カテゴリ:虫( 102 )
ツノトンボ(角蜻蛉)
 ツノトンボ(角蜻蛉)は、夏休みになると問い合わせが多くなる昆虫です。「蝶のような長い触覚を持った変なトンボを発見したけど、これは何か」と言うものです。一見するとトンボのようで、よく見ると長い触覚に違和感を覚えてトンボとは違うと気が付きます。トンボの触角は極短いからです。「触覚のあるトンボ」は、結論から言えば、トンボではありません。ウスバカゲロウの仲間です。日本や朝鮮半島、台湾に分布します。日本では本州から九州に分布します。5月から9月頃、平野部から丘陵地の草地に現れます。

 体は細長く、体長は3cm前後、翅を広げて7cm程です。雄は赤褐色で尾に2つの鋏状の付属物があります。雌は雄より太く、黄色の模様が並んでいて付属物はありません。触覚が長く3cm程あり、先端には膨らんだ球桿(きゅうかん)があります。翅は2枚2対、計4枚あり、透明、翅脈は網目状です。この翅はトンボと見分ける大切な部分です。トンボの形態的特徴である結節が無いからです。結節とは、翅の中央付近の前縁部にある節の事です。トンボのように上手な飛び方ではありません。少し飛んですぐに止まります。

 トンボの場合は不完全変態(卵・幼虫・成虫)で、蛹の時期はありません。ツノトンボは蛹の時期があり、完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)します。卵は木や草の茎に産み付けられます。幼虫はアリジゴク(蟻地獄)【ウスバカゲロウ(薄羽蜻蛉)の幼虫】に似ていますが巣は作りません。肉食性で、物陰に隠れて小昆虫を補食します。(保護者様へ:お子さんには分かりやすい言葉で説明してやって下さい)

 このツノトンボの仲間に、本州や四国、九州に分布する、オオツノトンボ(大角蜻蛉) Protidricerus japonicus (MacLachlan, 1891)、本州や九州に分布し後翅に黄色の筋模様がある、キバネツノトンボ(黄羽根角蜻蛉) Ascalaphus ramburi MacLachlan, 1875、沖縄に分布するオキナワツノトンボ(沖縄角蜻蛉)Suphalomitus okinawensis (Okamoto, 1910)がいます。

※  ※  ※

 トンボの仲間は、大きく分類すると蜻蛉目(トンボ目)になります。ところが、ツノトンボは脈翅目(アミメカゲロウ目・Neuroptera)に分けられます。脈翅目には3亜目があります。つまり、広翅亜目(ヘビトンボ亜目・Megaloptera)、駱駝虫亜目(ラクダムシ亜目・Raphidiodea)、扁翅亜目(アミメカゲロウ亜目・Raphidiodea)です。ツノトンボは、扁翅亜目です。扁翅亜目には17科約4000種があり、日本には約116種がいます。より詳細に分類すると、ウスバカゲロウ上科(Myrmeleonoidea)の内のツノトンボ科(Ascalaphidae)となります。

Japanese common name : Tuno-tonbo
e0038990_84755100.jpg
Hybris subjacens (Walker, 1853)

e0038990_84889.jpge0038990_8482057.jpg

♀ 雌は雄より太く、黄色の模様が並んでいて鋏状付属物はありません


ツノトンボ(角蜻蛉)
アミメカゲロウ目(脈翅目)ツノトンボ科Hybris属
学名:Hybris subjacens (Walker, 1853)

e0038990_2163229.gif

体長:約30mm/開張:約70mm
出現期:5月~9月
分布:本州・四国・九州
写真は♀

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.75km 右岸河川敷 2006.07.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 31 July 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-07-31 00:00 | | Trackback | Comments(2)
アカスジカメムシ(赤筋椿象)
 アカスジカメムシ(赤筋椿象)は、カメムシ科の昆虫です。アカスジカメムシ亜科には4属7種があり、Graphosomaは1種があります。例年に比べ出会う機会が多くなった昆虫の1つです。北海道から沖縄にかけての広い範囲に分布しています。

 黒地に赤い筋が縦方向に走っている派手な色彩のカメムシです。腹側は赤地に黒色の多数の斑点模様があります。赤黒のどちらが地色なのかは悩むところです。この模様を美しいと思うか不気味と思うかは個人差があるかもしれません。一般的に派手な彩色は警戒色であって、他の者を寄せ付けない効果があります。

 体長は、10~12mm。一見すると、翅が他のカメムシと異なって見えます。それは三角形の大きな小楯板が発達しているので、1枚しかないように見えるからです。前翅と後翅は共に小楯板の下に隠れています。臭いの元を出す臭腺は、幼虫では背面に、成虫では腹面に開口します。

 幼虫から蛹を経ずに成虫になる、不完全変態をします。卵殻には点刻がなく, 明瞭で細かい網状構造があり多数の小刺があります(小林)1)。植食性で、セリ科の植物を吸汁し、ニンジンも食害します。植物防疫法施行規則にある「検疫有害動植物」の1つにも挙げられています。
★ ★ ★

 花には虫がつきものです。受粉には、風媒・水媒・動物媒(虫媒、鳥媒)等の媒体があります。受粉に関係していなくても、虫えい(虫瘤)を作り出すものもいます。昆虫と植物の関係は深く、無視できません。出会った虫は何をしているのだろうかという興味が私にはあります。ここに何度か虫が登場するのは、その為です。蜘蛛などは見たくもないし、見つけ次第逃げ出していた私ですが、その恐怖となる実体を見つめなければ不安さえも解消されないと考えて観察を始めました。私の植物観察テーマは、「何故生き続けるのか」という一風変わった哲学的なものです。まずは名前を覚える事から出発します。

 人の名前は、すぐに忘れてしまいます。加齢による物忘れはありますが、若い時からそうでした。しかし、楽譜などは覚えているので不思議です。苦手な名を覚える事に挑戦したきっかけは聖書にあります。マタイの福音書6章に、「6:26 空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか。」とあり、「6:28 なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。」と続きます。そこで、鳥か野の花のどちらかをテーマに覚える事にしました。鳥は動きが速くて観察が難しいと考え、野の花にしました。(実は、これはとんでもない思い違いである事に後から気が付きました)。今まで意識しなかった単なる雑草に名前が付けられていて、生活がありました。そして生き延びる手段の中に虫が介在しているので、必然的に虫の名も知りたくなりました。

1) 日本応用動物昆虫学会誌 9(1), 34-41, 1965-03-25

Japanese common name : Akasuji-kamemusi
e0038990_20115417.jpg
Graphosoma rubrolineatum (Westwood, 1873)

e0038990_20121085.jpge0038990_20122025.jpg



アカスジカメムシ(赤筋椿象)
カメムシ目(半翅目)カメムシ科
学名:Graphosoma rubrolineatum (Westwood, 1873)

e0038990_2163229.gif

体長:10~12mm
出現期:6月~8月
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄
食草:セリ科(ヤブジラミ、シシウド、ハマウド)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.75km 右岸土手 2006.06.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 24 July 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-07-24 00:00 | | Trackback | Comments(6)
ヒロオビトンボエダシャク(広帯蜻蛉枝尺蛾)
 ヒロオビトンボエダシャク(広帯蜻蛉枝尺蛾)は、シャクガ科エダシャク亜科の蛾です。海外では中国・朝鮮に、国内では北海道から九州までに分布する昼行性の蛾です。名の由来は、腹の形状が蜻蛉に似て節模様があり、その帯模様の幅が広い事によります。

 日本には5000種以上の蛾がいると言われています。シャクガ科(Geometridae Leach, 1815)の幼虫は、体を曲げ伸ばして進む、いわゆる尺取り虫で、そこからシャクガの名前が付いています。日本には600種以上がいるといわれています。写真は、オニグルミの葉に止まっているところ。

 翅は4枚で、黒色の地色に白色の斑紋があります。前翅と後翅は似た模様になっています。腹部はオレンジ色の地肌に黒紋が不規則にあります。トンボエダシャクの場合は黒紋は長方形です。触角の先端は、蝶と異なり棍棒状にはなりません。成虫は、クリやヒメジョオンの蜜を吸います。卵・幼虫・蛹を経て成虫になる、完全変態をします。終齢の幼虫は40mm内外で、薄黄色の地色に黄色の節があり、節毎に黒色の縦縞があります。

 近似種に、トンボエダシャク(蜻蛉枝尺蛾)Cystidia stratonice stratonice (Stoll, 1782)や、ウメエダシャク(梅枝尺蛾)Cystidia couaggaria couaggaria (Guenee, 1858)がいます。

Japanese common name : Hiroobi-tonbo-edasyaku
e0038990_9521091.jpg
Cystidia truncangulata Wehrli, 1933


ヒロオビトンボエダシャク(広帯蜻蛉枝尺蛾)
チョウ目(鱗翅目)シャクガ科エダシャク亜科
学名:Cystidia truncangulata Wehrli, 1933

e0038990_2163229.gif

体長:(開張)48~58mm
出現期:6月~8月
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:ニシキギ科(ツルウメモドキ・マユミ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から10.50km 右岸河川敷 2006.06.05
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 June 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-06-27 00:00 | | Trackback(1) | Comments(4)
カノコガ(鹿子蛾)
 カノコガ(鹿子蛾)は、ヒトリガ科カノコガ亜科の蛾です。昼行性の蛾で、日本全国に分布し、成虫は花の蜜を吸汁します。幼虫はタンポポの枯れ葉を食草としているようです。キオビツチバチ(Scolia oculata (Matsumura, 1911))等に擬態していると言われています。名の由来は、翅の斑紋が子鹿の模様に似ているからだとされています。

 以前はカノコガ科(Ctenuchina W.Kirby, 1837)とされていましたが、現在ではヒトリガ科(Arctiinae Leach, 1815)のカノコガ亜科(Syntominae)に分類されています。チョウ目(鱗翅目)は、日本には約5000種以上あり、蝶と呼ばれるものは約280種類で、蛾は約4800種とされています。

 頭部は光沢のある黒色をしています。頭部・肢・触角全体に黒っぽい色です。触覚は糸状。翅には黒褐色の地に半透明の白い斑紋があります。胴体地色は黒色で、オレンジ色の帯び模様が胴体を一周する2本があります。それ以外に短い帯模様が腹部に4本あります。幼虫(毛虫)で越冬します。完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)します。

 本種は人の生活圏内で見られますが、生態に関しては不明なところが多く、研究が進められています。その1つとして、配偶行動にはフェロモンが関与する可能性が高い事が報告1)されています。

 ヒトリガ科カノコガ亜科Amata属には、次の種類がいます。
ツマキカノコ(褄黄鹿子)Amata flava aritai Inoue, 1965 [与那国島に分布]
カノコガ(鹿子蛾)Amata fortunei fortunei (Orza, 1869)
キハダカノコ(黄肌鹿子)Amata germana nigricauda (Miyake, 1907)

1)昼行性蛾類カノコガAmata fortuneiの飼育法と配偶行動 近藤勇介(岐阜大)・中 秀司(農環研)・安藤 哲(農工大)・土田浩治(岐阜大)

Japanese common name : Kanoko-ga
e0038990_1924860.jpg
Amata fortunei fortunei (Orza, 1869)
e0038990_19242839.jpg


カノコガ(鹿子蛾)
チョウ目(鱗翅目)ヒトリガ科(カノコガ亜科)カノコガ属
学名:Amata fortunei fortunei (Orza, 1869)

e0038990_2163229.gif

体長:(前翅長)15~18mm/(開張)30~37mm
出現期:6月~9月(年2回)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:タンポポ・シロツメグサ・スギナ・ギシギシ

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.06.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 June 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-06-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ツマグロオオヨコバイ(褄黒大横這)
 ツマグロオオヨコバイ(褄黒大横這)は、ヨコバイ科オオヨコバイ亜科の昆虫です。本州、四国、九州、対馬に分布します。名の由来は、横に移動する性質を持つヨコバイ(横這)の仲間で、体長が倍ほど大きく、翅の後端(褄)が黒くなる事から。俗称、バナナムシ。英名は、leafhopper。

 半翅目(はんしもく|Hemiptera)は、前翅の基部に近い半分が革質の半翅鞘となっていることからで、Hemi(半)+ ptera(翅) と名付けられています。半翅鞘を持つのはカメムシ類だけなので、カメムシ目とも言われます。この仲間は、口が注射針の形をしていて樹液や植物の汁、小動物の体液を吸います。半翅目は約25000種があり、カメムシの仲間の異翅亜目(いしあもく|Heteroptera)=カメムシ亜目274種と、ヨコバイの仲間の同翅亜目(どうしあもく|Homoptera)=ヨコバイ亜目616種に分類されます。翅の作りが異なる事による命名です。同翅亜目はさらに口吻の位置の違いから、アブラムシやカイガラムシの仲間の腹吻群 (Steruchenorrhyncha)と頸吻群(けいふんぐん|Auchenorrhyncha)とに分かれます。ツマグロオオヨコバイは同翅亜目の頸吻群で、165種の仲間があります。

 頭部・胸部・腹部が一体となって、頭部から腹部にかけて細くなります。体は黄緑色で、頭部と胸部、小楯板に黒色の斑紋があり、翅端は黒くなります。1対の複眼と3個の単眼があります。触覚は短めです。針状の口があり、成虫、幼虫ともに茎の汁(道管液と師管液)を吸います。排泄液を出しながら吸汁を続ける事があります。横歩きをして葉陰に隠れたり、跳躍や飛行をして逃げます。前翅と後翅がそれぞれ一対あります。カメムシの仲間の前翅は根本から半分が硬化して半透明なのに対し、ヨコバイの仲間は全てが膜質になっています。幼虫の体は黄緑色。蛹を経ない不完全変態をするので成虫に近い幼虫が生まれます。成虫で越冬します。

Japanese common name : Tumaguro-oo-yokobai
e0038990_20251063.jpg
Bothrogonia ferruginea (Fabricius, 1787)
e0038990_20252738.jpg


ツマグロオオヨコバイ(褄黒大横這)
カメムシ目(半翅目)ヨコバイ科オオヨコバイ亜科
学名:Bothrogonia ferruginea (Fabricius, 1787)

e0038990_2163229.gif

体長:12~13mm
出現期:3月~11月
分布:本州・四国・九州・対馬
食草:植物全般(桑・茶・木苺・葡萄に加害)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から47.5km 右岸河川敷 2006.05.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 May 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-05-27 00:00 | | Trackback | Comments(0)
チャバネアオカメムシ(茶羽根青椿象)
 チャバネアオカメムシ(茶羽根青椿象)は、カメムシ科カメムシ亜科の昆虫です。東アジアに分布し、国内では北海道から沖縄にかけての全土に分布します。名の由来は、緑色(青)をしたアオカメムシ(青椿象)に似ていて翅が茶色である事によります。カメムシの名は、背中部分が亀の甲羅状に見える事からです。チャバネアオカメムシは、多くの果樹類を食害する農業害虫の1つとして知られていて、最も重要な種であるので研究も進んでいます。悪臭を発生させる事から不快害虫ともされます。カメムシの仲間は、世界に50,000種以上、日本には800種以上がいるといわれています。

 杉や檜が棲息場所です。春から初夏にかけて果樹に飛来し蕾を食害します。6月下旬頃に、杉や檜に移動します。その球果内部の種子を吸汁して生活し、果実に卵を産んで繁殖します。蛹を経過せすに羽化する不完全変態をします。7月下旬以降に新しい成虫が発生し、秋は果実を食害します。冬は成虫で越冬します。雑木林などの落葉下が主な越冬場所ですが、屋内で集団越冬する場合もあります。時に大発生する場合があります。原因は杉や檜の人工林が増えた為だと言われています。これらが豊作で、花粉症の発生が多い年はチャバネアオカメムシの発生も多い事になります。

 半翅目は文部省学術用語ではカメムシ目、異翅亜目はカメムシ亜目の事です。陸生・両生・水生に分かれますが、本種は陸生です。体長は10から12mm程。緑色をしていて前翅が茶色です。頭・胸・腹部に分かれています。頭部は三角形で細長く、節毎に濃緑色と黄褐色で交互に彩色された触覚があります。頭部の左右には多少突き出た赤茶色の複眼があり、その内側に単眼が2個あります。口はストロー状で頭部の下に折り込まれています。樹液等を吸汁します。前翅の半ばまでは堅い革質部、先は膜状の膜質部になる茶色の半翅鞘です。後翅の上に前翅を重ねて腹部上に折りたたみます。後部に薄い翅が見えるのは、前翅の膜質部にあたります。秋に発生するものは頭部や小楯板が褐色になるものがあります。中央の三角状のものは小楯板(しょうじゅんばん)です。肢は前・中・後の3対あります。

 分泌腺で忌避物質である不飽和アルデヒド類のヘキセナール(hexenal)が生成され、後胸腹板(後肢の付根)にある臭腺(Scent Glands)から刺激された方向へ揮発性の高い臭い物質を噴射します。仲間に危険を知らせたりする警報フェロモン、捕食を防ぐ為の忌避物質と言われています。カメムシ類の性別は、腹側の腹部先端が膨らんでいるのが雌で、へこんでいるのは雄と判別できます。

Japanese common name : Chabane-ao-kamemusi
e0038990_20272168.jpg
Plautia crossota Scott, 1874
e0038990_20264879.jpg


チャバネアオカメムシ(茶羽根青椿象)
カメムシ目(半翅目)カメムシ科カメムシ亜科
学名:Plautia crossota Scott, 1874

e0038990_2163229.gif

体長:10~12mm
出現期:4月~10月
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄
食草(樹):果樹類(柑橘類・林檎・梨・柿等多数)・杉・檜

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から10km 右岸河川敷 2006.05.19
安倍城跡 2014.07.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

22 May 2006
Last modified: 15 December 2014
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-05-20 00:00 | | Trackback(1) | Comments(1)
クロボシツツハムシ(黒星筒葉虫)
 生物全てに共通の言語があり、口があって喋るのだったら、これは恐ろしい事になります。冬の河川敷から野草たちが「さむ~い」と大合唱を始めたら夜も眠れません。野菜を収穫しようとしている農家の方達は耳栓が必要ですし、道端の野草を踏んづけた途端に「いて~」とか言われて謝らなければなりません。人間が関与していなくても、これは起こります。虫同士の縄張り争い、虫に食われそうになる葉の悲鳴……。

 「草花は文句も言わずに咲いている」とは人間の勝手な解釈ですね。この時期は、部署配置換えや入学後のとまどいで、人間社会の悩みはつきません。人間の言語が多岐にわたり、個人特有の言語さえもが存在するとすれば、意思の疎通が途切れ誤解が生じるのも致し方ない事です。それで、地球上の生物は言語の有無に関わらず苦しみに呻いているとも言えます。喜びの大歓声に溢れていると想像しがたいのは、人間の本質の現れ故かもしれません。

 ここにクロボシツツハムシ(黒星筒葉虫)がいます。もしあなたがタンポポとノゲシの区別がつかないようでしたら、テントウムシと思っても不思議ではありません。しかし、観察する事で様子がおかしいと感じるかもしれません。生活形態が異なる事にも気がつくかもしれません。赤い地色に黒の斑点があるのは、テントウムシに似ています。でも、少し長い体型です。触角も長いですね。テントウムシに擬態していると考える人もいます。どうやって擬態できるのか、私にとっては最大の難問です。何万年もかけると真似できるものなのでしょうか。木の葉そっくりの虫も、何故その形態を取るに至ったのか、分かりません。そんな長い間、観察するのは不可能だからです。化石に頼るしかありませんが、正確に説明できる人は多分いないと思います。

 クロボシツツハムシを漢字で表すとどうなるのかさえも分かりません。推測で「黒星筒葉虫」としておきました。黒い斑点がある筒状の葉虫と考えましたが、合っているかは分かりません。生物の標準和名はカタカナで表記するのが習慣だからです。漢字は使いません。

 甲虫目に属します。甲虫目は、約116科370000種があります。ハムシ科(Chrysomelidae Latreille, 1802)ツツハムシ亜科(Cryptocephalinae)の仲間です。ハムシは、種類によって特定の葉を食べる事から付けられた名前です。クロボシツツハムシは成虫・幼虫共に、梨、栗、櫟(くぬぎ)、萩の葉を食草としています。従って害虫として扱われます。本州から九州にかけて生息しています。翅に6個の黒い斑紋がありますが、個体によって変異があります。完全変態をします。

Japanese common name : Kurobosi-tutuhamusi
e0038990_96868.jpg
Cryptocephalus signaticeps Baly, 1873


クロボシツツハムシ(黒星筒葉虫)
甲虫目ハムシ科ツツハムシ亜科
学名:Cryptocephalus signaticeps Baly, 1873

e0038990_2163229.gif

体長:4~6mm
出現期:4月~8月
分布:本州・四国・九州
食草:ブナ科、バラ科、マメ科

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.50km 右岸土手 2006.04.18
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 25 April 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-04-25 00:00 | | Trackback(1) | Comments(2)
ヤマトシジミ(大和小灰蝶)
 ヤマトシジミについて話をしていると噛み合わなくなる事があります。貝と蝶で同じ和名の生物がいるからです。異物同名(homonym)は幾つもあり、お互いに失笑する事になります。貝のヤマトシジミはCorbicula japonica Prime, 1864ですが、ここでは蝶のヤマトシジミについて書いています。しかし、本家は貝の方で、翅裏がシジミ貝の内側に似ている事からシジミチョウの名が付けられています。ヤマトは「大和」で、日本の事です。

 ヤマトシジミ(大和小灰蝶)は、シジミチョウ科ヒメシジミ亜科ヤマトシジミ属の昆虫です。日本本州北部から沖縄までに分布する小型の蝶です。低地性の蝶で、極普通に見られます。北朝鮮南部が北限のようです。シジミチョウ科(Lycaenidae)は、9亜科に分類されます。日本に生息するものは、ウラギンシジミ亜科・カニアシシジミ亜科・ベニシジミ亜科・ヒメシジミ亜科・ミドリシジミ亜科の5亜科があります。ヤマトシジミはハマヤマトシジミ属(Zizeeria)でしたが、ヤマトシジミ属(Pseudozizeeria)に転属されました。「偽の」という意味のPseudoが付き、偽のハマヤマトシジミ属と怪しい名前になっています。

 翅の表面は雄と雌で異なります。雄は淡青白色で、雌は暗褐色をしています。裏面は褐色を帯びた灰白色地で、黒の斑紋があります。夏に出現するものは小型です。幼虫で越冬します。卵は扁平で細かな網目があります。幼虫は草鞋(わらじ)型で、終令幼虫は緑色で12mm内外です。蛹は、シジミチョウ共通のだるま型で、黄緑色あるいは淡褐色です。

 食草のカタバミは、どこにでも生える強い野草なので、生育に困る事はなさそうです。他の蝶には、河川が整備される事によって食草を失い絶滅へと向かうものもあります。類似種にゴマシジミ(胡麻小灰蝶)aculinea teleius (Bergstrasser, 1779)、誤認しやすいルリシジミ(瑠璃小灰蝶)Celastrina argiolus ladonides (de l'Orza, 1869)がいます。

Japanese common name : Yamato-sizimi
e0038990_10553338.jpg
Pseudozizeeria maha argia (Menetries, 1857)
e0038990_10554827.jpg
交尾


ヤマトシジミ(大和小灰蝶)
チョウ目(鱗翅目)シジミチョウ科ヒメシジミ亜科ヤマトシジミ属
学名:Pseudozizeeria maha argia (Menetries, 1857)

e0038990_2163229.gif

体長:(前翅長)9~16mm/(開張)20~28mm
出現期:3月~11月年(年5~6回)
分布:本州・四国・九州・沖縄
食草:(幼虫)カタバミ科(カタバミ)

撮影地:静岡県静岡市
葵区西ヶ谷 2006.03.13
賤機山 2009.07.22

Last modified: 31 September 2009
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-03-18 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ベニシジミ(紅小灰蝶)
 蝶の翅の模様は様々です。しかし、表面と裏面では全く異なる色彩や模様を持つものが多く、蝶を見慣れない方にとっては、全く違った蝶だと思ってしまうかもしれません。裏面とは翅を閉じた時に見える面です。人間を例えて考えると、こちらが表ではないかと思ってしまいます。

 ベニシジミ(紅小灰蝶)は、シジミチョウ科ベニシジミ属の昆虫です。日本での生息範囲は、北海道から九州まで広範囲に渡ります。草原性で明るく開けたところを好みます。汎世界種の一つです。シジミチョウ科(Lycaenidae)は、世界中に分布し約5500種を抱える、鱗翅目の中で最大の科です。ベニシジミ亜科は、旧北区のユーラシア大陸と新北区の北アメリカに広く分布します。日本には、シジミチョウ科の仲間は80種程いますが、ベニシジミ亜科は、ベニシジミの一種だけです。

 翅に黒褐色の地に紅色の模様がある小型の蝶です。春型は明るい橙赤色で、夏型は黒っぽい橙赤色になります。前翅の表は黒褐色の縁取があり、後翅の表は黒褐色で、縁に赤橙色の帯模様があります。タデ科の植物に卵を産み付けます。幼虫で越冬します。幼虫は10mm程で、緑色で紫色の筋が入ります。食草のタデ科植物は川沿いに多い事から、河川の土手に多く現れます。「蓼食う虫も好き好き」の代表格と言えます。

 ベニシジミの翅裏面は、「ベニシジミ(紅小灰蝶)2005年」をご覧下さい。どちらの模様が好きかは様々と思います。

Japanese common name : Beni-sizimi
e0038990_10573774.jpg
Lycaena phlaeas daimio (Matsumura, 1919)
e0038990_10575181.jpg
2006.03.15

追記:2006.03.18
 J.Jさんからベニシジミの幼虫写真を送って頂きました。ありがとうございます。
 「幼虫も紅をさしています。プレゼントです。喜んでいただけますように。3月11日川原で見つけました。」
田中川の生き物調査隊
e0038990_10581179.jpg
Photo by J.J (田中川の生き物調査隊)


ベニシジミ(紅小灰蝶)
チョウ目(鱗翅目)シジミチョウ科ベニシジミ属
学名:Lycaena phlaeas daimio (Matsumura, 1919)

e0038990_2163229.gif

体長:(前翅長)15~18mm/(開張)27~35mm
出現期:3月~11月(年3~5回)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:(幼虫)タデ科(ギシギシ、スイバ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9km 左岸土手 2006.03.15
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 17 March 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-03-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)
テングチョウ(天狗蝶)
 テングチョウ(天狗蝶)は、テングチョウ科テングチョウ亜科テングチョウ属の昆虫で、化石で発掘されるほどの古い生物です。ヨーロッパ・北アフリカ・ユーラシア大陸・日本や台湾にまで分布します。

 テングチョウ科(Libytheidae Boisduval, 1833)は、約10種類ほどの小さな科で、主に熱帯に分布します。日本では1科1属1種のみが生息します。つまりテングチョウしかいません。名の由来は、発達した鼻状突起を持ち、それを天狗の鼻に例えたものです。これは、下唇髭(かしんしゅ)あるいは、パルピ(Pulpi)と呼ばれ、匂いを感じ取る器官で、複眼や口吻を掃除する機能も併せ持っています。

 成虫のまま越冬するので、春早くから飛び回り始めます。エノキなどに産卵します。卵 ・幼虫・蛹・成虫という段階を経る完全変態をします。成虫の羽化は6月頃です。夏に休眠します。秋に覚めて活動し、その後で冬眠して越冬します。翅の表に白色と橙色の斑紋があり、比較すると雌の方が橙色が発達しています。翅の裏面は枯れ葉状の模様になっています。

 漢語の「蝶(てふ)」は、「翅が薄い虫、木の葉のようにひらひら舞う蟲」を意味します。鱗翅目(りんしもく)とは、チョウ目(Lepidoptera)と同じ意味です。2対の翅を持ち、鱗状の鱗粉による模様を持つ分類群を指し、蝶や蛾がそれに当たります。

Japanese common name : Tengu-tyou
e0038990_1155189.jpg
Libythea celtis celtoides Fruhstorfer, [1909]


テングチョウ(天狗蝶)
チョウ目(鱗翅目)テングチョウ科テングチョウ亜科テングチョウ属
学名:Libythea celtis celtoides Fruhstorfer, [1909]

e0038990_2163229.gif

体長:(前翅長)19~29mm/(開張)40~50mm
分布:本州・四国・九州・沖縄
出現期:3月~6月/9月~11月
食草:エノキ・エゾエノキ・クワノハエノキ

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.0km 左岸土手 2006.03.15
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 16 March 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-03-16 00:00 | | Trackback | Comments(0)