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コダチダリア(木立ダリア)
 コダチダリア(木立ダリア)は、キク科ダリア属の多年草です。メキシコ原産の高地性植物で、日本では園芸種として扱われます。名の由来は、茎が木質化するダリアであるから。英名は、tree-dahlia、bell-tree、candelabra1)-dahlia等。別名のタラノハダリア(桵葉ダリア)は、葉がタラノキ2)(楤木)に似る事から。流通名のコウテイダリア(皇帝ダリア)は、学名種小名のimperialis(帝王の)からで、全体に大型で威厳がある事から。メキシコ名は、Acocotli。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味。保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。ダリア属(Dahlia Cavanilles, 1791)は、約27種が分布します。

 紡錘形の塊根を持ち、茎は中空で節があり、径2.1~5.6cm。木質化して3~5mの高さになります。風に弱く、支柱を必要とします。葉は、対生します。長さ38~80cmの枝に2~3回羽状複葉を付けます。小葉は披針形で鋸歯があり、先端は鋭突形、長さ5~14cm、幅2~3cm。

 花期は、11月から12月頃。光周性3)による短日植物4)であり、日長が短くならないと花芽の形成が促されません。葉腋から長い花序軸を出し、分枝した先端に頭状花序5)を付けます。総苞は内と外の2列あり、総苞内片は先端が膜質で8枚、総苞外片は5枚あります。周囲につく舌状花は8枚で、薄紫色。花被片の先端は尖り、下部は筒状で、長さ6~11cm、幅3~5cm。花冠径は、12~20cm。

 中央に黄色の管状花(筒状花)を多数つけます。管状花全体の径は約2.5cm、長さ約1.5cm。横向か、やや下向きに咲かせます。舌状花を欠き管状花のみの蕾を付ける事があります。管状花部分のみを開き、そのまま花は終わります。子房下位。果実は痩果です。染色体数は、2n=32。

 繁殖は種子によりますが、もっぱら簡易な挿し木が主流で、竹の節のような2節程を残して切った茎を水平に植えます。暖地では露地栽培が可能で、根を凍らせないようにして越冬させます。非耐寒性のため、霜が降りる頃、急速に枯れます。

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 静岡市では最近、急速に栽培が盛んになった感じがします。駐車場周囲や農地など、あちらこちらに花を見かける事が多くなりました。栽培が容易な事と温暖な地という気候に恵まれた事が一因と思われます。花が少なくなった時期に豪快に咲き乱れるコダチダリアは貴重な園芸種として用いられているようです。ただし、ほとんどの方がコウテイダリアの名を用いています。一般にはこちらの名が浸透しているようです。

 ※記載数値は静岡市葵区西ヶ谷での観察時における実測値で、生育状態によっては範囲を超える事があります。2014年、市営水泳場受付業務の方に本種栽培の経緯について詳細を伺い、丁寧な説明を受けました。お礼申しあげます。

1) Candelabra:枝付き燭台
2) Aralia elata (Miq.) Seem.
3) 光周性:夜時間の長さが開花に関係する現象。長日性と短日性があり、葉が日光に反応する事によって起こる。(photoperiodism Garner,Allard,1920)
4) 短日植物(たんじつしょくぶつ):日照時間が短くなると花が咲く植物(short-day plant)。
5) 頭状花序(とうじょうかじょ):無限花序の一つ。花軸が広がり複数の無柄の小花が密集して一つのように見える花序(capitulum)。中央に管状花(筒状花)、周囲に舌状花をつける事が多い。

Japanese common name : Kodati-daria
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Dahlia imperialis Roezl ex Ortgies

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一株に多数の大輪をつける。

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舌状花は8枚で薄紫色、中央に黄色の管状花からなる頭花。右は内外2列の総苞。

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蕾から舌状花が出てくる。

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開き初めは花弁の色が濃い。長い柄の先に多数の蕾がつき、次々と開花する。

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舌状花を欠く花。総苞外片は平開するが総苞内片はここまでしか開かない。

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管状花のみの個体の花径は約2.5cm。舌状花は脱落しやすい。

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左:花被片、左が表、右が裏面。長さ約6~11cm。 右:畑地に咲くコダチダリア。

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葉は対生し、2~3回羽状複葉、小葉は披針形。


コダチダリア(木立ダリア)
別名:タラノハダリア(楤葉ダリア)/コウテイダリア(皇帝ダリア)
キク科ダリア属
学名:Dahlia imperialis Roezl ex Ortgies
花期:11月~12月 多年草 草丈:3~5m 花径:12~20cm

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【学名解説】
Dahlia : Andreas Dahl(1751~1789)に因む/ダリア属
imperialis : 帝王の
Roezl : Benedikt Roezl (1823-1885)
ex : ~による
Ortgies : Karl Eduard Ortgies (1829-1916)

撮影地:静岡県静岡市
葵区/静岡市営 西ヶ谷総合運動場 2015.11.12, 11.19, 11.21, 11.22
葵区西ヶ谷/農地 2015.11.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 November 2015
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by pianix | 2015-11-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)
 ヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)は、アオイ科ヤノネボンテンカ属の常緑低木です。南アメリカ原産で、渡来時期は不明。日本では園芸種として扱われています。逸出したものが野生化して帰化しています。名の由来は、やじり(鏃、矢尻)型の葉を持つボンテンカである事から。矢の根は矢尻の事で、ボンテンカ1)(梵天花)はインドの花との意味。別名のタカサゴフヨウ(高砂芙蓉)は、台湾の芙蓉との意味。高砂は台湾の異名。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、旧分類では約75属1500種が分布します。APG植物分類体系では約240属3700種。ヤノネボンテンカ属(Pavonia Cavanilles, 1786)は、中央及び南アメリカに約100種が分布します。

 茎は直立し、分枝しながら50~150cmになります。茎や葉に星状毛があります。葉は互生します。基部が張り出し鉾形で、長さ3~10cm。波形の鈍鋸歯があります。花期は8月から9月頃。茎頂に花を単生します。蕾は初め赤く、開花前頃に赤い筋模様に変化します。4~7cmの花柄があり、花弁は5枚で花径は4~6cm。白色で基部が半円状に農赤色となります。花弁裏には赤色の筋模様が入ります。

 雄しべは12個で筒状につき赤色。雌しべは赤色で先端が10分岐します。萼は小苞と2列になり5裂します。朝開夕閉の一日花です。閉鎖花をつけます。果実は5分果で径約8mm。染色体数は、2n=56。

 園芸店ではミニ芙蓉の名で販売されている事があります。同じアオイ科のムクゲをそのまま小さくしたような花を付ける事からの命名と思われます。

1) ボンテンカ(梵天花)Urena lobata L. subsp. sinuata (L.) Borss.Waalk.

Japanese common name : Yanone-bontenka
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Pavonia hastata Cav.

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花弁は5個で花柱が目立つ。夕方には萎れてくる一日花。

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蕾は赤く、膨らんでくると赤の筋模様になってくる。蝶はウラナミシジミ。

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花弁裏側の赤筋模様。表側は白色で基部が半円状に農赤色となる。

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野生するヤノネボンテンカ。葉は、互生し鉾型。

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庭先に裂いていたヤノネボンテンカ 2016.08.15)


ヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)
別名:タカサゴフヨウ(高砂芙蓉)
アオイ科ヤノネボンテンカ属
学名:Pavonia hastata Cav.
花期:8月~9月 常緑低木 樹高:50~150cm 花径:4~6cm

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【学名解説】
Pavonia : Jose Antonio Pavon Jimenez (1754-1844)氏の/ヤノネボンテンカ属
hastata : hastatus(鉾形の)
Cav. : Antonio Jose Cavanilles (1745-1804)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.25km 左岸河川敷 2015.10.07
葵区池ヶ谷(植栽) 2016.08.15
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 November 2015
Last modified: 27 November 2016
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by pianix | 2015-11-24 00:00 | | Trackback | Comments(0)
オオガハス(大賀蓮)
 オオガハス(大賀蓮)は、ハス科ハス属の多年草です。千葉県検見川の約2000年前(弥生時代後期)の遺跡で発見された種子から開花1)した古代蓮です。大賀一郎博士2)によって発芽に成功したもので、彼の名前が冠せられています。二千年ハスとも言われます。長年にわたって遺伝的攪乱が無かった古代のハスという事に意味がありますが、在来のハスの一つで、学名が異なるわけではありません。アジア(イラン、インド、中国)やオーストラリアに分布します。日本では全国に分布します。名の由来は、古名のハチス(蜂巣)からと言われています。英名は、Indian lotus。

 ハス科(Nelumbonaceae A.Rich. (1827))は、1科1属です。ハス属(Nelumbo Adanson, 1763)は、アジア種のハス(蓮)Nelumbo nucifera Gaertn.とアメリカ種であるキバナハス(黄花蓮)Nelumbo lutea Willd.の2種が分布し、カスピ海種Nelumbo caspicumを含み3種があります。

 抽水植物です。水辺に生育する植物は水生植物(Aquatic Plant)と言われ、淡水域に生育する植物の総称です。水生維管束植物は世界に約1000種、日本に約100種あると言われています。抽水植物は、根が水底の土中にあり、一定期間、葉や茎の一部が水面に出る植物を言います。根が水に浸かった地に張り、茎や葉の一部が水上に出る植物の事です。当然ながら根は水没しているわけで、根に酸素を供給する必要があるため、茎には通気組織があります。水質の浄化機能、生物の繁殖・生育に役立つとされています。他に、葉を水面に浮かせる浮葉植物、水底に根を張らずに浮く浮漂植物、全てが水中にある沈水性植物があり、湿地や湿原に生育するものも含まれます。

 沼地で生育します。地下茎は太く長い多節の根茎で、レンコン(蓮根)として食用にします。根茎や茎には空気を通すための中空洞があります。葉柄を水面より上に出し、径25~90cm程の撥水性のある楯形葉 3)を単生させます。葉柄は葉の中央につき、葉脈を放射状に伸ばします。

 花期は、7月から8月頃。花茎を50~100cmに伸ばし、茎頂に直径10~20cm程の花を1個つけます。萼片は2~5個。花弁は10~30個で舟形。花色は薄桃色。花弁中央部に花托があり、黄色の雄しべを周囲に多数付けます。両性花です。朝開夕閉の傾光性があり、数日繰り返します。ハスの花をレンゲ(蓮華)とも言います。

 花弁を落とした後に蜂の巣状の果托4)が残ります。果実は堅果です。始め緑色で茶色に熟します。種子は楕円形状。澱粉を多く含みます。種子や地下茎で繁殖します。乾燥果実を生薬のレンニク(蓮肉)として、鎮静、滋養強壮に用いられます。

1) 1952(昭和27)年7月18日に開花、1954(昭和29)年に千葉県の天然記念物「検見川の大賀蓮」とされました。その後、国内外に移植されています。古代ハスは、行田蓮(1400-3000年前)、中尊寺ハス(800年前)等があります。
2) 大賀一郎 Ichiro Ohga (1883-1965) 理学博士
3) 楯形葉(じゅんけいよう):葉身の中央に葉柄がつく葉(peltate leaf)。
4) 果托(かたく):花弁の土台になるのが花托(receptacle)で、種子の土台になるのが果托(fruit receptacle)。時期によって異なる名称になるが、花柄の先が肥大した植物の器官で同じ部分。

Japanese common name : Ohga-hasu
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Nelumbo nucifera Gaertn.

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円形の楯形葉。葉柄は葉の中央につく。

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蜂の巣状の果托


オオガハス(大賀蓮)
別名:コダイハス(古代蓮)
ハス科ハス属
学名:Nelumbo nucifera Gaertn.
花期:7月~8月 多年草(水性) 草丈:50~100cm 花径:15~20cm

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【学名解説】
Nelumbo : ハスを意味するタミル語/ハス属
nucifera : nuciferum(堅果を持った)
Gaertn. : Joseph Gaertner (1732-1791)

撮影地:静岡県焼津市
サッポロビール静岡工場ビオトープ園 2015.08.12
[Location : Yaizu City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 November 2015
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by pianix | 2015-11-23 08:00 | | Trackback | Comments(0)