カテゴリ:虫( 106 )
アカボシゴマダラ名義タイプ亜種(大陸亜種)
 アカボシゴマダラ(赤星胡麻斑)名義タイプ亜種は、タテハチョウ科ゴマダラチョウ属のチョウです。ベトナム北部から中国、台湾、朝鮮半島に分布する広域分布種です。日本では、1998年に神奈川県で繁殖が確認されて以降、各地に分布を広げている外来種です。人為的放蝶と考えられていて、生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。名の由来は、後翅外縁に赤い斑紋があるゴマダラチョウである事から。ただし、春型は斑紋が無いものがあります。中国名は、黑脉蛱蝶・黑脈蛺蝶(hēi mài jiá dié)。英名は、Red ring skirt。

 タテハチョウ科(Nymphalidae Rafinesque, 1815)は南極を除く世界の大陸に約6,000種が分布し、日本には約52種が生息すると言われています。タテハチョウ科の特徴は、翅の斑紋が裏表で異なり、前脚が退化して短くなっている事です。後翅の中室は開き、触覚に鱗粉があります。ゴマダラチョウ属(Hestina Westwood, 1850)は、日本にはゴマダラチョウ(胡麻斑蝶)とアカボシゴマダラ奄美大島亜種の2種があります。近年、アカボシゴマダラ名義タイプ亜種の分布が拡大しています。

 成虫は5月から8月頃に、公園や雑木林の周辺に現れます。暖地では9月~10月にも現れる事があります。年2~3回発生します。前翅長は、40~53mm。雌のほうが大きく開張は、♂60~70mm、♀80~90mm。翅は黒地に白色の斑紋があり筋模様になります。後翅外縁に鮮やかな赤色の斑紋があります。退化した前肢と、中肢、後肢の、それぞれ1対があります。クヌギ等の樹液や、腐果、獣糞を吸汁します。口吻は淡黄色。複眼は、黒色、あるいは黄色。緩やかに飛びます。

 美大島亜種と異なる形状上の区別点は、夏型成虫の後翅外縁にある赤い斑紋の形状が完全なリング型になりにくい事と、低温期発生の春型は白化する事です。また、在来種のゴマダラチョウには、赤い斑紋がありません。

 完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)をします。エノキの葉に産卵します。卵は大きさ1mm程の縦縞が入った球形。幼虫は体色が緑色で、頭部に一対の枝状に分岐した角があります。背中に2対4列の突起があり、3列目が大きくなります。尾端は、オオムラサキやゴマダラチョウが二股に開裂するのに対し、アカボシゴマダラは開裂しません。体長は約20mm。

 エノキ(榎)を食草とします。国蝶のオオムラサキやゴマダラチョウと食草が同じ事から競合による在来種の影響が懸念されています。幼虫(4~5齢)で越冬します。越冬場所は、エノキの幹や葉裏です。時期が来ると逆さにぶら下がる垂蛹型の蛹となり、羽化します。

 神奈川県では県域全体で定着。静岡での生息域は、2010年に熱海市、小山町、富士宮市に至っています。繁殖力が強く、西に分布の拡大を図っています。

※亜種(あしゅ・subspecies=ssp.):分類上の区分で、属・種の次に記載される分類単位。種に分類するには変異が少ないが「地域隔離によって相違に差がある」場合に適用される。植物の場合は、変種(varietas=var.)・品種(forma=f.)も用いられ、動物の場合は、亜種の下位区分は国際命名規約に無いが品種が使われる場合がある。基準にした亜種を、名義タイプ(原名)亜種(nominotypical subspecies)と言う。亜種同士は種が異なるわけでは無いので繁殖による交雑が行われる事がある。

参考文献:猪又敏男・植村好延・矢後勝也・神保宇嗣・上田恭一郎 (2010-2013) 日本産蝶類和名学名便覧

報道:
朝日新聞2010年10月30日「美しいが害蝶 県内全市町村でアカボシゴマダラ確認」
千葉日報(2011年8月2日)「分布拡大、館山でも 在来種減少の懸念 外来種のアカボシゴマダラ」
日本自然保護協会(2012年3月31日)「自然しらべ2011チョウの分布 今・昔 報告書」
毎日新聞(2016年9月22日)「外来チョウ、生息域北上 大田原、那須塩原へ」(栃木版)
日本経済新聞(2017年2月24日)外来生物14種の飼育禁止 桜枯れる被害で環境省

Japanese common name : Akaboshi-gomadara
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Hestina assimilis assimilis (Linnaeus, 1758)

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左:後翅外縁に鮮やかな赤い斑紋がある。 右:産卵中。


アカボシゴマダラ名義タイプ亜種(大陸亜種)
チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科ゴマダラチョウ属
学名:Hestina assimilis assimilis (Linnaeus, 1758)

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体長:(前翅長)40~53mm/(開張)♂60~70mm、♀80~90mm
出現期:5月~10月/年2~3回
食草:エノキ属

【学名解説】
Hestia : ギリシア神話の炉の女神/ゴマダラチョウ属
assimilis : ~に似た、同様の、関係ある
Linnaeus : Carl von Linné (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
賤機山 (Alt. 171m) 2017.09.01, 09.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 19 October 2017
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by pianix | 2017-10-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)
コガタコガネグモ(小型黄金蜘蛛)
 コガタコガネグモ(小型黄金蜘蛛)は、コガネグモ科コガネグモ属のクモです。本州から沖縄、南西諸島にかけて分布します。名の由来は、小型のコガネグモである事から。コガネグモは、体型が小判に似ている事からとの説があります。

 コガネグモ科(Araneidae Lamarck, 1801)は、世界に160属約2600種分布し、日本では約121種(推定未知数4)が分布します。コガネグモ属(Argiope (Audouin, 1827))は、世界に約80種、日本に7種が分布します。

 真性蜘蛛目は昆虫の仲間ではありません。日本にいる蜘蛛は、名前が判明しているものだけで約1,300種あると言われています。蜘蛛の体は、頭胸部と腹部に別れ、頭と胸の節がありません。足は4対8本(昆虫は3対6本)あり、触角はなく触肢があります。複眼は無く、単眼が8個あります。

 山地や雑木林に生息します。7月から10月に出現します。雌の体長は8~12mmで、コガネグモの体長20~25mmに比べて半分以下の大きさです。コガネグモは、腹部背面に3本の褐色帯がありますが、本種は2本の帯で白点が横に並びます。脚には点班と縞模様があります。

 クモは造網性と徘徊性があり、本種は造網性です。垂直円網を作り、X字状の白帯をつけます。コガネグモと異なり、危険を感じると巣から飛び降りたり、降りた後に脚を丸めて死んだふりをする習性があります。9月頃に産卵します。卵嚢(らんのう)は褐色です。

 よく似た仲間に、ムシバミコガネグモ(蝕み黄金蜘蛛)Argiope aetheroides Yin et al. 1989 や、夏までに出現する事が多いチュウガタコガネグモ(中型黄金蜘蛛)Argiope boesenbergi Levi 1983 がいます。同定は腹面斑紋による事が多いようです。

参考:コガネグモ(黄金蜘蛛) ナガコガネグモ(長黄金蜘蛛) ジョロウグモ(女郎蜘蛛)

Japanese common name : Kogata-kogane-gumo
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Argiope minuta Karsch, 1879


コガタコガネグモ(小型黄金蜘蛛)
真正蜘蛛目コガネグモ科コガネグモ属
学名:Argiope minuta Karsch, 1879

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体長:♂:4.5mm/♀:6~12mm
分布:本州、四国、九州、沖縄
出現期:7月~10月
餌:小型昆虫

【学名解説】
Argiope : ギリシャ神話の妖精に由来(優美な、魅惑的な)/コガネグモ属
minuta : minutus(極小さい)
Karsch : Ferdinand Karsch (1853-1936)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系)2006.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 05 July 2017
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by pianix | 2017-09-18 00:00 | | Trackback | Comments(0)
コガネグモ(黄金蜘蛛)
 コガネグモ(黄金蜘蛛)は、コガネグモ科コガネグモ属のクモです。日本、中国、朝鮮半島、台湾に分布し、日本では本州以南に分布する在来種です。名の由来は、体型が小判に似ている事からとの説があります。

 コガネグモ科(Araneidae Lamarck, 1801)は、世界に160属約2600種分布し、日本では約121種(推定未知数4)が分布します。コガネグモ属(Argiope (Audouin, 1827))は、世界に約80種、日本に7種が分布します。

 郊外の草むらや山地の林に生息します。出現期は7月から10月頃。雌は体長20~25mmで、腹部に黄色と黒の横縞模様があり、点模様が黒帯に並びます。雄は全体が黒褐色で小さく5mm程です。複眼は無く、単眼が8個あります。脚は4対で、前4本、後4本の計8本で、前脚には横帯模様があります。頭胸部、腹部からなります。呼吸器官は書肺1)です。生殖器官である触肢は一対。血縁関係にない雄は交尾に時間がかかり雌に共食い(性的共食い)される2)事があります。

 クモは造網性と徘徊性があり、本種は造網性です。垂直円網3)を張ります。巣の大きさは30~100cm程で、ジグザグの白帯をX字状につけます。脚を2本づつ揃えてX字状になり、巣の中央に下向きになって待機します。この状態に由来して、英名でSt.Andrew's Cross Spiderと呼ばれます。St.Andrewは、聖アンデレで、イエスの十二使徒の一人。X型十字架に磔られた事からAndrew's Crossと言われています。白帯は、紫外線反射によって昆虫を誘引すると言われています。肉食性です。小昆虫がかかると素早く巻いて捕獲し、中央へ運びます。

 7月~9月頃に産卵します。卵嚢(らんのう)は淡黄緑色から淡緑色。800~2500個を含む卵嚢は巣に吊され、秋に卵嚢内で孵化します。成体はこの時期に寿命が尽きます。卵嚢 から出た幼体は、しばらく集団生活のまどい(円居)をします。その後、糸疣から糸を出してバルーニング(Balloning)を行い分散します。

1)書肺(しょはい、book lung):薄いひだ状の肺葉が書物のように見える呼吸器官。肺書(lung book)。
2)Males of the orb-web spider Argiope bruennichi sacrifice themselves to unrelated females. Klaas W. Welke, Jutta M. Schneider. Published 21 April 2010.DOI: 10.1098/rsbl.2010.0214
3)円網は、中心から縦糸を放射状および横糸を同心円状に糸を張り全体が丸い網構造の事。これを垂直にしたものを垂直円網という。アシナガグモ科のクモは水平円網を作る。

参考:コガタコガネグモ(小型黄金蜘蛛) ナガコガネグモ(長黄金蜘蛛) ジョロウグモ(女郎蜘蛛)

Japanese common name : Kogane-gumo
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Argiope amoena (L.Koch, 1878)


コガネグモ(黄金蜘蛛)
真正蜘蛛目コガネグモ科コガネグモ属
学名:Argiope amoena (L.Koch, 1878)

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体長:♂:5~6mm/♀:約20~25mm(歩脚を含まない)
分布:本州、四国、九州、沖縄
出現期:7月~10月
餌:小型・大型昆虫

【学名解説】
Argiope : ギリシャ神話の妖精に由来(優美な、魅惑的な)/コガネグモ属
amoena : amoenus(愛すべき、人に好かれる)
L.Koch : Ludwig Carl Christian Koch (1825-1908)

撮影地:静岡県静岡市
藁科川/河口から1.5km左岸 2006.07.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 August 2017
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by pianix | 2017-09-04 00:00 | | Trackback | Comments(0)
アオスジアゲハ(青条揚羽)
 アオスジアゲハ(青条揚羽)は、アゲハチョウ科アオスジアゲハ属のチョウです。アジア、アフリカに分布し、日本では本州以西、四国、九州、沖縄に分布する在来種です。名の由来は、羽に青色の筋模様があるアゲハである事から。アゲハは羽を揚げて吸蜜する動作からと言われています。英名は、Common Bluebottle。

 アゲハチョウ科(Papilionidae Latreille, 1802)は、世界に広く分布し、4亜科約550種類があるとされています。アオスジアゲハ属(Graphium Scopoli, 1777)は、アジアに広く分布し、日本には2種が生息します。

 4月から10月頃に現れます。前翅長は約32~45mm。濃茶地で、前翅と後翅に鱗粉が無く半透明になった青緑色の帯模様があります。このパステル調の色は、テトラピロール系色素(Tetrapyrroles)によるものと言われています。後翅裏面に小さな赤い斑紋があるものと無いタイプがあります。大きな複眼1)は、15種類の色センサー(視細胞)2)があり、色識別能力に優れていると推測されます。めまぐるしく飛び交い、止まる時は翅を閉じる事が多いようです。花で吸蜜し、地面で給水します。

 完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)をします。主にクスノキの葉に産卵します。卵は黄色。1齢幼虫は、棘が生え黒っぽく、約3mm。5齢幼虫は、暗緑色で頭部義眼付近に薄緑色の横筋があり、約4cm。蛹になる直前は黄緑色。蛹で越冬します。キアシブトコバチ3)に寄生される事があります。

1)複眼(compound eye):個眼の集合体。個眼には、角膜、水晶体、感桿(かんかん)、視細胞、色素細胞がある。短い波長に対する感受性が高い。
2)Extreme spectral richness in the eye of the common bluebottle butterfly, Graphium sarpedon. Frontiers in Ecology and Evolution 2016. 陳姵如(Pei-Ju Chen)(総合研究大学院大学)、他
3)キアシブトコバチ(黄脚太小蜂)
ハチ目(膜翅目)アシブトコバチ科
学名:Brachymeria lasus (Walker, 1841)

Japanese common name : Aosuzi-ageha
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Graphium sarpedon nipponum (Fruhstorfer, 1903)
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くりっとした大きな複眼

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2014.09.12


アオスジアゲハ(青条揚羽)
チョウ目(鱗翅目)アゲハチョウ科アオスジアゲハ属
学名:Graphium sarpedon nipponum (Fruhstorfer, 1903)
Type species : Graphium sarpedon (Linnaeus, 1758)

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分布:本州・四国・九州・沖縄
出現期:4月~10月/年3~4回
体長:(開張)80~85mm/(前翅長)32~45mm
食草:クスノキ科(クスノキ、タブノキ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2008.08.04, 2014.09.12
帆掛山・梶原山 2012.08.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 August 2017
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by pianix | 2017-08-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ゴマダラチョウ(胡麻斑蝶)
 ゴマダラチョウ(胡麻斑蝶)は、タテハチョウ科ゴマダラチョウ属の蝶です。東アジアに分布します。日本では、北海道の一部から九州までに分布します。名の由来は、黒色の翅に白紋が散在する胡麻状まだら模様の蝶である事から。胡麻斑の名が付くものに、昆虫ではゴマダラカミキリ(胡麻斑天牛)があり、同じ漢字でも読みが異なるゴマフアザラシ(胡麻斑海豹)があります。英名は、Siren Butterfly。ちなみに、Sirenはギリシャ神話の美声の魔女。

 タテハチョウ科(Nymphalidae Rafinesque, 1815)は南極を除く世界の大陸に約6,000種が分布し、日本には約52種が生息すると言われています。タテハチョウ科の特徴は、翅の斑紋が裏表で異なり、前脚が退化して短くなっている事です。後翅の中室は開き、触覚に鱗粉があります。ゴマダラチョウ属(Hestina Westwood, 1850)は、日本には本種とアカボシゴマダラ奄美大島亜種1)の2種があります。近年、人為的移入と考えられるアカボシゴマダラ名義タイプ亜種(大陸亜種)2)が拡大して、生態系被害防止外来種(緊急対策外来種)に指定されています。

 完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)をします。幼虫は頭部に一対の角を持ち、背中の突起は、2対3列あります。エノキ(榎)3)、寒冷地ではエゾエノキ(蝦夷榎)4)を食草とします。幼虫(4~5齢)で越冬します。越冬場所は、エノキの樹下で、枯れ葉の中です。時期が来ると樹を登って葉に取り付き、逆さにぶら下がる垂蛹型の蛹となり、羽化します。

 成虫は5月から8月頃に、雑木林の周辺に現れます。暖地では9月~10月にも現れる事があります。前翅長は、35~50mm、開張は60~85mm。翅は黒褐色の地に白斑と帯状の斑模様があります。退化した前肢、中肢、後肢の、それぞれ1対があります。クヌギ等の樹液や、腐果、獣糞を吸汁します。口吻は淡黄色。複眼は暗黄色で、瞳のような偽瞳孔があります。滑空するように飛翔します。エノキの葉に産卵します。

1)アカボシゴマダラ(赤星胡麻斑)奄美亜種
Hestina assimilis shirakii Shirozu, 1955 [準絶滅危惧(NT)]
2)アカボシゴマダラ(赤星胡麻斑)名義タイプ亜種(大陸亜種)
Hestina assimilis assimilis (Linnaeus, 1758) [生態系被害防止外来種(緊急対策外来種) 旧要注意外来生物]
3)エノキ(榎)Celtis sinensis Pers. [アサ科エノキ属]
4)エゾエノキ(蝦夷榎)Celtis jessoensis Koidz. [アサ科エノキ属]

参考:ヒカゲチョウ(日陰蝶)の給水

☆  ☆  ☆

 夏の盛り時期、キャンプ場にいました。付近を歩き回っていた時、何か変だと気付きました。トレッキングパンツに蝶が止まっているのです。例の如く、汗を吸いに来たのだと推測しました。気にしない事にして足早に歩きました。ところが、どんな動作をしても懸命にしがみついているようで、蝶は離れてくれません。蝶に好かれても嬉しくありません。付近にいる子供たちに引き渡そうかと思いましたが、蝶に何も興味がないようでした。何十分か経ったところで強引に引き剥がしました。何事もなかったかのように夏の空に飛び立って行きました。ここまで強引に張り付いていた蝶は初めてでしたので印象に残りました。

Japanese common name : Gomadara-tyou
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Hestina persimilis japonica (C.Felder et R.Felder, 1862)
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ズボンにしがみつくの、やめてくれない?
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汗を吸うのに忙しいようで、振り落とそうとしても離れてくれない
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葉の上で休憩 2007.09.27
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地表で給水 2009.07.22


ゴマダラチョウ(胡麻斑蝶)
チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科ゴマダラチョウ属
学名:Hestina persimilis japonica (C.Felder et R.Felder, 1862)
※日本本土亜種

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体長:(前翅長)35~50mm/(開張)60~85mm
出現期:5月~6月/7月~8月/(9月~10月)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:エノキ、エゾエノキ

【学名解説】
Hestia : ギリシア神話の炉の女神/ゴマダラチョウ属
persimilis : 非常に類似
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
C.Felder : Baron Cajetan von Felder (1814-1894)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
R.Felder : Rudolf Felder (1842-1871)

撮影地:静岡県静岡市
清水区西里 静岡市清水森林公園 黒川キャンプ場 2015.08.14
安倍川/河口から6.5km 河川敷 2007.09.27
賤機山 2009.07.22
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 January 2017
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by pianix | 2017-01-26 00:00 | | Trackback | Comments(0)
オオスカシバ(大透翅)
 オオスカシバ(大透翅)は、スズメガ科オオスカシバ属の蛾です。アジアに広く分布し、日本では本州から沖縄までに分布します。名の由来は、大きく透明な翅を持つ事から。英名は、Pellucid hawk moth、意味は直訳で「透明な鷹蛾」。スズメガ科(Sphingidae Latreille, 1802)は約1400種があると言われています。

 鱗翅目なので鱗粉を付けて羽化します。羽化直後は灰白色の鱗粉がついていますが、高速な翅の動きによって鱗粉が取れて透明な膜質の翅になります。翅は黒褐色の翅脈が目立ちますが、高速で動かして飛行している時は確認するのが困難です。翅を広げた時の大きさは5~7cmあります。

 体色は、全体が薄緑色で、腹部背側に白線が2本あり、黒、赤、黒の模様となり、腹部先端はエビの尾のような形状をした黒色の束毛があります。腹側は白色で、目も白地に黒点となっていて目立ちます。大きな棍棒状触角があり、3対6本の脚があります。学名にあるhylasは、ギリシャ神話の美少年Hylas(ヒュラース)の事で、体色が美しい事から付けられた事が想像できます。

 成虫の活動期は6月から9月頃の夏場で、日中に活動します。ホバリングしながら長さ約2cm程の口吻を蜜源に先込み吸蜜活動をします。翅を高速で動かす為、エネルギー消費が激しく、花から花へ忙しく飛回ります。

 完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)をします。卵は緑色で、食草であるクチナシの葉に生み付けられます。幼虫は緑色か褐色、終齢幼虫の体長は約6cm程のイモムシ形状で後部に角状突起があります。冬に地上で繭を作り蛹となって越冬します。クチナシの代表的な害虫です。幼虫時期に捕獲か薬剤散布で駆除します。

 幼虫時期に集合状態であった場合は体色の黒化が起きる事が知られています。集合状態で育った幼蟲は第2令期から体色が黒化し、第4令期に入れば4つの色彩型に区別できる。黒化に光の影響は無く、通常の淡緑色型幼虫は黒化型に比べて非常に多量の食物を摂取し、酸素消費量もはなはだ多い1)(SASAKAWA MITSUHIRO, 1967)との事です。

 似た仲間に、四国、九州から沖縄諸島に分布するリュウキュウオオスカシバ(琉球大透翅)Cephonodes xanthus Rothschild et Jordan, 1903、翅周囲に色がついたクロスキバホウジャク(黒透翅蜂雀)Hemaris affinis (Bremer, 1861)、翅が透明でないホシホウジャク(星鳳雀蛾/星蜂雀蛾)Macroglossum pyrrhosticta Butler, 1875があります。

1) 京都府立大學學術報告. 農學 19, 29-36, 1967-10-15 笹川 滿廣
※キバナコスモス(黄花コスモス)Cosmos sulphureus Cav.

Japanese common name : Oo-sukasiba
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Cephonodes hylas hylas (Linnaeus, 1771)
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キバナコスモス(黄花コスモス)の蜜を吸っているオオスカシバ

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ホバリングしながら約2cm程の口吻を差込み、花から花へ忙しく吸蜜して回る。


オオスカシバ(大透翅)
チョウ目(鱗翅目)スズメガ科(ホウジャク亜科)オオスカシバ属
学名:Cephonodes hylas hylas (Linnaeus, 1771)

体長:(開張)5~7cm/(前翅長)約3cm
出現期:6~9月
分布:本州・四国・九州・沖縄
食草:クチナシの葉

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撮影地:静岡県静岡市
葵区昭府町(菖蒲公園)2010.09.18
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 18 December 2013
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by pianix | 2013-12-18 00:00 | | Trackback | Comments(0)
セミの仲間
 セミの仲間をまとめてみました。夏休みの間に、君はどのセミを観たかな?
写真をクリックすると拡大します。名前をクリックすると、そのページに飛びます。

e0038990_9272751.jpgクマゼミ(熊蝉)

鳴声:シャア・シャア

e0038990_9293385.jpgヒグラシ(蜩)

鳴声:カナカナ

e0038990_9301590.jpgツクツクボウシ(寒蜩)

鳴声:オーシイツクツク

e0038990_931491.jpgアブラゼミ(油蝉)

鳴声:ジリ・ジリ


《セミの鳴き声》
ニイニイゼミ……チィー・チィー
クマゼミ…………シャア・シャア
コエゾゼミ………ギィー・ギィー
エゾゼミ…………ギィー・ギィー
ミンミンゼミ……ミーンミンミンミンミー
ヒグラシ…………カナカナ
エゾハルゼミ……ゲーキョーゲー・ケッケッ
ハルゼミ…………ムゼー・ムゼー
ヒメハルゼミ……ウィーン・ウィーン
ツクツクボウシ…オーシイツクツク
チッチゼミ………チッ・チッ・チッ
アブラゼミ………ジリ・ジリ

撮影地:静岡県静岡市
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 24 August 2013
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by pianix | 2013-08-24 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヒオドシチョウ(緋縅蝶)
 ヒオドシチョウ(緋縅蝶)は、タテハチョウ科タテハチョウ属の蝶の一種です。東ヨーロッパから東アジアにかけて分布し、日本では亜種が北海道から九州に分布します。都道府県によっては準絶滅危惧種・絶滅危惧Ⅰ類1)とされています。名の由来は、武具の鎧(よろい)にある緋縅(ヒオドシ)2)の模様に因んだもの。英名は、scarce tortoiseshell。

 垂直分布は、低山から亜高山帯までの山地性です。表翅は赤橙色で黒の斑紋があり、前翅の前縁には白色の斑紋があります。外縁は黒色の帯模様が取り巻き、青金属色の斑紋が入ります。裏翅は茶褐色で波模様があり、翅を閉じた時は枯れ葉のようで地味な感じです。前翅長は32~42mmで、翅を広げて70mm程です。胴体は毛が多く、脚は6本ですが前2本が退化して短くなっています。

 成虫で冬を越します。3月下旬頃から活動を始め、4月頃にエノキの新芽に産卵し、100近くの卵塊となります。卵は縦に白色の放射状筋があります。完全変態をします。孵化した幼虫は集団で葉を食べます。終齢幼虫は60mm程で、黒色で黄色の筋が通り、黒と赤橙色の棘状突起があります。6月頃に蛹になり下垂させます。6月末から7月頃に成虫となります。樹液や、獣糞、腐果に集まります。羽化後1ヶ月程で休眠に入ります。

 仲間に、エルタテハ(L立翅) Nymphalis vaualbum samurai (Fruhstorfer, 1907)、キベリタテハ(黄縁立羽) Nymphalis antiopa asopos (Fruhstorfer, 1909)がいます。タテハチョウ科コヒオドシ属には、ヒオドシの名が入る、コヒオドシ(小緋縅) Aglais urticae connexa (Butler, [1882])が、高山や北海道にいます。

★  ★  ★

 里山の山頂で3月にいつも出会うチョウです。痛んだ翅を見て、「越冬ご苦労さんでした、生き延びて良かったね」と思うのです。注目される事が少ないヒオドシチョウですが、夏前に種を託す為に生き延びた勇姿にも見えます。誰もいない山頂では貴重な生物であり、いとおしさを感じます。私と同じ時代を生きている生物なのだなと感じ入りながら、次の山頂へ向かうのでした(嘘…カメラが重くて疲れるから捨てていこうかとか、ザックを引きずって下山しようかとか、いい加減な事しか考えていない)。

1)日本のレッドデータ検索システム(NPO法人 野生生物調査協会、NPO法人 Envision環境保全事務所)による。
2)緋縅(ひおどし):緋色の絹で織り込んだ縅(おどし)。縅は甲冑(かっちゅう)の小札板を上下に結び合わせる事。甲冑は、甲(よろい)と冑(かぶと)。

Japanese common name : Hiodosi-chou
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Nymphalis xanthomelas japonica (Stichel, 1902)
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2009.03.07 (大山)


ヒオドシチョウ(緋縅蝶)
チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科タテハチョウ属
学名:Nymphalis xanthomelas japonica (Stichel, 1902)

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体長:(前翅長)32~42mm/(開張)約70mm
分布:北海道~九州
発生期:6月~7月(年1回)
食草:エノキ、シダレヤナギ

タテハチョウ科(Nymphalidae Rafinesque, 1815)
タテハチョウ亜科(Nymphalinae Swainson, 1827)
タテハチョウ属(Nymphalis Kluk, 1802)
コヒオドシ属(Aglais Daiman, 1816)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt.435.2m) 2008.03.18
大山(Alt.986m) 2009.03.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 07 June 2012
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by pianix | 2012-06-02 00:00 | | Trackback | Comments(4)
ジャコウアゲハ(麝香揚羽)
 ジャコウアゲハ(麝香揚羽)は、アゲハチョウ科ジャコウアアゲハ属の昆虫で、蝶の一種です。日本、中国、朝鮮半島、台湾等の東アジアに分布します。日本では、本州、四国、九州、南西諸島に分布します。名の由来は、雄が麝香のような匂い1)を出すアゲハチョウの仲間である事から。中国では麝鳳蝶と表記する。英名は、Chinese windmill。

 年に3~4回発生します。幼虫はアルカロイド毒(アリストロキア酸 Aristolochic acid)を含むウマノスズクサ(馬の鈴草)Aristolochia debilis Siebold et Zucc.を食草として体内に蓄積します。捕食を避ける効果があると言われています。この毒は人にも腎障害等の影響を与えます。ウマノスズクサは蔓性の多年草で、関東以南の里山や河川敷に自生します。ジャコウアゲハの分布は、この自生地域に重なります。

 成虫は、4月から10月頃に現れます。雄と雌では翅色が異なります。雄は光沢のある黒色で、雌は灰褐色です。後翅周辺に橙色斑点(夏型は黄色)が数個あり、長い尾状突起があります。胴体には赤黒の斑模様があります。前翅長は42~60mmで、翅を広げると90~110mmです。雄は麝香臭1)を出します。

 完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)します。卵は橙色で、径1~1.5mm、小突起が縦に並びます。終齢幼虫(5齢)は黒色で、白色の帯模様があります。多数の肉質突起があり、先端が橙色になります。

 冬期は蛹で越します。蛹は一般的に「お菊虫」と言われています。これは、蛹の形態が後ろ手に縛り上げられた番町皿屋敷のお菊を彷彿することによります。

Atrophaneura alcinous alcinous (Klug, 1836)は、日本本土・大陸亜種。
他に次の亜種があります。
屋久島亜種 : Atrophaneura alcinous yakushimana (Esaki et Umeno, 1929)
奄美・沖縄亜種 : Atrophaneura alcinous loochooana (Rothschild, 1896)
宮古島亜種 : Atrophaneura alcinous miyakoensis (Omoto, 1960)
八重山亜種 : Atrophaneura alcinous bradana (Fruhstorfer, 1908)

1)麝香臭の成分は、フェニルアセトアルデヒド (phenylacetaldehyde, C8H8O)。

学名確認文献:日本産蝶類和名学名便覧 © 猪又敏男・植村好延・矢後勝也・神保宇嗣・上田恭一郎(日本昆虫学会 日本昆虫目録編集委員会 鱗翅目分科会), 2010-2012

Japanese common name : Jakou-ageha
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Atrophaneura alcinous alcinous (Klug, 1836)

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翅が変な感じ。横から見て納得、交尾していた。上がメス。辰起川 2007.08.23

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ノアザミ(野薊)にとまるジャコウアゲハ♀。ダイラボウ 2008.05.27

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コセンダングサ(小栴檀草)にとまるジャコウアゲハ♂。辰起川 2007.09.14
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♀ 安倍城跡 2010.07.21
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♀ 安倍城跡 2011.08.16
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♀ 産卵中 辰起川(土手) 2007.08.20

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お菊虫 辰起川(土手) 2007.08.20

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お菊虫(抜け殻) 辰起川(土手) 2007.08.23


ジャコウアゲハ(麝香揚羽)
チョウ目(鱗翅目)アゲハチョウ科(アゲハチョウ亜科・キシタアゲハ族)ジャコウアアゲハ属
学名:Atrophaneura alcinous alcinous (Klug, 1836)
Type species : Atrophaneura alcinous (Klug, 1836)
Synonym : Byasa alcinous (Klug, 1836)

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体長:(前翅長)42~60mm
出現期:4月~10月(年3~4回)
分布:本州・四国・九州・南西諸島
食草:ウマノスズクサ(馬の鈴草)

撮影地:静岡県静岡市
辰起川(安倍川水系) 2007.08.20/08.23/09.14
ダイラボウ(Alt.561.1m) 2008.05.27
安倍城跡(Alt.435.2m) 2010.07.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 11 March 2012
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by pianix | 2012-03-10 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヒカゲチョウ(日陰蝶)の給水
 夏の暑い盛りの日。山道を汗を流して登り詰め、山頂で休息をしていました。ヒカゲチョウがやってきて、私の手に止まりました。チョウは長い管状の口器である口吻を伸ばして私の肌に当て、汗を吸い始めました。それは私の予想に反した、しっかりとした感触でした。小さく細い口吻を押しつけられると、小さな鞭で叩かれているような刺激がありました。

 口吻(Proboscis)は、口先の事で、蝶では吸収管の事です。口吻は、溝のある小顎外葉2本が重なり合って管状となり、毛細管現象で吸い上げをします。普段は巻かれて収納されます。口吻を伸ばした時に曲がる点を屈折点と言い、屈折点から先端までを前後に動かす事ができます。この僅かな部分の動きの刺激なのです。

 蝶の給水行動は、体温調整とか栄養補給をしているのではないかと推測されています。水分によって体温を下げる事と、汗などに含まれるナトリウム等のミネラルの摂取です。普段は逃げる蝶が、自ら近寄り摂取するというのは、ある意味、危険を冒しているわけで、そうしなければならない強い事情があるのは確かです。給水行動は危険回避を上回るという本能があるのでしょう。

 大群で来られると恐れをなしてしまいますが、1匹程では親しみが湧くのではないでしょうか。ただ、蝶が嫌いな人も少なからずいるので、汗を吸いに来る蝶に恐怖を感じて逃げる事もあるかもしれません。私の場合は、汗を吸わせてあげるから写真を撮らせてもらうという交換条件を付けます。しばらくの時間を蝶と過ごし、私も給水して、初めての道を下り始めました。

※開張:かいちょう(Wing span)。前翅を広げた時の左右端までの幅。
※前翅長:ぜんしちょう(Forewing length)。前翅の根元から先端までの長さ。

※ヒカゲチョウ(日陰蝶)についてはこちらをご覧下さい

Japanese common name : Hikage-chou
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Lethe sicelis (Hewitson, [1862])

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左:左手の甲で給水している。       右:左人差し指付け根で給水している


ヒカゲチョウ(日陰蝶)
チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科ヒカゲチョウ属
学名:Lethe sicelis (Hewitson, [1862])

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体長:(前翅長)25~34mm/(開張)48~62mm
出現期:5月~10月(年2回)
分布:本州・四国・九州
食草:樹木・タケ類(メダケ・マダケ)・ササ類(クマザサ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2008.08.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 June 2010
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by pianix | 2010-06-14 00:00 | | Trackback | Comments(5)