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セイヨウアブラナ(西洋油菜)
 セイヨウアブラナ(西洋油菜)は、アブラナ科アブラナ属の1年草です。北ヨーロッパからシベリアにかけてが原産の帰化植物です。明治初期に栽培目的で導入され、逸出して野生化しました。日本全国に分布します。名の由来は、ヨーロッパから導入したアブラナから。アブラナは、油を取る菜であることから。別名はヨウシュナタネ(洋種菜種)。ナタネ(菜種)は、本来はアブラナの種子を指します。英名は、rape colza。

 アブラナ属全般をナノハナ(菜の花)と呼ぶ場合があります。双子葉綱ケシ目のアブラナ科(Cruciferae Juss. (1789))は、世界の温帯を中心に約370属4000種が知られています。日本には100種以上があります。科名は十字架を意味し、4弁の十字状の花を付ける事に由来します。以前は十字花科とされていました。アブラナ属(Brassica L. (1753))は、地中海周辺から中央アジアアジアが原産と考えられています。この属には、キャベツ・カリフラワー・ハクサイ・カブ等の野菜類が多くあります。

 草丈は50~100cmになります。茎や葉には蝋質の白粉があり水を弾きます。葉は柄が無く茎を抱きます。下葉の葉脈上には剛毛があります。茎は無毛の白緑色で直立し、総状花序を付けます。下から順に咲く無限花序です。(上から下へと咲くのは有限花序)。花弁は黄色で長さ10~18mm。4枚が十字状につきます。萼片は斜めに立ちます。雄しべは6本あり、4本が長く2本は短い4強雄しべ(4長雄しべ)です。蕾の時は内向きで、開花時に外向きになります。雄しべ1本に花粉袋2個が付き、熟すと縦に割れ、袋が裏返しになって花粉を出します。子房上位で、子房の下には緑色の蜜腺が4個あります。

 果実は長さ5~10cmの長角果(ちょうかくか)です。2部屋に分かれ、熟すと下から2裂します。長さ10cm程の長角果にある種子は、1部屋に10~15粒あります。種子は黒褐色で黒種と呼ばれます。直径は約1mmで重量は約4mg。15度以上で発芽します。種子を搾ったのが菜種油で、含油量は約40%。染色体数は、複二倍体(amphidiploid)である、2n=4x=38。類似種に、日本在来種のアブラナ(油菜)Brassica campestris L.があり、萼片は開出し、種子は褐色で赤種と呼ばれます。

 遺伝子組換えナタネ種子が1997年から輸入され流通しています。これが逸出して、2003年頃から港などでの自生が確認されています。アブラナ科植物は交雑しやすい性質があり、交配による遺伝子攪乱の危険性が指摘されています。

Japanese common name : Seiyou-aburana
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Brassica napus L.

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左:花冠 右:子房の下の蜜腺は緑色で4個ある

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右:葉の基部は茎を抱く 左:果実は長角果


セイヨウアブラナ(西洋油菜)
別名:ヨウシュナタネ(洋種菜種)
アブラナ科アブラナ属
学名:Brassica napus L.
花期:3月~5月 1年草(越年草) 草丈:50~100cm 花径:約2cm

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【学名解説】
Brassica : キャベツの古いラテン語/アブラナ属
napus : カブラ(蕪)のラテン名
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
藁科川(安倍川水系) 河口から1.5km/左岸 2007.01.31
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 March 2007
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by pianix | 2007-03-21 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ツバメシジミ(燕小灰蝶)
 ツバメシジミ(燕小灰蝶)は、北海道・本州・四国・九州に広く分布するシジミチョウ科の小型の蝶です。明るい平地の草地に生息します。名の由来は、後翅にある糸状の尾状突起形状をツバメの尾羽に例えたシジミチョウの意味から。英名は、Short-Tailed Blue。全体に白色である印象がありますが、翅を広げると全く異なった模様になり、その変化の大きさが特徴の一つです。成虫の出現期は3月~10月で、年4~5回の羽化があります。食草は、マメ科植物です。

 シジミチョウ科(Lycaenidae)は、世界中に分布し約5500種を抱える、鱗翅目の中で最大の科です。6000種類を数え、チョウ全体の4割を占めると言われています。日本には約80種類が分布します。この仲間の主な特徴は、小形で、後翅に糸状尾状突起を持つ種類が多い事、翅の表と裏では全く違う模様を持つものが多い事、幼虫はワラジムシ型で、雄の前脚は、やや退化している事が挙げられます。この科は、9亜科に分類されます。日本に生息するものは、ウラギンシジミ亜科・カニアシシジミ亜科・ベニシジミ亜科・ヒメシジミ亜科・ミドリシジミ亜科の5亜科です。ヒメシジミ亜科(Polyommatinae)は、アフリカ、ユーラシア大陸、オーストラリア等に広く分布します。

 チョウの体は、頭部・胸部・腹部に分けられます。翅は前翅・後翅の2対4枚あります。ツバメシジミの翅の表はオスが青紫色、メスが暗褐色です。後翅裏面は灰白色で、橙色の紋と黒斑があります。後翅に糸状の尾状突起があります。雌の場合、春型と夏型があります。大きさは、前翅長9~19mm、開張20~30mm。前翅長とは、前翅の基部から翅端までの直線距離を言います。開張は、前翅を広げた左右の翅端間の事です。

 目は黒色の複眼で、2個あります。チョウの触角には、紡錘状・棍棒状・鉤状・球管状があります。ツバメシジミの触角は棍棒状で2本あり、白黒の帯状模様があります。鼻に相当する下唇髭(かしんしゅ)=パルピ(Pulpi)は上向きに反っています。脚は胸部に前脚・中脚・後脚の3対6本があります。脚の作りは、根本から基節(きせつ)・転節(てんせつ)・腿節(たいせつ)・脛節(けいせつ)・付節(ふせつ)・爪から成っています。

 卵・幼虫・蛹・成虫の成長過程を経る、完全変態をします。卵は白色の円形で小さな突起があります。幼虫は緑色のワラジムシ型です。蛹の形態は、垂蛹(すいよう)と、帯蛹(たいよう)に大別されます。垂蛹は尻尾部分で垂れ下がり、帯蛹は胸に帯糸(たいし)をつけて体を上向きにします。ツバメシジミは、帯蛹型です。幼虫で越冬します。

 類似種として、本州(和歌山県)、四国、九州(全県)に分布するタイワンツバメシジミ(台湾燕小灰蝶)Everes lacturnus kawaii Matsumura, 1926があり、こちらは絶滅危惧I類の希少種で、出現期が8~10月です。混同しやすいのは、ルリシジミ(瑠璃小灰蝶)Cerastrina argiolus ladonides (de l'Orza, 1869)です。

Japanese common name : Tubame-sijimi
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Everes argiades hellotia (Menetries, 1857)

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左:春のツバメシジミは初々しい柔らかな雰囲気。 右:♀ パルピ(Pulpi)は上向き
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♀ メスの翅表は暗褐色

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♂オスの翅表は青紫色
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橙色紋付近の鱗片。動いているチョウのマクロ撮影は無謀…

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左:2006.06.29 右:2006.08.02


ツバメシジミ(燕小灰蝶)
チョウ目(鱗翅目)シジミチョウ科ヒメシジミ亜科ツバメシジミ属
学名:Everes argiades hellotia (Menetries, 1857)

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体長:(前翅長)9~19mm/(開張)20~30mm
出現期:3月~10月(年4~5回)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:マメ科植物(メドハギ・クサフジ・シロツメクサ・コマツナギ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.5km 左岸河川敷 2007.03.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 12 March 2007
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by pianix | 2007-03-12 00:00 | | Trackback | Comments(0)
早春の花木・その2
 桃の節句にウメ(梅)の掲載とは、少し変かもしれません。ご勘弁ください。

Japanese common name : Ume
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Armeniaca mume (Siebold et Zucc.) de Vriese

ウメ(梅)
バラ科アンズ属
学名:Armeniaca mume (Siebold et Zucc.) de Vriese
synonym : Prunus mume (Siebold) Siebold et Zucc.
花期:1月~2月 落葉高木 樹高:5~10m 花径:約25mm

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【学名解説】
Armeniaca : armeniacus(杏色の、赤みがかった黄色の)/アンズ属
mume : 日本語のウメ
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Zucc : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)
de Vriese : Willem Hendrik1 de Vriese (1806-1862)
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Prunus : plum(スモモ)に対するラテン古名/サクラ属

撮影地:静岡県静岡市
葵区羽鳥「洞慶院」(植栽) 2007.01.25



 カワヅザクラ(河津桜)は、オオシマザクラ(大島桜)とヒカンザクラ(緋寒桜)との自然交雑品種と言われている、早咲き品種のひとつです。※追記:静岡県伊豆で見出されたカワヅザクラよりも早咲きの「伊豆土肥」が2007年3月15日、種苗法に基づき農林水産省に品種登録されました。

Japanese common name : Kawazu-zakura
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Cerasus × lannesiana Carrière 'Kawazu-zakura'


カワヅザクラ(河津桜)
バラ科サクラ属
学名:Cerasus × lannesiana Carrière 'Kawazu-zakura'
Cerasus lannesiana Carrière, 1872 ‘Kawazu-zakura’
Prunus lannesiana Wils. cv. Kawazu-zakura
花期:2月~3月 落葉高木 樹高:3~10m 花径:25~35mm

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【学名解説】
Cerasus : 産地であるトルコのKerasos(現在のGiresun)地方名/サクラ属
x : 二種間交配種
lannesiana : Lannesianus(園芸家ラネスの)
Carrière : Elie Abel Carrière (1818-1896)
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Prunus : plum(スモモ)のラテン古名/スモモ属
Wils. : Ernest Henry Wilson (1876-1930)
cv. : cultivana varietas(園芸品種)
Kawazu-zakura : 河津桜

撮影地:静岡県静岡市
葵区西ヶ谷(植栽)2007.02.28



  ようやく今日のハナモモ(花桃)です。モモは桃色が普通ですが、園芸品種の「寒白」は白色です。

Japanese common name : hana-momo
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Prunus persica L.

ハナモモ(花桃)
バラ科スモモ属
学名:Prunus persica L.
synonym : Prunus persica (L.) Batsch
花期:3月~4月 落葉高木 樹高:120~700cm 花径:3~5cm 果期:7~9月

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【学名解説】
Prunus : plum(スモモ)のラテン古名/スモモ属
persica : persicus(ペルシャの)|原産地俗説の名残による
L. : Carl von Linne (1707-1778)
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Batsch : August Johann Georg Karl Batsch (1761-1802)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.25km 左岸河川敷 2007.02.28
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

3 March 2007, 24 March 2014
Last modified: 17 February 2015
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by pianix | 2007-03-03 00:00 | | Trackback | Comments(0)