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カナムグラ(鉄葎)
 カナムグラ(鉄葎)は、アサ科カラハナソウ属の1年草です。日本、中国、台湾に分布します。日本では全国に分布する史前帰化植物です。名の由来は、蔓が強靱であるのを鉄に例え、繁茂する雑草の総称であるムグラ(葎)を充てたもの。中国名は、葎草。英名は、Japanese hop。

 アサ科(Cannabaceae Martinov, 1820)は、10属約70種が分布します。APG植物分類体系で、クワ科(Moraceae Gaudich. 1835)のアサ属(Cannabis L. (1753))とカラハナソウ属を独立させてアサ科とし、旧ニレ科エノキ亜科を加えたものです。カラハナソウ属(Humulus L. (1753))は、北半球温帯に3種が分布します。

 群落を形成します。茎は緑色で、蔓となって他の植物に絡んで、上から見て時計回りの左巻き1)に伸長し、2~5mの長さになります。茎は細くて硬く、下向きの頑丈な刺があります。葉は対生します。長さ5~12cmで、掌状に深く5~7裂し、鋸歯があります。葉柄は約10cm。葉柄と葉脈には棘があります。

 花期は8月から10月頃。葉腋から花茎を出します。雄株は円錐状の花序を上方に出し、花は淡黄色で下垂し、萼片5個があり径5~6mm。雄しべ5個で、短い花糸の先に大きめの黄色い葯が垂れ下がります。雌雄異株。雌株は短い穂状花序を出し、鱗片状で緑色の苞を下垂します。苞の先は尖り、荒い毛が縁にあります。果期には紫褐色になり、苞の先端は反り返ります。

 果実は痩果で、花被に包まれています。茎・葉・果実の地上部全体を、生薬のリツソウ(葎草)として健胃・利尿・解熱に利用されます。ビールの苦味原料となるホップ(hop)の仲間ですが、その用途には使えません。染色体数は、♀2n=14+XX、♂2n=14+Y1XY2。

1)学術用語集植物学編増訂版(1990)の定義による

Japanese common name : Kana-mugura
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Humulus scandens (Lour.) Merr.
雄花序:花径は5~6mmで、5個の葯が垂れ下がる

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葉序 葉は掌状に5~7深裂し、鋸歯がある 左は5裂、右は7裂

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左:葉裏の葉脈には棘がある 右:茎には下向きの棘があり絡みつきやすくなっている 

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左:雌花序は鱗片状の苞 右:雌花

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左:熟した雌花序(蔓は上から見て時計回りの左巻き) 右:鱗片状の苞に包まれた種子


カナムグラ(鉄葎)
別名:リッソウ(葎草)
アサ科(旧クワ科)カラハナソウ属
学名:Humulus scandens (Lour.) Merr.
synonym : Humulus japonicus Siebold et Zucc.
花期:8月~10月 1年草 草丈:2~5m(蔓性) 花径:5~6mm(雄花)

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【学名解説】
Humulus : humus(土)|ホップのラテン名に由来/カラハナソウ属
scandens : よじ登る性質の
Lour. : Joao de Loureiro (1717-1791) 
Merr. : Elmer Drew Merrill (1876-1956)
---
synonym(シノニム):同意語、異名。
japonicus : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 右岸河川敷 2006.10.12 / 10.21 / 10.26, 2016.11.10
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

30 October 2006, 5 May 2014
Last modified: 14 November 2016
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by pianix | 2006-10-30 00:00 | | Trackback | Comments(0)
オニドコロ(鬼野老)
 オニドコロ(鬼野老)は、ヤマノイモ科ヤマノイモ属の多年草です。日本・朝鮮半島・中国に分布します。日本では、北海道から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、他の類似種より葉が大きいので鬼を充て、トコロ(野老)はエビ(海老)に対比させた漢字名で、根茎の髭根を老人の髭に見立てたもの。読みの由来は諸説あります。根に塊ができる事から、凝塊の「凝(とこ)り」が転訛してトコロとなったとの説があります。

 ヤマノイモ科(Dioscoreaceae R. Brown, 1810)は、熱帯及び暖温帯に8属約800種が分布します。ヤマノイモ属(Dioscorea C. Linnaeus, 1753)は、東アジア北部に広く分布します。ヤマノイモ科の内、約600種がヤマノイモ属です。約40種が食用とされ、約15種が栽培されていて、日本には13種があります。珠芽があり根茎の根が肥厚するヤマノイモの仲間と、根茎の根が肥厚しないオニドコロの仲間に分ける事ができます。

 根茎は細長く髭根があり、横に這います。苦味があり食用には適しません。有毒成分のジオスコリン(Dioscorine)、ジオスチン(Dioscin)、ジオスコレアサポトキシン(Diosoreasapotoxin)が含まれ、ヤマノイモと間違えて誤食すると嘔吐などの症状が起きます。昔は、救荒植物として灰汁抜きをして食べたようです。根茎を乾燥させたものを、生薬のヒカイ(萆薢)として、関節痛や疼痛の治療に用います。茎は蔓性で長く伸び、右巻きです。葉は互生し、円心形から三角状心形で、長さ幅とも5~12cm。無毛で全縁、先端は鋭頭。葉柄は3~7cm。

 花期は7月から8月。葉腋から花序を出します。雌雄異株。雄花序は上方に立ち上がり、雌花序は下垂します。雄花は淡黄緑色で径約3mm、花被片6個が平開し、完全雄しべ6個があります。雌花は、花被片が径約5mm、雌しべ1個で花柱は3裂します。萼片は6個。子房下位。珠芽は付きません。果実は蒴果で、3翼(3室)がある倒卵状楕円形。種子は長さ約5mmの扁平な楕円形で、片側に長楕円形の翼があります。染色体数は、2n=20で、♀:2n=18+XX、♂:2n=18+XY。XYは、性決定機構。

 同じ属に、オニドコロより葉が細いヒメドコロ(姫野老)、雄しべ6個の内、3個が仮雄しべになったタチドコロ(立野老)があります。ヤマノイモ(山の芋)は、葉が対生で、蔓の巻き方がオニドコロと逆の左巻きです。

Japanese common name : Oni-dokoro
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Dioscorea tokoro Makino

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左:雄花序             右:葉

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左:雌花序             右:雌花
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長楕円形の翼がある種子。ヤマノイモは円形の翼で種子が中央にある。


オニドコロ(鬼野老)
別名:トコロ(野老)
ヤマノイモ科ヤマノイモ属
学名:Dioscorea tokoro Makino
花期:7月~8月 多年草 草丈:蔓性 花径:(雄花)約3mm/(雌花)約5mm

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【学名解説】
Dioscorea : Pedanius(Pedanios) Dioscorides (ca.40-ca.90 AD)に因む
tokoro : トコロ(日本名)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9km右岸河川敷 2006.09.20
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

28 October 2006
Last modified: 02 September 2013
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by pianix | 2006-10-28 00:00 | | Trackback | Comments(0)
コウゾリナ(髪剃菜)
 コウゾリナ(髪剃菜)は、キク科コウゾリナ属の2年草です。日本、千島列島に分布します。日本では、北海道から九州に分布する在来種です。名の由来は、茎や葉にある剛毛をカミソリに例え、転訛であるコウゾリ(髪剃)を充て、若葉を食用としたので「菜」を付けたものです。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味、保留名のCompositaeは、「合成された」との意味から。コウゾリナ属(Picris L.)は、ヨーロッパ、アジア、アメリカ東海岸に分布します。Picrisは、これを食べると「苦い」事に由来します。

 キク科の植物は、総苞に包まれた小花(しょうか|floret)がたくさん集まった頭花(頭状花序1))を形成します。この頭花の要素である小花の組み合わせによって、キク亜科とタンポポ亜科に分けられます。キク亜科には、小花が筒状花2)と舌状花3)の組み合わせと筒状花のみの頭花があり、タンポポ亜科は、小花が全て舌状花のみの頭花となります。コウゾリナは、舌状花のみで構成される頭花を持つので、タンポポ亜科に属します。

 低地から山地の草地に自生します。茎は、高さ30~100cmになります。茎・葉・萼に、褐色や赤褐色の剛毛が密生し、触るとざらつきます。季節によって剛毛の質は変わります。根生葉は長さ7~30cm、幅5~50mmの倒披針形で細鋸歯があり、花期には枯れます。茎葉は、下位置と中位置で形状が異なります。下葉は翼のある柄があり、倒披針形で長さ6~15cm、鋸歯があります。中葉は互生し、披針形で茎を抱き、長さ4~12cm。

 花期は5月から10月頃。分枝した枝先に散房花序を出し、黄色の頭花を付けます。頭花は径2~2.5cmで、小花に筒状花2)は無く、舌状花3)だけからなる舌状花冠(ligulate corolla)です。舌状花は、長さ12~15mm、幅1.5~1.7mmで、基部の筒部分の長さは4.8~5.1mm。1頭花あたり30~34個あり、花片先端は数個の細かい切れ込みがあります。総苞は黒ずんだ緑色の釣鐘形か壺形で、長さ10~11mm。総苞片は線状披針形で、外片は短く、内片は剛毛があります。両生花で、自家受粉を防ぐ為の雄性先熟(雄しべ先熟)花です。染色体数は、2n=10。果実は痩果で赤褐色。白色で羽毛状の冠毛(綿毛)が付き、長さ3.5~6mm。冠毛は小花の萼に相当します。風によって散布されます。ロゼットで越冬します。染色体数は、2n=10。

★  ★  ★

 どこにでも極普通に見られる花は見向きこそしませんが、その時期に無いと違和感を覚えるものです。昨年の安倍川流域には、コウゾリナが少なく心配しました。今年は、それを払拭するかのように土手にたくさん生え、黄色く染めています。そして長い期間、咲き続けます。コウゾリナは、私が野草観察を始めた初期に覚えた名前です。しかしながら、コウゾリナもアキノノゲシも、タンポポにしか見えない人が多いのも確かです。私自身、極普通の花ほど実際はあまりよく知らないという事も実感します。観察中、花の名前を問われる筆頭に、このコウゾリナが含まれます。

1)頭状花序(とうじょうかじょ|head inflorescence、capitulum):柄の無い多数の小花が集まって総苞に包まれて頭状になり、一つの花のように見える花序(inflorescence)。
2)筒状花(とうじょうか|tubular):花弁が合着して管状または筒状になり、花冠が5裂しているもの。
3)舌状花(ぜつじょうか|ligulate):基部が筒状で、上部が片側に伸びて舌状になったもの。5枚の花弁から構成される。

Japanese common name : Kouzori-na
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Picris hieracioides L. subsp. japonica (Thunb.) Krylov

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左:萼 右:茎や葉には剛毛があり中葉は茎を抱

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左:小花は舌状花のみ 右:冠毛が付いた痩果


コウゾリナ(髪剃菜)
別名:剃刀菜(カミソリナ)
キク科コウゾリナ属
学名:Picris hieracioides L. subsp. japonica (Thunb.) Krylov
花期:5月~10月 2年草 草丈:30~100cm 花径:20~25mm

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【学名解説】
Picris : picros(苦い)/コウゾリナ属
hieracioides : Hieracium(ミヤマコウゾリナ属)+oides(似た)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Krylov : Porphyry Nikitic Krylov (1850-1931)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸土手 2006.10.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 25 October 2006
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by pianix | 2006-10-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
つぶらな瞳
 たまには息抜き。今日も、この2種に出会いました。厳密に言うと瞳ではありませんが。人間だけがこの世に生きている訳ではなく、小さな虫達も頑張って生きています。このような小さな虫達を見ていると童心に帰ります。観察していると、かなり過酷な世界のようです。

 野草は、コウゾリナが目立ち、チカラシバ、エノコログサなどの仲間、オオオナモミカナムグラ等がありました。マツヨイグサや、クズは種子を付けています。タデ類は最盛期です。珍しく、ハルジオンが咲いていました。春と勘違いしたのでしょうか。温暖な静岡では、春に咲くものが秋にも咲く事があります。我が家の近くでは見かけなかったノハラアザミも、今年始めて確認しました。秋が深まりつつあります。

Japanese common name : Tonosama-batta
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Locusta migratoria Linnaeus, 1758
説明:成虫幼虫


トノサマバッタ(殿様飛蝗)
別名:ダイミョウバッタ(大名飛蝗)
バッタ目(直翅目)バッタ亜目バッタ科トノサマバッタ属
学名:Locusta migratoria Linnaeus, 1758

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体長:35~65mm(♂35~40mm/♀45~65mm)
出現期:7月~11月(年1~2回)
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄
食草:イネ科の植物

撮影地:撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km 右岸河川敷 2006.10.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

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Japanese common name : Miyama-akane
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Sympetrum pedemontanum elatum (Selys, 1872)
説明:成虫


ミヤマアカネ(深山茜蜻蛉)
トンボ目(蜻蛉目)トンボ科アカネ属
学名:Sympetrum pedemontanum elatum (Selys, 1872)

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出現期:6月~11月
体長:32~38mm/(腹長)20~26mm(後翅長)26~31mm
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9km 右岸河川敷 2006.09.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 October 2006
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by pianix | 2006-10-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)
テンニンソウ(天人草)
 テンニンソウ(天人草)は、シソ科テンニンソウ属の多年草です。北海道から九州に分布する日本固有種です。名の由来は不明です。虫食いされた葉の綻びを、破れ衣である羽衣に見立てたとか、花の集まりを天女の舞いに見たてたとの説があります。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。テンニンソウ属(Leucosceptrum J.E. Smith, 1805)は、オドリコソウ亜科に含まれます。日本とヒマラヤに6種があるとされています。

 山間部の木陰に自生し、木化した地下茎で群落を形成します。茎は、シソ科特有の4稜(断面四角形)で直立し、高さ50~100cmになります。葉は対生し、葉柄があります。長さ10~25cm、幅3~9cmの長楕円形から広披針形で鋭頭、鋸歯があり無毛です。

 花期は8月から10月頃。茎頂に長さ10~18cmの穂状花序を出し、淡黄色の唇形花を密生させ、花序の下から順に開花させます。花冠は長さ約8mmで、先は浅く5裂し、上唇は2裂、下唇は3裂します。雄しべ4本、雌しべ1本があり、長く突出します。花柱先端は2裂します。萼は筒形です。果実は堅果です。染色体数は、2n=46。

 類似種のフジテンニンソウ(富士天人草)Leucosceptrum japonicum (Miq.) Kitam. et Murata f. barbinervium (Miq.) Kitam. et Murata は、テンニンソウの一品種(f.:forma)で、葉裏の中肋(ちゅうろく=葉の中央を走る太い葉脈)や花穂の柄に開出毛があります。変種(var.:varietas)に、葉が丸く大きいオオマルバノテンニンソウ(大丸葉の天人草)Leucosceptrum srellipilum (Miq.) Kitam. et Murata var. radicans (Honda) T.Yamaz. et Murata があり、広島・山口・四国・九州に自生します。

Japanese common name : Ten'nin-sou
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Leucosceptrum japonicum (Miq.) Kitam. et Murata

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左:全体 右:蕾の苞は開花と共に落ちる
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テンニンソウ(天人草)
シソ科テンニンソウ属
学名:Leucosceptrum japonicum (Miq.) Kitam. et Murata
花期:8月~10月 多年草 草丈:50~100cm 花序長:10~18cm

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【学名解説】
Leucosceptrum : leuco(白い)+sceptron(長い柄がある帝王の笏)/テンニンソウ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
Kitam. : 北村四郎 Shirō Kitamura (1906-2002)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Murata : 村田 源 Gen Murata (1927- )

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から47.5km 右岸河川敷 2006.10.09
高山(牛ヶ峰 Alt.717m) 2014.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 October 2006
Last modified: 23 September 2014
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by pianix | 2006-10-20 00:00 | | Trackback | Comments(0)
メナモミ(雌なもみ/雌生揉)
 メナモミ(雌なもみ/雌生揉)は、キク科メナモミ属の1年草です。日本や朝鮮・中国に分布します。国内では、北海道から九州までに分布する在来種です。名の由来は、オナモミに対して女性的であるからとの説があります。ナモミについては諸説あり不明です。民間療法で葉を揉んで傷口に塗ったからとか、なずむが転訛したとの説があります。中国名は、キレンソウ([豕+希 Unicode:U+8C68]簽草)。生薬名はキレン。この漢字を充ててメナモミと表記する場合があります。

 キク科(Asteraceae Bercht. & J.Presl (1820))、 保留名(Compositae Giseke (1792))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味、保留名のCompositaeは、合成されたとの意味から。メナモミ属(Siegesbeckia Steud.)は、総苞片と花床の鱗片に腺毛が密生し粘液を出して粘るのが特徴です。

 山野の荒草地や潅木林に生育します。茎は直立し、途中で分枝して高さ60~120cmになります。茎の上部には、白色で長い開出毛(茎葉から直角に出る毛)が密生します。類似種のコメナモミは、伏毛になります。葉は対生します。長さ8~19cm、幅7~18cmの卵形か卵状三角形です。不規則な鋸歯があり、葉の裏面や葉脈に軟毛があります。葉柄には翼と腺があります。

 茎頂や葉腋から腺毛がある花柄を出し、頭花を散房状に付けます。コメナモミの場合、花柄に腺毛はありません。花色は黄色で約2cm、総苞片を含めて約3cm。周囲に雄性で先端が2~3裂した長さ3~3.5mmの舌状花が1列に並び、内側に長さ約1.5mmの両性である筒状花があります。この先端が3裂した舌状花は、ハキダメギクの形状に似ています。小花は緑色の鱗片に包まれます。総苞片は緑色で5個あり、細長い線形で、ヒトデ状に平開し、腺毛があって粘液を出します。子房下位。果実は痩果で、2.5~3.5mm。俗称ひっつき虫の一種で、動物などに付着して運ばれます。染色体数は、2n=30。

参考:オオオナモミ(大雄生揉)

Japanese common name : Me-namomi
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Sigesbeckia pubescens (Makino) Makino
頭花には舌状花と筒状花があり、腺毛があって粘液を出す5個の総苞片が広がる。

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左:頭花と鱗片 右:葉柄には翼がある

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左:長い開出毛が密生 右:全体の様子


メナモミ(雌なもみ/雌生揉)
キク科メナモミ属
学名:Sigesbeckia pubescens (Makino) Makino
synonym : Siegesbeckia orientalis L. subsp. pubescens (Makino) Kitam.
花期:9~10月 1年草 草丈:60~120cm 花径:2cm

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【学名解説】
Siegesbeckia : John Georg Siegebeck (1686-1755)に因む/メナモミ属
pubescens : 細軟毛ある
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
---
orientalis : 極東の
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
Kitam. : 北村四郎 Shirō Kitamura (1906-2002)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2006.10.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

19 October 2006
Last modified: 5 May 2014
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by pianix | 2006-10-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)
アメリカタカサブロウ(亜米利加高三郎)
 アメリカタカサブロウ(亜米利加高三郎)は、キク科タカサブロウ属の1年草です。熱帯アメリカ原産で、日本では1981(昭和56)年に梅本氏によって確認された、比較的新しい帰化植物です。関東以西に分布します。名の由来は、アメリカ産のタカサブロウから。タカサブロウの語源は不明です。人名であるとか、タタラビソウ(多々良比草)の転訛であるとする説があります。英名は、Yerba de Tago、false daisy。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味。保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。タカサブロウ属(Eclipta C.Linnaeus, 1771)は、温帯から熱帯に広く分布します。

 茎は初め少し這い、その後、斜上して分枝します。タカサブロウに比べて、枝分かれ部分の下の茎が膨らみを持ちます。葉は対生し、幅8~18mm、長さ60~100mmの線状披針形で鋸歯があります。

 花期は7月から10月。頭花は径7~10mmで白色。周囲2列に白色の舌状花が並び、中央に先端が4裂した白色の筒状花があります。総苞は、半球形から鐘形をしています。総苞片は2列で、内片が短く先端が尖ります。葯の色は黄色。属名のEclipta(不完全の・欠けた)は、冠毛が無い事を表しています。

 果実は痩果です。長さ2.1~2.5mm、幅約1.9mmの4稜形で、熟すと黒褐色になります。側面全体に瘤状の隆起があり、タカサブロウに見られるような翼はありません。

 タカサブロウとアメリカタカサブロウは共に帰化植物で、酷似するので区別は難しくなります。一番分かりやすいのは痩果を比べる事です。タカサブロウにはヒレのような翼がありますが、アメリカタカサブロウにはありません。瘤状の隆起は、タカサブロウが中央部分だけに対し、アメリカタカサブロウは側面全体にあります。葉は、細長くて鋸歯が目立つ方がアメリカタカサブロウです。茎の節の膨らみは、タカサブロウが上側なのに対し、アメリカタカサブロウは下側になります。

Japanese common name : Amerika-takasaburou
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Eclipta alba (L.) Hassk.

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左:果実は痩果 右:瘤状の隆起があり翼がない種子


アメリカタカサブロウ(亜米利加高三郎)
キク科タカサブロウ属
学名:Eclipta alba (L.) Hassk.
花期:7月~10月 1年草 草丈:60~100cm 花径:7~10mm

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【学名解説】
Eclipta : ecleipo(不完全の・欠けた)/タカサブロウ属
alba : 白い[albus(男性形)|alba(女性形)|album(中性形)]
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Hassk. : Justus Carl Hasskarl (1811-1894)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 18 October 2006
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by pianix | 2006-10-18 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヌマダイコン(沼大根)
 ヌマダイコン(沼大根)は、キク科ヌマダイコン属の多年草です。日本を含む東アジア、東南アジア(台湾・中国・インド・スリランカ)に分布します。日本では、本州の関東以西から四国・九州・沖縄に分布する在来種です。名の由来は、湿地に生え、大根の葉に手触りが似ている事から。英名は、Club-wort、あるいはkamanamana。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。ヌマダイコン属(Adenostemma JR Forst. et G. Forst.)は、暖帯から熱帯に分布します。フジバカマ属と似ていますが、冠毛が棍棒状で粘液を出す事で区別されます。

 暖地の湿地に生育します。茎は上部で分枝し、高さ30~100cmになります。葉は対生します。卵形または卵状長楕円形で、長さ4~20cm、幅3~12cm、両面に短毛がまばらにあり、鈍鋸歯があります。葉柄は長さ1~6cm。

 花期は9月から11月頃。枝先に集合花である頭花を付けます。頭花は白色の約30本の筒状花のみで、舌状花はありません。両生花です。花柱は白色で2分し、先端は丸みを帯びます。総苞は半球形で、直径5~8mm。総苞片は2列あり同じ長さで、花後に反り返ります。

 果実は痩果です。倒皮針形で長さ約4mm。冠毛は棍棒状で4本あり、長さ約1mm。疣状小突起や腺点が密にあり粘液を出します。俗称、ひっつき虫の一種です。動物などに取り付き散布されます。染色体数は、2n=20。

※果実が疣状であるヌマダイコン(沼大根)Adenostemma lavenia (L.) Kuntze と、果実が平滑であるオカダイコン(岡大根)Adenostemma latifolium D.Don があります。

Japanese common name : Numa-daikon
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Adenostemma lavenia (L.) Kuntze

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左:花序    右:頭花。総苞片は2列同長

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左:2分した白色の花柱と薄桃色の筒状花    右:痩果

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先端に粘液を出す棍棒状の冠毛があり、疣状で腺点がある痩果。動物などに取り付く。


ヌマダイコン(沼大根)
キク科ヌマダイコン属
学名:Adenostemma lavenia (L.) Kuntze
花期:9月~11月 多年草 草丈:30~100cm 花径:5~8mm

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【学名解説】
Adenostemma : adenos(腺)+stemma(冠)/ヌマダイコン属
lavenia : Lāuīnĭa ローマ神話の王の娘
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Kuntze : Carl Ernst Otto Kuntze (1843-1907)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2006.09.25, 2006.10.18, 2006.10.20
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 17 October 2006
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by pianix | 2006-10-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヨモギ(蓬)
 ヨモギ(蓬)は、キク科ヨモギ属の多年草です。日本や朝鮮半島に分布します。日本では、本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、諸説があります。四方に根茎を伸ばして増える意味から、ヨモギ(四方草)、良く燃えるのでヨモギ(善燃草)等の説があります。又、蓬の漢字を充てるのは間違えとの説もあります。中国名は艾(ài)、あるいは艾蒿(ài hāo)。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。ヨモギ属(Artemisia L. (1753))は、約250種が北半球の温帯を中心に広く分布し、日本には約30種があります。

 地下茎は横に伸びて増殖します。他の植物の発芽を抑制するアレロパシー(allelopathy)作用があります。茎は直立し、多数に分枝しながら高さ50~120cmになります。茎や葉裏には白色の綿毛が密生します。乾燥させた葉から採った綿毛は、鍼灸で用いるモグサ(艾)の原料となります。葉は、互生します。長さ6~12cm、幅4~8cmで、羽状に深裂し、2~4対の裂片となり、鋸歯があります。柄があり、基部に仮托葉がありあります。表面は緑色、裏面は綿毛が密生して灰白色。早春の若葉は草餅に使われます。乾燥葉をガイヨウ(艾葉)と称し、漢方で腹痛、吐瀉、止血などに用います。花期には根生根や茎下の葉は枯れます。

 花期は、8月から10月頃。枝先に円錐花序を出します。頭花は下向きに多数咲き、筒状花のみで舌状花はありません。花径は1.3~1.6mmで黄緑色。中心に両生花があり、周りに雌花があります。受粉後は茶色になります。総苞は長楕円状鐘形で長さ2.5~3.5mm、総苞片は4列に並びます。風媒花で、花粉症の原因花となります。花粉の大きさは26~28μm。果実は痩果で、長さ1.5mm。染色体数は、2n=34。

 類似種に、関東地方以西から九州・琉球・台湾・中国・東南アジア・インドに分布する、ニシヨモギ(西蓬)Artemisia indica Willd.、近畿地方以北・北海道・樺太・南千島に分布する、オオヨモギ(大蓬)Artemisia montana (Nakai) Pamp. があります。

 ヨモギワタタマバエ(蓬綿玉蠅) Rhopalomyia giraldii Kiefer et Trotter, 1900 に寄生され、虫瘤のヨモギクキワタフシ(蓬茎綿五倍子)が作られる事が多くあります。

Japanese common name : Yomogi
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Artemisia indica Willd. var. maximowiczii (Nakai) H.Hara

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▲ 左:全体 右:中心に両生花、周りに雌花がある
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▲ ヨモギワタタマバエによって形成された虫瘤のヨモギクキワタフシ


ヨモギ(蓬)
別名:カズザキヨモギ
キク科ヨモギ属
学名:Artemisia indica Willd. var. maximowiczii (Nakai) H.Hara
synonym : Artemisia princeps Pamp.
花期:8月~10月 多年草 草丈:50~120cm 花径:1.5mm・長さ3.5mm

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【学名解説】
Artemisia : ギリシャ神話の女神アルテミス(Artemis)に因む/ヨモギ属
indica : インドの
Willd. : Carl Ludwig von Willdenow (1765-1812)
var. : varietas(変種)
maximowiczii : Maximowiczia, Carl Johann Maximowicz (1827-1891)の名に因む
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
H.Hara : 原 寛 Hiroshi Hara (1911-1986)
---
synonym : (シノニム) 同意語、異名
princeps : 王公・貴公子のような・最上の
Pamp. : Renato Pampanini (1875-1949)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.10.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

16 October 2006
Last modified: 22 July 2015 (Scientific name update)
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by pianix | 2006-10-16 00:00 | | Trackback | Comments(0)
自然保護室・ボケボケ訪問記
 静岡県庁へ行きました。本館、別館、東館、西館と分かれていて、初めて入る私には迷路のようでした。野草観察に出かける時に急に思いついた事なので、事前に調べておく余裕がありませんでした。
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静岡県庁本館

 初めに入った本館は、議員室とか書かれていて、私が目的とする場所ではない事がすぐに分かりました。行き先は静岡県環境森林部自然保護室。東館11階の環境総室にありました。ここには森林総室もあります。
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静岡県庁東館

 静岡県版レッドリストを受け取りに行ったのですが、静岡県版レッドデータブックと間違えて口に出したので職員は大騒ぎ。何故かと言えば、市販品であり無料で配布しているものではないからです。レッドリストだと訂正してひとまず落ち着いたところで、それは在庫が無いと言われました。それもそのはず、2年も前のものでした。時間をくれればプリントアウトするとの温かい言葉に甘えさせて頂き、県庁の外で時間を潰しました。
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静岡県庁東館正面

 印刷されたレッドリストを受け取り、ついでにインタビューをしてみました。「自然保護室と県民との繋がりは、どのようなものがありますか」とかの他愛もない事を聞きました。レッドブックスは書店で見かけた事がないと話すと、聞き耳を立てていた別の職員さんが「○○書店で売っていましたよ」と教えてくれました。室長さんも親切に対応してくれました。自然保護室の皆さん、仕事の邪魔をして申し訳ありませんでした。最後のひと言まで温かみがありました。

 その内、私も絶滅危惧種の一人になりますが、お世話になる課が違うかもしれません。リストを抱えて外へ出ると、青空は雲に覆い隠されていました。負けるもんかと野草観察の為に河川敷へ急いだのですが、暗さにカメラは反応してくれませんでした。珍しくお会いした成虫のオオカマキリさんも、あっかんべーをしていました。しかし、いいんだ、今日は自然保護の為に働いているスタッフの皆さんに会えたのだから。

【参考】
まもりたい静岡県の野生生物-県版レッドデータブック-
・植物編(663種) A4判・340頁 定価3,500円 ISBN4-938138-52-2
・動物編(385種) A4判・352頁 定価3,500円 ISBN4-938138-51-4
・普及版(123種) A5判・204頁 定価1,500円 ISBN4-938138-50-6
問合せ先:羽衣出版有限会社

撮影地:静岡県静岡市
葵区追手町9番6号 2006.10.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 14 October 2006
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by pianix | 2006-10-14 00:00 | 雑記 | Trackback | Comments(3)