カテゴリ:花( 374 )
シモバシラ(霜柱)
 シモバシラ(霜柱)は、シソ科シモバシラ属の多年草です。関東以西の本州から九州にかけて分布する日本固有種です。名の由来は、初冬に枯れた茎の根元から染み出た水分が凍り、氷柱ができるのを霜柱と見立てたもの。別名のユキヨセソウ(雪寄草)も同様に、氷柱を雪に見立てたものです。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。シモバシラ属(Keiskea Miquel, 1865)は、1属2種で、中国に1種、日本にシモバシラの1種が分布します。

 山地の林下に自生します。茎はシソ科によく見られる4稜形(断面四角形)で、やや木質化し、上部で分枝して長さ40~90cmになります。葉は対生します。5~30mmの葉柄があり、長さ8~20cm、幅3~5.5cmの長楕円形で、先端は尖り、浅い鋸歯があります。表面の脈上には細毛があり、裏面には腺点があります。

 花期は9月から10月。上部の葉腋から総状花序を出します。花穂は長さ5~12cmで、一方向に偏って(偏側生)、短い柄の先に小花が横向きに多数付きます。萼片は長さ約3mmで5深裂し、果時には5~6mmになります。花冠は白色の唇形花で、長さ約7mm。上唇は浅く2裂し、下唇は3裂します。雄しべは長短2個ずつの4本で、先端が2裂した雌しべと共に花冠より突出します。子房は上位。果実は分離果(schizocarp)で1種子を含み、種子は1.5~2mmの球形です。染色体数は、2n=20。

 品種に、神奈川県に分布し花冠が薄紅色を帯びる、ウスベニシモバシラ(薄紅霜柱)Keiskea japonica Miq. f. rubra Kigawa があります。

 冷えた冬の朝に氷結現象を起こし、地表近くの枯れた茎に氷華を形成します。地上部のやや木質化した茎が枯れて残り、木部に二次的にできた水の通路(0.1~0.5mm)に毛細管現象で吸い上げられた水分が滲み出ます(犀川2007)。地表が急激に冷えると押し出してくる水で氷が鰭(うろこ)状にせり出し(前川1995)、氷の膨張によって表皮が破れます。幾つかの植物で同様の現象が起きます。シソ科ではヒキオコシセキヤノアキチョウジ、キク科ではカシワバハグマ、シロヨメナ等があります。

【参考文献】
SAIKAWA, M. : Secondary water path formation in frost column formation in the xylem of Keiskea japonica. Bull. Tokyo Gakugei Univ. Natur. Sci., 59: 55-59 (2007)
SAIKAWA, M. : Some new findings on frost column formation by Keiskea japonica. Bull. Tokyo Gakugei Univ. Natur. Sci., 58: 151-161 (2006)

Japanese common name : Shimo-bashira
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Keiskea japonica Miq.

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葉腋から総状花序を出し、花穂は長さ5~12cm 竜爪山2008.09.25 安倍城跡10.09

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花穂は一方向に偏って小花が横向きに多数付き、萼片は長さ約3mmで5裂する

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葉は対生し、長楕円形で先が尖る(千代山 2007.10.05)
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果実は分離果 2012.10.29



シモバシラの氷華

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左:表皮が破れて横に広がり、霜柱状になる 右:初期段階は氷柱となる

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竜爪山(Alt. 1051m) 2008.12.27


シモバシラ(霜柱)
別名:ユキヨセソウ(雪寄草)
シソ科シモバシラ属
学名:Keiskea japonica Miq.
花期:9月~10月 多年草 草丈:40~90cm 花冠長:約7mm

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【学名解説】
Keiskea : 伊藤圭介 Keisuke Ito (1803-1901)の名に因む/シモバシラ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
---
rubra : 赤色の

※伊藤圭介:シーボルトに師事、1888年(明治21)に日本初の理学博士。日本における近代植物学の祖で、「泰西本草名疏(たいせいほんぞうめいそ)1828-29」、「日本産物誌1873年(明治6)」などの著作がある。彼の名が付く植物には、シモバシラの他に、アシタバ(Angelica keiskei (Miq.) Koidz)、イワチドリ(Amitostigma keiskei Miq.)、スズラン(Convallaria keiskei Miq.)等がある。

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Alt. 226m) 2007.10.05
安倍城跡(Alt. 435m) 2008.09.27, 2008.10.09, 2012.10.29
竜爪山(Alt. 1051m) 2008.09.25, 2008.12.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

10 February 2011
Last modified: 20 December 2014
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by pianix | 2011-02-10 00:00 | | Trackback | Comments(2)
テイショウソウ(禎祥草)
 テイショウソウ(禎祥草)は、キク科モミジハグマ属の多年草です。本州の関東から近畿にかけてと四国に分布します。名の由来は、不明です。「禎祥草」と漢字表記しましたが語源が不明なため不確かです。禎祥は、良い前兆との意味です

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。モミジハグマ属(Ainsliaea A.P. de Candolle, 1838)は、日本や朝鮮、中国に約30種が分布します。

 山地の林下に自生します。細く長い根があり、褐紫色の茎を枝分かれせずに30~60cmに伸ばします。茎の下部に4~5枚の葉を輪生状に付けます。葉は卵状鉾形で、長さ10~15cm、長い葉柄があります。緑白の斑紋がありますが、まれに無い葉もあり、葉裏は暗紫色を帯びます。

 花期は9月から11月。花茎の上部に穂状花序を付けます。花柄は長さ2~3mmで、茎の一方向に花を出し横向きになります。頭花は3個の筒状花の集合体で、花冠径15~20mm程。小花は捻れた線状の裂片が5個あり白色、径10~13mm程。柱頭は花冠から突出して先端が2裂します。雄しべは糸状で、合着して花柱を囲みます。頭花全体では15枚の花びらと3本の雌しべがあるように見えます。総苞は筒状で、長さ10~15mm。総苞片は紫色を帯びた狭長楕円形。

 果実は痩果1)です。無毛で倒披針形。長さ約10mmの羽毛状冠毛がある風媒花です。染色体数は、2n=24。核型2)は、K=24=3Asm+3tB1sm+3B2st+3C1sm+3C2m+3D1sm+3D2tr+3Em.(Arano, 1957)。

 同属でよく似た花は多数ありますが、葉の形状が異なります。 葉に鋸歯がない、マルバテイショウソウ(丸葉禎祥草)Ainsliaea fragrans Champ. ex Benth.、変種で長楕円形や円形の葉の、ヒロハテイショウソウ(広葉禎祥草)Ainsliaea cordifolia Franch. et Sav. var. maruoi (Makino) Makino ex Kitam.があります。
 近畿地方以西に分布し、紅葉(モミジ)のような形状の葉をつける、モミジハグマ(紅葉白熊)Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. acerifolia 、亀甲状のキッコウハグマ(亀甲白熊)Ainsliaea apiculata Sch.Bip.、掌状で静岡県と愛知県に分布する、エンシュウハグマ(遠州白熊)Ainsliaea dissecta Franch. et Savat. 、変種で、紅葉(モミジ)のような形状の葉をつける、オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. subapoda Nakai 等があります。

1)痩果(そうか:achene):種子が堅い果皮に包まれ熟すと乾燥する果実。1室に1個の種子がある。
2)核型(かくけい):karyotype(カリオタイプ)、染色体の数と形状の類型

【参考文献】
Hisao ARANO : The karyotype analysis and its karyotaxonomic considerations in tha tribe Mutisieae. Jap. Jour. Genet. 32(1957):293-299

Japanese common name : Teishou-sou
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Ainsliaea cordifolia Franch. et Sav.
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卵状鉾形で緑白の斑紋がある葉を輪生状に付ける。2009.10.12
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2008.05.13

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2014.10.20


テイショウソウ(禎祥草)
キク科モミジハグマ属
学名:Ainsliaea cordifolia Franch. et Sav.
花期:9月~11月 多年草 草丈:30~60cm 花冠長:15~20mm

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【学名解説】
Ainsliaea : Whitelaw Ainslie (1767-1837)に因む/モミジハグマ属
cordifolia : cordifolius(心臓形葉の)
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Sav. : Paul Amedee Ludovic Savatier (1830-1891)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.717m) 2008.05.13, 2009.10.12
安倍城跡(Alt. 435m) 2014.10.20
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

29 December 2010, 25 March 2011
Last modified: 21 October 2014
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by pianix | 2010-12-29 00:00 | | Trackback | Comments(0)
オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)
 オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)は、キク科モミジハグマ属の多年草です。本州と九州の北部に分布する在来種です。名の由来は、深山に咲き、葉を紅葉(もみじ)に、花の形をハグマ(白熊=ヤク1))の白い尾毛に例えたもの。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。モミジハグマ属(Ainsliaea A.P. de Candolle, 1838)は、日本や朝鮮、中国に約30種が分布します。

 山地の林下に自生します。花茎は高さ30~80cm程に立ち上がり、毛がまばらにあります。葉は花軸の中程に5~13cmの葉柄を出し、4~7枚を輪生状に互生します。葉は腎心形または円心形で長さ6~12cm、幅6~18cm。掌状に浅く裂け、両面に軟毛があります。葉の切れ込みが深いのは本種の母種にあたる、モミジハグマ(紅葉白熊)Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. acerifoliaで、近畿地方以西に分布します。

 花期は、8月から10月。穂状に白色の頭花を横向きにつけます。花柄は約2mm、総苞は1.2~1.5mmで、総苞片が多数並んだ筒形。花冠の長さは12~15mm。頭花は筒状の小花3個の集まりで、小花の花冠は線状に5裂して捻れます。雌しべ1本が長く突き出します。従って頭花は、合計15の裂片と3本の雌しべがあります。果実は痩果2)です。長さ9~10mm、幅2mmの倒披針形3)で、約10mmの羽毛状冠毛があります。染色体数は、2n=24。

 同属でよく似た花は多数ありますが、葉の形状が異なります。近畿地方以西に分布し、紅葉(モミジ)のような形状の葉をつける、モミジハグマ(紅葉白熊)Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. acerifolia 、亀甲状のキッコウハグマ(亀甲白熊)Ainsliaea apiculata Sch.Bip. 、卵状鉾型のテイショウソウ(禎祥草)Ainsliaea cordifolia Franch. et Savat. や、掌状で静岡県と愛知県に分布する、エンシュウハグマ(遠州白熊)Ainsliaea dissecta Franch. et Savat. 等があります。

1)ヤク(Yak):ウシ科ウシ属の動物 Bos grunniens Linnaeus, 1766。ヤクの尾毛を兜や槍の装飾品とし、軍帽では色によって黒熊(こぐま)、白熊(はぐま)、赤熊(しゃぐま)がある。
2)痩果(そうか:achene):種子が堅い果皮に包まれ熟すと乾燥する果実。1室に1個の種子がある。
3)披針形(とうひしんけい):披針形を逆さにした形。細長く、基部よりも先端の方が広い形状。

Japanese common name : okumomiji-haguma
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Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. subapoda Nakai

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葉は花軸の中程から出し、掌状に浅く裂ける


オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)
キク科モミジハグマ属
学名:Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. subapoda Nakai
花期:8月~10月 多年草 草丈:30~80cm 花冠長:12~15mm

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【学名解説】
Ainsliaea : Whitelaw Ainslie (1767-1837)に因む/モミジハグマ属
acerifolius : カエデ属(Acner)の葉に似た(主に掌状)
Sch.Bip. : Carl (Karl) Heinrich Schultz Bipontinus (1805-1867)
var. : varietas(変種)
subapoda : sub(ほとんど)+apoda(無柄の)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)

撮影地:静岡県静岡市
竜爪山(Alt. 1051m) 2008.09.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

Last modified: 24 December 2010
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by pianix | 2010-12-22 00:00 | | Trackback | Comments(0)
キッコウハグマ(亀甲白熊)
 キッコウハグマ(亀甲白熊)は、キク科モミジハグマ属の多年草です。日本、朝鮮半島に分布します。日本では、北海道、本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、葉の形が亀甲の形状で、花の形をハグマ(白熊=ヤク1))の白い尾毛に例えたもの。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。モミジハグマ属(Ainsliaea A.P. de Candolle, 1838)は、日本や朝鮮、中国に約30種が分布します。

 山地の木陰に自生します。葉は根生して輪生状につきます。5角形の亀甲形状で、長さ1~3cm、幅1~2.5cm。葉柄は1~5cmで、葉の両面に毛があります。葉形変異があり、心臓形や腎臓形、卵形もあります。花茎は高さ10~30cm程になり、毛があります。

 花期は9月から10月。花茎頂に数個の頭花を総状につけます。頭花は、白色の小花3個の集合体です。小花は管状花で、5深裂します。裂片の幅は0.4~0.6mmで、先端は鉤状に巻いて右横に向き、全体で一輪状となります。頭花裂片の合計は15個で、花冠径は7~8mm。総包葉は長さ10~15mmの筒状。雄しべ先熟で、雄しべは合着して淡赤褐色の葯筒となり、雌しべ先端は2裂します。

 総苞片に包まれたままの閉鎖花をつけることがあり、閉鎖花は自家受粉します。果実は痩果2)です。倒披針形3)で、長さは4~5mm。長さ7~10mmの淡褐色で羽状の冠毛があります。風で種子散布する風媒花です。染色体数は、2n=24。核型4)は、K=24=3Asm+2B1tr+4B2st+3C1m+3C2sm+3D1tr+3D2m+3Em. (Arano, H. 1957)

 同属でよく似た花は多数ありますが、葉の形状が異なります。卵状鉾型の、テイショウソウ(禎祥草)Ainsliaea cordifolia Franch. et Savat. や、掌状で静岡県と愛知県に分布する、エンシュウハグマ(遠州白熊)Ainsliaea dissecta Franch. et Savat. 、変種で、紅葉(モミジ)のような形状の葉をつける、オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)Ainsliaea acerifolia Sch. Bip. var. subapoda Nakai 等があります。

1)ヤク(Yak):ウシ科ウシ属の動物。Bos grunniens Linnaeus, 1766。ヤクの尾毛を兜や槍の装飾品とした。軍帽では色によって黒熊(こぐま)、白熊(はぐま)、赤熊(しゃぐま)がある。
2)痩果(そうか:achene):種子が堅い果皮に包まれ熟すと乾燥する果実。1室に1個の種 子がある。
3)倒披針形(とうひしんけい):披針形を逆さにした形。細長く、基部よりも先端の方が広い形状。
4)核型(かくけい):karyotype(カリオタイプ)、染色体の数と形状の類型

【参考文献】
Hisao ARANO : The karyotype analysis and its karyotaxonomic considerations in tha tribe Mutisieae. Jap. Jour. Genet. 32(1957):293-299

Japanese common name : Kikkou-haguma
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Ainsliaea apiculata Sch.Bip.

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左:葉は根生して輪生状 右:雄蘂は合着して淡赤褐色の葯筒となり、雌蘂先端は2裂
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頭花は管状花が3個の集合体。裂片の先端は鉤状に巻いて右横に向く


キッコウハグマ(亀甲白熊)
キク科モミジハグマ属
学名:Ainsliaea apiculata Sch.Bip.
花期:9月~10月 多年草 草丈:10~30cm 花冠長:10~15mm 花冠径:7~9mm

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【学名解説】
Ainsliaea : Whitelaw Ainslie (1767-1837)に因む/モミジハグマ属
apiculata : apiculatus(短突起のある)
Sch.Bip. : Carl (Karl) Heinrich Schultz Bipontinus (1805-1867)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.717m) 2008.10.27 2014.10.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

Last modified: 15 December 2010, 19 November 2015
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by pianix | 2010-12-15 00:00 | | Trackback | Comments(2)
コウヤボウキ(高野箒)
 コウヤボウキ(高野箒)は、キク科コウヤボウキ属の落葉低木です。日本と朝鮮半島、中国に分布します。日本では、関東以西から九州に分布する在来種です。名の由来は、霊場である和歌山県の高野山で、枝を束ねて竹箒の代用としたことから。厠箒(かわやぼうき)の転訛したものとの説もあります。古名に、玉箒(多麻婆波伎=たまばはき/たまははき)があります。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。コウヤボウキ属((Pertya C.H. Schultz-Bip. 1862))は、約15種があります。

 山地の林縁に自生します。束生1)(叢生)し、枝分かれしながら樹高60~90cmになります。枝は細く短毛があります。葉は互生します。広卵形で長さ2~3cm、先尖、両面に毛があり、鋸歯がまばらにあります。2年目の枝には披針形の葉を3~5枚、束生します。

 花期は9月~10月。枝先に白色の頭花をつけます。筒状花が10~14個あり、長さ約10mm。花被は5深裂し、リボン状となって先端を巻きます。雄しべ(集葯雄ずい2))5個、雌しべ1個があり、花冠から突出します。総苞は狭卵形の総苞片が重なり合い円柱形。果実は痩果3)です。種子の長さは約5~6mmで、冠毛があり、風に舞って拡散する風媒花です。染色体数は、2n=24。核型4)は、K=24=2A1m+2A2sm+2tB1sm+4B2sm+4C1sm+6C2m+2Dsm+2Em. (Arano, 1957)

1)束生(そくせい:fascicled):葉のつく節間が詰まって複数の節から束状になって葉が出る様子。この場合の葉序(phyllotaxis)は、互生、対生、輪生がある。叢生(そうせい)ともいう。
2)集葯雄ずい(集葯雄蕊・しゅうやくゆうずい):雄しべが集合し、葯の部分が合着して管状となったもの。
3)痩果(そうか:achene):種子が堅い果皮に包まれ熟すと乾燥する果実。1室に1個の種子がある。
4)核型(かくけい):karyotype(カリオタイプ)、染色体の数と形状の類型

【参考文献】
Hisao ARANO : The karyotype analysis and its karyotaxonomic considerations in tha tribe Mutisieae. Jap. Jour. Genet. 32(1957):293-299

Japanese common name : kouya-bouki
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Pertya scandens (Thunb.) Sch.Bip.

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左:頭花は筒状花の集まり。右:総苞は円柱形で、総苞片が重なり合う。

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コウヤボウキ(高野箒)
キク科コウヤボウキ属
学名:Pertya scandens (Thunb.) Sch.Bip.
花期:9~11月 落葉低木 樹高:50~90cm 花冠径:約10mm 果期:11~12月

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【学名解説】
Pertya : Joseph Anton Maximillian Perty (1804-1884)に因む/コウヤボウキ属
scandens : よじ登る性質の
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Sch.Bip. : Carl (Karl) Heinrich Schultz Bipontinus (1805-1867)

撮影地:静岡県静岡市
大山(Alt. 986m)/突先山(Alt. 1021.7m) 2008.10.29
安倍城跡(Alt.435m) 2008.10.21, 2008.11.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

Last modified: 13 December 2010
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by pianix | 2010-12-08 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ヒガンバナ(彼岸花)
 ヒガンバナ(彼岸花)は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草です。日本と中国に分布します。日本では全国に分布し、中国から稲作と共に渡来した史前帰化植物と考えられています。名の由来は、秋の彼岸頃に開花する事から。別名のマンジュシャゲ(曼珠沙華)は古い呼び名で、古代インド梵語(サンスクリット語)manjusaka(マンジュシャケ)の音写です。如意花と訳し天界の花とされます。多数の別名があります。

 ヒガンバナ科(Amaryllidaceae Jaume Saint-Hilaire, 1805) は、世界の熱帯から温帯にかけて約59属860種が分布します。クロンキスト体系ではユリ科(Liliaceae Juss. (1789))に分類され、世界の熱帯と温帯に約280属4000種が分布します。ヒガンバナ属(Lycoris Herbert, 1821)は東南アジアに3属1)約30種が分布します。

 鱗茎及び全草共に有毒です。毒成分は、リコリン (lycorine, C16H17NO4)、ガランタミン(galantamine, C17H21NO3)です。ガランタミンはアルツハイマー病治療薬として用いられますが、現在は合成精製されたものを使用します。誤食した場合、睡眠作用、痙攣、吐き気、下痢の症状が現れます。飢餓の時に、水にさらして毒抜きをして食べた救荒作物としても知られています。民間療法で外用生薬・石蒜(せきさん)として肩こり、浮腫、乳腺炎の治療に用いられる場合があります。ヒガンバナアルカロイド(Amaryllidaceae alkaloids)は、鎮痛、抗ウイルス、抗マラリア、抗腫瘍、中枢神経作用などの薬理作用が報告されています。※危険なので素人は用いないようにする。

 田の畦道、土手、墓地等、人の生活圏内に自生します。広卵形で大きさ2~6cmの鱗茎があり、栄養繁殖(鱗茎の分球により増殖)します。埋没しても上方の地表下に移動する性質があります。鱗茎に含有するリコリンはアルカロイド系成長阻害物質でもあり、季節変動があるアレロパシー作用によって周囲の植物発生を制御します。花後の10月に葉を出します。葉は線形で長さ30~50cm、幅4~8mm。中央に薄緑色の筋が入ります。

 花期は9月。鱗茎から花茎を30~50cmに立ち上げ、茎先に1つの包をつけます。包から5~8個程の花を輪生状に横向きに出し、散形花序を形成します。花被は倒披針で6枚あり赤色、長さ約4cm、幅5~6mm。縮れていて外側に反り返ります。雄しべ6本、雌しべ1本で、花冠より突出します。子房下位。

 年間の生活形態は次の通りです。9月に花が咲き、10月に葉を出す。4月に葉が枯れ8月に至る。つまり、他の草木が生い茂る季節は葉を落とし、競合する相手が少ない冬に葉を伸ばし鱗茎に栄養を蓄えます。

 染色体数は、2n=3x=33(=33A)。3倍体の不稔性(sterility)であるため結実しません。中国産シナヒガンバナ(支那彼岸花)Lycoris radiata (L'Hér.) Herb. var. pumila Grey の染色体数は2n=22。稔性があり結実し、ヒガンバナの原種と言われています。日本産より早咲きですが、小ぶりなため、コヒガンバナ(小彼岸花)の別名があります。シロバナマンジュシャゲ(白花曼珠沙華)=シロバナヒガンバナ(白花彼岸花)Lycoris x albiflora Koidz.の染色体数は2n=3x=17(=5M+1T+11A)で、ヒガンバナ同様に結実しません。シナヒガンバナ(支那彼岸花)とショウキズイセン(鍾馗水仙)Lycoris traubii W.Hayw. の自然交配種と考えられています。

1) ヒガンバナ属(Lycoris Herbert, 1821)、ハマオモト属(Crinum C. Linnaeus, 1753)、ハエマンサス属(Haemanthus C. Linnaeus, 1753)

参考文献:
ヒガンバナ科植物含有Lycorine型アルカロイドに関する化学的研究(Toriizuka, 2009)
ヒガンバナ自生地における雑草発生制御の実態(Takahashi, Ueki, 1982)
ヒガンバナの他感作用と作用物質リコリン・クリニンの同定(Fujii, Iqbal, Nakajima,1999)

Japanese common name : higan-bana
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Lycoris radiata (L'Hér.) Herb.

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左:雄しべ6本、雌しべ1本で花冠より突出する。*2 右:茎頂に花を輪生状につける。*2

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左:蕾と花。*2  右:子房下位。*3
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鱗茎(幅約23mm)。ヒガンバナアルカロイドのリコリンやガランタミンが含まれる。*4
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花後の10月頃から葉を出す。*6
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シロバナマンジュシャゲ(白花曼珠沙華)*5
Lycoris x albiflora Koidz.


ヒガンバナ(彼岸花)
別名:マンジュシャゲ(曼珠沙華)
ヒガンバナ科ヒガンバナ属
学名:Lycoris radiata (L'Hér.) Herb.
花期:9月 多年草 草丈:30~50cm 花径:6~12cm

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【学名解説】
Lycoris : ギリシャ神話の海の女神Lycorisに因む/ヒガンバナ属
radiata : radiatus(放射状の)
L'Hér. : Luis Hernández Sandoval (1958- )
Herb. : William Herbert (1778-1847)
---
x : 二種間交配種
albiflora : albiflorus(白花の)
Koidz. : 小泉源一 Genichi Koidzumi (1883-1953)
---
pumila : pumilus(低い)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.75km 左岸河川敷 2005.09.30
*4 安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.09.22
*3 安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2007.09.27
*2 藁科川(安倍川水系)/河口から1.5km 左岸河川敷 2007.09.28
*5 内牧川(安倍川水系)/上流 2006.09.25
*6 賤機山 2010.11.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

8 November 2010, 12 November 2010
Last modified: 6 June 2014
Scientific name confirmed: 9 September 2015
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by pianix | 2010-11-08 00:00 | | Trackback | Comments(4)
キツネノカミソリ(狐の剃刀)
 キツネノカミソリ(狐の剃刀)は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草です。日本、朝鮮半島に分布し、日本では本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、葉を剃刀に見立てたもので、キツネは「劣る」の意味や、花色を狐火に例えた等の諸説があります。

 ヒガンバナ科1) (Amaryllidaceae J. Saint-Hilaire2), 1805) は、世界の熱帯から温帯にかけて約59属860種が分布します。クロンキスト3)体系ではユリ科(Liliaceae Juss. 4), (1789))に分類され、世界の熱帯と温帯に約280属4000種が分布します。ヒガンバナ属(Lycoris Herbert5), 1821)は、東南アジアに3属約30種が分布します。

 山野の明るい林縁に自生します。広卵形の鱗茎から、春に葉柄のある緑色の葉を2列に出します。葉は、長さ30~40cm、幅8~10mmの狭長状。花をつける夏に葉は枯れます。年間の生活形態は次の通りです。4月に葉が出て、5~6月に葉が枯れる。7月から茎が伸び始め、8月に花が咲く。9月に果期となり、冬越しをして3月に至る。

 鱗茎6)及び全草共に有毒です。有毒成分は、リコリン (lycorine, C16H17NO4)、ガランタミン(galantamine, C17H21NO3)です。ガランタミンはアルツハイマー病治療薬として用いられますが、現在は合成精製されたものを使用します。誤食した場合、睡眠作用、痙攣、吐き気、下痢の症状が現れます。

 花期は8~9月頃。花茎を上部で3~5本に枝分かれさせながら30~50cmに立ち上げ、花を茎先に散形状に付けます。花序基部に総苞片があり、長さ約4cmの披針形。花冠は漏斗型で、橙色の花弁6枚の花を咲かせます。花被片長は5~8cm。雄しべは6本で、先で上向きに反り返り、花被片とほぼ同長。雌雄同花。子房下位。染色体数は、2n=22(=22A)7)、2n=3X=32。2倍体と3倍体とがあり、3倍体は結実しません。果実は蒴果です。径約15mmの扁球形で内部は3室に別れ、中軸胎座8)。種子は黒色、径5~7mmの円形で扁平形。

 類似種に大型の、オオキツネノカミソリ(大狐の剃刀)Lycoris sanguinea Maxim. var. kiushiana T.Koyama9) があり、雄しべ、雌しべ共に花被片より長く突出しています。キツネノカミソリと共に白花品種10)があります。八重咲き品種のヤエキツネノカミソリ(八重狐の剃刀)Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea f. plena T.Yamaz. は、高尾山で発見されました。ムジナノカミソリ(狢の剃刀)Lycoris sanguinea var. koreana (Nakai) T.Koyamaは、野生絶滅(EW)とされています。

1) 新エングラー体系/Adolf Engler (1844-1930)
2) J. Saint-Hilaire : Jean Henri Jaume Saint-Hilaire (1772-1845)
3) Cronquist : Arthur John Cronquist (1919-1992)
4) Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
5) Herbert : William Herbert (1778-1847)
6) 鱗茎は、地下茎の一種で、葉の付け根が重なって肥大したもの。特徴として玉葱のようにむいていく事ができる。かけらになっても再生能力が高く、根によって鱗茎を地下に引込む能力もある。ヒガンバナ、ラッキョウ、チューリップなども鱗茎をもつ。
7) アクロセントリック染色体(acrocentric chromosome:A-type)
8) 中軸胎座【ちゅうじくたいざ】(axial placentation):胚珠が子房の中軸に付く。
9) synonym : Lycoris sanguinea Maxim. var. kiushiana (Makino) Makino ex Akasawa
10) シロバナキツネノカミソリ(白花狐の剃刀)Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea f. albiflora Honda、シロバナオオキツネノカミソリ(白花大狐の剃刀)Lycoris sanguinea Maxim. var. kiushiana T.Koyama f. albovirescens E.Doi ex Akasawa

Japanese common name : Kitune-no-kamisori
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Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea

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2008.08.08 / 2008.09.03 どちらも群生地ではなく山道脇に咲いていたもの。

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2014.07.30

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左:果実は蒴果(2014.09.23) 右:キツネノカミソリの葉(2008.03.27)


キツネノカミソリ(狐の剃刀)
ヒガンバナ科ヒガンバナ属
学名:Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea
花期:8月~9月 多年草 草丈:30~50cm 花冠長:50~55mm

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【学名解説】
Lycoris : ギリシャ神話の海の女神Lycorisに因む/ヒガンバナ属
sanguinea : sanguineus(血紅色の)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
var. : varietas(変種)
---
kiushiana : kiusianus(九州の)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
ex : ~による
Akasawa : 赤澤 時之 Yoshyuki Akasawa (1915-2003)
---
f. : forma(品種)
albovirescens : albo(白)+virescens(淡緑色の)
albiflora : albiflorus(白花の)
plena : plenus(八重の)
Honda : 本田 政次 Masaji Honda (1887-1984)
T.Koyama : 小山 鐵夫 Tetsuo Michael Koyama (1933- )
T.Yamaz. : 山崎 敬 Takasi Yamazaki (1921-2007)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.717m)2008.03.27, 2008.08.08, 2008.09.03, 2014.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

31 October 2010, 3 November 2010, 24 September 2014
Last modified: 23 August 2015
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by pianix | 2010-10-31 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ツルニンジン(蔓人参)
 ツルニンジン(蔓人参)は、キキョウ科ツルニンジン属の多年草です。東アジアに分布し、日本では北海道、本州、四国、九州に分布します。名の由来は、蔓性であり、根が朝鮮人参に似ている事から。別名のジイソブ(爺蕎)は、バアソブ(婆蕎)に対して付けられ、花冠内側の斑点をお爺さんのソバカスに見立てたものです。ソブはソバカスの方言。

 キキョウ科(Campanulaceae Juss. (1789))は、Campanula(釣鐘)に由来し、温帯から熱帯に約60属2000種があります。ツルニンジン属(Codonopsis N.Wallich, in Roxburgh, 1824)は、東アジアに約55種ほど分布し、日本には2種が自生します。

 山野の林縁に自生します。髭根がある肥大した紡錘形の塊根があります。去痰効果があるとされています。蔓性で、草木に絡みつき200cm程になります。葉は、初め互生し、枝先で3~4枚の輪生となります。卵状楕円形で、長さ3~10cm、幅1.5~4cm、葉裏は白っぽい。根茎、茎、葉には白乳液があります。このことから中国では羊乳と呼ばれています。

 花期は8月~10月。側枝の先に花を下向きに付けます。萼片は大きく5裂し、裂片は20~25mmで平開します。花冠は釣鐘形で、先が浅く5裂して外側に開きます。花冠径は25~35mmで、外側は白緑色、内側には紫褐色の斑紋があります。花冠基部には蜜源である5つの距があります。

 雄しべは5本で、雄性先熟です。雌しべ柱頭は3~5裂します。子房半下位。果実は5角形の蒴果で、萼片につき約30mmで扁平、裂開して種子を散布します。種子は淡褐色で翼がある半月状、大きさは約5mm。染色体数は、2n=16。

 同属の類似種であるバアソブ(婆蕎)Codonopsis ussuriensis (Rupr. et Maxim.) Hemsley は、全体に白い毛があり、花冠外側は紫褐色、種子に翼が無く黒褐色であることが本種との区別点となります。

Japanese common name : Turu-ninjin
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Codonopsis lanceolata (Siebold et Zucc.) Trautv.

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花冠基部には蜜源である5つの距がある。葉は3~4枚が輪生する。

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花冠内側には紫褐色の斑紋がある。雄しべ5本が花冠側に倒れている。

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左:萼の開きはじめ。葉の裏面は粉白色。 右:萼が開き、距が見えるようになる。

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樹木に絡みつくと盛大に伸びる(2014.09.17 花沢山)

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左:果実は5角形の蒴果で萼が残る 右:種子は淡褐色で翼がある半月状


ツルニンジン(蔓人参)
別名:ジイソブ(爺蕎)
キキョウ科ツルニンジン属
学名:Codonopsis lanceolata (Siebold et Zucc.) Trautv.
花期:8月~10月 多年草 草丈:~200cm(蔓性) 花冠径:25~35mm

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【学名解説】
Codonopsis : codon(鐘)+opsis(似)/ツルニンジン属
lanceolata : lanceolatus(皮針形の)
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)
Trautv. : Ernst Rudolf von Trautvetter (1809-1889)

撮影地:静岡県静岡市
竜爪山(Alt. 1051m) 2008.09.25
安倍城跡(Alt. 435m) 2008.09.27, 2008.10.03
花沢山(Alt. 449m) 石部コース 2014.09.17 <静岡市・焼津市>
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

21 October 2010, 24 September 2014
Last modified: 8 March 2015
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by pianix | 2010-10-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ツルリンドウ(蔓竜胆)
 ツルリンドウ(蔓竜胆)は、リンドウ科ツルリンドウ属の多年草です。日本、中国、朝鮮、サハリン、千島列島に分布し、日本では北海道、本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、蔓性のリンドウ(竜胆)である事から。

 リンドウ科(Gentianaceae Juss. (1789))は、世界に約80属1000種があり、日本には10属約30種が分布します。ツルリンドウ属(Tripterospermum Blume, 1826)は、世界に約500種あり、日本には13種があります。属名Tripterospermumは、種子に3枚の翼がある事による命名です。リンドウ属との違いは果実が液果であることです。

 山地の木陰に自生します。細い茎は紫褐色の蔓状で、地表を這うか他の物に絡まって30~80cm程の長さになります。葉は対生します。基部が心形の卵状披針形で、長さ3~8cm、主脈の両側に支脈が走る三縦脈があります。

 花期は8月から10月。葉腋から淡紫色から白色の鐘形花冠をつけます。萼は5中裂し、長さ15~20mm。花冠は筒状で、長さ2.5~3cm、先端が5裂して広がった線状披針形の裂片になります。裂片の間に3角形の小さな副裂片があります。雄しべ5個、雌しべ1個。雄性先熟。子房上位。染色体数は、2n=46。

 果実は液果です。楕円球形で、長さ約8mm、残存花柱があります。熟して赤くなりますが、リンドウのように2裂しません。果肉は乳白色。種子は約2mmで、翼があります。

 品種に、花冠が白く萼が薄緑色のシロバナツルリンドウ(白花蔓竜胆)Tripterospermum japonicum (Siebold et Zucc.) Maxim. var. japonicum f. albiflorum Honda があります。

参考:リンドウ(竜胆)

Japanese common name : Turu-rindou
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Tripterospermum japonicum (Siebold et Zucc.) Maxim.

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蕾 2008.8.29

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2008.8.29

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シロバナツルリンドウ(白花蔓竜胆) 2008.10.27
Tripterospermum japonicum (Siebold et Zucc.) Maxim. var. japonicum f. albiflorum Honda
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果実は液果 2008.11.18

★ ★ ★

 赤い実は目立ちますが、花は小さいので目立ちません。咲いていても気が付かない場合があります。花の話題が少ないのは、このような理由によるのかもしれません。ちなみに下の写真をご覧下さい。

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ただの切り株ですが・・・中央をよく見て下さい。咲いていますね。安倍城跡 2010.10.11


ツルリンドウ(蔓竜胆)
リンドウ科ツルリンドウ属
学名:Tripterospermum japonicum (Siebold et Zucc.) Maxim.
花期:8月~10月 多年草 草丈:30~80cm(蔓性) 花冠長:25~30mm

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【学名解説】
Tripterospermum : treis(3)+pteris(翼)+sperma(種子)/ツルリンドウ属
japonicum : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
---
シロバナツルリンドウ(白花蔓竜胆)
Tripterospermum japonicum (Siebold et Zucc.) Maxim. var. japonicum f. albiflorum Honda
var. : varietas(変種)
f. : forma(品種)
albiflorum : albiflorus(白花の)
Honda : 本田正次 Masaji Honda (1897-1984)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt.435m) 2008.8.29, 2008.11.18, 2010.10.11
高山(牛ヶ峰 Alt.717m)2008.10.27, 2014.09.24
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

11 October 2010
Last modified: 16 November 2016
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by pianix | 2010-10-11 00:00 | | Trackback | Comments(0)
リンドウ(竜胆)
 リンドウ(竜胆)は、リンドウ科リンドウ属の多年草です。シベリア、中国、朝鮮半島、日本に分布します。日本では、本州、四国、九州、沖縄に分布します。名の由来は、漢方生薬の竜胆(龍膽・リュウタン)が転訛したものと言われています。英名は、Japanese gentian。

 リンドウ科(Gentianaceae Juss. (1789))は、世界に約80属1000種があり、日本には10属約30種が分布します。リンドウ属(Gentiana L. (1753))は、アフリカを除く熱帯と温帯に約500種があり、日本には13種が自生します。

 山野に自生します。淡黄色の根茎があり、生薬として用いられます。竜胆(リュウタン)、及びゲンチアナ(Gentiana)は日本薬局方に収録され、苦味健胃薬として用いられます。茎は枝分かれせず直立して20~80cmになります。葉は対生します。茎を抱き、長さ4~12cm、幅1~3cmの披針形で先が尖ります。主脈の両側に支脈が走る三縦脈があり、葉の縁にざらつきがあります。

 花期は9月~11月。茎頂や葉腋上部に青紫色の鐘形花冠を上向きにつけます。花冠は、長さ4~5cm、幅1.5~3cmの筒状で、先が5裂して広がった線状披針形の裂片になります。裂片の間に3角形の小さな副裂片があります。花冠内面に茶褐色の斑点が線状に並びます。温度傾性があり、晴れて陽が差した時に花冠を開き、曇りや夜間では花冠を閉じます。

 萼片は5つに深く裂けた狭長片。雄しべは5本。雄性先熟です。子房の周囲を雄しべが取り囲み、子房基部に蜜腺があります。雄しべの花粉放出が終わると、雌しべ柱頭が2裂します。子房上位。染色体数は2n=26。果実は赤色、長莢状の蒴果で、二つに裂けて楕円形の種子を排出します。

 よく似た種類に、蔓になるツルリンドウ(蔓竜胆)があります。

Japanese common name : rindou
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Gentiana scabra Bunge var. buergeri (Miq.) Maxim.

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左:晴れた日に花冠が開く 右:奥の花冠はねじれて閉じている

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花色が薄いものもある
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子房の周囲を雄しべが取り囲む。子房基部に蜜腺がある

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左:雄しべが花冠側に広がった状態 2008.11.18 右:果実は蒴果 2008.11.17


リンドウ(竜胆)
リンドウ科リンドウ属
学名:Gentiana scabra Bunge var. buergeri (Miq.) Maxim.
花期:9月~11月 多年草 草丈:20~80cm 花冠長:4~5cm 花冠径:1.5~3cm

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【学名解説】
Gentiana : イリュリア最後の王Gentius(ruled 180-168 B.C)に因む/リンドウ属
scabra : scaber(でこぼこした・ざら付いた)*scabra,scabrum
Bunge : Alexander Andrejewitsch von Bunge (1803-1890)
var. : varietas(変種)
buergeri : Heinrich Bürger (1806-1858))氏の (日本植物の採集家ブュルゲル)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)

撮影地:静岡県静岡市
大山(Alt. 986m)/突先山(Alt. 1021.7m) 2008.10.29
高山(牛ヶ峰 Alt. 717m) 2008.11.17
安倍城跡(Alt. 435m) 2008.11.18
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 08 October 2010
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by pianix | 2010-10-07 00:00 | | Trackback | Comments(0)