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イヌコウジュ(犬香薷)
 イヌコウジュ(犬香薷)は、シソ科イヌコウジュ属の1年草です。日本・朝鮮半島・中国に分布します。日本では全国に分布する在来種です。名の由来は、役に立たないとの意味で犬を冠した香薷。香薷は、香りが強く薬草となるもの全般を指し、その代表である漢方薬で解熱剤に使われるナギナタコウジュ(薙刀香薷)に似る事から。中国名は右薺寧。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。イヌコウジュ属(Mosla (Bentham) F. [Buchanan] Hamilton ex Maximowicz, 1875)は、東アジアの温帯から亜熱帯に広く分布します。

 茎は四角形で直立し、細毛があり紅紫色を帯びます。枝分かれしながら草丈30~60cmになります。葉は対生します。卵状披針形か長楕円形で、長さ2~4cm、幅1~2.5cm。6~13の浅い鋸歯があります。花期は9月から10月頃で、枝先に3~8cmの穂状の花序を付けます。花は筒状になった合弁花冠で淡紫色、上唇と下唇に分かれた、花冠長3~4mmの唇形花です。両生花で、雄しべは4個、下側2個は葯を失った仮雄しべです。萼は2~3mmですが、花後には4mm程になります。萼は5裂します。上唇は3裂、下唇は2裂します。上唇の裂片は尖ります。果実は、4分果の小堅果です。倒卵形で網目模様があり、1.2~1.3mmで茶色です。

 類似種に、同じイヌコウジュ属のヒメジソ(姫紫蘇)Mosla dianthera (Buch.-Ham. ex Roxb.) Maxim. があります。こちらは鋸歯が4~6対あり荒く、萼の上唇裂片が尖りません。他に、トウバナ(塔花)Clinopodium gracile (Benth.) Kuntze、ナギナタコウジュ(薙刀香薷)Elsholtzia ciliata (Thunb.) Hyl.、春に咲くミゾコウジュ(溝香薷)Salvia plebeia R.Br.があります。

Japanese common name : Inu-kouju
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Mosla scabra (Thunb.) C.Y.Wu et H.W.Li

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左:花冠と尖った萼裂片 右:全体。茎には4稜がある


イヌコウジュ(犬香薷)
シソ科イヌコウジュ属
学名:Mosla scabra (Thunb.) C.Y.Wu et H.W.Li
synonym : Mosla punctulata (J. F. Gmel.) Nakai
花期:9月~10月 1年草 草丈:30~60cm 花冠長:3~4mm

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【学名解説】
Mosla : インド語のマサラ(スパイスの意味)/イヌコウジュ属
scabra : scabrum(凸凹ある、ざら付いた、粗面の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
C.Y.Wu : Cheng Yih Wu (1916- )
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
H.W.Li : Hsi Wen Li (1931- )
---
punctulata : punctulatus(細点がある)
J. F. Gmel. : Johann Friedrich Gmelin (1748-1804)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.09.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

30 September 2006
Last modified: 4 June 2014
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by pianix | 2006-09-30 00:00 | | Trackback | Comments(2)
シュウカイドウ(秋海棠)
 シュウカイドウ(秋海棠)は、シュウカイドウ科シュウカイドウ属の多年草です。中国や東南アジアが原産で、日本へは、江戸時代の1641(寛永18)年に中国から輸入され、逸出して帰化したものです。関東地方以西で野生化しています。名の由来は、中国名「秋海棠」の音読みで、秋に咲く事と合わせ、花を海棠に見立てたもの。英名は、Hardy begonia。海棠はバラ科リンゴ属で、日本ではハナカイドウ(花海棠)Malus halliana Koehne 。

 シュウカイドウ科(Begoniaceae Bercht. & J. Presl, 1820)は、熱帯から亜熱帯に4属2000種以上が分布します。シュウカイドウ属(Begonia L. (1753) )は、熱帯から亜熱帯に900~1000種が分布し、日本では2種が自生します。

 半日陰の湿地や林の中で野生化しています。ある程度の耐寒性があり、根茎で越冬します。シュウカイドウ属は園芸用途で温室栽培される事が多く、日本の冬を屋外で越冬できるのは本種のみと言われています。塊茎から、肉質で多汁な緑色の地上茎を出します。草丈は40~80cmになります。葉は互生し、長い柄があります。葉の形は左右非相称の偏心形で長さ8~20cm、幅7~15cm。左右非相称になるのはシュウカイドウ属の大きな特徴です。不規則な鋸歯があります。上部の葉腋から花柄を伸ばし分枝して花序を出します。分枝した茎は赤味を帯びます。

 雌雄異花で、花序中に雌雄の花があります。雄花は花被片4枚がある離弁花です。大きな萼片2枚と小さな花弁2枚からなります。花径は2~3cm。中央に黄色の葯を持つ雄しべが密集し、基部は合着します。雌花は、基部にある三角形の翼の形をした子房が発達し、先端が分岐した花柱3本を出します。子房下位です。雄花が先で雌花は後から咲きます。果実は子房室の背面(背縫線部分)で裂ける胞背裂開蒴果です。蒴果とは、果実が熟して縦に裂けて種子を散布するものです。葉腋に珠芽ができ、これによっても繁殖します。全草に蓚酸を含み酸っぱく、その殺菌作用によって皮膚病の民間薬として使われてきました。

Japanese common name : Syuukaidou
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Begonia grandis Dryand.
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▲ 全体

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▲ 左:雄花の葯 右:裏側。大きいのが萼


シュウカイドウ(秋海棠)
別名:ヨウラクソウ(瓔珞草)
シュウカイドウ科シュウカイドウ属
学名:Begonia grandis Dryand.
花期:7月~9月 多年草 草丈:40~80cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Begonia : Michel Begon(1638-1710)に因む/シュウカイドウ属
grandis : 大形の・偉大な
Dryand. : Jonas Carlsson Dryander (1748-1810)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.09.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 29 September 2006
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by pianix | 2006-09-29 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハグロソウ(葉黒草)
 ハグロソウ(葉黒草)は、キツネノマゴ科ハグロソウ属の多年草です。日本を初め、中国、朝鮮半島南部、台湾に分布します。日本では関東以西から九州にかけて自生する在来種です。名の由来は、葉が黒っぽく暗緑色である事から、あるいは花の斑紋をお歯黒に見立てたとの説があります。

 キツネノマゴ科(Acanthaceae Juss. (1789))は、中南米や東南アジア等の熱帯と温帯の一部に約250属2500種が分布します。ハグロソウ属(Peristrophe C.G.D. Nees, in Wallich, 1832)は、アフリカやアジアの温帯から熱帯に、約30種が分布します。

 山地の木陰に自生します。茎は四角形で毛があり、まばらに枝分かれして草丈20~50cmになります。葉は対生します。楕円形から披針形で、長さ2~10cm、幅10~25mm。暗緑色で全縁、先端は尖ります。

 花期は8月から10月で、枝先や葉腋から花柄を出し、2枚の苞の間から紅紫色の花を出します。苞は葉状の広卵形です。花は二唇形の合弁花で、上唇と下唇があります。花冠長は20~25mm。上唇は細く下唇は丸みを帯びて幅が広く、上唇は大きく反り返り先端が浅く3裂します。花弁内側には赤褐色の斑紋があります。

 雄しべは2本、雌しべ1本があります。雄しべは下唇に沿い、雌しべは少し上向きになり先端が2裂します。花柱には細かな毛があります。果実は蒴果で9~12mm。熟すと2裂し、2mm程の種子4個を出します。染色体数は、2n=48。

 花色が白い、シロバナハグロソウ(白花葉黒草)Peristrophe japonica (Thunb.) Bremek. f. albiflora (Hiyama) Yonek. 、苞の縁に長い毛がある、フチゲハグロソウ(淵毛葉黒草)Peristrophe japonica (Thunb.) Bremek. var. japonica があります。

Japanese common name : Haguro-sou
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Peristrophe japonica (Thunb.) Bremek. var. subrotunda (Matsuda) Murata et Terao

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左:葉状で広卵形をした2枚の苞 右:花は二唇形の合弁花
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雄しべは下唇に沿い、雌しべは少し上向きになり先端が2裂する。2010.10.14


ハグロソウ(葉黒草)
キツネノマゴ科ハグロソウ属
学名:Peristrophe japonica (Thunb.) Bremek. var. subrotunda (Matsuda) Murata et Terao
花期:8月~10月 多年草 草丈:20~50cm 花冠長:20~25mm

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【学名解説】
Peristrophe : peri(周囲)+strophe(左方に転回)=捻れる/ハグロソウ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Bremek. : Cornelis Eliza Bertus Bremekamp (1888-1984)
var. : varietas(変種)
subrotunda : subrotundus(やや円形の)
Matsuda : 松田定久 Sadahisa Matsuda (1857-1921)
Murata : 村田 源 Gen Murata (1927- )
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Terao : 寺尾 博 Hiroshi Terao (?- )

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.09.25
賤機山 2010.10.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 28 September 2006
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by pianix | 2006-09-28 00:00 | | Trackback | Comments(0)
シオン(紫菀)
 シオン(紫菀)は、キク科シオン属の多年草です。中国が原産と言われ、中国・シベリア・朝鮮半島・日本に分布します。日本では、中国地方以西から九州の一部に野生分布します。朝鮮か中国から薬用植物として移入されたものと考えられ、平安時代には栽培されていた記録があります。乾燥させた根茎や根を鎮痰去痰薬として用います(日本薬局方外生薬規格)。現在は園芸用途で栽培されています。環境省レッドデータブックでは、絶滅危惧II類(VU)で、絶滅の危険が増大している種とされています。

 名の由来は、中国名の紫菀あるいは青苑の音読み。根が紫色を帯びるので紫、菀は草木が繁る意味。別名として、オニノシコグサ(鬼の醜草)、ジュウゴヤソウ(十五夜草)とも。英名は、Tatarian aster。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。Compositae Giseke, 1792は保留名。シオン属(Aster L. (1753))は世界に約400種あり、その内、北米に250種、日本には約20種が自生します。

 茎は剛毛があり、直立して上部で分枝し、高さ1~2mになります。根生葉は、長さ20~50cmのヘラ状長楕円形で、花期には無くなります。茎葉は互生し、卵形か長楕円形で長さ20~35cm、幅6~10cm。鋸歯があり先端は尖ります。

 花期は、8月から11月頃で、枝先に径30~35mmで淡紫色の頭花を散房状に多数つけます。頭花は、淡紫色の舌状花が周囲1列に並び、中央に長さ6~7mmで黄色の管状花が多数あります。総苞は長さ7~10mmの半球型で、総苞片は槍型で3列に並びます。果実は痩果です。長さ3mm、幅1mm程の倒皮針形で、長さ6mm程の冠毛が付いています。染色体数は、2n=54。

Japanese common name : Sion
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Aster tataricus L.f.

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草丈は2m程になり見上げてしまう。茎葉も大きい。


シオン(紫菀)
キク科シオン属
学名:Aster tataricus L.f.
花期:8~11月 多年草 草丈:100~200cm 花径:30~35mm

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【学名解説】
Aster : aster(星)/シオン属
tataricus : ダッタンの・中央アジアの・ソ連タタール州の
L.f. : Carl von Linne, filius (1741-1783)

撮影地:静岡県静岡市
葵区内牧(植栽)
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 September 2006
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by pianix | 2006-09-27 00:00 | | Trackback | Comments(2)
オミナエシ(女郎花)
 オミナエシ(女郎花)は、オミナエシ科オミナエシ属の多年草です。日本、中国、朝鮮、シベリア東部が原産で、国内の北海道・本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、オトコエシ(男郎花)と比べて女性的である事から。オミナは女。詳細は不明です。エシは飯であり、黄色の小さな花を古代に女性が食していた粟飯に例え、オミナメシ(女飯)が転訛したものとの説があります。この女郎花の漢字表記は、平安時代の901~923年(延喜年間)の頃から始まったとされています。秋の七草の一つ。英名は、Dahurian patrinia。

 APG体系では、スイカズラ科(Caprifoliaceae Juss. (1789))で、約16属500種が分布します。クロンキスト体系とエングラー体系では、オミナエシ科(Valerianaceae Batsch (1802))で、約8属があり、日本には3属10種が分布します。オミナエシ属(Patrinia Juss. (1789))は、東アジアと中央アジアに15種が分布し、日本には6種があります。

 根茎は横に這い増殖します。根生葉は長柄がある卵状披針形。茎葉は対生し、羽状に深く分裂します。茎は上部で枝分かれして、高さ60~100cmになります。茎に付く毛はまばらです。やや円錐状の散房花序を出し、黄色の小花多数を付けます。小花は、筒部が短い漏斗形の合弁花で、花冠は5裂し、径3~5mm。雄しべ4本、雌しべ1本があります。染色体数は、2n=22。

 子房は3室に分かれ、内1室のみが結実し、残り2室は結実しません。果実は痩果です。長楕円形で長さ3~4mm、幅2mm。ロゼット葉で越冬します。

Japanese common name : Omina-eshi
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Patrinia scabiosifolia Fisch. ex Trevir.

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左:茎葉は対生し羽状に裂ける 右:花冠は漏斗形の合弁花で5裂し、径3~5mm


オミナエシ(女郎花)
別名:オミナメシ(女郎花/女飯)/アワバナ(粟花)
スイカズラ科オミナエシ属
学名:Patrinia scabiosifolia Fisch. ex Trevir.
花期:7月~9月 多年草 草丈:60~100cm 花径:3~4mm

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【学名解説】
Patrinia : Eugene Louis Melchior Patrin (1742-1815)に因む/オミナエシ属
scabiosaefolia : scabiosaefolius(マツムシソウ属Scabiosaのような葉の)
Fisch. : Friedrich Ernst Ludwig von Fischer (1782-1854)
ex : ~による
Trevir. : Ludolf Christian Treviranus (1779-1864)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.09.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

26 September 2006
Last modified: 04 December 2014
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by pianix | 2006-09-26 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
ホタルガ(蛍蛾)
 ホタルガ(蛍蛾)は、マダラガ科(Zygaenidae Latreille, 1809)ホタルガ亜科の蛾です。日本や朝鮮半島・台湾・中国に分布します。日本では、北海道から九州に分布します。名の由来は、頭が赤く体が黒い配色をホタルに見立てたもの。中国名は、白帶黒斑蛾。蛾は、世界に60属約18万種、日本には5000種以上がいると言われています。

 昼行性の蛾です。体長は3cm程で、開張(翅を広げた状態)で45~60mm。全体は黒色で、頭部のみが赤色です。前翅には斜めに横断する白帯模様があり、V字状になります。触角は羽毛状です。ホタルガもホタルと似た形態をしています。ホタル科には毒を持つものが多く、疑似形態を擬態として説明する事があります。ミューラー型擬態(Mullerian mimicry)と言い、毒を持つ種が同じような形態に収束し捕食の危険性を低める擬態と説明されます。

 完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)をします。幼虫は黄色と黒模様をした毛虫です。終齢幼虫の体長は、25~27mm。触ると特異な臭気を放つ分泌液を出し、これによって皮膚炎を起こす事があります。幼虫で越冬します。食草であるサカキ(榊)やヒサカキ(姫榊)に異常発生する事があり、害虫として知られています。類似種に、後翅裏面が白色で、翅にある白帯が中央よりで直線状になる、シロシタホタルガNeochalcosia remota (Walker, 1854)があります。

Japanese common name : Hotaru-ga
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Pidorus glaucopis Drury, 1773


ホタルガ(蛍蛾)
チョウ目(鱗翅目)マダラガ科ホタルガ亜科
学名:Pidorus glaucopis Drury, 1773
synonym : Pidorus atratus Butler, 1877

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体長:(前翅長)26~28mm/(開張)45~60mm
出現期:6月~7月/9月(年2回)
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄
食草:ツバキ科(ヒサカキ、サカキ、ハマヒサカキ)・ニシキギ科(マサキ)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2006.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 September 2006
Last modified: 7 October 2015
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by pianix | 2006-09-25 00:00 | | Trackback(1) | Comments(3)
ルコウソウ(縷紅草)
 ルコウソウ(縷紅草)は、ヒルガオ科サツマイモ属の多年草です。熱帯アメリカが原産で、日本へは江戸時代初期の1634(寛永11)年に園芸用途で移入されたと考えられている帰化植物です。名の由来は、糸のように細い葉を持ち、赤い花を付ける事から。縷は、細い糸の事。英名は、Cypress vine。

 ヒルガオ科(Convolvulaceae A.L. de Juss. (1789))は、熱帯から亜熱帯に約58属1650種が分布し、日本には4属があります。サツマイモ属(Ipomoea L. (1753)) は、500種程があります。旧分類のルコウソウ属(Quamoclit Moench, 1794)は、熱帯アメリカやインドに約10種があります。

 蔓性で長さ100~400cmになります。花色と茎色の遺伝子は連鎖します。葉は互生します。羽状に深く裂け、裂片は糸状です。花期は8月から10月で、葉腋から長い花柄を出し、先端に1~2個の花を付けます。花冠は2~3cmで、星形に5裂する高杯形です。花色は、濃紅色・桃色・白色があります。雄しべ5本、雌しべ1本。子房は4室。果実は蒴果で、種子は4個。染色体数は2n=30。

 類似種のマルバルコウ(丸葉縷紅)は、本州中部地方以西に帰化しています。また、ルコウソウとマルバルコウの交雑種である、モミジルコウ(紅葉縷紅)Ipomoea x multifida (Raf.) Shinners があります。

Japanese common name : Rukou-sou
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Ipomoea quamoclit L.


ルコウソウ(縷紅草)
ヒルガオ科サツマイモ属
学名:Ipomoea quamoclit L.
synonym : Quamoclit pennata Bojer
花期:8月~10月 多年草 草丈:100~400cm(蔓性) 花径:約2~3cm

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【学名解説】
Ipomoea : ips(芋虫)+homoios(似た)/サツマイモ属
quamoclit : kuamos(豆)+klitos(低い)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
Quamoclit : kyamos(豆)+clitos(低い)/ルコウソウ属
pennata : pennatus(羽状の)
Bojer : Wenzel Bojer (1797-1856)
---
x : 二種間交配種
multifida : multifidus(多数に中裂した)
Raf. : Constantine Samuel Rafinesque-Schmaltz (1783-1840)
Shinners : Lloyd Herbert Shinners (1918-1971)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬学植物園 2006.09.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

21 September 2006
Last modified: 18 April 2014
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by pianix | 2006-09-21 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)
シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)
 シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)は、トンボ科シオカラトンボ属の昆虫です。日本全土に分布する中型普通種のトンボです。国外では、ユーラシア大陸極東域(ロシア・中国・韓国・台湾)に分布します。名の由来は、成虫の雄が体から塩を吹いたような体色になる事から。英名は、Commons skimmer。

 蜻蛉目(せいれいもく)=トンボ目(Odonata)は、発達した2対の翅と1対の複眼、長く伸びた腹部が特徴です。触角は非常に小さく、口器は発達します。翅は膜状で脈が多くあります。腹部は成虫・幼虫共に10節あります。世界に約5500種、日本には亜種を含めて約214種が分布すると言われています。不均翅亜目=トンボ亜目(Anisoptera)は、後翅が前翅より広く、翅を広げて止まるのが特徴です。シオカラトンボ属(Orthetrum)は世界に60種以上があり、日本には9種が生息します。

 体長は雌雄で大きな違いがありませんが、体色が大きく異なります。未成熟では、雄雌ともに黄褐色で、腹部に黒い斑条があります。腹節の7~9節は黒色です。雄の場合は、成熟するにつれ黒色化し、胸部から腹部前方にかけて灰白色の粉で覆われます。雌は濃黄褐色です。その為、俗称ムギワラトンボ(麦藁蜻蛉)と呼ばれます。尻尾の先端から2番目の節の部分(生殖弁)が少し膨らむ事と、腹部後端にある尾部付属器が白色です。雌は交尾している時、下側になります。

 複眼は青緑色と黄褐色の個体があります。複眼が黄褐色のものは雌で、青緑色の場合は雌雄の判別はできません。中には、雄型の雌もいます。ありふれたトンボですが、一見しただけで雌雄の判別ができる訳ではない意外さがあります。採取して確認する必要が出てきます。

 雌は、打水や打泥産卵をします。蛹の時期を経ない不完全変態(卵・幼虫・成虫)をします。幼虫はヤゴで、終齢幼虫の体長は20mm~25mm。推定で10齢以上を経て羽化すると言われています。幼虫で越冬します。成虫・幼虫共に肉食です。

 類似種に、
翅の基部が青白あるいは黒色になる、オオシオカラトンボ(大塩辛蜻蛉)
  Orthetrum triangulare melania (Selys, 1883)
翅の基部が黄褐色の、シオヤトンボ(塩屋蜻蛉)
  Orthetrum japonicum japonicum (Uhler, 1858)
等があります。

シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)→

Japanese common name : siokara-tonbo
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Orthetrum albistylum speciosum (Uhler, 1858) ♀
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▲♂ 撮影地:安倍川/河口から6.75km 右岸河川敷 2006.07.13
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撮影地:賤機山(Shizuhata-yama) 2009.08.01(800x314)


シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)
トンボ目(蜻蛉目)[不均翅亜目]トンボ科シオカラトンボ属
学名:Orthetrum albistylum speciosum (Uhler, 1858)

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体長:48~57mm/(後翅長)35~44mm/(腹長)32~38mm
出現期:4月~11月
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷/畑地 2006.09.05
安倍川/河口から6.75km 右岸河川敷 2006.07.13
賤機山 2009.08.01
Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 September 2006
Last modified: August 29, 2008
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by pianix | 2006-09-20 00:00 | | Trackback | Comments(4)
キツネノマゴ(狐の孫)
 キツネノマゴ(狐の孫)は、キツネノマゴ科キツネノマゴ属の1年草です。日本や東南アジアに分布します。日本では本州以西に分布する在来種です。名の由来は、諸説があり不明です。花冠を狐の顔、花穂を狐の尻尾に見立て、小さいので孫を充てたとの説があります。

 キツネノマゴ科(Acanthaceae Juss. (1789))は、中南米や東南アジア等の熱帯と温帯の一部に約250属2500種があります。キツネノマゴ属(Justicia L. (1753))は、熱帯から温帯に約300種が分布し、日本には本種のみが自生します。

 茎は4稜(断面四角形)があり、地を這った後、直立か斜上します。まばらに枝分かれし、草丈10~50cmになります。茎には短毛があります。葉は対生します。長さ2~5cm、幅1~2cmの卵形から長楕円形で全縁です。枝先に2~5cmの穂状(すいじょう)花序を出し、淡紅紫色の唇形花を付けます。花冠の長さは7~8mm。上唇は細く2浅裂して白色、下唇は大きく3裂し淡紅紫色に白色の斑紋があります。萼弁や苞の縁に白色の毛があります。

 子房上位で2室があります。雄しべ2本は上唇に付きます。葯は上下に2室あり、下側が大きく、基部に突起があります。虫媒花です。果実は蒴果で長さ5~6mm、幅1.5mm。熟すと上部から2裂し、胚珠の柄の弾力で種子4個を弾き飛ばします。種子は黒色で丸く、長さ1~1.5mmです。染色体数は、2n=18,36。

 次の種、変種があります。
葉の形状が異なる、キツネノヒマゴ(狐の曾孫)
  Justicia procumbens L. var. riukiuensis Yamamoto
キツネノメマゴ(狐の女孫)
  Justicia hayatae Yamamoto
白花の、シロバナキツネノマゴ(白花狐の孫)
  Justicia procumbens L. var. leucantha Honda

Japanese common name : Kitune-no-mago
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Justicia procumbens L. var. leucantha Honda f. japonica (Thunb.) H.Hara

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左:全体 右:雄しべ2本は上唇に付き、下唇には白色の斑紋がある


キツネノマゴ(狐の孫)
キツネノマゴ科キツネノマゴ属
学名:Justicia procumbens L. var. leucantha Honda f. japonica (Thunb.) H.Hara
花期:8~10月 1年草 草丈:10~50cm 花径:2~5mm

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【学名解説】
Justicia procumbens L. var. procumbens
Justicia : James Justice (1698-1763)に因む/キツネノマゴ属
procumbens : 伏臥した・這った・倒伏形の
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
leucantha : leucacanthus(白い刺の)
Honda : 本田正次 Masaji Honda (1897-1984)
f. : forma(品種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
H.Hara : 原 寛 Hiroshi Hara (1911-1986)
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キツネノヒマゴ Justicia procumbens L. var. riukiuensis Yamam.
riukiuensis : 琉球の
Yamam. : 山本由松 Yoshimatsu Yamamoto (1893-1947)
キツネノメマゴ Justicia hayatae Yamam.
hayatae : 早田文蔵 Bunzo Hayata (1874-1934)氏の
シロバナキツネノマゴ Justicia procumbens L. var. leucantha Honda
Honda : 本田政次 Masaji Honda (1887-1984)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.0km 左岸河川敷 2006.09.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

19 September 2006, 19 September 2014
Last modified: 22 December 2014
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by pianix | 2006-09-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋蝶)/幼虫
 ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋蝶)は、タテハチョウ科ヒョウモンチョウ亜科ツマグロヒョウモン属の蝶です。日本、アフリカ北東部・インド・インドシナ半島・オーストラリア・中国・朝鮮半島に分布します。日本では、本州、四国、九州、沖縄に分布します。

 名の由来は、翅の褄が黒く、豹紋がある事から。「褄」とは、着物の裾の左右両端の部分や縦褄(襟下)の意味で、前翅先端部の縁が黒くなっているので「褄黒」。「豹紋」は、翅の前の波模様や、それに続く丸模様の黒点が豹柄である事からです。英名は、Indian fritillary。

 タテハチョウ科(Nymphalidae Rafinesque, 1815)は、南極を除く世界の大陸に6,000種ほどが分布し、日本には52種が生息すると言われています。タテハチョウ科の特徴は、翅の斑紋が裏表で異なり、前脚が退化して短くなっている事です。後翅の中室は開き、触覚に鱗粉があります。

 食草であるスミレ類に産卵します。幼虫は、スミレ類の葉を食べます。終齢幼虫の体長は30mm程になります。体色は黒色で、縦に赤い筋があります。分岐する棘状の突起があり、頭部側では黒色ですが、他は根元が赤く先端が黒色になります。1節毎、両側面に2本ずつ、上面に2本の計6本があります。実に毒々しい様相ですが、毒は無く刺される事もありません。幼虫で越冬します。

ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋蝶)/♀
ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋蝶)/♂

Japanese common name : Tumaguro-hyoumon
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Argyreus hyperbius (Linnaeus, 1763)

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左:多分、5齢(終齢幼虫)2006.08.31 右:成虫2006.09.07


ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋蝶)/幼虫
チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科ヒョウモンチョウ亜科ツマグロヒョウモン属
学名:Argyreus hyperbius (Linnaeus, 1763)

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体長:(前翅長)27~38mm/(開張)65~75mm/(幼虫)30mm
出現期:4月~11月(年4~5回)
分布:本州・四国・九州・沖縄
食草:スミレ類

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.08.31, 2006.09.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 16 September 2006
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by pianix | 2006-09-16 00:00 | | Trackback | Comments(0)