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早春の野草・その3
 安倍川(静岡市)の河川敷では、在来種のタンポポが優勢です。外来種のセイヨウタンポポはあまり多くはありません。花期にタンポポの群落が現れると、あたりが明るい様相に一変します。しかしながら、タンポポと一口に言っても、多くの種類があります。世界に約400種、日本に約22種あると言われています。ありふれたタンポポに見えますが、判別が大変難しいものの一つです。正確に特定しようとしたら染色体数等の分析が必要となります。なお、タンポポの頭花は舌状花の集合体です。

 ■トウカイタンポポ(東海蒲公英)は、在来種です。外総苞片が反り返らず、外総苞片の先端に著しい角状突起があります。外総苞片が内総苞片の2/3以上あるのが特徴です。染色体数は2n=2x=16。2倍体で、両性生殖します。

Japanese common name : Toukai-tanpopo
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Taraxacum platycarpum Dahlst. var. longeappendiculatum (Nakai) Morita
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トウカイタンポポ(東海蒲公英)
別名:ヒロハタンポポ(広葉蒲公英)
キク科タンポポ属
学名:Taraxacum platycarpum Dahlst. var. longeappendiculatum (Nakai) Morita
synonym : Taraxacum longeappendiculatum Nakai
花期:2月~5月 多年草 草丈:10~30cm 花径:35~45mm

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【学名解説】
Taraxacum : tharakhchakon(苦い草)の変形/タンポポ属
platycarpum : platycarpus(平ったい果の・大きな果実の)
Dahlst. : Hugo Gustav Adolf Dahlstedt (1856-1934)
var. : varietas(変種)
longeappendiculatum : longe(長い)+appendiculatus(附属物のある)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.75km 右岸河川敷 2007.01.15



 ■セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)は外来種です。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。外総苞片が反り返ります。染色体数は2n=3x=24。3倍体で無性生殖を行いますが、遺伝の攪乱によって複雑になっています。果実が赤味を帯びているものをアカミタンポポ(赤実蒲公英) Taraxacum laevigatum DC. と言います。

Japanese common name : Seiyou-tanpopo
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Taraxacum officinale Weber ex F.H.Wigg.
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(480x640/64kB)

セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)
キク科タンポポ属
学名:Taraxacum officinale Weber ex F.H.Wigg.
花期:4月~6月/9月~11月 多年草 草丈:30~40cm 花径:35~50mm

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【学名解説】
Taraxacum : tharakhchakon | talkh chakok(苦い草)の変形/タンポポ属
officinale : officinalis(薬用の・薬効のある)
Weber : Georg Heinrich Weber (1752-1828)
ex : ~による
F.H.Wigg. : Friedrich Heinrich Wiggers (1746-1811)

撮影地:静岡県静岡市
葵区羽鳥 2007.01.25



 ■次のタンポポは、交雑種と思われます。葉緑体DNAが在来種の場合の雑種は、3倍体雑種(2n=3x=24)、4倍体雑種(2n=4x=32)、雄核単為生殖雑種(2n=3x=24)があります。

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Taraxacum spp.


撮影地:静岡県静岡市
駿河区谷田 2006.12.21

Last modified: 30 January 2007
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by pianix | 2007-01-30 00:00 | | Trackback | Comments(2)
早春の野草・その2
 ■全て4月以降が花期ですが、キク科の野草は元気です。ノゲシ(野芥子)は、オニノゲシ(鬼野芥子)と異なり葉が柔らかです。生育は地質に影響されるようで、畑に生えたものは草丈が2m程もありました。

Japanese common name : Nogesi
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Sonchus oleraceus L.
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ノゲシ(野芥子)
別名:ハルノノゲシ(春の野芥子)
キク科ノゲシ属
学名:Sonchus oleraceus L.
花期:4月~8月 2年草(越年草) 草丈:50~100cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Sonchus : アザミなどを一括したギリシャ古名/ノゲシ属
oleraceus : 食用蔬菜の・畑に栽培の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.50km 左岸土手 2007.01.18



 ■コウゾリナ(髪剃菜)は、気温が低くなると茎が暗褐色になります。ざらついた茎の棘は、よりはっきりとして、総苞は黒っぽく見えます。土手にたくさん咲きますが、初冬に草刈りされてしまいます。その後、切られた茎から逞しく成長して花を付けるものが多くあります。

Japanese common name : Kouzori-na
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Picris hieracioides L. subsp. japonica (Thunb.) Krylov
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痩果


コウゾリナ(髪剃菜)
別名:剃刀菜(カミソリナ)
キク科コウゾリナ属
学名:Picris hieracioides L. subsp. japonica (Thunb.) Krylov
花期:5月~10月 2年草 草丈:30~100cm 花径:20~25mm

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【学名解説】
Picris : picros(苦い)/コウゾリナ属
hieracioides : Hieracium(ミヤマコウゾリナ属)+oides(似た)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Krylov : Porphyry Nikitic Krylov (1850-1931)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.25km 左岸土手 2007.01.18



 ■オオジシバリ(大地縛)は、ジシバリ(地縛)よりも大型である事から名が付けられています。頭花の大きさは、ジシバリが20~25mmで、オオジシバリは25~30mmです。一番の違いは葉の形状です。ジシバリが卵円形から広卵形の丸みを帯びた葉であるのに対し、オオジシバリは倒披針形からヘラ状楕円形と細長く、羽状の切れ込みが見られるものがあります。花柱の先端が丸く巻いているのは、他家受粉できなかった為に同花受粉したからです。

Japanese common name : Oo-zisibari
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Ixeris debilis A.Gray

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左:頭花 右:萼
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花柱の先端が丸く巻いているのは、他家受粉できなかった為に同花受粉したから。


オオジシバリ(大地縛)
別名:ツルニガナ(蔓苦菜)
キク科ニガナ属
学名:Ixeris debilis A.Gray
花期:4月~6月 多年草 草丈:10~30cm 花径:25~30mm

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【学名解説】
Ixeris : 語源不明/ニガナ属
debilis : 弱小な・軟弱な・脆弱な
A.Gray : Asa Gray (1810-1888)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/久住谷川 2007.01.25

Last modified: 27 January 2007
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by pianix | 2007-01-27 00:00 | | Trackback | Comments(4)
早春の野草・その1
 寒々とした河川敷は枯れ草で茶色に見えます。そして、そこには何も無いように見えます。しかし、近づいて観察すると幾つかの花が咲いている事に気が付きます。

 ■昨年から咲いている、お馴染みのホトケノザ(仏の座)。例年より1ヶ月ほど早く咲き始めたようです。暖冬の影響でしょうか。農家の方も、花期はあてにならなくなったと嘆いています。

Japanese common name : Hotoke-no-za
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Lamium amplexicaule L.

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右は、閉鎖花(240x320/11kB)

ホトケノザ(仏の座)
別名:サンガイグサ(三階草)
シソ科オドリコソウ属
学名:Lamium amplexicaule L.
花期:3月~6月 2年草(越年草) 草丈:10~30cm 花冠長:8~15mm

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【学名解説】
Lamium : イラクサ様植物の古代ラテン名|laipos(喉)/オドリコソウ属
amplexicaule : amplexicaulis(茎を抱く)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2007.01.12



 ■ホトケノザに良く似た、ヒメオドリコソウ(姫踊子草)も咲いています。この近くにはコハコベ(小繁縷)の群生が広がっていました。

Japanese common name : Hime-odoriko-sou
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Lamium purpureum L.

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左:(480x640/25kB) 右:(240x320/13kB)

ヒメオドリコソウ(姫踊子草)
シソ科オドリコソウ属
学名:Lamium purpureum L.
花期:4月~6月 越年草 草丈:15~25cm 花冠長:1cm

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【学名解説】
Lamium : イラクサ様植物の古代ラテン名|laipos(喉)/オドリコソウ属
purpureum : purpureus(紫色の)
L. : Carl von Linne(1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2007.01.12



 ■土手斜面や河川敷には、スイセン(水仙)も咲いています。夕日に照らされたスイセンは、和やかな雰囲気でした。植栽が元になっているとしたら、野草の範疇ではないのかもしれません。

※ニラ(韮)と混同した誤食事故が毎年のように起きています。ご注意下さい。

Japanese common name : Suisen
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Narcissus tazetta L. var. chinensis M.Roem.
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(480x640/50kB)

スイセン(水仙)
別名:ニホンズイセン(日本水仙)/セッチュウカ(雪中花)
ヒガンバナ科スイセン属
学名:Narcissus tazetta L. var. chinensis M.Roem.
花期:12月~4月 多年草(耐寒性球根) 花径:3~4cm 草丈:30~40cm

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【学名解説】
Narcissus : ギリシャ神話の美少年ナルキッソスに因む/スイセン属
tazetta : 小さいコーヒー茶碗
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
chinensis : 支那(中国)の
M.Roem. : Max Joseph Roemer (1791-1849)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.50km 右岸河川敷 2007.01.11

17 January 2007
Last modified: 12 March 12
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by pianix | 2007-01-17 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ハナユ(花柚)/ヤーコン(yacon)/ハヤトウリ(隼人瓜)
 新年にあたり、皆様のご健勝とご多幸をお祈り致します。
 本年もよろしくお願い致します。


 【写真の説明】
 手前左は、ハナユ(花柚)です。中国が原産の低木です。ユズ(柚子)の一種で、大きさはウンシュウミカン(温州蜜柑)ほどです。ミカン科ミカン属で、学名は、Citrus hanayu Hort. ex Shirai。我が家では、冬至に風呂へ入れました。

 手前右は、ヤーコン(yacon)です。キク科スマランサス(旧ポリムニア)属で、学名は、Smallanthus sonchifolius (Poeppig) H.Rob.。キクイモ(菊芋)に近縁です。4cm程のヒマワリのような黄色い小さな花を咲かせます。南アメリカ原産の多年草で、塊根を食用とします。フラクトオリゴ糖(fructo oligosaccharide)が多く含まれています。生食ができ、和物・炒物・揚物・煮物などに使われます。塊茎は繁殖に利用されます。1985(昭和60)年頃に移入されたと言われています。染色体数は、2n=58。

 中央奥は、ハヤトウリ(隼人瓜)です。別名はセンナリウリ(千成瓜)で、たくさんの実が収穫できる事から。中国名は佛手瓜(fe shou gua)で、縁起物として贈り物にされるそうです。原産地は熱帯アメリカで、1917(大正6)年に鹿児島に伝わり、そこから薩摩隼人に因んで名が付けられたとの事。ウリ科ハヤトウリ属で、学名はSechium edule (Jacq.) Sw.。雌雄同株の蔓性多年草で、種子は1個。漬物用途にすることが多いようです。

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【上】ハヤトウリ(隼人瓜)
【左】ハナユ(花柚)  【右】ヤーコン(yacon)

 提供:静岡県立大学薬用植物園

ハナユ(花柚)
ミカン科ミカン属
学名:Citrus hanayu Hort. ex Shirai

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【学名解説】
Citrus : kitron(箱)レモンの古名/ミカン属
hanayu : ハナユ(花柚)
Hort. : 分類学者が種として発表することを可能とする制度(Hortulanorum)
ex : ~による
Shirai : 白井光太郎 Mitsutaro Shirai (1863-1932)

ヤーコン(yacon)
キク科スマランサス属
学名:Smallanthus sonchifolius (Poeppig) H.Rob.
synonym : Polymnia sonchifolia Poeppig

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【学名解説】
Smallanthus : Small(John Kunkel Small (1869-1938))+anthus(花)/スマランサス属
sonchifolius : ハチジョウナ属(Sonchus)のような葉(folius)の
Poeppig : Eduard Friedrich Poeppig (1798-1868)
H.Rob. : Harold E. Robinson (1932-)
---
Polymnia : polys(多い)+Mnium苔類(mnoos(柔らかくする))|ギリシャ神話の女神/ポリムニア属
sonchifolia : ハチジョウナ属(Sonchus)のような葉(folius)の

ハヤトウリ(隼人瓜)
ウリ科ハヤトウリ属
学名:Sechium edule (Jacq.) Sw.

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【学名解説】
Sechium : sekos(垣根・囲い)/ハヤトウリ属
edule : edulis(食用の)
Jacq. : Nicolaus Joseph Baron von Jacquin (1727-1817)
Sw. : Olof Peter Swartz (1760-1818)

撮影地:静岡県静岡市
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

3 January 2007, 13 March 2015
Last modified: 19 October 2015
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by pianix | 2007-01-03 00:00 | 雑記 | Trackback | Comments(4)