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ホウチャクソウ(宝鐸草)
 ホウチャクソウ(宝鐸草)は、イヌサフラン科チゴユリ属の多年草です。朝鮮・中国・日本に分布し、国内では全国に分布します。名の由来は、花の形を宝鐸(ホウチャク)に例えたもの。宝鐸は、寺院の軒先四隅に吊される大型の鈴の事。

 イヌサフラン科(Colchicaceae DC. (1804))は、世界の温帯から熱帯に約18属250種があります。旧ユリ科(Liliaceae Juss. 1789)は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。チゴユリ属(Disporum R.A.Salisbury ex D.Don, 1825)は、アジアと北米に約15種が分布し、日本には4種1変種1)が自生します。

 山地の林内に自生します。匍匐枝を出して栄養繁殖します。若芽は有毒です。茎は30~50cmに直立し、上部で分枝して斜上します。葉は対生します。長さ5~15cm、幅1.5~4cmの長楕円形。光沢があり、全縁、鋭頭で、葉脈は3~5脈があり目立ちます。

 花期は4月から5月で、茎の先端の葉腋から短い柄を出して2~3個の筒状釣鐘形の花を下垂して付けます。花被片は花弁3枚と萼3枚の計6枚。倒披針形で長さ20~30mm、花径は15mm程です。花被片は合着せず、淡緑白色で、先端にかけて緑色が濃くなります。

 雄しべは6本あり葯袋は黄色、雌しべ花柱先端は3裂します。子房上位で、子房は3室あります。虫媒花。果実は1cm程の球状をした液果です。初めは緑色で熟すと黒くなります。褐色をした1~6個の種子があります。染色体数は2n=2x=16、2n=3x=24。

1)日本に自生するチゴユリ属は次の4種です。
チゴユリ(稚児百合)Disporum smilacinum A.Gray
オオチゴユリ(大稚児百合)Disporum viridescens (Maxim.) Nakai
キバナチゴユリ(黄花稚児百合)Disporum lutescens (Maxim.) Koidz.
ホウチャクソウ(宝鐸草)Disporum sessile D.Don ex Schult. et Schult.f.
また、ホウチャクソウの変種として、ナンゴクホウチャクソウ(南国宝鐸草)Disporum sessile D.Don ex Schult. et Schult.f. var. micranthum Hatus. ex M.N.Tamura et M.Hotta があります。

Japanese common name : Houchaku-sou
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Disporum sessile D.Don ex Schult. et Schult.f.

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葉は艶がある。花は下垂する

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左:雄しべは6本 右:花柱先端は3裂する

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左:花期終わり頃の花(4月26日) 右:果実は液果(6月11日)


ホウチャクソウ(宝鐸草)
イヌサフラン科チゴユリ属
学名:Disporum sessile D.Don ex Schult. et Schult.f.
花期:4月~5月 多年草 草丈:30~50cm 花冠長:2~3cm

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【学名解説】
Disporum : dis(二重の)+spora(種子)/チゴユリ属
sessile : sessilis(無柄の・無花茎の)
D.Don : David Don (1799-1841)
ex : ~による
Schult. : Josef (Joseph) August Schultes (1773-1831)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Schult. f. : Julius Hermann Schultes (1804-1840)
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Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
Salisbury : Richard Anthony (nee Markham) Salisbury (1761-1829)

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Sendai-yama, Alt.226m) 2007.04.03 - 2007.06.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 July 2007
Last modified: 8 August 2016
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by pianix | 2007-07-20 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤマトシリアゲ(大和尻上)
 ヤマトシリアゲ(大和尻上/大和挙尾)は、長翅目シリアゲムシ科の小昆虫です。国内では北海道から九州までに分布する日本固有種です。名の由来は、静止状態の時に尻尾を反り返している事から。英名は、スコーピオンフライ(Scorpionfly)。

 長翅目はシリアゲムシ目の事で、世界に約600種が分布し、日本には5属44種が分布します。シリアゲムシ科(Panorpidae L.)は世界に3属約362種、シリアゲムシ属(Panorpa C. Linnaeus, 1758)は約240種がいます。シリアゲムシ科の昆虫を総称してシリアゲムシ(挙尾虫)と呼んでいます。

 雑木林の縁などに生息します。体長は15~22mmで、光沢のある黒色か黄褐色をしています。体色や翅の斑紋には変化があります。細長い触覚2本があります。脚は6本で長く、黄褐色。口吻は長く伸びて特異な形状です。腐った物や小昆虫の体液、死骸などを吸います。清掃に一役買っていると言えます。翅は膜質で先端が丸みを帯び、前翅・後翅の計4枚があり同形です。前翅の長さは13~20mm。黒色の条紋が中央付近から翅端にかけて2筋あります。

 飛翔力は弱く、速度は遅めです。雄の尾端はサソリのような形状で丸まって立ち上がります。雌の尾端は反りますが丸まりません。先端に鋏(はさみ)状の付属器があり、交尾する時に雌を挟む役割をします。刺したりするものではありませんから危険はありません。

 年2回発生(1000m以上の高地では年1回)し、5月の発生が1化目、8月の発生が2化目です。1化目の成虫は黒色、2化目は黄褐色で鼈甲(べっこう)色に似ています。この事から2化目をベッコウシリアゲとし、別種として分類していた時期がありました。現在では同一種の季節型として扱われています。

 5月と8月に交尾期を迎えます。5月に産卵したものは8月に、9月に産卵したものは翌年5月に成虫となります。卵・幼虫・蛹・成虫を経る完全変態をします。土中に産卵します。卵の期間は約7日間です。土中で幼虫・蛹の時期を過ごします。終令幼虫(4令)で越冬します。

Japanese common name : Yamato-siriage
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Panorpa japonica Thunberg, 1784
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2化目のベッコウ色型ヤマトシリアゲ♂ 2007.10.23
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♀ 2014.06.09


ヤマトシリアゲ(大和尻上/大和挙尾)
長翅目シリアゲムシ科シリアゲムシ亜科
学名:Panorpa japonica Thunberg, 1784

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体長:15~22mm/(前翅長)13~20mm
分布:北海道・本州・四国・九州
出現期:5~9月(年2回)
食餌:小昆虫(死骸を含む)・植物

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Sendai-yama, 226m) 2007.05.08
安倍城跡(Alt. 435m) 2014.06.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

12 July 2007
Last modified: 12 June 2014
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by pianix | 2007-07-12 00:00 | | Trackback | Comments(0)