カテゴリ:静岡県立大学薬用植物園( 20 )
ヒレハリソウ(鰭玻璃草)
 ヒレハリソウ(鰭玻璃草)は、ムラサキ科ヒレハリソウ属の多年草です。コーカサス地方が原産で、ヨーロッパとアジア西部に分布しています。日本へは、明治時代に食用・薬用・牧草として導入されました。北海道から九州にかけて野生化している帰化植物です。名の由来は、花茎に翼がある事からヒレが張っているとの意味。玻璃はガラスの事ですが文字を充てただけのようです。一般的にはコンフリー(Comfrey)の名で知られています。一時期は健康食品としてもてはやされました。2004年6月に厚生労働省医薬食品局が、肝静脈閉塞性疾患等の健康被害例が海外から報告された事により、食品としての販売を禁じました。

 ムラサキ科(Boraginaceae Juss. (1789))は、地中海沿岸などの温帯に約154属2500種類が分布します。日本には14属28種あり、11種の草本が自生します。ヒレハリソウ属(Symphytum L. (1753))は、ヨーロッパやコーカサス地方に約35種類が分布します。

 根茎は分枝して草丈30~90cmになります。全体に白く硬い荒毛が多くあります。根茎を乾燥させたものを、1)生薬のコンソリダ根、あるいはシンフィツム根として使われます。葉は互生します。根生葉は長さ20~40cmの長楕円形で全縁、葉脈がへこみ、長い葉柄があります。上部の葉は葉柄が不明瞭となり、翼状に茎に付きます。この部分がヒレと見立てられて名の由来となっています。

 花期は6月から8月頃。茎の先端を枝分かれさせて、有限花序の1つである巻散花序(けんさんかじょ・drepanium/鎌形花序・鎌状集散花序)を付けます。渦巻き状になった花序を解きながら花を付けていきます。釣鐘型の花を下向きに数個付けます。花冠長は2cm程、径1cm程で、先端は浅く5裂して若干反り返ります。花色は淡紅紫色が多く、紫色や白色もあります。雄しべは5本で、細長い三角形の付属体があります。雌しべは花冠より少し突き出ます。萼は5裂します。果実は分果(mericarp)です。染色体数は、2n=36。

1)植物毒であるアルカロイド(alkaloid)のコソリジン(consolidin)やシンフィト=キノグロッシン(symphyto-cynoglossin)、エキミジン(echimidine)が含まれます。

Japanese common name : Hirehari-sou
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Symphytum officinale L.

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葵区千代 2007.05.08
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ヒレハリソウ(鰭玻璃草)
英名:コンフリー(Comfrey)
ムラサキ科ヒレハリソウ属
学名:Symphytum officinale L.
花期:6月~8月 多年草 草丈:30~100cm 花冠長:2cm

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【学名解説】
Symphytum : symphyton(癒合する)/ヒレハリソウ属
officinale : officinalis(薬用の・薬効のある)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.07.06
葵区千代 2007.05.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

2 August 2006
Last modified: 9 June 2014
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by pianix | 2006-08-02 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
オオセンナリ(大千成)
 オオセンナリ(大千成)は、ナス科オオセンナリ属の1年草です。南アメリカのペルーが原産で、日本へは江戸時代末期に園芸用途で渡来しました。1964年に福岡県北九州市で野生化が確認された帰化植物です。名の由来は、ホオズキ属のセンナリホオズキ(千成酸漿)Physalis pubescens L.と比べて大型との意味から。千成りとは、たくさん群がって実が生る事。英名は、Apple of Peruで「ペルーの林檎」ですが、果実は有毒1)で食べられません。

 ナス科(Solanaceae Juss. (1789))は、世界に90属約2300種が分布します。オオセンナリ属(Nicandra Adanson, 1763)は1属1種で、南アメリカのチリとペルーに分布します。

 茎には稜があり、分枝して30~100cmになります。葉は互生します。柄があり、長さ5~10cmの長楕円形あるいは卵形で、先端が尖り、荒い鋸歯があります。花期は7月から9月頃。葉腋から、葉と対生の位置に長い柄を持った花を付けます。淡青紫色の浅く5裂した5角形の鐘形で、花冠径は3~5cm。萼は筒状で、基部に5個の尾状突起があり、側面に5個の翼があります。

 果実は液果です。長さ約25mmの袋状になった肥大した萼に包まれ、袋は熟すと割れます。液果表面には茶褐色の斑点があります。種子は1.5~2mmの扁平した円形で多数あります。染色体数は、n=10, 2n=19,21。

 全草を生薬「假酸漿(カサンショウ)」として止咳、清熱、去痰、解毒に用います。

1)ニカンドレノン(Nicandrenone, C28H34O6)

【参考文献】
0.NALBANDOV, R.T.YAMAMOTO and G.S.FRAENKEL(1964) Nicandrenone, a new compound with insecticidal properties, isolated from Nicandra Physalodes. Jour. Agric. Food Chem. 12:55-59.

殺虫力をもつ新植物成分ニカンドレノン
農技研 平野千里 日本応用動物昆虫学会誌 第8巻 第2号 1964-06-25,122p.

Japanese common name : Oo-sen'nari
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Nicandra physaloides (L.) Gaertn.

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萼は筒状、基部に5個の尾状突起、側面に5個の翼がある。葉は互生する。
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イチモンジセセリが訪花していた。

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果実は液果。肥大した萼に包まれている。2006.10.19


オオセンナリ(大千成)
ナス科オオセンナリ属
学名:Nicandra physaloides (L.) Gaertn.
花期:7月~9月 1年草 草丈:30~100cm 花径:3~5cm

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【学名解説】
Nicandra : ギリシャの詩人Nikandros(197-130 BC.) に因む/オオセンナリ属
physaloides : ホオズキ属(Physalis)のような|Physalis:physa(水泡・気泡)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Gaertn. : Joseph Gaertner (1732-1791)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.07.25, 2006.10.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 July 2006
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by pianix | 2006-07-26 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(4)
ゴボウ(牛蒡)
 ゴボウ(牛蒡)は、キク科ゴボウ属の多年草です。ユーラシア大陸(欧州北部・シベリア・中国東北部)が原産です。古い時代に中国から薬草用途で渡来したと考えられられている帰化植物です。縄文時代の遺構から種子が出土しています。平安時代後期に蔬菜として食用され始めたと言われています。現在、食用に利用しているのは日本と、台湾に僅かあるのみです。西洋では葉をサラダとして使います。日本の主要産地は関東北部の茨城・埼玉・群馬です。

 名の由来は、根が牛の尾に似ていて、葉が両側に開く意味を持つ「蒡」を充てた漢名を借用して音読みしたものと言われています。日本の古い時代には、キタキス(岐太岐須)やウマフフキ(宇末不々木)と呼ばれていたようです。英名は、edible burdock。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。ゴボウ属(Arctium L.)は、中国東北部からヨーロッパ・シベリアに6種が分布します。食用とされるのは1種のみで、日本には自生種はありません。

 主根は多肉質で、品種により長さ40~150cmになります。茎は分枝し、150cm程になります。根生葉は叢生し長い柄があります。心臓形で波打ち、長さは40cm内外、暗緑色で、葉裏に綿毛が密生します。花期は6月から7月頃。分枝した茎先に多くの頭花を付けます。頭花は径40~45mmの球形で、淡紫色(稀に白色)の筒状花の集合体です。総苞はイガ状の細い棘が広がり、先端が鉤状になっていて動物に取り付きます。

 生薬として、根を乾燥させたものをゴボウコン(牛旁根)、種子を乾燥させたものをアクジツ(悪実)あるいはゴボウシ(牛旁子)として用いられます。栽培されているゴボウは幾つかの品種があり、長根種と太根種に大別されます。

Japanese common name : Gobou
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Arctium lappa L.
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頭花は筒状花の集合体


ゴボウ(牛蒡)
キク科ゴボウ属
学名:Arctium lappa L.
花期:6月~7月 多年草 草丈:100~150cm 花径:40~45mm

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【学名解説】
Arctium : arktos(熊)/ゴボウ属
lappa : lavein(掴む・引っ掛ける)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.07.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 July 2006
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by pianix | 2006-07-21 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
イチハツ(一初)
 イチハツ(一初)は、アヤメ科アヤメ属の多年草です。原産は中国からミャンマー北部にかけてで、日本には江戸時代に渡来したと言われています。名の由来は、アヤメ科の中でいち早く花を咲かせる事から。実際には、シャガ(射干/著莪)の方が先に咲くようです。

 アヤメ科(Iridaceae Juss. (1789))は、世界に約80属1750種があり、アヤメ属(Iris L. (1753))は、北半球の温帯に約220種が分布し、日本には約10種が自生します。アヤメ科の花は、「いずれアヤメかカキツバタ」と言われるように、見分けが難しいものと言われます。この仲間の園芸品種が多い事も拍車をかけているかもしれません。

 根茎は分枝しながら増殖します。葉は薄緑色で、光沢がない剣状の短めの葉で、幅は3~4cm、葉の中央にある中脈は不明瞭で先端は尖ります。花茎は単軸で、分岐し、草丈30~60cmになります。

 花期は4月から5月頃。茎頂に藤紫色で濃紫色の脈や斑点が入った、花径10cm程の花をつけます。苞葉(ほうよう)から子房が立ち上がり、花冠に相当する上弁の内花被片と、萼に相当する下弁の外花被片が3枚ずつあり、縁は縮れます。内花被片は倒卵状円形。外花被片には、白色のとさか状の突起物があり、イチハツの大きな特徴となっています。雄しべは3本、花柱は3つに分岐します。染色体数は、2n=28,32,361)

 乾燥に強く、昔は火災や大風からの魔よけと信じられ、かやぶき屋根に植えられていました。これは種小名のtectorumにも表されています。鳶尾は漢名です。根は民間薬とし、鳶尾根(エンビコン)と称して吐剤・下痢として利用されます。根にはイソフラボン配糖体であるテクトリジン(Tectoridin)が含まれ、摂取量を誤ると胃腸障害を起こす恐れがあります。

 品種に、シロバナイチハツ(白花一初)Iris tectorum Maxim. f. alba (Dykes) Makino があります。

1)Chromosome numbers : 2n=28(Simonet,1932), 2n=32(Sharma,1970), 2n=28(Chimphamba,1973), 2n=28(Karihaloo,1978), 2n=28 (Karihaloo,1984), 2n=28(Huiang,1986), 2n=36(Mao & Xue,1986), 2n=28(Huang,1989), 2n=32(Dong et al.,1994)

Japanese common name : Itihatu
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Iris tectorum Maxim.


イチハツ(一初/一八/鳶尾)
アヤメ科アヤメ属
学名:Iris tectorum Maxim.
花期:4月~5月 多年草 草丈:30~60cm 花径:10cm

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【学名解説】
Iris : 虹/アヤメ属
tectorum : 屋根の・屋根に生ずる(複数二格)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
---
alba : albus(白色)
Dykes : William Rickatson Dykes (1877-1925)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 24 May 2006
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by pianix | 2006-05-24 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)
ハシリドコロ(走野老)
 ハシリドコロ(走野老)は、ナス科ハシリドコロ属の多年草です。日本と韓国、中国が原産で、国内では、本州・四国・九州に分布する在来種です。標高500~1600m程度の沢沿いの落葉樹林内や斜面に自生します。「野老」は、トコロと読み、ヤマノイモ科のオニドコロ(鬼野老)を指します。根茎の髭根を老人の髭に見立てた当て字です。名の由来は、オニドコロの根に似ていて、有毒であり誤食すると錯乱状態に陥り苦しみから走り回る事から。

 ナス科(Solanaceae Adans., 1763)は、世界中に90属約2300種が分布します。日本には6属14種があります。ハシリドコロ属(Scopolia N.J. Jacquin, 1764)は、世界に変種を含めて約11種があります。

 ヤマトリカブトと並ぶ猛毒植物として知られています。地下茎は太く、湾曲します。薄紫色をしたロート根です。日本薬局方のロートエキス(Scopolia Extract)や硫酸アトロピンの原料(鎮痛薬や目薬)になります。茎は無毛で、草丈30~60cmになります。基部に鱗片葉があります。葉は互生します。長い柄があり、長さ10~20cm、幅3~7cmの楕円状卵形で、先端は尖ります。鋸歯はありませんが、下部の葉は荒い鋸歯が見られることがあります。

 葉腋から花柄を出し、花を下垂させます。浅く5裂した筒状の鐘形で、長さは2~3cm。花冠の外側は暗紅紫色で、内側は黄緑色です。雄しべは5本。果実は蒴果の一種の蓋果(がいか|pyxis)です。球形をしていて、成熟すると果皮が横に裂開して多数の種子を飛ばします。

 中毒事例報告のある有毒植物で、嘔吐・下痢・血便・瞳孔散大・視力障害・痙攣・興奮・狂躁・幻覚等の症状が現れます。大量摂取により重篤となり、昏睡して死に至る場合もあります。主成分はヒオスチアミン(hyoscyamine)、アトロピン(atropine)です。アトロピン経口推定致死量は、小児で10-20mg。マウス(経口)LD50:548mg/kg。

Japanese common name : Hasiri-Dokoro
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Scopolia japonica Maxim.
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楕円状卵形の葉が互生する


ハシリドコロ(走野老)
ナス科ハシリドコロ属
学名:Scopolia japonica Maxim.
花期:4月~5月 多年草 草丈:30~60cm 花冠長:2~3cm

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【学名解説】
Scopolia : Giovanni Antonio Scopoli (1723-1788)の名に因む/ハシリドコロ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 18 May 2006
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by pianix | 2006-05-18 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
オキナグサ(翁草)
 オキナグサ(翁草)は、キンポウゲ科オキナゲサ属の多年草です。日本・朝鮮半島・中国大陸・欧州を原産とし、日本では、本州から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、花後の果実に付く毛が綿帽子状になり、それが老人(翁)の白髪に見える事から。白頭翁(はくとうおう)と呼ばれるのは生薬名で、これは中国産のヒロハオキナグサ(広葉翁草)を指します。

 環境省レッドデータブックでは絶滅危惧II類(VU)、つまり絶滅の危険が増大している種とされています。100年後の絶滅確率は、ほぼ100%。東京、千葉、和歌山では絶滅とされています。要因は、園芸目的の盗掘や開発によります。

 キンポウゲ科(Ranunculaceae Juss. (1789))は、世界に58属約2500種が分布します。オキナグサ属(Pulsatilla P.Miller, 1754)はキンポウゲ亜科・イチリンソウ連に含まれ、北半球の温帯から亜寒帯にかけて約43種が分布します。日本では2種(オキナグサとツクモグサ)が自生します。

 根は太く、深くにまで伸びます。これは生薬として使われます。花茎は10~30cm程になります。根出葉は束生し、長い柄がある2回羽状複葉で、広卵形の5小葉があります。小葉は卵形から菱状円形で2~5に深く裂け線形になります。茎葉に柄はありません。根出葉や花茎に長い白毛を密生します。花茎が10cm程になると蕾が開き始めます。花茎1本にひとつの花を下向きに付けます。長さ25~30mm程の長楕円形(鐘形)で、暗赤紫色の花弁に見えるものは6個の萼片です。天候の悪い時や夜間は閉じます。

 棍棒状にふくらんだ約300本の雄しべがあり、黄色の葯を付けます。花茎が30cm程になると萼片を落とし、雄しべは30~40mm程になります。雌しべ(花柱)の根元に果実を付けます。熟すと銀色で径6cm程の球状の綿毛を付けます。種子は3mm程の長卵形をした痩果で、風で飛散します。種子は寿命が短いので採り播きをしますが、乾燥後に冷蔵や冷凍保存する事ができます。

 全草にプロトアネモニン(protoanemonin)を含み有毒です。食べると食中毒症状(嘔吐・痙攣・下痢・血便)を起こします。

Japanese common name : Okina-gusa
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Pulsatilla cernua (Thunb.) Berchtold et J.Presl


オキナグサ(翁草)
キンポウゲ科オキナゲサ属
学名:Pulsatilla cernua (Thunb.) Berchtold et J.Presl
synonym : Pulsatilla cernua (Thunb. ex Murray) C.K.Sprenger 
花期:5月~6月 多年草 草丈:10~30cm 花長:25~30mm

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【学名解説】
Pulsatilla : pulso(打つ・鳴る)に由来/オキナゲサ属
cernua : cernuus(点頭した・前屈の)
Thunb. : Thunb.:Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Berchtold : Bedricha (Friedrich) Wssemjra von Berchtold (1781-1876)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
J.Presl : Jan Svatopluk (Swatopluk) Presl (1791-1849)
---
ex : ~による
Murray : Johan Andreas Murray (1740-1791)
C.K.Spreng : Christian Konrad (Conrad) Sprengel (1750-1816)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

8 June 2006, August 12, 2008
Last modified: 2 June 2014
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by pianix | 2006-05-08 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
フウセントウワタ(風船唐綿)
 フウセントウワタ(風船唐綿)は、キョウチクトウ科フウセントウワタ属の常緑低木です。南アフリカ共和国を原産とし、日本では関東地方以西で屋外越冬が可能となります。やや寒さに弱いところがあり、樹木ですが1年草として扱われる事もあります。1936年に園芸品種として移入されたと言われています。名の由来は、風船のように膨らむ果実、外来を表す「唐」、種子が綿毛を持つ事に因みます。中国名は汽球花。

 キョウチクトウ科(Apocynaceae Juss. (1789))は、熱帯・温帯に分布し、215属2100種に及ぶ大きな植物群です。旧分類のガガイモ科(Asclepiadaceae R.Brown, 1810)は、熱帯から亜熱帯に約250属2700種が分布し、日本には6属、数十種類があります。花冠には副花冠があり、雄しべと雌しべが合着した「ずい柱」がある事が特徴です。

 葉は、10cm程の細長い針状で、対生します。葉や茎を傷つけると乳液が出ます。夏に葉脇から散形花序を出し、フクシアに似た1cm程の小さな花を下向きにつけます。花冠は白色の5弁で反り返り、副花冠は淡紫色です。虫媒花です。染色体数は、2n=22。

 果実は緑色の袋果で、卵形をしています。柔らかで少し湾曲した棘状の剛毛を表面に付けます。5~6cm程の大きさになります。種子は黒褐色で、白い絹糸状の長い冠毛を持ち、果実が熟すと割れて風で散布されます。温暖な地方では野生化もします。用途は切り花で、綿毛はクッションなどにも利用されます。

Japanese common name : Fuusen-touwata
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Gomphocarpus physocarpus E.Mey.

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左:花冠は白色の5弁で反り返り、副花冠は淡紫色 右:果実は卵形の袋果


フウセントウワタ(風船唐綿)
別名:フウセンダマノキ(風船玉の木)
キョウチクトウ科フウセントウワタ属
学名:Gomphocarpus physocarpus E.Mey.
synonym : Gomphocarpus fruticosus auct. non (L.) W.T.Aiton
花期:8月~9月 常緑低木 樹高:100~200cm 花径:10~15mm 果期:9~10月

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【学名解説】
Gomphocarpus : Gompho(釘状の、くさび状の)+ carpos(果実)/フウセントウワタ属
physocarpus : physo(膨らんだ)+carpos(果実)
E.Mey. : Ernst Heinrich Friedrich Meyer (1791-1858)
---
fruticosus : 低木状の
L. : Carl von Linne (1707-1778)
W.T.Aiton : William Townsend Aiton (1766-1849)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園「標本園」 2005.12.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

30 January 2006
Last modified: 29 June 2014
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by pianix | 2006-01-30 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)
クチナシ(梔)/果実
 クチナシ(梔)は、アカネ科クチナシ属の常緑低木です。中国、韓国、日本(鹿児島・高知)、インドシナの熱帯、亜熱帯地方を原産とし、日本では静岡県以西に自生します。名の由来は、筒状の果実が熟しても先端が開いたように見えない事から、口が無いの意味で付けられたと言われています。アカネ科(Rubiaceae)は世界に約600属、10,000種以上が存在し、クチナシ属は約250種の分布がみられ、日本には1種だけがあります。

 葉は対生し、楕円形で全縁です。光沢のある濃緑色をしています。6月から7月頃に、強い芳香がある白色の花を付けます。大きさは品種によって異なり5~10cm程。合弁花で先端は5~7裂します。萼も5~7個。雌しべは中央に突き出て、雄しべは花弁の間に沿って広がります。5~7本あります。開花後しばらくは白色ですが、やがて黄色味を帯びるようになります。

 10月から11月頃に、赤黄色の長卵形で6~7の稜(角のある筋)を持つ果実をつけます。果実の筒部分は萼であって、萼筒と呼ばれます。園芸品種のオオヤエクチナシ(大八重梔)は、大輪で八重咲きです。コクチナシ(小梔)はヒメクチナシ(姫梔)とも呼ばれ、花径5cm程の小振りです。

 生薬に用いるのは果実の種子で、日本薬局方・サンシシ(山梔子)として、鎮静・消炎・止血・解熱・利胆・肝臓病・黄疸に処方されます。また、外用として打撲・外傷・腰痛にも使われます。成分はイリドイド配糖体(gardenoside)です。但し、八重咲き種は結実しないため薬用には使われません。カロチノイド色素であるクロシン(crocin)を含み、繊維や食品の着色料(黄色)としても使われます。種子は5mm程の黒褐色又は黄赤色をした扁平の円形です。苦い味で、僅かな香りがあります。

参考:クチナシ(梔)

Japanese common name : Kutinasi
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Gardenia jasminoides Ellis


クチナシ(梔)
アカネ科クチナシ属
学名:Gardenia jasminoides Ellis
花期:6月~7月 常緑低木 樹高:1~2m 花径:5~10cm 果期:10~12月 実:3~4cm

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【学名解説】
Gardenia : Alexander Garden (1730-1792)に因む/クチナシ属
jasminoides : Jasminum(ソケイ属ジャスミン)+ides(似た)
Ellis : John Ellis (1710-1776)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園「標本園」 2005.12.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 January 2006
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by pianix | 2006-01-23 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)
タバコ(煙草)
 タバコ(煙草)は、ナス科タバコ属の多年草です。南熱帯アメリカが原産で、日本では1年草として扱われます。名の由来は、ポルトガルから日本へ渡来した時のtabacoから。煙草は中国名で、当字。英名は、Tobacco。

 ナス科(Solanaceae Juss. (1789))は、世界に90属、約2300種が分布します。タバコ属(Nicotiana L. (1753))は、世界に66種類(野生種64種・栽培種2種)が分布しています。内訳は、南北アメリカ大陸45種、オセアニア20種、アフリカ(ナミビア)1種です。フランスの駐ポルトガル大使ジャン・ニコ(Jean Nicot (1530-1600))がフランスに持ち帰った事に因み、属名Nicotianaが付けられました。

 タバコの有効成分ニコチン(Nicotine)の名もこれに由来します。ニコチンはC10H14N2の構造式を持ち、幼児の致死量は15mg、大人の経口致死量は50~60mgとされています。殺虫剤として使用されることから毒物である事が分かります。当初は医薬品として利用されました。日本には1586年(天正14年)以後に入ったと言われています。栽培は1605年(慶長10年)に長崎で始まりました。

 花期は、7月から8月頃。花は、茎の先端部分に群生します。ピンク色の漏斗形をしている管状合弁花で、先端が星形に5裂します。萼片も5裂します。雄しべ5本、雌しべ1本があります。通常、花が出るとすぐに摘花されます。花への栄養を葉に回すためです。

 葉は、先端の鋭い大きな卵形で互生します。下から「下葉・中葉・合葉・本葉・上葉」と呼ばれ、各数枚ずつ計約20枚が付きます。ニコチン含有量は下部が少なく上に行くほど増えます。表面には毛茸(もうじ)と呼ばれる産毛が生えています。長さ約70cm、幅約30cmの大きさまで成長します。

 種子は、約0.7mm×0.5mmの回転楕円体で、重量50μg(マイクログラム)程です。1gの20万分の1と言う微細さです。種子対植物体重量の比は1,500万倍に達します。染色体数は、2n=48。

 紙巻き煙草の原料とされるのは、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum L.)=写真=と、ニコチアナ・ルスチカ(Nicotiana rustica L.)の栽培種2種類のみです。ニコチアナ・タバカムには、バーレー種・黄色種・在来種の各品種があります。タバコの専売制度が廃止(1985年)された以後、タバコ属の園芸種(alata種)が解禁となり市場に出回るようになりました。

Japanese common name : Tabako
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Nicotiana tabacum L.

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管状合弁花で、先端が星形に5裂する <2006.12.21> 萼裂片は5個

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雄しべ5,雌しべ1 <2005.12.21> 葉は卵形で互生し、約20枚がつく


タバコ(煙草)
ナス科タバコ属
学名:Nicotiana tabacum L.
花期:7月~8月 多年草(日本では1年草) 草丈:120cm

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【学名解説】
Nicotiana : Jean Nicot (1530-1600)フランスの外交官に因む/タバコ属
tabacum : tabaca(タバコ)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2005.12.02, 2005.12.21, 2006.12.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 22 January 2006
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by pianix | 2006-01-22 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
ルリヂシャ(瑠璃萵苣)
 ルリヂシャ(瑠璃萵苣)は、地中海沿岸を原産地とするムラサキ科ルリヂシャ属(ボラゴ属)の耐寒性一年草ハーブです。ヨーロッパから北アフリカに分布します。日本には明治の中頃に導入されました。名の由来は、瑠璃色の花をしたレタスの意味から。瑠璃はラピスラズリ(lapis-lazuli)の和名で、JIS色彩規格では「こい紫みの青」とされ、紫色を帯びた鮮やかな青色。チシャ(萵苣)は、レタスの和名。英名は、Borage(ボラージ)。

 ムラサキ科(Boraginaceae Juss. (1789))は、地中海沿岸などの温帯地域を中心に約154属2500種類が分布し、日本には14属28種が分布します。ルリヂシャ属(Borago L. (1753))は、ヨーロッパや西アジアに3種類程があります。

 茎は、中空で全体に白い剛毛で覆われています。花は星型で、萼、花弁ともに5枚。下向きに咲きます。咲き始めはピンクで、やがて瑠璃色に変化します。花色は瑠璃色の他、赤紫色、白色等があります。1日花です。葉は卵形でキュウリの様な香りがあります。染色体数は、2n=16。

 性質は強いのですが、梅雨時の高温多湿には、やや弱いようです。日当たりを好み、土を選びません。繁殖は春秋に直播きで行い、後はこぼれ種による実生で済む場合があります。

 用途は、観賞用の他、野菜として萼以外の全草を食用にします。天ぷらやサラダとして、あるいはハーブティー、入浴剤(葉と花)としての使用もあります。薬用としては、種子から抽出したボリジ油を湿疹や皮膚病に利用します。種子にはγ-リノレン酸(γ-linolenic acid)を含有しています。

Japanese common name : Ruri-zisya
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Borago officinalis L.


ルリヂシャ(瑠璃萵苣)
別名:ボリジ(Borage)、ルリジサ、ルリチシャ
ムラサキ科ルリヂシャ属
学名:Borago officinalis L.
花期:4月~11月 1年草 草丈:20~80cm 花径:2cm

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【学名解説】
Borago : borra(剛毛)|ボリジの古名/ルリヂシャ属
officinalis : 薬用の・薬効のある
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2005.12.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 January 2006, 13 April 2014
Last modified: 8 July 2014
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by pianix | 2006-01-20 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)