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キュウリグサ(胡瓜草)
 キュウリグサ(胡瓜草)は、ムラサキ科キュウリグサ属の越年草です。東アジアの各地に分布し、国内では全国に分布する在来種です。麦類と共に入ってきた史前帰化植物1)と考えられています。キュウリグサの名の由来は、葉を揉むとキュウリのような臭いがする事から。

 ムラサキ科(Boraginaceae Juss. 1789)は、地中海沿岸などの温帯地域を中心に約154属2500種類が分布し、日本には14属28種が分布します。キュウリグサ属(Trigonotis Steven (1851))は、世界に50種程が知られています。

 秋に発芽し、ロゼットを形成して越冬します。茎には白色の細毛があります。根元で3~5本に枝分かれします。葉は互生し、単葉の長楕円形で柄があり、全縁です。根生葉は花期に枯れます。花期は3月から5月で、茎の先に渦巻き状の蠍形花序(さそりがたかじょ)を付けます。渦巻きの捩れを解きながら下から順に花を付けながら花序を伸ばします。これはムラサキ科の特徴です。

 萼は5枚。花の径は2mm程で極小さく、5裂しています。5枚の花びらに見えますが、合弁花です。淡青紫色で、花筒に淡黄色で5つの副鱗片があります。その内側に雄しべが5本あります。ワスレナグサ(勿忘草)の超小型版のようです。類似種にハナイバナ属のハナイバナ(葉内花)Bothriospermum zeylanicum (J.Jacq.) Druce.があります。

★  ★  ★

 マクロ撮影をしていると人が寄ってくる事が良くあります。息を殺して伏せていたら、誰だって怪しいと思うのは無理からぬ事です。先日は、2名のご婦人に花の説明をしたら、「あんたは、天皇の家来だ」と言われてしまいました。『雑草という名の植物は無い』と言われた昭和天皇を持ち出して頂き光栄の至りでしたが、残念ながら師弟関係にはありませんでした。少々ひねくれ者の私は、もし新種を発見したら、Zasso japonicaという学名を付けるぞと冗談を飛ばしています。そうなれば、雑草という名の植物はある事になってしまいます。学名の正式記載はまだですが(2005年現在)、ハテナ(Hatena arenicola Okamoto & Inouye, 2005)と言う原生生物は、面白いネーミングだと感心しています。

 1)帰化植物は大別すると次のように分けられます。自然帰化植物、逸出帰化植物、仮住帰化植物、予備帰化植物、史前帰化植物です。自然帰化植物は、気が付かない内に侵入してきて帰化したもの。逸出帰化植物は、人為的帰化植物とも言われ、有用植物が栽培状態から脱して野生化したもの。仮住帰化植物は、侵入後発芽に成功するものの、気候風土になじまず短期間の内に消滅するもの。予備帰化植物は、準帰化植物とも言われ、一部地域に帰化したものの広域には拡大していないもの。史前帰化植物は、有史以前に稲作技術に伴って伝播してきたもので、文献などの記録が無い植物群の事です。

Japanese common name : Kyuuri-gusa
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Trigonotis peduncularis (Trevir.) F.B.Forbes et Hemsl.


キュウリグサ(胡瓜草)
ムラサキ科キュウリグサ属
学名:Trigonotis peduncularis (Trevir.) F.B.Forbes et Hemsl.
花期:3月~5月 越年草 草丈:10~30cm 花径:2mm 果期:5~6月

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【学名解説】
Trigonotis : trigonos(三角)+ous(耳)|種子の形による/キュウリグサ属
peduncularis : 花柄のある
Trevir. : Ludolf Christian Treviranus (1779-1864)
F.B.Forbes : Francis Blackwell Forbes (1839–1908)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Hemsl. : William Botting Hemsley (1843-1924)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12km 左岸河川敷 2006.02.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

28 February 2006
Last modified: 31 May 2014
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by pianix | 2006-02-28 00:00 | | Trackback | Comments(3)
オオアラセイトウ(大紫羅欄花)
 オオアラセイトウ(大紫羅欄花)は、アブラナ科ショカツサイ属の1年草です。中国が原産の帰化植物です。日本全国に分布し、野生化しています。我が国では江戸時代に栽培された記録(1894年)があります。1939年(昭和14)に中国の紫金山から持ち帰った種子によって繁殖されたことから、その地名に因み、紫金草と名付けられ一般に広まりました。「諸葛采」は中国名で、諸葛亮(孔明)に因んだ名前です。兵の食料として栽培させた事によります。標準和名として採用されています。現在は、ムラサキハナナ(紫花菜)の通称で一般的に知られています。

 「紫花菜」とは紫色の菜の花(花菜)を表しています。ただし、別名として使われる事があるハナダイコン(花大根)は、アブラナ科ハナダイコン属に別種がありますから、和名の異物同名(homonym)として混乱を与える為に使用しません。オオアラセイトウは牧野富太郎博士の命名によります。アラセイトウ(紫羅欄花)はストック(Mathiola incana R.Br)の事で、それに「大」を冠して名付けられました。

  アブラナ科(Cruciferae Juss. (1789))は、西アジアから地中海沿岸地方に多く、約390属3200種が知られています。日本には100種以上があります。科名は十字架を意味し、4弁の十字状の花を付ける事に由来します。以前は十字花科とされていました。ショカツサイ属(Orychophragmus Bunge, 1835)は、1属1種のみです。

 根生葉は深い切れ込みがあります。上部の葉は長楕円形で茎を抱きます。花色は紫色で4弁花です。4弁花の十字形はアブラナ科の特徴です。雄しべ6本と雌しべ1本があります。雄しべの葯と雌しべの柱頭は黄色です。両性花であり、虫媒により長角果を付けます。染色体数は、2n=24。性質は強く、こぼれ種で繁殖します。

Japanese common name : Syokassai (Oo-araseitou)
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Orychophragmus violaceus (L.) O.E.Schulz


オオアラセイトウ(大紫羅欄花)
和名:ショカツサイ(諸葛采)/別名:ムラサキハナナ(紫花菜)/シキンソウ(紫金草))
アブラナ科ショカツサイ属
学名:Orychophragmus violaceus (L.) O.E.Schulz
花期:3月~5月 1年草 草丈:20~50cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Orychophragmus : Orycho(掘り出す)+phragma(隔壁・垣根)/ショカツサイ属
violaceus : 紫紅色の・菫色の
L. : Carl von Linne (1707-1778)
O.E.Schulz : Otto Eugen Schulz (1874-1936)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.00km 左岸土手 2006.02.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 February 2006
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by pianix | 2006-02-27 00:00 | | Trackback(1) | Comments(2)
ボケ(木瓜)
 ボケ(木瓜)は、バラ科ボケ属の落葉低木です。中国が原産地と言われ、日本へは平安時代頃に伝来したと言われています。当時は薬用植物としての扱いであったようです。「木瓜」は、果実の状態を表しています。長さ10cm、直径7cm程の瓜のような形をした果実を付ける為です。ボクカまたはモクケ(モッケ)と称されたものがボケに変化したと考えられます。「本草和名」には、和名「毛介(モケ)」と記載されています。英名は、Japanese quince(日本のマルメロ)。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、世界に約100属3000種が分布すると言われ、日本には36属、約160種が自生します。6亜科に分類され、日本には4亜科1)があります。ボケはナシ亜科(Maloideae)です。ボケ属(Chaenomeles J.Lindley, 1821)は東アジアに4種が分布します。

 園芸として盛んになったのは江戸時代からで、品種作出は大正時代からと言われています。栽培は北海道から九州までの地域で行われています。耐寒性があるため、欧米でも貴重な花木とされ、幾つかの品種が生み出されています。我が国には、日本原産のクサボケ(草木瓜・Choenomeles japonica (Thunb.) Lindl. ex Spach)があり、ボケとクサボケの交雑品種も多く生み出されています。約200品種があり、登録されている品種は約50種です。

 葉は互生します。長さ3~7cm程の長楕円形で、光沢があります。細かい鋸歯があり、先は尖ります。葉の付け根には扇形の托葉があり、短枝は鋭い棘になります。花期は3月から4月で、基本種は花径2~3cmの5弁花を多数付けます。品種により、一重・八重があります。雌雄同株です。花後に洋梨形の果実ができます。果柄は、ほとんどありません。染色体数は、2n=34。

 園芸品種として、クサボケ育成種で二季咲きの「長寿梅」、冬咲き一重大輪の「寒木瓜」、春咲き3色同一株の「東洋錦」、ボケ品種で黒みが入った一重大輪の「黒光」、一重大輪で緋赤色の「緋の御旗」、八重大輪で鮮紅色に白斑入りの「昭和錦」、八重大輪で白花の「大八州(おおやしま)」、ボケとクサボケ間種で一重大輪の「谷間の雪」等があります。外国品種としては、サーモンピンク色の「ピンク・レディー」、葯が黄色で花弁が緋赤色の「クリムソン・アンド・ゴールド」等があります。

 カリンも同じボケ属です。カリンと同様に、ボケの果実を使ってボケ酒が作られます。繁殖は通常、挿し木によります。

1)バラ亜科(Rosoideae)、サクラ亜科(Prunoideae)、ナシ亜科(Maloideae)、シモツケ亜科(Spiraeoideae)の4つの亜科。

Japanese common name : Boke
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Chaenomeles speciosa (Sweet) Nakai


ボケ(木瓜)
別名:カラボケ(唐木瓜)
バラ科ボケ属
学名:Chaenomeles speciosa (Sweet) Nakai
花期:3月~4月 落葉低木 樹高:1~3m 花径:2~3cm 果期:7~8月

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【学名解説】
Chaenomeles : chaino(開ける)+melon(リンゴ)|裂けた林檎/ボケ属
speciosa : speciosus(美しい、華やかな)
Sweet : Robert Sweet (1783-1835)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)

撮影地:静岡県静岡市
葵区伊呂波町(植栽) 2006.02.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 February 2006
Last modified: 24 March 2014
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by pianix | 2006-02-25 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ツクシ(土筆)
 ツクシ(土筆)は、スギナ(杉菜)の胞子茎で、トクサ科トクサ属の1年草です。北半球の暖帯から寒帯にかけて広く分布しま、日本では全国に分布すろ在来種です。名の由来は多くあります。スギナに付いているので「付子」、土から出る様子から「突く子」等です。「土筆」は、形状が筆に似ている事から充てられた漢字です。馴染みが深い事から、全国的に方言が多数あります。

 ちなみに、トクサ目の化石にカラミテス(ロボク)(Calamites suckowi Brongniart)があります。古生代ペルム紀(約2億9000万年前)に栄え、今は絶滅していますが、高さ30m、直径30cmもの巨木でした。トクサ科(Equisetaceae A.Michaux ex Alph. de Candolle, (1804))は、トクサ属(Equisetum L. (1753))の1属だけがあり、約15種が北半球の温帯地域に分布します。

 同じ地下茎からスギナとツクシは出ます。この二つを地上茎と言います。スギナは光合成により栄養を作る事から栄養茎と呼び、ツクシは繁殖の為の胞子を作る事から胞子茎と呼びます。胞子茎は、光合成をする事が無く、分岐もしません。ツクシの茎は、節間と呼ばれる縦に伸びる柱が集まってできています。途中に葉鞘(ようしょう)と呼ばれる袴が付いています。茎を囲んでいる葉の事です。

 茎の先端に胞子嚢が集まった胞子嚢穂(ほうしのうすい)を付けます。いわゆるツクシの筆部分です。胞子嚢には緑色の胞子が入っています。胞子は、大胞子・小胞子があり、雌雄の別があります。球形で4本の紐が付いています。胞子嚢穂の表面は六角形状をした胞子葉の集まりで、成長と共に間隔が開き始め、そこから胞子嚢に含まれていた胞子が飛び立ちます。この胞子によって繁殖します。ツクシが枯れてからスギナが芽生えてきます。スギナを乾燥させたものを生薬の問荊(もんけい)として利尿、入浴剤等に用います。染色体数は、n=108、2n=216。

 ツクシは食用になります。しかし、途中に幾つかある袴取りが面倒です。この袴には胞子が溜まっている事が多く、爪の間に入り込んで真っ黒にしてしまいます。数が必要ですから簡単に下準備ができるわけではありません。そのままにしておくと翌日には茶色の溶けた状態になってしまいますから、使う分だけ処理をしたほうが良いでしょう。冷凍保存も変色するので注意が必要です。袴を取ったツクシは、まるでモヤシです。水洗いや灰汁抜きの為に茹でる必要もあります。それから調理します。過去2年間、私だけでなく家族全員に食べてもらいました。好評なのは天ぷらでした。しっかりと灰汁抜きしてあれば苦味もありません。誰も腹痛を起こしませんでした。一雨降った後のツクシは急激に伸びますから、このような日を選んで採取すると楽です。

 日大産官学連携知財センター(NUBIC)が、製薬会社の池田薬草と協力して、スギ花粉症に効くと言われる「つくし飴」を発売しています。ツクシのエキスを配合したもので、6割の人に効果が現れ、即効性もあるとの事。そのような人には、ツクシ料理もありがたいかもしれません。
◆   ◆   ◆

 家族は勉強に精を出しています。以前、家内が医学用語をたびたび尋ねて来るので不審に思っていたら、受かる筈のない試験の為に勉強をしていることが分かりました。それにまぐれで合格したのに気を良くし、今年も他の試験に挑戦しています。これに筆記合格したと喜んでいます。次に実技試験が迫っているようです。長女は難関の試験を受けようと勉強しているようです。長男は博士論文の追い込みに忙しい(ようです)。(ようです)は、私は目撃していないから分からないのです。そして私は、時間さえあれば草花と遊んでいます。一人だけ我が家の勉強ブームから取り残されています。これで良いのかと悩みます。悩んでも仕方ないので草花と遊ぶ事にしています(?)。引き戻されるのが嫌なので、携帯電話を持つ事を拒絶しています。野草観察は、実に資格に結びつかない趣味ですが、人間性には少しプラスになるのではないかと思っています。とか言いながら、それは、強制される勉強は昔も今も嫌いだとの逃げ口上かもしれません。

Japanese common name : Tukusi
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Equisetum arvense L.

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左:胞子嚢穂の開き初め 右:胞子嚢穂の各段がほぼ開いた状態
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スギナ

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胞子嚢の緑色胞子。茶色の部分が胞子葉。

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左:胞子嚢穂の切断面 右:胞子を排出した後


ツクシ(土筆)
【スギナ(杉菜)の胞子茎】
トクサ科トクサ属
学名:Equisetum arvense L.
花期:3月~4月 多年草 草丈:10~20cm

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【学名解説】
Equisetum : equus(馬)+saeta(刺毛)/トクサ属
arvense : arvensis(可耕地の・原野生の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.25km 左岸土手 2006.02.23
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2007.03.06
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2007.03.09
安倍川6.5km支流/辰起川 2007.03.09
安倍川/河口から11.25km 左岸土手 2007.03.28
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

First draft: 24 February 2006
Last modified: 31 March 2014
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by pianix | 2006-02-24 00:00 | | Trackback | Comments(4)
シロバナヒメオドリコソウ(白花姫踊子草)
 私は、自然を見続ける事をしたいのですが、時間がないと焦りを感じています。知りたい事がたくさんあるのに、残された時間は僅かです。もっと早くから観察を始めていれば良かったと後悔をしています。しかし、どんなに早くから始めたとしても、同じように時間がないと感じるのかもしれません。それはともかく、本当にやりたい事や知りたい事は若い時に見つけ出し、若い時から始めるべきです。短期間に結論が出るような事は多くは無いからです。

 この世界は、毎日のように悲惨な出来事が起こっています。その反面、夕焼け空を見て、何て美しいのだろうと感じるのも、この世界です。太陽からの距離、大気を吹き飛ばさず温度を上げすぎない適度な自転等、奇跡的な環境の地球である事を思う時、この自然界に愛着が湧いてきます。この環境を壊さず、次の世代に引き継ぐにはどうしたらよいのか、それに心が捕らわれています。その中で、河川工事が進んでいます。利便を良くするのが行き過ぎると、環境を壊す事につながります。工事は、植物学・動物学等の研究者の意見も取り入れて細心の注意を持って行われるようにと祈るばかりです。そして、市民全体が自然と触れ合い、認識を持つ事の重要性も痛感します。

 環境整備のための草刈り作業が行われている場所で、ヒメオドリコソウ(姫踊子草)が元気良く咲いていました。その中に見慣れない白色の花を見つけました。シロバナヒメオドリコソウ(白花姫踊子草)です。私は、初めて見ました。花が白いだけですが、別種のような雰囲気がありました。高貴な感じさえ漂わせています。他には見あたりませんでした。草刈りされてしまう前に移動させる事にしました。3本の茎が立ち上がって、その内の1本を採ろうとしました。掘り下げてみると、それは1株にまとまっていました。

 シロバナヒメオドリコソウは、ヒメオドリコソウのシロバナ品種という位置づけです。ヒメオドリコソウを参照下さい。

Japanese common name : Shirobana-hime-odoriko-sou
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Lamium purpureum L. f. albiflorum Goiran


シロバナヒメオドリコソウ(白花姫踊子草)
シソ科オドリコソウ属
学名:Lamium purpureum L. f. albiflorum Goiran
花期:4月~6月 越年草(1~2年草) 草丈:15~25cm

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【学名解説】
Lamium : イラクサ様植物の古代ラテン名|laipos(喉)/オドリコソウ属
purpureum : purpureus(紫色の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
f. : forma(品種)
albiflorum : albiflorus(白花の)
Goiran : Agostino (Augustin) Goiran (1835-1909)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.25km 左岸土手 2006.02.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 Februaryl 2006
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by pianix | 2006-02-23 00:00 | | Trackback | Comments(4)
コハコベ(小繁縷)
 コハコベ(小繁縷)は、ナデシコ科ハコベ属の1年草です。ミドリハコベ(緑繁縷)より小型で、ごく普通に見られるハコベの仲間です。世界の温帯を中心とした広範囲に分布し、日本では全国に分布します。明治以降に帰化したと言われている帰化植物です。名の由来は、不明で諸説があります。「繁縷=はんろう」の意味は、ミドリハコベの項を参照して下さい。

 ナデシコ科(Caryophyllaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯まで約75属2000種が分布し、ハコベ属(Stellaria L. (1753))は約100種があります。

 茎色は赤紫色です。地を這い途中で立ち上がります。葉は全縁(鋸歯がない)の濃緑色で対生します。長さ10~20mmの範囲です。花柱は3本で、雄しべは3本を基本として1~7本の範囲にあります。花弁は5枚ですが、深く切れ込み10枚のように見えます。花弁と萼片の長さは同じ位か、花弁がやや短めです。種子の半球状突起は目立たず尖りません。ミドリハコベの種子は円錐状の高い突起が見られます。秋に発芽し春に開花しますが、その期間はミドリハコベよりも短期間であるようです。染色体数は、2n=40,42,44。

 春の七草のひとつです。万葉集に山上憶良が歌った秋の七草は、鑑賞に供する植物です。春の七草は食用植物を記していますが、よく知られているほとんどは万葉集や古事記には記載されていません。ハコベが初めて史書に登場するのは平安時代で、日本最古の本草書と言われる『本草和名』に波久倍良(はくべら)と記載されています。食用あるいは薬用としての用途に利用されて来ました。ハコベの青汁と塩を混ぜてつくった「ハコベ塩」を歯磨き粉として用いた記載があります。現在では鳥の餌としての利用が多いようです。

 但し、飢餓に直面した人間は毒のある野草に手を出し衰弱死することもあるので、食料の少なくなる冬はなおさら、どんなものでも食料としてきたと充分に憶測できます。万葉集に「明日よりは春菜摘まむと標めし野に昨日も今日も雪は降りつつ」、原文「従明日者 春菜将採跡 標之野尓 昨日毛今日母 雪波布利管」(巻八・一四二七)との山部赤人の歌があります。行事として、雪の降る寒い日に手をかじかませながら摘んでいる姿が思い起こされます。春菜とか若菜は、食用にされる蔬菜の総称ですが、さてハコベは入っていたのでしょうか。

参考:ウシハコベ(牛繁縷) ミドリハコベ(緑繁縷)

apanese common name : Ko-hakobe
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Stellaria media (L.) Vill.
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茎色は赤紫色で、片側に列毛がある


コハコベ(小繁縷)
別名:ハコベラ
ナデシコ科ハコベ属
学名:Stellaria media (L.) Vill.
花期:3月~9月 1年草 草丈:10~20cm 花径:5~7mm

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【学名解説】
Stellaria : stella(星)/ハコベ属
media : medius(中間の・中間種の)|複数形media|中性名詞medium
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Vill. : Dominique Villars (1745-1814)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.75km 右岸河川敷 2006.02.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 22 February 2006
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by pianix | 2006-02-22 00:00 | | Trackback | Comments(0)
カントウタンポポ(関東蒲公英)
 タンポポの数を調べてみました。実施日は2006年2月21日。調査地は、安倍川河口から6.50km東岸近辺から東へ延びる小川の土手、車両の通行が禁止されている250m程度の区域です。観察は目視により、頭花数を数えました。総数は86で、内訳は在来種86、外来種0でした。在来種の内訳は、カントウタンポポ34、トウカイタンポポ33、シロバナタンポポ19です。

カントウタンポポ(関東蒲公英) Taraxacum platycarpum Dahlst.
oooooooooooooooooooooooooooooooooo[34]

トウカイタンポポ(東海蒲公英) Taraxacum platycarpum Dahlst. var. longeappendiculatum (Nakai) Morita
ooooooooooooooooooooooooooooooooo[33]

シロバナタンポポ(白花蒲公英) Taraxacum albidum Dahlst.
ooooooooooooooooooo[19]

 タンポポ属は日本で22種が自生します。カントウタンポポ(関東蒲公英)は、関東地方と東海地方東部に分布する在来種です。葉は根生し倒披針形で羽状に深く切れ込みます。総苞外片は反り返りません。総苞外片が内片の長さの1/2程になります。花弁は黄色で、径20~30mm程です。小花数は60前後です。

 染色体は二倍体(2n=2x=16)です。有性生殖であり、他家受粉を行います。強い自家不和合性(自分の花粉では種子を生産しない)があります。従って、同種が群れて咲く必要性があります。虫媒花であり、媒介動物はハナアブやハチです。花色に黄色や白が多いのは、ハナアブが見えやすい色である為と言われています。20度以上になると発芽しない夏期高温休眠性があり、夏は休眠し、地上部は枯れます。発芽後、2~3年を経て開花に至ります。在来種は水分や栄養の多い土を必要とします。

参考:セイヨウタンポポ(西洋蒲公英) シロバナタンポポ(白花蒲公英) トウカイタンポポ(東海蒲公英)

Japanese common name : Kantou-tanpopo
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Taraxacum platycarpum Dahlst.
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カントウタンポポ(関東蒲公英)
別名:アズマタンポポ(東蒲公英)
キク科タンポポ属
学名:Taraxacum platycarpum Dahlst.
synonym : Taraxacum sendaicum Kitam.
花期:3月~6月 多年草 草丈:10~25cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Taraxacum : tharakhchakon(苦い草)の変形/タンポポ属
platycarpum : platycarpus(平ったい果の・大きな果実の)
Dahlst. : Hugo Gustav Adolf Dahlstedt (1856-1934)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.50km 左岸土手 2006.02.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 February 2006
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by pianix | 2006-02-21 00:00 | | Trackback | Comments(3)
ヤブラン(薮蘭)/実
 ヤブラン(薮蘭)は、キジカクシ科ヤブラン属の多年草です。日本および東アジア原産で、本州以西の温暖な地域に分布します。蘭という名前が付いていますが、ラン科ではなくキジカクシ科に属します。藪に生え、シュンラン(春蘭)に似た葉を持つとの意味です。

  キジカクシ科(Asparagaceae Juss. (1789))は、約150属2500種が分布します。旧分類ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ヤブラン属(Liriope Loureiro (1790))は、東アジアに6種、日本に3種が分布します。

 日本の3種類は、葉幅が10mm程のヤブラン(薮蘭)、葉幅が4~7mmで小型版と言えるコヤブラン(小藪蘭)Liriope spicata Lour.、より小型で葉幅が2~3mmのヒメヤブラン(姫藪蘭)Liriope minor (Maxim.) Makinoです。園芸品種に、葉に斑が入ったフイリヤブラン(斑入り藪蘭)Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey f. variegata (L.H.Bailey) H.Haraもあります。

 葉は根生し、長さ30~50cm、濃緑色で光沢があります。葉の幅は約10mmで、先端は鈍頭です。伸ばした花茎に穂状花序を付けます。花は径6~7mm程で、淡紫色をした花被片が6枚あります。果実は6~7mmの球形をしている蒴果で、薄い果皮に覆われていて、初めは緑色で熟すと黒紫色になり、果皮が脱落して種子がむき出しの状態になります。

 ジャノヒゲ属のジャノヒゲ(蛇の髭)や園芸品種のタマリュウ(玉竜)等は、花は下向き、種子は濃青色ですが、ヤブラン属では、花は上向き、種子は黒色系となる事で判別できます。性質は耐寒性、耐暑性、耐陰性が強く繁殖力もあります。グランドカバーとしての用途に適しています。増殖は株分けや実生で行う事ができます。

参考:ヤブラン(薮蘭)の花

Japanese common name : Yabu-ran
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Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey


ヤブラン(薮蘭)
別名:ヤマスゲ(山菅)
キジカクシ科ヤブラン属
学名:Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey
synonym : Liriope platyphylla F.T.Wang et T.Tang
花期:8~10月 多年草 草丈:30~50cm 花径:4mm 果期:11月~1月

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【学名解説】
Liriope : ギリシャ神話の女神の名Leiriopeに因む/ヤブラン属
muscari : muscarius(蝿のような)
Decne. : Joseph Decaisne (1807-1882)
L.H.Bailey : Liberty Hyde Bailey (1858-1954)
---
platyphylla : platyphyllus(広い葉の)
F.T.Wang : Fa Tsuan Wang (1899-1985)
et : 及び(命名者が2名の時など・&に同じ)
T.Tan : Tsin Tang (1897-1984)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川源流 2006.02.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 February 2006, 5 June 2015
Last modified: 6 September 2016
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by pianix | 2006-02-20 00:00 | | Trackback | Comments(0)
キダチアロエ(木立アロエ)
 キダチアロエ(木立アロエ)は、ススキノキ科(分類体系によりアロエ科、ユリ科、ツルボラン科)アロエ属の多年草です。南アフリカ原産で、日本へは鎌倉時代に入り、江戸時代に広まったと言われていますが、諸説があります。関東以西では露地植が可能で、日本の風土に合った種類と言われています。生産国は日本と韓国で、伊豆半島はアロエ産地として有名です。

 アロエ属の科は分類体系によって異なり、、APG植物分類体系(APG III)ではススキノキ科((Xanthorrhoeaceae Dumort. (1829)))、新エングラー体系ではユリ科(Liliaceae Juss. (1789))、クロンキスト体系ではアロエ科(Aloaceae Batsch (1802))になります。アロエ科には5属700種が分布します。アロエ属は、世界に約350種類、日本には約80種類があると言われています。

 アロエは、木立性種と無茎種に分けられます。キダチアロエは木立性種で、原産地では3m程の低木になります。狭披針形で肉厚の葉を持ち、棘状の鋸歯を持ちます。葉肉の汁には苦味成分のアロイン(Aloin)が含まれています。食用に使うのは、苦味のないアロエベラ(Aloe vera)です。俗称、「医者いらず」で、便秘や健胃に用いる他、外用として火傷に使われます。総状花序に4cm程の赤橙色の筒状花を付けます。繁殖は挿し芽、株分けで行います。

 別名、キダチロカイ(木立蘆薈)は、アロエ(Aloe)をロエと誤発音し、廬=ロ・薈=エとしたものをロカイと誤読したものです。従って、あえてこの名称を使用する必要は無いと思われます。聖書にも何度も出てきます。最初に出てくるアロエの箇所は、「それは広がる谷 大河の岸の園のようだ。それは主が植えられたアロエの木のよう 水のほとりの杉のようだ。」民数記24章6節(新共同訳)です。

参考:アロエ・ストリアーチュラ(Aloe striatula)

Japanese common name : Kidati-aroe
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Aloe arborescens Mill.


キダチアロエ(木立アロエ)
別名:キダチロカイ(木立蘆薈)
ススキノキ科(分類体系によりアロエ科、ユリ科、ツルボラン科)アロエ属
学名:Aloe arborescens Mill.
Aloe arborescens Mill. var. natalensis A. Berger
花期:12月~3月 多年草 草丈:20~100cm 花序:20cm

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【学名解説】
Aloe : alloeh(苦い)/アロエ属
arborescens : 亜高木の
Mill. : Philip Miller (1691-1771)
---
var. : varietas(変種)
natalensis : ナタール(南アフリカ)の
A. Berger : Alwin Berger (1871-1931)

撮影地:静岡県静岡市
駿河区中島(植栽) 2005.11.22
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 18 February 2006
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by pianix | 2006-02-18 00:00 | | Trackback | Comments(0)
フラサバソウ(フラサバ草)
 趣味の時間を確保するのは大変です。幾つかの趣味を持っていますが、現在は野草観察に時間を費やしています。やらなければならない事が幾つもあるのに、天候が良いと出かけてしまいます。最近、卒園式の編曲を頼まれていたので外出を控えました。野草観察の時間を使わざるを得なかったからです。できあがって気持ちが軽くなったところで出かけました。そこで見つけたフラサバソウ。安倍川河川敷では見た事がなかったし、咲いていないと思いこんでいました。今日は、その群生に出会って驚きました。

 フラサバソウ(フラサバ草)は、ヨーロッパ及びアフリカを原産とするオオバコ科の越年草です。越年草とは、発芽後に年を越してから開花するものです。フラサバソウは11月頃に芽生えます。本州から九州にかけて分布しています。日本では明治初年に長崎で確認されました。実際は、それ以前から存在していた帰化植物です。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss. (1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. (1753))は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 一風変わった和名は、フランスの植物学者である、フランシエ氏(Adrien Rene Franchet, 1834-1900)と、サバチエ氏(Paul Amedee Ludovic Savatier, 1830-1891)の名前を組み合わせたものです。だから、Fra-Sava草との意味になります。学名の命名者にFranch. et Sav.と記載されている植物が多くありますが、このお馴染みのお二人の事です。それにしても、カスマグサ(カス間草)と良い勝負の変な名前です。

 フラサバソウは、オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)と同じクワガタソウ属で、大変よく似ています。クガイソウ属(Veronicastrum Heister ex Fabricius, 1759)という似た属名がありますが、果実が扁平形であるのがクワガタソウ属です。多くは群生します。茎は基部で枝分かれし、地を這い、立ち上がって高さ10~20cmとなります。葉は互生し、3~5の切れ込みがある広楕円形をしています。全体的に軟毛が多く、特に萼片に顕著です。この毛深さが特徴です。花色は薄青色で、4~5mmの小さな合弁花を葉腋に咲かせます。繁殖は種子によります。染色体数は、2n=54。

参考:オオカワヂシャ(大川萵苣) カワヂシャ(川萵苣)

Japanese common name : Furasaba-sou
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Veronica hederaefolia L.
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軟毛が多い


フラサバソウ(フラサバ草)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica hederaefolia L.
花期:4月~5月 越年草 草丈:10~20cm 花径:4~5mm

【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
hederaefolia : hedera(キヅタ属)+efolia(のような葉の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.75km 右岸河川敷 2006.02.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

17 February 2006, 02 April 2012, 24 September 2015
Last modified: 8 July 2016
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by pianix | 2006-02-17 00:00 | | Trackback | Comments(4)