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イシミカワ
 イシミカワは、タデ科イヌタデ属の1年草です。アジアに広く分布し、国内では全国に分布します。名の由来は不明です。従って漢字表記も、石見川・石実皮・石膠・杠板帰(中国名)、と多種に及びます。

 タデ科(Polygonaceae Juss. 1789)は北半球に約40属800種があります。タデ科の特徴は、葉柄の基部の托葉が茎を包む形の托葉鞘(たくようしょう)となる事です。イヌタデ属(Persicaria (C. Linnaeus) P.Miller, 1754)は北半球に約100種あり、日本には約30種があります。旧属名はPolygonumで、polys(多い)+ gonu(節)の意味を持ち、節が関節のように膨れる事に因みます。

 茎は無毛の蔓状で下向きの鋭い刺(逆刺)が密生し、他の植物に絡みつきながら分枝して、長さ100~200cm以上になります。葉は互生します。淡緑色の三角形で、長さ2~4cm。基部は矢じり形です。葉の基部に楯状の葉柄が付きます。葉柄や葉裏の主脈上にも棘があります。上部に付く托葉鞘は円形の葉状となります。

 枝先に1~2cmの総状花序を出し、長さ3~4mmで淡緑白色の目立たない花を10~20個ほど付けます。花弁はなく、深く5裂した広楕円形の花被(萼)に包まれていて、ほとんど開きません。雄しべと雌しべは同じ長さです。花序の基部には、茎を貫通した円形で葉状の苞があります。

 果実は痩果です。外花被片は多肉化して痩果を包み、球形となります。初め緑白色で、熟す毎に、紅紫色・青藍色(コバルトブルー)へと変化します。苞の上に果実が乗った独特の形になり、一見硬そうな果実は果汁が含まれて軟らかいです。痩果は光沢がある黒色で、約3mm程。染色体数は、2n=24。

Japanese common name : Isimikawa
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Persicaria perfoliata (L.) H. Gross

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左:果実 右:葉と茎の棘

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左:三角形の葉(裏) 右:円形葉状の托葉鞘(裏)

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左:黒色の痩果が一部露出している 右:花後の状態


イシミカワ
タデ科イヌタデ属
学名:Persicaria perfoliata (L.) H.Gross
花期:7月~10月 1年草 草丈:100~200cm(蔓性) 花被片長:3~4mm

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【学名解説】
Persicaria : persica(モモ)に似ている/イヌタデ属
perfoliata : perfoliatus(貫生葉の・抱茎の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
H.Gross : Hugo Gross (1888-1968)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2006.11.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 30 November 2006
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by pianix | 2006-11-30 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ウナギツカミ(鰻攫)
 ウナギツカミ(鰻攫)は、タデ科イヌタデ属の1年草です。日本・朝鮮・中国・シベリアに分布します。国内では北海道から九州に分布します。名の由来は、茎に棘があり、ウナギ(鰻)でも掴む事ができるとの例えから。

 タデ科(Polygonaceae Juss. (1789))は北半球に約40属800種があります。タデ科の特徴は、葉柄の基部の托葉が茎を包む形の托葉鞘となる事です。イヌタデ属(Persicaria (L.) P.Miller, 1754)は北半球に約100種あり、日本には約30種があります。

 水湿地に生育します。茎は4稜(断面が四角形)があります。地を這い、分枝しながら茎や葉柄にある下向きの棘によって他の植物に引っ掛けながら成長し、高さ60~100cmになります。葉の付け根にある托葉鞘1)は、長さ0.7~1cmの筒形。葉は、互生します。長さ5cm~10cmの卵状披針形から長被針形で、先端は鋭頭、基部が耳状に張り出し茎を取り巻くような形の、やじり(矢尻|鏃)形です。せんけい(箭形)とも言います。

 花期は7月から11月頃。茎の先端や葉腋から枝分かれして、その先端に小花が数十個集まった頭状花序を出します。花柄は無毛。小花は花弁はなく、白色で先端が淡紅色の深く5裂した萼の花被があり、花径は3~4mm。果実は痩果です。染色体数は、2n=36。

 類似種に、
シロバナウナギツカミ(白花鰻攫)Persicaria sagittata (L.) H.Gross f. viridialba (Honda) H.Hara
ヤノネグサ(矢の根草)Persicaria muricata (Meisn.) Nemoto
があります。

1)托葉鞘(たくようしょう、ochrea):托葉が癒合して鞘状となり茎を取り巻くもの。
托葉(たくよう、stipule):葉の基部ある葉に似た器官で、芽生えの葉身を保護する。
葉鞘(ようしょう、leaf sheath):葉の基部で茎を取り巻いている部分。

Japanese common name : unagi-tukami
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Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe

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左:葉は矢じり形 右:下向きの棘


ウナギツカミ(鰻攫)
別名:アキノウナギツカミ(秋の鰻攫)
タデ科イヌタデ属
学名:Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe
synonym : Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki
花期:7月~11月 1年草 草丈:60~100cm 花被長:3mm

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【学名解説】
Persicaria : persica(モモ)に似ている/タデ科
sagittata : sagittatus(ヤジリ形の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
H.Gross : Hugo Gross (1888-1968)
var. : varietas(変種)
sibirica : sibiricus(シベリアの)
Meisn. : Carl Daniel Friedrich Meisner (1800-1874)
Miyabe : 宮部金吾 Kingo Miyabe (1860-1951)
---
*synonym : Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki
sieboldii : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)に因む
Ohki : 大木麟一 Kiichi Ohki (1882-?)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.00km 左岸河川敷 2006.11.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 November 2006
Last modified: 05 March 2015 (Scientific name update)
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by pianix | 2006-11-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ザクロソウ(柘榴草)
 ザクロソウ(柘榴草)は、ザクロソウ科ザクロソウ属の1年草です。日本、朝鮮、中国、インドの東アジや南アジアの熱帯・温帯に分布します。国内では、本州・四国・九州・沖縄に分布する在来種(稲栽培に伴う史前帰化植物)です。名の由来は、葉や果実がザクロ(柘榴)に似ている事から。中国名は、粟米草(sumicao)。

 ザクロソウ科(Molluginaceae Bartl. (1825))は、ツルナ科の子房上位のものを独立させた科で、日本には1属1種が自生し、1種が帰化しています。ザクロソウ属(Mollugo L. (1753))は、日本には本種の他、帰化植物のクルマバザクロソウが分布します。

 茎は毛が無く、多数に分枝して、高さ10~25cmになります。茎の下部に付く葉は3~5個ずつ偽輪生します。偽輪生とは、葉の付き方が互生でありながら、節の間が詰まる事により、対生や輪生のように見える葉序の事です。上部では対生します。葉の形状は披針形から線状披針形で、長さ1~3cm、幅3~7mm。肉厚で光沢があり、全縁で葉柄はほとんどありません。

 花期は7月から10月頃。茎頂に、まばらな集散花序をつけます。花柄は2~6mm。花は径約3mmで、花弁が無く白緑色の萼片5個があります。萼片は楕円形で先端が丸まります。雄しべは3~5本あり、中央の子房から花柱3個を出します。子房上位。花後は項垂(うなだ)れます。果実は蒴果で、径約2mmの楕円形から円形で暗紅色、種子は約0.5mmの球形で点状突起があります。中国では腹痛や下痢治療の民間薬としてとして用います。

 近似種に、熱帯アメリカ原産の帰化植物で、葉が4~7個ずつ偽輪生し、花が葉腋に束生するクルマバザクロソウ(車葉柘榴草)Mollugo verticillata L.があります。

Japanese common name : Zakuro-sou
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Mollugo stricta L.

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左:草丈は10~25cm 右:偽輪生する葉
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花径は約3mm。花被片5、雄しべ3~5、花柱3


ザクロソウ(柘榴草)
ザクロソウ科ザクロソウ属
学名:Mollugo stricta L.
synonym : Mollugo pentaphylla L.
花期:7月~10月 1年草 草丈:10~25cm 花冠径:約3mm

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【学名解説】
Mollugo : Galium Mollugoの古名を転用/ザクロソウ属
stricta : strictus(硬い、剛直の、直立の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
synonym : (シノニム) 同意語、異名
pentaphylla : pentaphyllus(五葉の)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.10.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 November 2006
Last modified: 22 July 2015 (Scientific name update)
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by pianix | 2006-11-24 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ツチイナゴ(土稲子/土蝗)
 おじさん、こんにちは。遊びに来たよ。僕がおじさんと夏に会った時、まだ幼虫だったけど、ようやく大人になったよ。大人になったら遊びにおいでと言われたけど、おじさんち、ぼろ屋だね。大きなクズの葉っぱがなくて、こんな小さなフジの葉しかないじゃん。掴みにくくてしょうがない。僕の家は大きなクズの葉だぞ。

 えっ? おじさんちはこの葉っぱじゃないのか。泣き虫イナゴなんて悪口言ったので、お返しだよ。僕たちの目は複眼だけど、その下に黒い筋があるので泣いているように見えるのかな。毛深いって? そりゃあ、日本に住む僕たちは毛深いけど、南に住むタイワンツチイナゴは毛深くないよ。僕たちは、このまま越冬しなくちゃあならないから、毛深い方が良いんだよ。他のバッタ君達は卵で越冬するからつまらないぞ。冬はね、枯れ草の中で春を待つんだ。6月頃まで生きられるかもしれない。だから夏は子供ばかりなんだ。

 名前が格好良いだろう。パタンガ・ヤポーニカ! 日本のイナゴ。japonicaは日本の事だけど、どっこい僕らの仲間は、中国やインドにまでいるんだ。日本ではツチイナゴと呼ばれているけど、土色をしたイナゴで、そのまんまじゃん。おじさんはこれから葉っぱの観察に出かけるんだね。来年の僕たちの子供とも遊んでやってね。じゃあね。

参考:夏に出会ったツチイナゴのこども

Japanese common name : Tuti-inago
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Patanga japonica (Bolivar, 1898)
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ツチイナゴ(土稲子/土蝗)
バッタ目(直翅目)イナゴ科ツチイナゴ亜科ツチイナゴ属
学名:Patanga japonica (Bolivar, 1898)

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体長:♂50~55mm/♀50~70mm
出現期:3~7月/10~11月
分布:本州・四国・九州・沖縄
食草:クズの葉、カナムグラ

撮影地:静岡県静岡市
自宅 2006.11.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 November 2006
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by pianix | 2006-11-23 00:00 | | Trackback | Comments(2)
チカラシバ(力芝)
 チカラシバ(力芝)は、東アジアが原産です。オーストラリア、北アメリカには帰化しています。日本では、北海道から沖縄までの全土に分布します。根の由来は、根が張って引き抜く時に力がいる事から。別名のミチシバ(路芝)は、道端に生える事から。英名は、Chinese fountain grass。中国名は、狼尾草。

 イネ科(Gramineae Juss. (1789))は、世界のほぼ全域に約600属10000種が分布します。チカラシバ属(Pennisetum L.C.Richard ex Persoon, 1805)は、熱帯と亜熱帯を中心に約130種が分布します。

 根茎が発達して叢生し、株を形成します。茎は直立して、高さ50~80cmになります。扁平な葉鞘があります。葉は根生し、長さ30~70cm、幅4~7mmの線形で葉質は硬くざらつきます。花期は、8月~11月頃。軸の先に、長さ10~20cm、幅約2cmの円柱状花序を出します。小穂(しょうすい)は長さ7~8mmの披針形で、小花を2個付けます。2つの苞頴1)(ほうえい)があり、第1苞頴は退化して極小さく、第2苞頴は小穂の半分の長さで3~4mm。基部には総苞片が変化した、暗紫色で長さ1~3cmの剛毛(芒=のぎ)があり、熟すと小穂と共に脱落します。花序下部に付く小花は雌しべが退化した雄しべ3個の雄花、花序上部の小花は両生花で結実します。染色体数は、2n=18。

 果実は、複数の心皮を持ち1つの種子を含む頴果(えいか|caryopsis)です。先端に剛毛があり、動物に取り付き散布されます。チカラシバの頴果は、発芽能力が高く、20~30℃での高温状態では、発芽率と発芽速度はきわめて大きくなります。

 近縁種に、小穂基部の剛毛が淡緑色であるアオチカラシバ(青力芝)Pennisetum alopeculoides f. viridescens (Miq.) Ohwi、赤味を帯びたベニチカラシバ(紅力芝)Pennisetum alopeculoides f. erythrochaetum Ohwi、があります。《f.:forma(品種)》

 1)苞頴(ほうえい)sterile glume:雌しべや雄しべを覆っているものを頴(えい)glumeと言う。イネ科では、基部から順に第1苞頴、第2苞頴の一対がある。

Japanese common name : Tikara-siba
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Pennisetum alopeculoides (L.) Spreng.

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左:全体 右:根 2006.10.13
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アオチカラシバ(青力芝)
Pennisetum alopeculoides f. viridescens (Miq.) Ohwi


チカラシバ(力芝)
別名:ミチシバ(路芝)
イネ科チカラシバ属
学名:Pennisetum alopeculoides (L.) Spreng.
花期:8月~11月 多年草 草丈:50~80cm 花穂長:10cm~20cm 小穂長:7~8mm

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【学名解説】
Pennisetum : penna(羽毛)+seta(刺毛)/チカラシバ属
alopeculoides : Alopecurus(alopex(狐)+oura(尾))+oides(類する)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Spreng : Christian Konrad (Conrad) Sprengel (1750-1816)
---
f. : forma(品種)
viridescens : 淡緑色の
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
Ohwi : 大井次三郎 Jisaburo Ohwi (1905-1977)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km左岸河川敷 2006.09.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

22 November 2006
Last modified: 07 October 2010
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by pianix | 2006-11-22 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ヒキオコシ(引起こし)
 ヒキオコシ(引起こし)は、シソ科ヤマハッカ属の多年草です。日本や朝鮮半島に分布します。日本では、北海道西南部から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、この汁を飲ませると胃痛の病人を引き起こせるとの言い伝えからで、別名のエンメイソウ(延命草)も同様です。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。ヤマハッカ属(Isodon (Schrader ex Bentham) Spach, 1840)は、日本、中国、ヒマラヤ、東南アジアにかけて96種が分布します。Plectranthus*)やRabdosiaの属名が使われる事があります。

 地下茎があり、直立し、高さ50~100cmになります。茎は4稜(断面四角形)があり、下向きの毛があります。葉は対生します。長さ5~15cm、幅3.5~7cmの広卵形で、鋸歯があり、葉脈上に短毛があります。先端は鋭頭。葉柄は翼があり1~5cm。

 花期は9月から10月。枝先や葉腋から5~20cmの円錐花序を出し、白色で淡青紫色を帯びた唇形花をつけます。花冠の長さは5~7mm。上唇は4裂して立ち上がり、紫色の斑点があり約2mm。下唇は浅く2裂した舟形で約3mmです。萼は5裂し、灰白色の短毛が密生します。雄しべは4本で、二強雄しべ。果実は堅果で長さ約1.5mmの小斑点がある楕円形です。

 茎葉を乾燥させたものを、生薬エンメイソウ(延命草)として、消化不良、食欲不振、腹痛などの緩和に用いられます。ジテルベン系苦味成分であるenmein、nodosin、oridoninが含まれます。

Japanese common name : hikiokoshi
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Isodon japonicus (Burm. f.) H. Hara
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花冠の長さは5~7mm
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左:高さは50~100cm 右:葉は対生し広卵形


ヒキオコシ(引起こし)
別名:エンメイソウ(延命草)
シソ科ヤマハッカ属
学名:Isodon japonicus (Burm. f.) H. Hara
花期:9~10月 多年草 草丈:50~100cm 花冠長:5~7mm

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【学名解説】
Isodon : iso(等)+dons(歯)/ヤマハッカ属
japonicus : 日本の[japonicus(男性)/japonica(女性)/japonicum(中性)]
Burm. f. : Nicolaas Laurens Burman (1734-1793)
H. Hara : 原 寛 Hara Hiroshi (1911-1986)
---
Plectranthus : plectron(距)+ anthos(花)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.10.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

21 November 2006
Last modified: 23 October 2010
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by pianix | 2006-11-21 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ヤマハッカ(山薄荷)
 ヤマハッカ(山薄荷)は、シソ科ヤマハッカ属の多年草です。日本・朝鮮・中国に分布します。日本では、北海道から九州までに分布する在来種です。名の由来は、山に生えハッカに似る事から。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。ヤマハッカ属(Isodon (Schrader ex Bentham) Spach, 1840)は、日本、中国、ヒマラヤ、東南アジアにかけて96種が分布します。Plectranthus[*]やRabdosiaの属名が使われる事があります。

 地下茎は木質化します。茎は4稜(断面四角形)があり、下向きの毛があります。上部で分枝して、高さ60cm~90cmになります。葉は対生します。広卵形で、長さ3~6cm、幅2~4cm。縁は鈍鋸歯、先端は鋭頭から鈍頭です。葉脈に毛があり、葉柄は0.5~3cmで翼があります。

 花期は9月から10月。枝先に2~15cmの穂状花序を出し、青紫色の唇形花1)を数段につけます。花冠は長さ7~9mm。上唇弁2)は4裂して蜜標である紫色の斑紋があり、下唇弁3)は2裂して内側に巻き舟形になります。雄しべは4本で、その内2本が長い二強雄ずいです。雄しべと雌しべ(葯と柱頭)は共に下唇弁に包まれます。蜜を求めに来た虫が下唇弁に乗ると下がり、雄しべと雌しべが現れて花粉を付着させる構造です。子房は花筒の奥にあります。

 染色体数は2n=24。果実は子房が4分裂して十字に割れる分果(mericarp)で4個あり、球形です。名前に関わらず、ハッカの代用にはなりません。上唇に線状の斑点が無いのはイヌヤマハッカ Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara です。

[*]Plectranthus : plectron(距)+ anthos(花)
1)唇形花(しんけいか):合弁花冠の一種。花冠の先が唇状に上下に分かれている花。
2)上唇弁(じょうしんべん):上唇。唇形花の上部分
3)下唇弁(かしんべん):下唇。唇形花の下部分

Japanese common name : Yama-hakka
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Isodon inflexus (Thunb.) Kudô

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左:全体 右:葉は対生し、広卵形

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左:花冠 右:額
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2011.10.18 安倍城跡


ヤマハッカ(山薄荷)
シソ科ヤマハッカ属
学名:Isodon inflexus (Thunb.) Kudô
花期:9月~10月 多年草 草丈:60~90cm 花冠長:7~9mm

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【学名解説】
Isodon : iso(等)+dons(歯)/ヤマハッカ属
inflexa : inflexus(内曲した)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Kudô : 工藤祐舜 Yushun Kudo (1887-1932)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川水系 内牧川/上流 2006.10.18
安倍城跡 2011.10.18
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

17 November 2006
Last modified: 18 October 2011
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by pianix | 2006-11-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)
キヅタ(木蔦)
 キヅタ(木蔦)は、ウコギ科キヅタ属の常緑低木です。日本・朝鮮に分布します。日本では、北海道南部・本州・四国・九州・沖縄に分布します。名の由来は、木本の蔦であることから。別名のフユヅタ(冬蔦)は、冬にも常緑である事から。

 ウコギ科(Araliaceae Jussi. (1789))は、温帯から熱帯にかけて約50属700種が分布します。キヅタ属(Hedera L. (1753))は、ヨーロッパ、北アフリカ、アジアに分布します。日本には1属1種が自生します。

 茎から気根を出し、地表を這ったり樹木に付着して登ります。葉は互生し、光沢がある革質で全縁、長さ3~6cm、幅2~4cmの楕円形から菱状卵形で先端は鋭頭。若い枝に付く葉は、掌状に浅く3~5裂することもあり、形状の違いがあります。葉柄の長さ2~5cm。葉の付け根には黄褐色の鱗片毛があります。

 花期は、10月から12月頃。散形の花序を出し、10~13個の両生花を付けます。花径は4~5mm、花被片は5枚で黄緑色。雄しべは5本。同じ長さの花柄が放射状に出るので、花序は半球状に見えます。果実は核果です。紫黒色の球状で、径6~8mmです。染色体数は、2n=48。

 キヅタは、属名のヘデラ(Hedera)や、アイビ(Ivy)ーの呼び方があります。キヅタは日本に自生し、白覆輪の種類は栽培もされます。ヨーロッパに自生する種類のセイヨウキヅタ(西洋木蔦)Hedera helix L.は、英名がイングリッシュアイビー(English ivy)で、葉に黄色の中斑が入るゴールデンハート、白覆輪のグレーシア、白散斑のゴールドダストが主要な品種です。

 北アフリカのカナリー産であるカナリーキヅタHedera canariensis Willd.は、和名オカメヅタで、観葉植物として世界的に栽培され、コルシカ産のコルシカキヅタHedera colchica (C. Koch) C. Kochは大葉の種類です。どの品種も丈夫で、挿し木で容易に繁殖できます。

Japanese common name : Ki-zuta
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Hedera rhombea (Miq.) Bean
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気根 (撮影地:安倍川/河口から12.50km左岸)

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左:11月の花被片が反り返った状態 (撮影地:静岡市牛妻/山道) 右:全体


キヅタ(木蔦)
別名:フユヅタ(冬蔦) 誤記:キズタ
ウコギ科キヅタ属
学名:Hedera rhombea (Miq.) Bean
花期10~12月 常緑低木(蔓性) 花序長:25~30mm 花径:4~5mm 果期:4~6月

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【学名解説】
Hedera : キヅタの古代ラテン名、ギリシャ語でhedra(座)/キヅタ属
rhombea : rhombeus(菱形の)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
Bean : William Jackson Bean (1863-1947)

撮影地:静岡県静岡市
葵区追手町 2006.10.13
安倍川/河口から12.50km左岸
葵区牛妻
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 16 November 2006
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by pianix | 2006-11-16 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ネナシカズラ(根無葛)
 ネナシカズラ(根無葛)は、ヒルガオ科ネナシカズラ属の1年草の寄生植物です。日本、中国、韓国、ベトナムに分布し、アメリカ南部に帰化しています。国内では、全国に分布する在来種です。名の由来は、根が無く伸びる蔓性の植物である事から。カズラ(葛)は蔓性植物の総称。英名は、Japanese dodder。

 ヒルガオ科(Convolvulaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜熱帯に約58属1650種が分布し、日本には4属があります。ネナシカズラの仲間は、寄生生活をし、胚は無子葉で螺旋状に巻く等の特殊性がある事から、ネナシカズラ科として独立させる事もあります。ネナシカズラ属(Cuscuta L. (1753))は、世界に約170種があり、日本には4種(ネナシカズラ、ハマネナシカズラ1)、クシロネナシカズラ2)、マメダオシ3))が自生します。

 種子の発芽後は、空気中の化学物質の臭いを頼りに宿主を見つけ蔓を伸ばします。他の植物(宿主|寄主)4)に巻き付き、寄生根を差し込んで養分を吸収し始めると主根は枯れていきます。寄生根(parasitic root)の形態には、ハマウツボ型(Orobanche type)、ヤドリギ型(Viscum type)、シオガマギク型(Pedicularis type)があり、この吸盤状の寄生根を、ネナシカズラ型(Cuscuta type)と分類します。

 寄生植物には、光合成を行い炭水化物を合成する事ができる「半寄生植物」と、光合成を行わない「全寄生植物」とがあります。ネナシカズラは全寄生植物で、宿主の栄養を頼りに成長します。宿主が枯れれば栄養を絶たれて死滅します。

 日当たりのよい山野(垂直分布は低地から1000m位まで)に自生します。茎は黄緑色で紫色の斑点があり、径0.5~2.5mm。葉は退化した鱗片状で先端が3裂し、互生します。花期は8月から10月頃で、0.8~2cmの短い穂状花序を出し、白色の小鐘形筒状花を付けます。花冠は長さ約4mmで、先端が5裂します。

 雄しべは5個で長さ約1mm、花柱は1個で柱頭は2裂し、長さ約1.5mm。因みにアメリカネナシカズラ5)、ハマネナシカズラ、マメダオシは花柱が2個あります。萼は5裂片が重なり合い長さ1~1.5mm、点状の突起があります。

 果実は蒴果です。卵形で径4~5mm。熟すと上部の蓋が取れて種子を散布します。種子は黒色で2.5~3mm。種子を煎じたものをトシシ(莵絲子)と言い、強壮薬として使われます。種子で越冬します。染色体数は、2n=28,56。

1) ハマネナシカズラ(浜根無葛)Cuscuta chinensis Lam. 
2) クシロネナシカズラ(釧路根無蔓)Cuscuta europaea L.
3) マメダオシ(豆倒し)Cuscuta australis R.Br.
4) 宿主(しゅくしゅ)・寄主(きしゅ)(host):寄生生物が寄生する相手の生物
5) アメリカネナシカズラ(亜米利加根無葛)Cuscuta campestris Yuncker

Japanese common name : Nenasi-kazura
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Cuscuta japonica Choisy

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左:花冠の先端が5裂した筒状花。 右:花冠側面。

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左:果実は蒴果で4~5mm。 右:茎。

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花冠径は約4mm。雄しべ5、花柱1個で柱頭は2裂する。


ネナシカズラ(根無葛)
学名:Cuscuta japonica Choisy
ヒルガオ科ネナシカズラ属
花期:8月~10月 1年草(寄生植物) 草丈:蔓性 花冠径:4mm

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【学名解説】
Cuscuta : kassyein(絡み付く、巻き込まれる)/ネナシカズラ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Choisy : Jacques Denys (Denis) Choisy (1799-1859)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.0km右岸 2006.10.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

11 November 2006
Last modified: 22 September 2015
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by pianix | 2006-11-11 00:00 | | Trackback | Comments(3)
スズメウリ(雀瓜)
 スズメウリ(雀瓜)は、ウリ科スズメウリ属の1年草です。日本の本州・四国・九州と韓国の済州島(Cheju Isl.)に分布する在来種です。名の由来は、ウリ科カラスウリ属のカラスウリ(烏瓜)に対して小さい事から。カラスやスズメは個体の大きさを示す事に使われます。雀の卵に似ているからという異説もあります。

 ウリ科(Cucurbitaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜熱帯にかけて約87属800種があります。トウガン、スイカ、キュウリ、カボチャ、メロン、ヘチマ、ニガウリ等があります。科名は「カボチャ」の意味。スズメウリ属(Melothria L. (1753))のMeloはリンゴの語源が転じてメロンやウリの意味。最近、Zehneria (Endlicher, 1833)が使われ始めた。


 山野の、やや湿った所に自生します。茎は細く、蔓性で長く伸び、巻き鬚で他のものに絡みつきます。葉は互生します。柄があり、長さ3~6cm、幅4~8cmの卵円形から三角状卵心形で、基部は心臓形。浅く3裂する場合があります。葉質は薄く、縁は鋸歯状に浅く裂け、鋭頭。雌雄同株です。

 花期は8月から9月。雌花・雄花共に、葉腋から径5~7mmの淡黄色で深く5裂した花を単生します。枝先の雄花は総状花序に付く事があります。雄花の雄しべは3本で花托筒に合着します。雌花は蕾の時から楕円形の子房が目立ちます。子房下位。萼片は短い線形で5枚。

 果実は液果です。2~5cmの非常に細い柄があり、下垂します。球形か卵形で長さ1~2cm。初め緑色で、熟すと灰白色になります。種子は扁平で胚乳を欠き、長さ5~6mmで左右2列に並び、16個あります。蔓の先端が地中に潜り肥大した塊根を作って越冬することもあります。染色体数は、2n=22。

Japanese common name : Suzume-uri
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Zehneria japonica (Thunb.) H.Y.Liu

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果実は液果。若い実は緑で、熟すと灰白色になる


スズメウリ(雀瓜)
ウリ科スズメウリ属
学名:Zehneria japonica (Thunb.) H.Y.Liu
synonym : Melothria japonica (Thunb.) Maxim. ex Cogn.
花期:8月~9月 1年草 草丈:100~500cm(蔓性) 花径:5~10mm 実径:1~2cm

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【学名解説】
Zehneria : 植物画家 Joseph Zehner 氏の/スズメウリ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
H.Y.Liu : 劉和義 Ho-Yih Liu (1956- )
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Melothria : 白いブドウを指した古名/スズメウリ属
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
ex : ~より (代わりに発表)
Cogn. : Celestin Alfred Cogniaux (1841-1916)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.10.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

8 November 2006
Last modified: 1 June 2015
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by pianix | 2006-11-08 00:00 | | Trackback | Comments(2)