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ドクウツギ(毒空木)
 ドクウツギ(毒空木)は、ドクウツギ科ドクウツギ属の落葉低木です。近畿地方以北の本州と北海道に分布する日本固有の在来種です。日本三大毒草1)のひとつに数えられ、猛毒です。名の由来は、毒があり、幹が空洞であるウツギ(空木)に似ている事から。別名にイチロベエゴロシ(市郎兵衛殺し)やオニゴロシ(鬼殺し)等がありますが、いずれも有毒植物である事を表したものです。

 ドクウツギ科(Coriariaceae DC. (1824))は、ドクウツギ属(Coriaria L. (1753))の1属約30種があります。アジア、ニュージーランド、地中海、中南米等に隔離分布し、日本にはドクウツギの1種のみが分布します。

 日当たりの良い山野や川原に自生します。茎は褐色で、基部から分枝し、高さ100~200cm程になります。幹は丸く、下部で約2.5~3cm。小枝には4稜があり、新しい枝は赤みを帯びます。小枝の太さは約5mmで、先端は約1mm。葉は2列対生し15~18対が付きます。長楕円状披針形で長さ5~8cm、幅1~5cm、全縁、基部は丸く先端は尖ります。葉脈は3本で曲線を描く側脈があります。葉柄は1~5mmです。

 花期は4月から5月です。雌雄同株2)で、若い枝の付け根(葉腋)から黄緑色の単性花を総状花序に多数付けます。雄花の花序は約5cmで雄しべ10個があり、葯は黄色。雌花の花序は約10cmで雌しべ5個と子房5個があり、葯は赤色。萼片と花弁は共に5枚。

 果期は5月から8月頃です。果実は宿存萼3)に包まれた5個からなる痩果で、柱頭が先端に出ていて、初め赤く、熟すと黒紫色になります。果実の径は約7.5~8.6mm。種子は褐色で、長さ3.3~4.3mm、幅2mm程の半月状。動物被食散布 (endozoochory) されます。花被が被食部で、鳥などによって種子が散布されます。染色体数は、2n=40。

 全草が猛毒です。果実や種子には、速効性のあるコリアミルチン(coriamyrtin, C15H18O5, LD504)=1mg/kg)、ツチン(tutin)が含まれています。毒性を利用して、ネズミ取りやウジ殺しに使われた事がありました。果実は甘みがあり、低木である事から、子供のままごと遊びによる誤食事故がたびたび起き、その都度、駆除が行われてきました。誤食部位は、果実や若芽です。摂取経過は、嘔吐、痙攣、硬直、呼吸麻痺で、重篤の場合は死に至ります。危険ですから見付けても手を触れない事と、子供を近寄らせないように指導すべきです。しかし、すべての人に毒草の知識があるわけではないので、手が届きやすい場所に自生している場合は駆除等の対策が必要となります。

1) 日本三大毒草は、ドクウツギ(毒空木)、ドクゼリ(毒芹)、トリカブト(鳥兜)の強毒性である3種。
2) 雌雄同株(monoecism):一つの株に雌花と雄花が付く
3) 宿存萼(persistent calyx):花が終わっても母体から離れず残る萼
4) LD50 : 半数致死量(50% Lethal Dose)

Japanese common name : Doku-utugi
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Coriaria japonica A.Gray

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果実は初め赤く、熟すと黒紫色になる (2007.06.27)
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全体の様子 (2009.05.23)
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2007.04.14

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雌花花序 <2007.04.14> 雌花
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若い果実 (2009.05.23)
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葉序 葉は2列対生し15~18対 (2006.06.01)

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左:葉表側の枝は赤みを帯びる 右:葉裏 (2006.06.24)

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左:茎は褐色で、基部から分枝する 右:雄花

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左:果実の先端に柱頭が残る 右:種子は5個で褐色


ドクウツギ(毒空木)
別名:イチロベエゴロシ(市郎兵衛殺し)、オニゴロシ(鬼殺し)、ネズミゴロシ(鼠殺し)
ドクウツギ科ドクウツギ属
学名:Coriaria japonica A.Gray
花期:4~5月 落葉低木 樹高:100~200cm 花序:約5cm~10cm 果期:5~8月

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【学名解説】
Coriaria : corium(鞣皮ナメシガワ)に由来/ドクウツギ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
A.Gray : Asa Gray (1810-1888)
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DC. : Augustin Pyramus de Candolle (1778-1841)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
位置情報非公開 2006.06.24 - 2009.05.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

May 24, 2009
Last modified: 23 September 2016
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by pianix | 2009-05-24 00:00 | | Trackback | Comments(5)