カテゴリ:静岡県立大学薬用植物園( 20 )
モミジルコウ(紅葉縷紅)
 モミジルコウ(紅葉縷紅)は、ヒルガオ科サツマイモ属の1年草です。原産地はアメリカ。園芸交配種です。名の由来は、モミジのような掌状に細裂する葉を付けるルコウソウ(縷紅草)である事から。縷は、細い糸の事で、紅色の花を付けるので縷紅草であり、葉の切れ込みからモミジを冠したもの。英名は、Cardinal climber。

 ヒルガオ科(Convolvulaceae Juss. (1789))は熱帯から亜熱帯に約58属1650種が分布し、日本には4属があります。サツマイモ属(Ipomoea L. (1753)) は、熱帯から亜熱帯に約500種が分布します。

 茎は蔓となって他の物に絡み合って立ち上がり、2~4m程になります。。巻き方は、上から見て反時計回りの右巻。葉は互生します。楕円形の葉は掌状に深裂し、長さ4~6cm、裂片は披針形。葉は小さなモミジ葉状で、秋に紅葉します。

 花期は7~10月頃。葉腋から長い柄を出し、径約2~3cmの五角形花を付けます。鮮紅色の漏斗状で、花筒の長さは約4cm。花冠先端は反り返ります。雄しべ5本、雌しべ1本。葯色は白色。虫媒花。果実は蒴果です。楕円球形で、径約8mm。種子は長さ4~5mm。

 交配母種は、ルコウソウ(縷紅草)マルバルコウ(丸葉縷紅)で、性質が強いため本州中部地方以西に帰化しています。

Japanese common name : Momizi-rukou
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Ipomoea x multifida (Raf.) Shinners

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左:反り返った花冠から飛び出した雄しべと雌しべ 右:葉は掌状に深裂


モミジルコウ(紅葉縷紅)
別名:モミジルコウソウ(紅葉縷紅草)、ハゴロモルコウソウ(羽衣縷紅草)
ヒルガオ科サツマイモ属
学名:Ipomoea x multifida (Raf.) Shinners
花期:7月~10月 1年草(蔓性) 蔓長:2~4m 花径:2~3cm

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【学名解説】
Ipomoea : ips(芋虫)+homoios(似た)/サツマイモ属
x : 二種間交配種
multifida : multifidus(多数に中裂した)
Raf. : Constantine Samuel Rafinesque-Schmaltz (1783-1840)
Shinners : Lloyd Herbert Shinners (1918-1971)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬学植物園 2006.09.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 September 2016
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by pianix | 2016-09-28 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
ケナフ(Kenaf)
 ケナフ(Kenaf)は、アオイ科フヨウ属の1年草です。アフリカ、あるいはインドが原産と言われていますが不明です。アジア、オーストラリア、北アメリカに移入分布します。日本には第二次世界大戦の頃に移入されたと言われています。製紙原料の繊維を取るために栽培されています。また、栽培逸出して野生化する事もありますが帰化状態ではありません。名の由来は、kenab(麻)から。中国名は、ヤンマ(洋麻)。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、250属(AGP)が分布します。クロンキスト体系(Cronquist system)では、約75属、約1500種でした。フヨウ属(Hibiscus L. (1753))は、約250種が分布します。

 栽培種です。播種後は、夏以降に急速に成長します。根はゴボウ状で真下に伸びます。茎は、円柱状で径1~5cm、まばらに棘があり、直立します。草丈は3~4mになります。葉は、互生します。葉柄は6~20cm。掌状深裂します。茎上部になるほど裂片数が増え、3、5、7深裂となり、茎頂付近では槍形となります。掌状裂片は長さ2~12cmの被針形で、鋸歯があります。

 花期は、10月から11月頃。早朝に花を横向きに開きます。一日花です。ごく短い花柄の先に花を単生させます。総苞片(萼状総苞)は7~10個あり、長さ6~8mm。萼は、鐘形で長さ約5cm、萼片は5裂し被針形で、先端は鋭突。花冠は5枚の花被片からなり、薄黄色。中心部は農赤色の楕円形で長さ約6cm。花径は8~15cm。両性花で虫媒花です。雄しべは筒状の単体雄蕊1)で、花糸の長さは1.5~2cm。花柱は5個で、柱頭先端は3裂します。

 果実は蒴果です。径約15mm~20mmで、先端がくちばし状になり棘を密生させます。5室があり、各室に3~5個の種子を含みます。種子は、アサガオの種子に似た茶色の腎臓形で、約5mm。染色体数は、2n=36。

 成長が早く栽培が容易ですが、風、農薬に弱い弱点があります。また、蜜線も多いので虫を呼び寄せやすいようです。葉の表と裏に気孔が多数ある事から、二酸化炭素、二酸化窒素の単位面積当たりの吸収率が高い事が知られています。若葉には、カルシウム、カロチン、鉄分が豊富です。茎から繊維、種子から乾性油が採取されます。繊維は、製紙原料として使われ、麻袋や網、炭等にも利用されます。畑地では連作障害に注意を要します。

※大麻取締法で栽培が規制されているアサ(麻)と間違えられやすい植物です。アサの茎は4稜があり、本種の丸形とは異なります。

1)単体雄蕊(たんたいゆうずい):雄しべが合着して筒状になるもの。monadelphous stamen。

Japanese common name : Kenafu
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Hibiscus cannabinus L.

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ケナフ(Kenaf)
アオイ科フヨウ属
学名:Hibiscus cannabinus L.
花期:10月~11月 1年草 草丈:3~5m 花径:8~15cm

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【学名解説】
Hibiscus : 由来不明、ゼニアオイ属の古名/フヨウ属(ヒビスクス属)
cannabinus : Cannabis(麻)+anus(ラテン語形容詞化)/麻のような
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.10.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 20 December 2015
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by pianix | 2015-12-22 08:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
メキシカン・セージ(Mexican sage)
 メキシカン・セージ(Mexican sage)は、シソ科アキギリ属の多年草(亜低木)です。メキシコから中米が原産です。名の由来は、メキシコ原産のsageから。sageは薬用として使われた種があることから、salvare(治療)が語源と言われています。日本ではアメジストセージ(Amethyst sage)の名で知られています。アメジストセージは、Amethyst(紫水晶)色である事から。英名は、Mexican Bush Sage。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。アキギリ属(Salvia L.)は熱帯から温帯にかけて分布し500~900種以上があると言われています。日本には10種程が自生します。学名で日本産のサルビアとされるものに、アキノタムラソウ(秋の田村草)Salvia japonica Thunb.があります。

 茎は4稜(断面が4角形)があり、2年目から基部が木質化して、高さ60~150cmになります。葉は十字対生します。長披針形で長さ10~12cm、軟毛があり、先端は鋭頭。短日植物で、日中の日差しが短くなると花芽を形成します。枝先に10~30cmの花穂を傾斜させて出し、6~8の唇形花を付けます。萼は赤紫色でビロード状の軟毛に覆われています。花色は白。雄しべは5本で、内3本が退化して完全雄ずいは2本。柱頭は2裂します。

 果実は4分果です。芽は銀白色。耐寒性はあまりありませんが大株の場合は約-5℃まで耐えます。暖地では露地で越冬可能です。繁殖は、一般的には春先に挿し芽で行います。葉を乾燥させたものを生薬のセージ葉と言い、下痢・芳香性健胃として用います。

Japanese common name : Mekisikan-sēgi
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Salvia leucantha Cav.
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唇形花で、萼は赤紫色ビロード状の軟毛に覆われる


メキシカン・セージ(Mexican sage)
別名:アメジストセージ(Amethyst sage)/メキシカンブッシュセージ(Mexican bush sage)/ベルベットセージ(velvet sage)/サルビア・レウカンサ(Salvia leucantha)
シソ科アキギリ属
学名:Salvia leucantha Cav.
花期:9月~12月 多年草(亜低木) 草丈:60~150cm 花穂長:10~30cm

【学名解説】
Salvia : sage(セージ)の古名|salvare(治療)・salveo(健康)/アキギリ属
leucantha : leucanthus(白い花の)
Cav. : Antonio Jose Cavanilles (1745-1804)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.10.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 7 November 2006
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by pianix | 2006-11-07 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
ゴマ(胡麻)
 ゴマ(胡麻)は、ゴマ科ゴマ属の1年草です。アフリカが原産で、日本へは縄文後期、あるいは奈良時代に渡来したと言われています。日本では栽培のみで自生種はありません。名の由来は、中国名の漢字を音読みしたもの。胡は、中国西域諸国の意味で、麻に似た種子を付ける事から。中国を経由した事に因みます。英名は、sesame。

 ゴマ科(Pedaliaceae R. Brown, 1810)は、アフリカ南部からマダガスカル、熱帯アジアにかけて15属50種が分布します。ゴマ属(Sesamum L. (1753))は、アフリカ南部からインドまでの熱帯地方に15種分布し、栽培されているのは本種のみです。

 全体に軟毛が密生します。茎は四角柱状で直立し、所々で分枝して高さは60~100cmになります。葉は、長さ10cm内外の長楕円形か皮針形です。下部で対生し、上部で互生します。花期は7月から9月で、葉腋に花を付け、茎の中程から上に向かって、順次開花させます。花冠は筒状の先端が5裂した唇形花で、長さ25~30mm。花色は種子の色と関連します。白色は白ゴマ、淡紫色を帯びた白色(ピンク)は黒ゴマです。萼は深く5裂します。染色体数は、2n=26。

 果実は朔果です。長さ25mm程の円柱状で4~8房室があり、1室に約15~20粒があります。熟すと縦に裂開して多数の種子を出します。種子は2種類の皮と、内部に胚乳・子葉があり、脂肪油を40~50%含みます。日本薬局方ゴマ油は、軟膏やリニメント剤などの基剤として用いられます。

 主な原産国は、中国、スーダン、ナイジェリア、タンザニアです。栽培面積比率はインドが30%で世界最大です。日本での主な産地は茨城・埼玉・三重・佐賀・長崎ですが、1950年代から減り始め、現在では輸入依存状態になっています。1997年の輸入量は、15万2000tで、世界貿易量の約3割を占めます。因みに各国での呼称は、イギリスではセサミシード(Sesameseed)、フランスではグランドセサム(graines de sésame)、ドイツではゼーザムザートゥ(Sesamsaat)、イタリアではセーメ・ディ・セサモ(Seme di Sesamo)、中国ではチーマ(芝麻)。

Japanese common name : Goma
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Sesamum indicum L.
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果実は朔果


ゴマ(胡麻)
ゴマ科ゴマ属
学名:Sesamum indicum L.
花期:7月~9月 1年草 草丈:60~100cm 花冠長:25~30mm 果期:9~10月

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【学名解説】
Sesamum : zesamm(ギリシャ語)・sessem(アラビア語)の古語に由来/ゴマ属
indicum : indicus(インドの)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬学植物園 2006.09.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

4 October 2006
Last modified: 18 March 2014
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by pianix | 2006-10-04 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)
オミナエシ(女郎花)
 オミナエシ(女郎花)は、オミナエシ科オミナエシ属の多年草です。日本、中国、朝鮮、シベリア東部が原産で、国内の北海道・本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、オトコエシ(男郎花)と比べて女性的である事から。オミナは女。詳細は不明です。エシは飯であり、黄色の小さな花を古代に女性が食していた粟飯に例え、オミナメシ(女飯)が転訛したものとの説があります。この女郎花の漢字表記は、平安時代の901~923年(延喜年間)の頃から始まったとされています。秋の七草の一つ。英名は、Dahurian patrinia。

 APG体系では、スイカズラ科(Caprifoliaceae Juss. (1789))で、約16属500種が分布します。クロンキスト体系とエングラー体系では、オミナエシ科(Valerianaceae Batsch (1802))で、約8属があり、日本には3属10種が分布します。オミナエシ属(Patrinia Juss. (1789))は、東アジアと中央アジアに15種が分布し、日本には6種があります。

 根茎は横に這い増殖します。根生葉は長柄がある卵状披針形。茎葉は対生し、羽状に深く分裂します。茎は上部で枝分かれして、高さ60~100cmになります。茎に付く毛はまばらです。やや円錐状の散房花序を出し、黄色の小花多数を付けます。小花は、筒部が短い漏斗形の合弁花で、花冠は5裂し、径3~5mm。雄しべ4本、雌しべ1本があります。染色体数は、2n=22。

 子房は3室に分かれ、内1室のみが結実し、残り2室は結実しません。果実は痩果です。長楕円形で長さ3~4mm、幅2mm。ロゼット葉で越冬します。

Japanese common name : Omina-eshi
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Patrinia scabiosifolia Fisch. ex Trevir.

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左:茎葉は対生し羽状に裂ける 右:花冠は漏斗形の合弁花で5裂し、径3~5mm


オミナエシ(女郎花)
別名:オミナメシ(女郎花/女飯)/アワバナ(粟花)
スイカズラ科オミナエシ属
学名:Patrinia scabiosifolia Fisch. ex Trevir.
花期:7月~9月 多年草 草丈:60~100cm 花径:3~4mm

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【学名解説】
Patrinia : Eugene Louis Melchior Patrin (1742-1815)に因む/オミナエシ属
scabiosaefolia : scabiosaefolius(マツムシソウ属Scabiosaのような葉の)
Fisch. : Friedrich Ernst Ludwig von Fischer (1782-1854)
ex : ~による
Trevir. : Ludolf Christian Treviranus (1779-1864)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.09.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

26 September 2006
Last modified: 04 December 2014
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by pianix | 2006-09-26 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
ルコウソウ(縷紅草)
 ルコウソウ(縷紅草)は、ヒルガオ科サツマイモ属の多年草です。熱帯アメリカが原産で、日本へは江戸時代初期の1634(寛永11)年に園芸用途で移入されたと考えられている帰化植物です。名の由来は、糸のように細い葉を持ち、赤い花を付ける事から。縷は、細い糸の事。英名は、Cypress vine。

 ヒルガオ科(Convolvulaceae A.L. de Juss. (1789))は、熱帯から亜熱帯に約58属1650種が分布し、日本には4属があります。サツマイモ属(Ipomoea L. (1753)) は、500種程があります。旧分類のルコウソウ属(Quamoclit Moench, 1794)は、熱帯アメリカやインドに約10種があります。

 蔓性で長さ100~400cmになります。花色と茎色の遺伝子は連鎖します。葉は互生します。羽状に深く裂け、裂片は糸状です。花期は8月から10月で、葉腋から長い花柄を出し、先端に1~2個の花を付けます。花冠は2~3cmで、星形に5裂する高杯形です。花色は、濃紅色・桃色・白色があります。雄しべ5本、雌しべ1本。子房は4室。果実は蒴果で、種子は4個。染色体数は2n=30。

 類似種のマルバルコウ(丸葉縷紅)は、本州中部地方以西に帰化しています。また、ルコウソウとマルバルコウの交雑種である、モミジルコウ(紅葉縷紅)Ipomoea x multifida (Raf.) Shinners があります。

Japanese common name : Rukou-sou
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Ipomoea quamoclit L.


ルコウソウ(縷紅草)
ヒルガオ科サツマイモ属
学名:Ipomoea quamoclit L.
synonym : Quamoclit pennata Bojer
花期:8月~10月 多年草 草丈:100~400cm(蔓性) 花径:約2~3cm

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【学名解説】
Ipomoea : ips(芋虫)+homoios(似た)/サツマイモ属
quamoclit : kuamos(豆)+klitos(低い)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
Quamoclit : kyamos(豆)+clitos(低い)/ルコウソウ属
pennata : pennatus(羽状の)
Bojer : Wenzel Bojer (1797-1856)
---
x : 二種間交配種
multifida : multifidus(多数に中裂した)
Raf. : Constantine Samuel Rafinesque-Schmaltz (1783-1840)
Shinners : Lloyd Herbert Shinners (1918-1971)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬学植物園 2006.09.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

21 September 2006
Last modified: 18 April 2014
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by pianix | 2006-09-21 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)
センリゴマ(千里胡麻/胡面莽)
 ご注意:掲載種は、センリゴマでは無い可能性があると、静岡県立大学教授から連絡を頂きました。遺伝子解析によるものです。ジオウ属(Rehmannia)の何かではあるようで、R. henryiR. solanifolia、ジオウ(地黄) R. glutinosaに近いものとの事です。
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 センリゴマ(千里胡麻/胡面莽)は、ゴマノハグサ科ジオウ属の多年草です。中国が原産で、日本での分布は静岡県と岐阜県の山間部で僅かに見られる程度。近い将来に絶滅する危険性が極めて高い絶滅危惧IA類(CR)です。ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Durande, 1782)は、熱帯から寒帯に約200属3000種以上が分布します。ジオウ属(Rehmannia Liboschitz ex F.E.L. Fischer & C.A. Meyer, 1835)は、東アジアに10種程があります。

 茎は、15~50cmになります。根生葉は長さ15~25cmの卵状楕円形で鋸歯があります。茎の葉は柄があり互生します。葉脈は窪み、茎・葉・花の全体に毛が密生します。筒形の花冠は5~6cmで紅紫色。先端が上唇2枚と下唇3枚に5裂した、唇形花冠です。筒内部には、蜜標である斑点があります。雌性先熟で、虫媒花です。果実は2裂します。

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Rehmannia japonica Makino

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▲ 左:(480x640/41kb) 右:2006.07.25 (480x640/52kb)

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▲ 左:萼の様子 (480x640/40kb) 右:花冠の長さ (480x640/46kb)

センリゴマ(千里胡麻/胡面莽)
別名:ハナジオウ(花地黄)
ゴマノハグサ科ジオウ属
学名:Rehmannia japonica Makino
花期:5月~8月 多年草 草丈:15~50cm 花冠長:5~6cm

【学名解説】
Rehmannia : Joseph Rehmann (1779-1831)に因む(ロシア皇帝の侍医)/ジオウ属
japonica : 日本の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県立大学薬用植物園 2006.09.08
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by pianix | 2006-09-11 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(7)
ジギタリス(Digitalis)
 ジギタリス(Digitalis)は、オオバコ科ジギタリス属の多年草です。ヨーロッパ原産で、日本へは1879(明治12)年に薬用と園芸目的に移入されました。名の由来は、管状の花冠を手袋の指に見立てたもので、digitusは指を意味します。別名のキツネノテブクロ(狐の手袋)も同様で、英名のFox-gloveからの直訳。妖精が休息場を動き回るキツネに困って、足音を消す為にジギタリスを履かせたという伝承によります。fairies'glove(妖精の手袋)の転訛と言われています。因みにDigitalisは、デジタル(digital)の語源です。

 APG分類体系では、オオバコ科(Plantaginaceae Juss. (1789))で、約90属1700種があるとされています。エングラー分類体系では、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))で、極寒地を除いた地域に約222属4450種があります。ジギタリス属(Digitalis L. 1753)は、ヨーロッパやアジアに19種が分布します。

 毒成分を含む毒草です。ステロイド配糖体の一種であるジギトキシン(digitoxin)やギトキシン(gitoxin)を含有し、心収縮力増強作用がある劇物です。ジギタリスの薬効は、民間療法師から受け継いだウイリアム・ウィザーリング(William Withering, 1741-1799)が近代医学に初めて導入したものです。強心利尿薬として使われてきました。日本薬局方に初版から収載され、現在は削除されています。1979(昭和54)年に薬用としての栽培は中止されました。

 園芸用途で親しまれていますが、民間薬としての利用は厳禁です。誤食による死亡事故が昭和39年から平成2年までの間に2例報告されています。推定致死量は2g。コンフリーやボリジと誤認するのが原因です。類似種として強い力価を持つ、ケジギタリス(Digitalis lanata Ehrh.)があります。

 茎は分枝せずに直立して50~150cmになります。根出葉は叢生し長い柄があり、長さ2~15cm。茎に付く葉は互生します。葉は卵状長楕円形で長さ10~30cm、鋸歯があります。葉裏は綿毛が密生して葉脈が網目状に突出します。

 花期は5月から7月頃。茎の先に30~60cmの総状花序を付けます。花冠は合弁花の鐘形で紅紫色。花冠の長さは30~75mmで、花径は2~4cm。花穂の片側に偏り下向きに咲きます。下唇に蜜標である暗紫色の斑点模様があります。下から順に咲きます。萼片は5深裂。雄しべは4本、内2本が長い2強雄ずい。両生花で雌性先熟、虫媒花です。果期は8~9月。果実は蒴果です。長さ1.5cm程の卵形。染色体数は、2n=48,56。

Japanese common name : Gigitarisu
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Digitalis purpurea L.

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撮影地:静岡市葵区富厚里 2010.06.02


ジギタリス(Digitalis)
別名:キツネノテブクロ(狐の手袋)/※ジキタリスは誤読
オオバコ科ジギタリス属
学名:Digitalis purpurea L.
花期5~7月 多年草 草丈:50~150cm 花径:2~4cm 花冠長:30~75mm

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【学名解説】
Digitalis : digitus(指)/ジギタリス(キツネノテブクロ)属
purpurea : purpureus(紫色の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.07.25
葵区富厚里(ダイラボウ線) 2010.06.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

10 August 2006
Last modified: 10 June 2010
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by pianix | 2006-08-10 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
カノコユリ(鹿の子百合)
 カノコユリ(鹿の子百合)は、ユリ科ユリ属の多年草です。日本と中国、台湾が原産です。国内では九州と四国に自生する在来種です。名の由来は、花被片の斑点模様を鹿子斑に見立てたもの。英名は、showy lily、brilliant lily、lance-leaved lily等。

 ユリ科(Liliaceae Juss. 1789)は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ユリ属(Lilium L. (1753))は北半球の亜熱帯から亜寒帯に約100種類が分布します。15種類が日本に自生し、内7種類(ヤマユリ、サクユリ、ササユリ、オトメユリ、イワトユリ、ウケユリ、タモトユリ)は日本特産種です。ユリ属は、1925年に4亜属に分類されました。テッポウユリ亜属、ヤマユリ亜属、カノコユリ亜属です。その他に、これらを掛け合わせた種間雑種があります。

 ユリの球根は、茎が短縮した低盤部に、葉が変形した鱗片が多数着生して多肉化したものです。1球に1茎を生じます。球根(母球)の基盤部から下根(低出根・牽引根)を出し、土中の地下茎に短い上根(茎出根)を出します。上根部分に木子を付けます。地上部の茎にムカゴ(珠芽)を付けるのは、日本の自生種ではオニユリ(鬼百合)だけです。球根は百合(びゃくごう)として生薬に用いられます。繁殖方法は種子と栄養繁殖があり、栄養繁殖では鱗片・木子・分球・珠芽を用います。カノコユリは木子繁殖が一般的です。

 草丈は50~170cm。葉は互生します。卵状披針形で、長さ12~18cm、幅2~6cm。花期は7月から8月頃。花は薄紅色を帯びた白色で、濃紅色の斑点と乳頭状突起があります。6花被片からなり、外側3枚の外花被、内側3枚の内花被があります。花冠径は10cm内外で、花被片は反り返り、斜め下向きに咲きます。6雄ずい、1雌ずいがあり、葯は赤褐色です。1869年にカノコユリとヤマユリの雑種が作られました。

Japanese common name : Kanoko-yuri
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Lilium speciosum Thunb.


カノコユリ(鹿の子百合)
ユリ科ユリ属
学名:Lilium speciosum Thunb.
花期:7月~8月 多年草 草丈:50~170cm 花径:10cm

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【学名解説】
Lilium : li(白)+lium(花)/ユリ属
speciosum : speciosus(美しい・華やかな)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.07.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 8 August 2006
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by pianix | 2006-08-08 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
コガネバナ(黄金花)
 コガネバナ(黄金花)は、シソ科タツナミソウ属の多年草です。中国北部が原産で、東シベリア、モンゴル、中国北部、朝鮮半島に分布します。日本へは享保年間に薬用として移入されたと言われています。1723(享保8)年に小石川御薬園に植栽された記録があります。各地で薬用あるいは観賞用に栽培されています。名の由来は、根が黄色(黄金色)である事から。英名は、Baikal skullcap。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。タツナミソウ属(Scutellaria L. (1753))は、約300種があり、日本には18種類が自生します。

 主根は、長さ5~20cm、径5~30mmの円錐形で外面は黄褐色、内部が黄色。根を乾燥させたものを黄岑(おうごん)と称して漢方薬として用います。黄連解毒湯・大柴胡湯・小柴胡湯・半夏瀉心湯・清上防風湯等の漢方処方に配合され、解熱・消炎・利尿・止瀉の作用があります。成分はフラボノイドのオウゴニン(wogonin)、バイカリン(baicalin)等です。

 茎は四稜形(断面四角形)で、下部は這い、直立して草丈は30~60cmになります。葉は対生します。葉柄は無く、長さ15~50mm、幅5~10mmの披針形で全縁、先端は尖ります。花茎に穂状花序をつけます。花は紫色の唇形花で、立ち上がって咲き、花冠の長さは25mm程。果実は痩果で、小球形です。種子繁殖が一般的です。

Japanese common name : Kogane-bana
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Scutellaria baikalensis Georgi

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左:花冠 右:葉の様子


コガネバナ(黄金花)
別名:コガネヤナギ(黄金柳)
シソ科タツナミソウ属
学名:Scutellaria baikalensis Georgi
花期:7月~8月 多年草 草丈:30~60cm 花冠長:25mm

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【学名解説】
Scutellaria : scutella(小皿)/タツナミソウ属
baikalensis : バイカル地方の
Georgi : Johann Gottlieb Georgi (1729-1802)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.07.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 5 August 20106
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by pianix | 2006-08-05 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)