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ユキノシタ(雪の下)
 ユキノシタ(雪の下)は、ユキノシタ科ユキノシタ属の多年草です。日本、中国に分布し、日本では本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、冬の雪下で枯れずに残るからとか、白い花を雪に見立てて下に葉があるから(牧野富太郎)等の諸説があります。中国名の虎耳草(こじそう)は、葉が虎の耳に似ている事から。

 ユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))は、世界に約110属、1200種が分布します。ユキノシタ属(Saxifraga L. (1753))は、北半球に約300種が分布し、日本には16種が分布します。日本固有種は6種1)があります。

 山地の半日陰や岩場などで自生します。また、民間薬や山菜として用いられてきた事もあり、植栽も多くみられます。紅紫色で糸状の長い匍匐枝2)を出し、栄養繁殖します。草丈は20~50cm。茎、葉、萼の全体に毛が密生しています。葉は根生します。腎円形で、浅い鋸歯があり、基部は心形で、長さ3~6cm、幅3~9cm。5~13cmの長い葉柄があります。アントシアン色素による赤味を帯びた緑色で、葉脈に沿って白色の筋があります。葉裏は赤紫色。

 花期は、5月から7月頃。花茎の先に円錐状集散花序をつけます。花は白色で、左右相称の離弁花です。花弁は5枚。上側3枚は卵形で先端が尖り、長さ3.5~5.5mm。紅色の斑点があり、基部には黄色の斑点があります。下側2枚は白色の披針形で、長さ12~20mm、幅4~8mm。花冠全体は、長さ20~28mm、幅15~25mm。萼は5裂し、腺毛があります。

 両性花です。雄しべは10本で、葯色は紅色。花弁に沿って放射状に平開し、やがて前方に立ち上がり花粉を放出します。その後、元の位置に戻ります。雌しべ花柱は2本。雄しべ基部に子房を覆う黄色の花盤(蜜腺)が半円状にあります。

 果実は蒴果です。先端が2裂した、くちばし状で長さ約4mm。種子は0.5mm程の広卵形で、細かい突起があります。染色体数は、2n=30(Ma et al.,1990)、2n=30,36,54。

 漢方薬として、乾燥葉を虎耳草(こじそう)として用います。民間薬として、解熱、鎮咳、消炎、解毒、利尿、止血等の広範囲に用いられてきました。主要成分は、硝酸カリウム(potassium nitrate)、塩化カリウム(potassium chloride)、ベルゲニン(Bergenin)。硝酸カリウムは毒性が強い食品添加物として知られています。山菜として、葉を天ぷらなどにします。

1)日本の固有種
エゾノクモマグサ(蝦夷の雲間草)Saxifraga nishidae Miyabe et Kudô
エチゼンダイモンジソウ(越前大文字草)Saxifraga acerifolia Wakabayashi et Satomi
ハルユキノシタ(春雪の下)Saxifraga nipponica Makino
フキユキノシタ(蕗雪の下)Micranthes japonica (H.Boissieu) S.Akiyama et H.Ohba
ジンジソウ(人字草)Saxifraga cortusaefolia Siebold et Zucc.
センダイソウ(仙台草)Saxifraga sendaica Maxim.

2)匍匐枝(ほふくし):主茎基部から地上近くを水平に這って伸びる茎で、植物体になる芽をつけるもの。栄養繁殖集合体を形成して栄養繁殖する。(匍匐茎:ほふくけい|stolon)。

Japanese common name : Yuki-no-sita
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Saxifraga stolonifera Curtis

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崖の法面に、驚くほど密生したユキノシタ。

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花中央に見える黄色の部分は花盤で、半円状につく。花茎や萼には毛が密生する。

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円錐状集散花序。葉は基部が心形の腎円形。
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雄しべ10本、雌しべ2本。半円状に付く黄色の花盤から蜜を出す。


ユキノシタ(雪の下)
学名:Saxifraga stolonifera Curtis
ユキノシタ科ユキノシタ属
花期:5月~7月 多年草 草丈:20~50cm 花冠長:20~28mm

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【学名解説】
Saxifraga : saxum(石)+ frangere(砕く)/ユキノシタ属
stolonifera : stolonifer(匍枝を持った)
Curtis : William Curtis (1746-1799)
---
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
葵区牧ヶ谷(Alt. 34m) 2008.05.27
高山(牛ヶ峰 Alt.716.9m) 2008.05.28
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

30 March 2012
Last modified: 20 November 2016
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by pianix | 2012-03-30 00:00 | | Trackback | Comments(4)
シマヘビ(縞蛇)
 シマヘビ(縞蛇)は、ナミヘビ科ナメラ属の蛇です。北海道、本州、四国、九州に分布する、日本固有種です。名の由来は、縞のあるヘビから。ヘビの仲間(ヘビ亜目)は世界に17科約3000種があると言われています。ナミヘビ(並蛇)科(Colubridae Oppel, 1811)は、南極以外の全大陸に分布します。約2000種があり、ヘビの仲間の約2/3を占めます。ナメラ(滑羅)属(Elaphe Fitzinger, 1833)は、北アメリカ大陸、ユーラシア大陸、インドネシア、日本、台湾に分布します。

 有鱗目1)です。日本に分布する蛇の内でアオダイショウに並んで、よく見かける普通種です。平地から山地に生息していますが、環境の変化で山地の分布が多くなったようです。昼行性です。全長は、80~150cmが普通で、200cmに達するものは一部地域に限られ希です。体鱗列数2)は19列。体色は黄褐色から褐色で、4本の黒褐色縦縞があります。これがこの蛇の名の由来です。眼が赤いのが特徴。腹の部分(腹板)は無模様で、白乳色や黄色です。色素の異常による色彩変異も多く、カラスヘビ(烏蛇)と呼ばれる眼も体色も黒色のものや、白色のアルビノ(Albino)変異体があります。

 カエルなどの小動物を餌にします。気は荒い方で攻撃的です。尾を振るわせて威嚇したり、咬みついてくる事があります。毒はありませんが噛まれたら消毒が必要です。繁殖は卵生です。4月から5月頃に交尾をして、7月から8月頃に白色で細長い卵を4~15個生みます。孵化は40~50日間程です。幼蛇は赤味を帯びた体色で赤褐色の横縞模様があります。シマヘビは在来5種中では最も高位の、平均体温と広い体温範囲を有します3)。12月頃に冬眠に入り、3月頃に目覚めます。野生での寿命は約8年とされています。染色体数は、2n=36。

★  ★  ★

 啓蟄の翌日に、山地で2種類のヘビに遭遇しました。気温が上がった日でした。蕗の花にハナアブがいたのを見て、確かに啓蟄だと感じたばかりでした。シマヘビは、ヘビの仲間では春先に一番早く現れるとの事です。冬眠から目覚めて気が荒立っている時期なのでしょうか。カメラを構えただけで、とぐろを巻いて飛びつく動作を何回もしました。ヘビどころか生きもの全般が苦手な私は、早く逃げてくれないかなと願いつつ、今しばらくポーズをとってもらい撮影したいという複雑な思いでした。眼の後ろにある黒色の筋模様はアオダイショウとも似ていますが、眼が赤い事で見分ける事ができます。

1) 有鱗目(ゆうりんもく|Squamata):鱗がある爬虫類で、トカゲやヘビの仲間の総称。
2) 体鱗列数(たいりんれつすう):主に胴の中央部付近で計測した鱗(うろこ)の数で、種の同定に使われる。
3) Body Temperatures of Snakes in the Fields 3. Concluding Remarks HAJIME FUKADA; Japanese Journal of Herpetology 13 (4): 114-119., Dec. 1990.

Japanese common name : Shima-Hebi
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Elaphe quadrivirgata (Boie, 1826)

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おやおや、木に登るのかい。じゃなくて邪魔だったんだね。横をすり抜けてヌルヌル。
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カメラを向けただけで臨戦態勢。気性が荒い。何度も、噛んじゃうぞと飛びかかろうとする。
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いつまでも怒っていないで逃げた方が良いと思うけど、シマヘビは引き下がりません。
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目が赤いのは徹夜したからではないよ。
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学名quadrivirgataは、4本の線。ナメラ属の滑羅は、なめらかな表面を意味する。
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舌を出すので写そうと思ったが速すぎて駄目でした。


シマヘビ(縞蛇)
有鱗目ヘビ亜目ナミヘビ科ナメラ属
学名:Elaphe quadrivirgata (Boie, 1826)

分布:北海道、本州、四国、九州
全長:80~200cm
餌:カエル、トカゲ等の爬虫類、両生類

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撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt.435.2m) 2012.03.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 March 2012
Last modified: 30 August 2015
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by pianix | 2012-03-25 00:00 | その他の生物 | Trackback | Comments(0)
マルミノヤマゴボウ(丸実の山牛蒡)
 マルミノヤマゴボウ(丸実の山牛蒡)は、ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草です。日本、台湾、中国等に分布し、日本では関東以西から四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、ヤマゴボウ(山牛蒡 Phytolacca acinosa Roxb.)に対して、分果を作らない球果(丸い実)である事から。

 ヤマゴボウ科(Phytolaccaceae R.Brown, 1818)は、世界に22属120種が分布し、日本にはヤマゴボウ属の1属があります。ヤマゴボウ属(Phytolacca C.Linnaeus, 1753)は、熱帯・亜熱帯に約35種が分布します。日本には2種1)が自生し、1種2)が帰化しています。

 山地の林縁に自生します。根は太く塊根状。茎は丸く緑色で、100~150cmに直立します。葉は互生します。長い柄があり、長さ10~15cm、幅5~10cmの長楕円形から卵状長楕円形で、全縁、鋭尖頭、無毛。

 花期は6月から9月。円錐花序を直立してつけます。ヨウシュヤマゴボウと異なり、花序は果期にも下垂しません。花序長は10~20cm。花茎は薄緑で、果期には濃紅色になります。1~3cmの柄の先に花を多数付けます。花は花弁はなく5個の萼片のみで、径約8mm。白から淡紅色で、やがて濃紅色になります。両性花。心皮3)は7~10個で合生(ヤマゴボウは離生)します。葯色は白色です。

 果実は液果です。多心皮の雌しべ7~10個が合着した扁平な球形で、径約8mm。熟すと黒紫色になります。種子は約3mmの腎臓形で光沢がある黒色、同心円状の細い横条線があります。染色体数は、2n=72。

 生薬名をショウリク(商陸)と言い、民間療法で乾燥根を利尿に用います。根には硝酸カリウム(potassium nitrate / KNO3)が含まれます。

1)日本のヤマゴボウ属
ヤマゴボウ(山牛蒡) Phytolacca acinosa Roxb.
synonym : Phytolacca esculenta Van Houtte
マルミノヤマゴボウ(丸実の山牛蒡) Phytolacca japonica Makino
2)日本に帰化したヤマゴボウ属
ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡) Phytolacca americana L.
3)心皮 (carpel):雌しべ(pistil)を構成する特殊な葉。複数の雌しべの集合体。
多心皮の雌しべ:不特定多数の心皮で作られる

参考:ゴボウ(牛蒡)

Japanese common name : Marumino-yamagobou
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Phytolacca japonica Makino

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【開花前】 蕾

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【花期】 円錐花序に淡紅色萼片5の花を多数付ける。 2008.05.28

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【果期】 萼片の色が濃くなる。 2008.07.22

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【成熟期】 果実は液果で、熟すと黒紫色になる。 2008.08.08


マルミノヤマゴボウ(丸実の山牛蒡)
ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属
学名:Phytolacca japonica Makino
花期:6月~9月 多年草 草丈:100~150cm 花径:約8mm

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【学名解説】
Phytolacca : phyton(植物)+lacca(深紅色の顔料)/ヤマゴボウ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.716.9m) 2008.05.28, 2008.07.22, 2008.08.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 17 March 2012
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by pianix | 2012-03-17 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ジャコウアゲハ(麝香揚羽)
 ジャコウアゲハ(麝香揚羽)は、アゲハチョウ科ジャコウアアゲハ属の昆虫で、蝶の一種です。日本、中国、朝鮮半島、台湾等の東アジアに分布します。日本では、本州、四国、九州、南西諸島に分布します。名の由来は、雄が麝香のような匂い1)を出すアゲハチョウの仲間である事から。中国では麝鳳蝶と表記する。英名は、Chinese windmill。

 年に3~4回発生します。幼虫はアルカロイド毒(アリストロキア酸 Aristolochic acid)を含むウマノスズクサ(馬の鈴草)Aristolochia debilis Siebold et Zucc.を食草として体内に蓄積します。捕食を避ける効果があると言われています。この毒は人にも腎障害等の影響を与えます。ウマノスズクサは蔓性の多年草で、関東以南の里山や河川敷に自生します。ジャコウアゲハの分布は、この自生地域に重なります。

 成虫は、4月から10月頃に現れます。雄と雌では翅色が異なります。雄は光沢のある黒色で、雌は灰褐色です。後翅周辺に橙色斑点(夏型は黄色)が数個あり、長い尾状突起があります。胴体には赤黒の斑模様があります。前翅長は42~60mmで、翅を広げると90~110mmです。雄は麝香臭1)を出します。

 完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)します。卵は橙色で、径1~1.5mm、小突起が縦に並びます。終齢幼虫(5齢)は黒色で、白色の帯模様があります。多数の肉質突起があり、先端が橙色になります。

 冬期は蛹で越します。蛹は一般的に「お菊虫」と言われています。これは、蛹の形態が後ろ手に縛り上げられた番町皿屋敷のお菊を彷彿することによります。

Atrophaneura alcinous alcinous (Klug, 1836)は、日本本土・大陸亜種。
他に次の亜種があります。
屋久島亜種 : Atrophaneura alcinous yakushimana (Esaki et Umeno, 1929)
奄美・沖縄亜種 : Atrophaneura alcinous loochooana (Rothschild, 1896)
宮古島亜種 : Atrophaneura alcinous miyakoensis (Omoto, 1960)
八重山亜種 : Atrophaneura alcinous bradana (Fruhstorfer, 1908)

1)麝香臭は、フェニルアセトアルデヒド (phenylacetaldehyde, C8H8O)。

学名確認文献:日本産蝶類和名学名便覧 © 猪又敏男・植村好延・矢後勝也・神保宇嗣・上田恭一郎(日本昆虫学会 日本昆虫目録編集委員会 鱗翅目分科会), 2010-2012

Japanese common name : Jakou-ageha
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Atrophaneura alcinous alcinous (Klug, 1836)

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翅が変な感じ。横から見て納得、交尾していた。上がメス。辰起川 2007.08.23

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ノアザミ(野薊)にとまるジャコウアゲハ♀。ダイラボウ 2008.05.27

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コセンダングサ(小栴檀草)にとまるジャコウアゲハ。辰起川 2007.09.14
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安倍城跡 2010.07.21
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安倍城跡  2011.08.16
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産卵中 辰起川(土手) 2007.08.20

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お菊虫 辰起川(土手) 2007.08.20

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お菊虫(抜け殻) 辰起川(土手) 2007.08.23


ジャコウアゲハ(麝香揚羽)
チョウ目(鱗翅目)アゲハチョウ科(アゲハチョウ亜科・キシタアゲハ族)ジャコウアアゲハ属
学名:Atrophaneura alcinous alcinous (Klug, 1836)
Type species : Atrophaneura alcinous (Klug, 1836)
Synonym : Byasa alcinous (Klug, 1836)

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体長:(前翅長)42~60mm
出現期:4月~10月(年3~4回)
分布:本州・四国・九州・南西諸島
食草:ウマノスズクサ(馬の鈴草)

撮影地:静岡県静岡市
辰起川(安倍川水系) 2007.08.20/08.23/09.14
ダイラボウ(Alt.561.1m) 2008.05.27
安倍城跡(Alt.435.2m) 2010.07.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 11 March 2012
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by pianix | 2012-03-10 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤブミョウガ(藪茗荷)
 ヤブミョウガ(藪茗荷)は、ツユクサ科ヤブミョウガ属の多年草です。日本、中国、朝鮮、台湾、インドシナに分布します。日本では、関東以西に分布する在来種です。名の由来は、藪に生え、葉が茗荷に似ている事から。茗荷の名は付いてもショウガ科ではなくツユクサ科で、葉の付き方も2列互生ではありません。

 ツユクサ科(Commelinaceae Mirb., 1804)は、熱帯から温帯にかけて約40属650種が分布し、日本には4属が分布します。ヤブミョウガ属(Pollia Thunberg, 1781)は、約26種があり、日本には約8種が分布します。

 山地の林縁に自生します。白色で細い地下茎を伸ばして栄養繁殖し、細毛がある茎を50~90cmに立ち上げます。茎の中間に葉を密生して互生します。葉表は細毛がありざらつきます。基部は鞘状で茎を巻き、狭長楕円形で、長さ15~30cm、幅3~7cm、鋭尖頭。

 花期は8月から9月。茎の先に20~30cmの円錐花序を付けます。5~6段の輪生状に枝を出して花を付け、下部から咲かせます。一枝の先に10前後の花を順に咲かせていきます。花弁は白色の倒卵円形で、花の径は7~10mm。萼片3個、花被片3個。

 同じ株に両性花と雄性花が混在します。両性花は花柱が長く、雄性花は雌しべが退化して短く、子房も退化、雌しべよりも長い6個の雄しべがあります。葯色は黄色。一日花です。子房上位。果実は液果です。5~6mmの球形で黒紫色。種子は、長さ1.5~2.5mmの不定多角形でイボ状突起があります。染色体数は、2n=32,40。

 その他に同じ属で南方系の、鹿児島県以南に分布しヤブミョウガよりも小型の、コヤブミョウガ(小藪茗荷) Pollia miranda (H.Lev.) H.Hara、石垣島に分布し絶滅危惧II類のザルゾコミョウガ(ナンゴクヤブミョウガ) Pollia secundiflora (Blume) Bakh.f. があります。

 
染色体核型:
K=2n=32=4Am+4Bsm+4Cm+4Dm+4Esm+4Fsm+4Gst+4Hm
K=2n=40=4Asm1+2csAsm2+4Ast3+6Bsm1+2Bst2+2Csm1+6Cm2+10Dsm1+2tDm2+2Dm3
[Karyological Studies in Commelinaceae II, Hirosumi FUJISHIMA]

参考:ハナミョウガ(花茗荷)

Japanese common name : Yabu-Myouga
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Pollia japonica Thunb.

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葉を密生して互生するが輪生しているように見える。茎には下向きの短毛がある。

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花がつき始めた若い花序。背後の黒い影は虫。

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萼片、花被片、共に3個。両性花と雄性花が混在する。両性花は花柱が長い。

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午後には花弁と雄しべが萎れる。雌しべ1、雄しべ6で葯色は黄色。子房は緑白色。

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輪生状に枝を数段に出す。 果実は熟すごとに色が変わり、黒紫色になる。


ヤブミョウガ(藪茗荷)
ツユクサ科ヤブミョウガ属
学名:Pollia japonica Thunb.
花期:8月~9月 多年草 草丈:50~90cm 花径:7~10mm 花序長:20~30cm

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【学名解説】
Pollia : Jan van der Poll(1726-1781)に因む/ヤブミョウガ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2006.08.22, 2007.07.31
安倍川/河口から12.50km 左岸土手 2007.07.03, 2007.09.18
賤機山 2009.08.12, 2011.08.08
徳願寺山 2011.08.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

Last modified: 03 March 2012
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by pianix | 2012-03-03 00:00 | | Trackback | Comments(0)