披針形、あるいは披針形で、長さ4~10cm、幅1~3cm、全縁。落葉は夏の7~8月頃の一ヶ月間程で、その後に新葉を出します。

 花期は2月から4月。葉腋から束生状に淡黄緑色の花をつけます。花冠は筒状で、長さ6~8mmの萼筒の先を4裂させた萼裂片を開き、反り返ります。雌雄異株。雌花の萼筒は雄花の半分程の長さで小さい。雄しべ8個。子房上位。

 果実は核果です。長楕円形で長さ6~8mm。熟すと赤くなります。セイヨウオニシバリ(西洋鬼縛り)Daphne mezereum L.と同様に、ダフネトキシン(daphnetoxin|C27H30O8)を含み有毒です。半数致死量(LD50)は、0.3mg/kg-1(mouse)。皮膚吸収の可能性があり、炎症を引き起す事があります。薬用としては、樹皮を慢性皮膚病、リウマチの消腫目的で使用されます。

 似た種に、ナニワズ(難波津)Daphne jezoensis Maxim.があります。長野県の絶滅危惧IB類(EN)。

 参考文献:Constituents of the Leaves of Daphne pseudo-mezereum (T.Konishi, S.Wada, S.Kiyosawa 1993)

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2015.01.29 開花を確認/2016.01.13 開花を確認/2017.02.03 開花を確認

Japanese common name : Oni-shibari
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Daphne pseudomezereum A.Gray

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左:雄株 右:雌株

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雄花花冠。萼筒先端を4裂させる。筒状で長さ6~8mm。

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左:雄花(左)と雌花(左) 右:内部。子房上位。

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左;雄株全体 右:葉は倒披針形、あるいは披針形で、全縁。

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左:若い果実(2014.04.16) 右:赤くなった果実(2016.05.12)


オニシバリ(鬼縛り)
別名:ナツボウズ(夏坊主)
ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属
学名:Daphne pseudomezereum A.Gray
花期:2月~4月 常緑小低木 樹高:50cm~80cm 花冠径:約14mm

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【学名解説】
Daphne : ギリシャ神話の女神名(月桂樹)/ジンチョウゲ属
pseudomezereum : pseudo(似た)+mazeriyn(殺す)[セイヨウオニシバリに似た]
A.Gray : Asa Gray (1810-1888)
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Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt.435m) 2014.02.19 - 04.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

05 March 2014
Last modified: 17 May 2016
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by pianix | 2014-05-13 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤブコウジ(藪柑子)
 ヤブコウジ(藪柑子)は、サクラソウ科ヤブコウジ属の常緑小低木です。東アジアの台湾、中国、朝鮮等に分布し、日本では北海道、本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、藪に生える小さなみかんから。コウジ(柑子)とは、小さなミカンの一種で、ヤマミカン(山蜜柑)と呼んでいたのが、万葉時代はヤマタチバナ(夜麻多知婆奈)となり、ヤブコウジへと変遷したものと考えられています。センリョウ(千両)、マンリョウ(万両)に対して、カラタチバナ(唐橘)は百両、ヤブコウジは十両と呼ばれ、正月の縁起物としてもお馴染みです。

 サクラソウ科(Primulaceae Batsch ex Borkh. (1797))は、28属約1000種があります。旧ヤブコウジ科(Myrsinaceae R.Brown, 1810)は、熱帯・暖帯・温帯に37属約1300種が分布し、日本には4属1)12種が自生します。ヤブコウジ属(Ardisia O.Swartz, 1788)は、約300種が分布し、日本には約6種があります。

 丘陵や山地(垂直分布1200m)の林内に自生します。地下茎は横に這い、所々から地上茎を出しながら樹高10から20cmに立ち上げ群生します。葉は、単葉で互生し、茎上部で輪生状につきます。長楕円形で長さ7cm程、幅3cm程、革質で光沢があり、細かな鋸歯があります。

 花期は7月から8月頃。葉腋に散形花序2)を出し、7~10mmの花柄の先に下向きに花を咲かせます。花は白色で赤味のある細かい斑紋があります。合弁花で5深裂し、径5~8mm。先が尖る裂片5.萼5、雄しべ5個、雌しべ1個の雌雄同体。子房上位。果実は核果です。熟すと赤くなります。果肉には若干の甘みがあり、鳥に食べられて種子散布されます。

 庭の下草としての利用があります。中国では、全草を乾燥させたものを紫金牛(しきんぎゅう)として利尿や咳止めに用いられます。

1)ヤブコウジ属、イズセンリョウ属(Maesa Forssk. (1775))、ツルマンリョウ属(Myrsine L. (1753))、タイミンタチバナ属(Rapanea Aublet, 1775) 。
2)散形花序[さんけいかじょ(umbel)]:無限花序のひとつで、放射状(傘形)に花柄をつける花序。

Japanese common name : Yabu-kouji
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Ardisia japonica (Thunb.) Blume

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5深裂した合弁花で、花径は5~8mm

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左:花は葉の下に隠れるように咲く(2008.07.11) 右:蕾(2007.12.13)ダイラボウ

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果実:超小型のリンゴのような形でかわいい。(2012.02.17)
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群生するヤブコウジ 2014.02.19

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左:上部の葉は輪生状につく 右:核(径約5mm)


ヤブコウジ(藪柑子)
別名:ヤマタチバナ(山橘)、ジュウリョウ(十両)
サクラソウ科ヤブコウジ属
学名:Ardisia japonica (Thunb.) Blume
花期:7~8月 常緑小低木 樹高:10~20cm 花径:5~8mm 果実径:5~6mm

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【学名解説】
Ardisia : ardis(鎗先・矢先)/ヤブコウジ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Blume : Carl Ludwig von Blume (1796-1862)
---
Batsch : August Johann Georg Karl Batsch (1761-1802)
ex : ~による
Borkh. : Moritz (Moriz) Balthasar Borkhausen (1760-1806)
---
R.Brown : Robert Brown (1773-1858)
O.Swartz : Olof Peter Swartz (1760-1818)
※japonicaは、ジャポニカではなくヤポニカと発音します。

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2007.12.13 - 2014.02.19
ダイラボウ(Alt. 561m)
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 February 2014, 14 March 2014
Last modified: 24 October 2016
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by pianix | 2014-02-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ミヤマシキミ(深山樒)
 ミヤマシキミ(深山樒)は、ミカン科ミヤマシキミ属の常緑低木です。アジアに分布し、日本では関東以西の山地に分布します。名の由来は、葉がシキミ(樒)に似て、山地に生える事から。

 ミカン科(Rutaceae Juss. (1789))は、世界に約150属、900種が分布します。ミヤマシキミ属(Skimmia Thunberg, 1783)は、アジアに約9種が分布し、日本では本種の1種のみがあり、変種・品種が11種程あります。

 山地の林下に自生します。樹高は100~150cmになります。葉は互生します。長さ6~13cm、幅3~5cmの倒卵状楕円形で全縁。光沢がある革質で、油点があります。

 花期は4月から5月頃。茎頂に円錐花序をつけます。雌雄異株。小花は白色の花弁4枚からなり径8~9mm。芳香があります。雌花は4本の退化した雄しべと1本の雌しべ、雄花は4本の雄しべと退化した雌しべ1本があります。

 果実は核果です。赤く熟し、球形で長さ約8mm。広卵形で7mm程の核が2~5個あります。染色体数は、2n=30。

 葉や種子に痙攣作用があるスキミアニン(skimmianine)や、ジクタムニン(dictamnine)を含む有毒植物です。古くは頭痛、めまいの民間薬として用いられた経緯があり、農業用殺虫剤としての利用があります。観賞用として栽培される場合もあります。

Japanese common name : Miyama-sikimi
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Skimmia japonica Thunb. var. japonica

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左:蕾 2008.02.18  右:蕾 2008.03.12

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左:《雄花》雄しべ4本と退化雌しべ1本 右:《雌花》雌しべ1本と退化雄しべ4本

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葉は倒卵状楕円形で全縁。光沢がある革質で、油点がある。

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果実は核果で、熟すと赤くなる


ミヤマシキミ(深山樒)
ミカン科ミヤマシキミ属
学名:Skimmia japonica Thunb. var. japonica
花期:4月~5月 常緑低木(雌雄異株) 樹高:100~150cm 果期:12月~2月

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【学名解説】
Skimmia : 和名のミヤマシキミに由来/ミヤマシキミ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
※japonicaは、ジャポニカではなくヤポニカと発音します。

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2008.02.18 - 2014.02.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 08 February 2014
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by pianix | 2014-02-06 00:00 | | Trackback | Comments(0)
エビネ(海老根)
 エビネ(海老根)は、ラン科エビネ属の多年草です。日本、朝鮮、中国に分布し、日本では北海道から沖縄にかけて分布する在来種です。環境省レッドブックで準絶滅危惧(NT)。名の由来は、地下茎の形状を海老に見立てたもの。園芸愛好家の間ではジエビネ(地海老根)の名前が使われています。

 ラン科(Orchidaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜寒帯に約700属、15000種以上、日本には約73属約220種が分布します。エビネ属(Calanthe R.Brown ex Ker-Gawler, 1821)は、東南アジア、東アフリカ、オーストラリア、南米などに変種を含んで約210種が分布し、日本には21種が自生します。

 山野の林内に自生します。球状で2cm程の偽鱗茎1)を地表浅く横に伸します。偽鱗茎からは径2~3mmの根を多数出します。葉は根生します。基部は花茎を抱き、披針状長楕円形で幅3~6cm、長さ15~30cmの薄い葉を2~3枚を出します。縦に5本の葉脈があり縮れます。茎の太さは3~5mm程で2~3個の小さな苞がつき、直立して高さ30~40cm。

 花期は4月から6月頃。総状花序を出し、径2~3cmの花を8~15個、下垂させてつけます。花柄は長さ約16mm。花は左右相称のラン形花冠で、幅約20~33mm。萼片(外花被片)3個と花弁(内花被片)がそれぞれ3個あり、萼片3個と花弁の2個(側花弁)は暗褐色で先が尖ります。花弁中央は唇弁で、白色や薄紫紅色、長さ約6.5mmで深く3裂し、さらに中央の中裂片は浅く2裂、3本の隆起線があります。基部が袋状の距となり長さ5~10mm、入口部に雄しべと雌しべが合着した蕊柱(ずいちゅう)があります。

 両性花。花粉は黄色で花粉塊となります。子房下位。果実は蒴果2)です。長さ3cm位の楕円形で6稜があり、熟すと稜の中央から縦に6個の裂目ができて種子を飛ばします。種子は菌根菌に依存する微小な線状の埃種子で多数あり、風によって散布されます。染色体数は、2n=40。

 品種(forma=f.)に、アカエビネ(赤海老根)Calanthe f. rosea (Hatus.) Honda[萼片と側花弁が紫褐色で唇弁が淡紅色]、ダイダイエビネ(橙海老根)Calanthe f. rufoaurantiaca (Iwata) Honda[萼片と側花弁が黄褐色で唇弁が白色]、があります。

 変種(varietas=ver.)に、カツウダケエビネ(嘉津宇岳海老根)Calanthe var. kanashiroi Fuk.[沖縄県に分布]、ハノジエビネ(八の字海老根)Calanthe var. divaricatipetala Ida[徳之島に分布]、があります。変種とされていた絶滅危惧IAのアマミエビネ(奄美海老根)Calanthe var. amamiana(Fuk.)Masam.[奄美大島および徳之島に分布]はsynonym(異名)とされ、Calanthe amamiana Fukuy.に変更3)されました。

※乱獲によって自生種は激減しました。種子から花をつけるまでは5年を要すると推測されています。絶滅を防ぐために盗掘はやめましょう。また園芸用途では無菌培養による増殖が確立されていて、乱獲の減少につなげる努力もされています。(環境省RDB図鑑一覧による)

1)偽鱗茎(ぎりんけい):蘭の複数の茎の節間にできる栄養貯蔵組織。
2)蒴果(さくか):裂開果の一つで、熟すと果皮が割れて種子を出す果実。
3)米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)

※以下の写真は、アカエビネ(赤海老根)です。

Japanese common name : Ebi-ne
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Calanthe discolor Lindl. f. rosea (Hatus.) Honda

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全体 2本の花茎があるので合計6枚の葉が見える。花は8~15個つく。
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萼片と花弁が3個ずつあり、白っぽく見えるのが唇弁で3裂している。

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左:地表浅くにある偽鱗茎。 右:前年度の古い葉。上に本年度の葉が見える。

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葉は根生し、花茎を抱く。長さ15~30cmの薄い葉を2~3枚出す。

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左:花柄の下に白色の距があり長さ5~10mm。右:茎に付く披針形の苞(鱗片葉)

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左:果実は蒴果で、稜線から縦に裂けて種子を出す(6月4日)。右:裂開後(9月6日)。

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種子は菌根菌に依存する微小な線状の埃種子。風に舞って散る。

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2014年に出てきた新芽 2014.03.31


エビネ(海老根)
別名:ジエビネ(地海老根)
ラン科エビネ属
学名:Calanthe discolor Lindl.
花期:4月~6月 多年草 草丈:30~40cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Calanthe : calos(美)+anthos(花)/エビネ属
discolor : dis(分離)+color(色)[異なる部分が二色の]
Lindl.: John Lindley(1799-1865)
---
f. : forma(品種)
rosea : roseus(バラ色の・淡紅色の)
Hatus. : 初島住彦 Sumihiko Hatusima (1906-2008)
Honda : 本田正次 Masaji Honda (1897-1984)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2013.04.21 - 06.04(果実) - 09.06(裂開後果実)
2014.03.31(新芽)
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

6 September 2013, 6 April 2014
Last modified: 6 October 2017
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by pianix | 2013-09-06 00:00 | | Trackback | Comments(4)
バショウ(芭蕉)
 バショウ(芭蕉)は、バショウ科バショウ属の多年草です。温帯地域を中心に自生分布しています。中国経由で日本に入ってきたと考えられていて、日本では、本州中部以南、四国、九州で観賞用として露地栽培されています。名の由来は、詳細不明です。中国でバナナを芭蕉と当て字し、日本では漢名を音読みしたもの。漢名の一説に、芭は葉の形状が腹ばいに横たわっている状態を表し、蕉は焦がすの意味で黒色を表しているとされています。語源として南方系の言語からとの説もあります。英名は、Japanese Fiber banana、Hardy banana。

 バショウ科(Musaceae Juss. (1789))は、熱帯を中心に3属約50種が分布します。バショウ属(Musa L. (1753))は、約40~50種が分布します。

 澱粉を含む塊状で宿根性の塊茎(Rhizome)があり、新しい塊茎を側生して繁殖します。茎は葉鞘(Sheath)が発達した偽茎(Pseudostem)で、径約20~25cm。中心部に花茎があり径約4cm、高さ2~5m程になります。偽茎から繊維を取り出し、芭蕉布(ばしょうふ/バシャギン)が作られます。

 長さ1~3m、幅30~80cm程になる広楕円形の葉を互生してつけます。葉柄は30cm程、葉先は鈍頭です。主脈がU字形に深く湾曲して溝となり、裏面へと隆起します。強風にあおられると支脈に沿って裂けますが、風の抵抗を減らす為と考えられています。冬季に枯れ、3月後半頃から新葉を展開します。円筒形に巻いた葉を直立させた後、ほぐしながら左右に広げます。枯れると黒褐色となります。乾燥させた葉を、生薬「芭蕉」として用います。

 花期は7~9月頃。葉心から果軸(Peduncle)を伸ばして下垂し、黄緑色の苞(Bract)をつけます。黄色で卵状形の苞を次々に開き、果軸の先に花穂を出して薄黄色で唇形の花冠をつけます。雌雄異花で雌性先熟(Protogyny)。自家受粉を避ける為、初めに雌花をつけ、時期を遅らせてから、雄花をつけます。

 雌花花序は螺旋状につく果房(Cluster)の先端に出します。多くは不稔性で偽果ですが、希に結実して長さ6cm程の四稜があるバナナ状の果実を付けます。果実は液果(漿果)。種子は暗褐色。

 果軸先端で苞を開き、雄花花序を段状に出します。花は筒状唇状で、雄しべは長さ約5cm。苞は径約8cm。染色体数は、2n=22(x=11)。

◆ ◆ ◆

 安倍城跡(Alt.435.2m)の西ヶ谷登り口付近に、何本かのバショウが植えられています。訪れた人はバナナだと思って実をつけるのを楽しみにしているようです。多分、実が成ったらよじ登って食べる気でいるからなのでしょう。ところが、いつの時期も実ったバナナを目にする事はありません。たまに実を付けても大変小さく、いつ大きくなるだろうと思って待っていても、そのままで終わってしまいます。このバナナは実を付けない駄目なバナナだと、ののしられる結果となります。・・・だから、バナナ(実芭蕉)ではないって。大変可哀想なバショウです。

参考:ミズバショウ(水芭蕉) 芭蕉の名が付けられているが異なる科属

Japanese common name : Bashou
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Musa basjoo Siebold ex Iinuma
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台風15号通過後 2011.09.23
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台風によって痛んだ葉 2011.09.23
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苞 2012.05.16

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左:2012.02.28 黒化した果実 2012.06.08 新しい果実

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左:2008.07.11 《先端の苞が開いて雄花が出てくる》 右:2012.09.20
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雄花 2012.09.13

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円筒形に巻いた状態で新しい葉が出てくる。 2012.06.24

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左:2012.09.13  《葉は互生する》  右:2012.09.20

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左:葉表          右:葉裏
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葉の主脈が裏面にU字形に隆起し、羽状の支脈が平行に並ぶ。 2012.12.27



 ある秋の日、このバショウのほとんどが切り倒されました。70歳代の地主に話を伺うと、このバショウは先代からあったようです。偽茎に鋸を半分ほど入れれば簡単に倒す事ができ、またすぐに生えてくると話してくれました。巨大な「草」が伸びてくるのを心待ちにしました。
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伐採後の切り株 2012.12.27

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左:偽茎切り株、中心部に花茎 2013.01.05   右:葉柄の断面2012.12.27
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【成長の過程】切口から花茎が伸びてきた 2013.03.21
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【成長の過程】葉を展開して大きくなった。2013.06.04


バショウ(芭蕉)
バショウ科バショウ属
学名:Musa basjoo Siebold ex Iinuma
花期:7~9月 草丈:4~5m 多年草 雄しべ長:約5cm

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【学名解説】
Musa : バナナのアラビア名(mawza)/ローマのアウグスト大帝の侍医Antonio Musaに因む/バショウ属
basjoo : バショウ
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
ex : ~による
Iinuma : 飯沼慾斎 Yokusai Iinuma (1782-1865)
---
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)

撮影地:静岡県静岡市葵区
安倍城跡(Alt.435m) 2008.07.11 - 2013.06.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 30 March 2013
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by pianix | 2013-03-30 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
 ミヤマキケマン(深山黄華鬘)は、ケシ科キケマン属の越年草です。本州(近畿地方以東)に分布する在来種です。名の由来は、フウロケマン(風露華鬘)1)の変種で、山に生えるキケマン(黄華鬘)2)であることから。華鬘は、仏教で使われる透かし彫りの飾り。

 APG体系、新エングラー体系ではケシ科(Papaveraceae Adans., 1763)に分類されます。北半球に43種820種が分布します。日本には7種20種、日本固有種は1属4種3変種があるとされています。クロンキスト体系では、ケマンソウ科(Fumariaceae A.P. de Candolle, 1821)に分類され、世界に約16属450種が分布します。キケマン属(Corydalis A.P. de Candolle, in Lamarck & A.P. de Candolle, 1805)は、世界に約200種、日本では約20種が分布します。

 山地の林縁に自生します。茎は叢生し、斜上させて草丈20~45cmになります。褐色で無毛、軟弱で多汁質。折ると汁を出し、悪臭を放ちます。葉は、互生します。1~2回羽状複葉3)で、小葉は羽状に深く裂けます。ただし、発芽時の葉は切れ込みが深くはなく、褐色を帯びる事があります。

 花期は4月から6月。茎の先に、長さ4~10cmの総状花序を出します。花序に8~30個ほどの花を付けます。花柄は長さ5~12mm。苞は広披針形。萼片は2個で小さい。花は、花弁4の筒状で黄色、長さ20~23mm。先端が唇状、後部に緩やかに屈曲した距があります。母種であるフウロケマンの距は長くて大きく屈曲します。花弁は外側に2個、内側に2個あります。外側花弁は上下にあり(上下弁)、花弁先端は緑色で、やがて褐色を帯びて反り返ります。内側花弁は側面にあり(側弁)、先端で外側花弁から出て合着します。両性花です。雄しべ2本で、平形の花糸先端が3裂して1本につき3個の葯をつけます。虫媒花です。

 果実は蒴果です。弓なりになった線形で、長さ2~3cmの波打った数珠状。熟すと二裂して10前後の種子を出します。種子は1.5~1.7mmで小突起が多数あり、黒色。エライオソーム(Elaiosome)が付着していて、蟻によって運ばれます。

 全草にアルカロイド4)を含む毒草です。主成分はプロトピン5)で、誤食によって、嘔吐、麻痺が起こります。食べてはいけません。また、茎を折ったりした時に悪臭がしますが、これを吸い込むと人によっては気持ちが悪くなったりします。臭いを強く吸い込んではいけません。

★  ★  ★

 花の観察のために再訪すると跡形もなく消えているという事が時たまあります。里山では、キンラン(金襴)やササユリ(笹百合)がそれでした。ササユリの場合、翌年に見に行くと1本もありませんでした。それでも山頂に数本あり、誰かが添え木までしてくれてあったので楽しみは残りました。やがてつぼみを持ち開花という時期、山頂へあがって驚きました。掘り返した跡があり一つ残らず消えていました。よくよく見ると、イノシシが荒らし回ったようでした。これにはがっかりしました。

 そして今年、ミヤマキケマンを撮り直そうと出かけたら、これも消えていました。一瞬、時期を間違えたかと思いました。登り口付近にたくさんあったのに、今は草ぼうぼうとして以前と比べて荒れ果てています。おかしいと思い、しばらく登って行きましたが見つからず、雨が降りそうな天候だったので、あきらめて下りました。小川を隔ててカモシカが、じっと動かずこちらを伺っていました。付近の山肌では伐採工事が行われて雰囲気が変わっていました。

 いつも咲く花が今年も咲くという保証はありません。山の道でさえ、倒木1本で道筋が変わり、崩落して廃道となります。それでなくても人が入らなくなった山道は消えてしまいます。それを復活させるには並々ならぬ努力が必要となります。話を生物に戻せば、ありふれた人なつこいアホウドリしかり、トキしかり。例え人為的でなくても自然界は流動していることを実感させられました。失って初めて大切さが分かるものです。

 ※ササユリは、少し離れた場所で咲きました。2012.06.13に確認、翌日、蕾を持つものも見つかりました。「お前達、よく生きていたな」と思いながら撮影しました。何となく、「山に生きる私たちは、そんなにヤワじゃないわ」と聞こえてくるようでした。

1)フウロケマン(風露華鬘):Corydalis pallida (Thunb.) Pers. var. pallida
2)キケマン(黄華鬘):Corydalis heterocarpa Siebold et Zucc. var. japonica (Franch. et Sav.) Ohwi
3)羽状複葉(うじょうふくよう):葉の軸から小葉が左右に鳥の羽のように並ぶ葉の形態。pinnate compound leaf。二回羽状複葉は、再複葉(decompound leaf)のひとつで、羽状複葉の小葉が羽状になっているもの。bipinnate compound leaf。
4)アルカロイド(alkaloid):窒素原子を分子内に含む塩基性成分の総称。植物毒のひとつで、薬用として用いられるものもある。
5)プロトピン(protopine):C20H19NO5
 ミヤマキケマンの成分:protopine, capauridine, capaurimine, capaurine, l-tetrahydropalmatine(以上、フウロケマンと同じ), sanguinarine (金子・成戸 1970) 。

Japanese common name : Miyama-ki-keman
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Corydalis pallida (Thunb.) Pers. var. tenuis Yatabe
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先端が唇状、後部に緩やかに屈曲した距がある黄色花

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咲き始めは上向きに花を密集させる。

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褐色で無毛、軟弱で多汁質の茎。茎先に総状花序をつける。

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左:葉は、1~2回羽状複葉で、小葉は羽状に深く裂ける。 右:茎は叢生する。


ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
ケシ科キケマン属
学名:Corydalis pallida (Thunb.) Pers. var. tenuis Yatabe
花期:4月~6月 越年草 草丈:20~45cm 花冠長:20~23mm 花序長:4~10cm

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【学名解説】
Corydalis : Korydallis(雲雀)/キケマン属
pallida : pallidus(淡白色の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)
var. : varietas(変種)
tenuis : 軟質の
Yatabe : 矢田部良吉 Ryokichi Yatabe (1851-1899)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.716.9m) 2008.03.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 22 June 2012
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by pianix | 2012-06-16 00:00 | | Trackback | Comments(6)
コアジサイ(小紫陽花)
 コアジサイ(小紫陽花)は、ユキノシタ科アジサイ属の落葉低木です。関東以西の本州から九州にかけて分布する日本固有種です。名の由来は、装飾花を持たない小型の花序を付けるアジサイである事から。アジサイは、古語で集真藍(あづさあい〉であって、青い小さな花が集まって咲くからと言われています。漢字表記の紫陽花は中国の別の花からとった当て字です。別名のシバアジサイ(柴紫陽花)は、山野の小雑木を表す柴を冠したアジサイとの意味から。

 ユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))は、温帯から寒帯にかけて約17属500種があります。以前は約80属1200種が属する大きな科でしたが、近年に幾つかの科が分離され減少しました。アジサイ属(Hydrangea L. 1753)は、東アジアとアメリカに約40種が分布し、日本には約10数種が分布します。

 山地の林内に自生します。落葉低木で、樹高100~150cmになります。枝は紫褐色で毛がまばらにあります。葉は、対生します。長さ1~4cmの葉柄があり、葉身は長さ4~8cm、幅3~5cmの広卵形。葉先4分の3~3分の2に大きめの鋸歯があり、先は鋭尖頭。葉の表裏に毛がまばらにあり、特に葉脈に沿って多くあります。

 花期は6月から7月頃です。分岐した枝先に径5~8cm程の散房花序を出します。芳香があります。装飾花はありません。小花は径3~5mmで淡青色や白色[1]があります。花弁は5個で長楕円形。両性花です。雄しべは10本で長さ3mm、葯は乳白色。雌しべは3~4本。萼片は5個で裂片は卵状三角形。子房半上位。果実は朔果です。残存花柱がある径2mmの球形で、花柱部分を含めると長さ3mm。種子は淡褐色の長卵形で長さ約0.5mm。染色体数は、2n=36。

★  ★  ★

 5月の終わり頃、里山へ入るとコアジサイが迎えてくれます。一面に咲いている場所もあり、甘い香りがあたりに漂います。初夏であることを香りで実感し、同時に過去のでき事も脳裏によみがえらせます。息を弾ませながら、汗を流して一歩一歩登る私をなごませてくれるのです。飾り気が無く、どこにでも咲いているありふれたアジサイの仲間ですが、私はコアジサイが一番好きです。

Japanese common name : Ko-ajisai
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Hydrangea hirta (Thunb.) Siebold et Zucc.
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2012.05.30 安倍城跡
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2012.06.08 安倍城跡

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小花は径3~4mmで、淡青色や白色がある。淡碧色の花糸。

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左:枝は分岐し、毛がある。 右:シロバナコアジサイ(白花小紫陽花)[1]

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葉は対生して鋸歯がある。左:葉表 右:葉裏 葉脈上に毛が多い
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果実は残存花柱がある朔果


コアジサイ(小紫陽花)
別名:シバアジサイ(柴紫陽花)
ユキノシタ科アジサイ属
学名:Hydrangea hirta (Thunb.) Siebold et Zucc.
花期:6月~7月 落葉低木 樹高:100~150cm 花径:5mm 果期:9~10月

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【学名解説】
Hydrangea : hydro(水)+angeion(容器)/アジサイ属
hirta : hirtus(短い剛毛のある)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)
---
[1]シロバナコアジサイ(白花小紫陽花)
学名:Hydrangea hirta (Thunb.) Siebold et Zucc. f. albiflora (Honda) Okuyama
【学名解説】
f. : forma(品種)
albiflora : albiflorus(白花の)
Honda : 本田正次 Masaji Honda (1897-1984)
Okuyama : 奥山春季 Shunki Okuyama (1909-1998)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt.435m) 2008.05.20, 2012.05.30, 2012.06.08
牛ヶ峰(Alt.717m) 2008.05.28, 2008.06.06
ダイラボウ(Alt.561m) 2010.06.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

9 May 2012, 13 June 2012
Last modified: 11 December 2015
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by pianix | 2012-06-09 00:00 | | Trackback | Comments(5)